障害者手帳のメリット・デメリットをくわしく解説!|実際に取得した人の声は?

障害者手帳を取ろうか考えている方が気になるのがそのメリット・デメリット。様々な受けられる福祉サービスや割引制度がこの記事を読むだけでそのほとんどが分かるようにしました。

地域による違い、実際に手帳を取得した方はどのように思っているのか? DIエージェントが調べました!

障害者手帳のメリット

「障害者手帳」とは、「身体障害者手帳」・「精神障害者福祉保健手帳」・「療育手帳」の総称で、「障害をお持ちである」と認められた方が取得できます。
障害者手帳を持っていれば様々な支援・福祉サービスなどが受けられます。

この記事でご紹介するメリットはこちら▼

  1. 障害者雇用枠での就労
  2. 就労支援~失業時の福祉サービス
  3. 所得税・住民税の「障害者控除」
  4. 医療費助成
  5. 自動車税の減免
  6. 電車賃・携帯料金やレジャー施設などの割引制度
  7. 公営住宅の優先入居
  8. 保育に関わる配慮(入園基準、保育料)
  9. 補装具の助成
  10. 住宅改造費の補助
  11. 生活保護の障害者加算
  12. 特別障害者手当

このように主に経済的メリットが多数あります。それでは詳しく1つずつ見ていきましょう。

メリット1:障害者雇用枠での就労

障害者雇用枠とは障害をお持ちの方が働く際に、障害がない人に比べ就労の機会に不平等が起きないように用意された特別な就労ルートであり、働き方です。

障害者雇用枠で働く大きなメリットは「障害を開示し、企業も障害を理解した上で採用をおこなうので、適切な障害配慮が受けられ、安心して働ける可能性が極めて高い」ことです。

 
CA

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障害者雇用枠は障害者手帳を所有している方のみが応募できます。

詳しくはこちらの記事をご参照ください▼

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メリット2:就労支援~失業・再就職時の福祉サービス

体調や障害、様々な事情から就職や働き続けることが大変な方もいますよね。「就職準備」「定着」「離職」に関しても手厚い福祉サービスが用意されています。

ハローワークや地域障害者職業センターは必ずしも障害者手帳を所有していなくても利用ができます。障害者就業・生活支援センターは18歳以上で障害者手帳の所有者のみが対象で、働くことから生活まで幅広く相談に乗ってくれます。

上記のサービスは障害者手帳がなくても「障害福祉サービス受給者証」があれば利用が可能です。

またこれらの施設を利用した方や就職先の企業によっては、障害者雇用枠で就職した後も「定着支援」を無料で利用できます。「長く働き続けたい」と考える方は見逃せない制度ですね。

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また、万が一失業した際も障害者手帳をお持ちの方は「就職困難者」に分類され、「失業保険」受給の条件がゆるかったり、給付期間が長かったりします。

さらに再就職した場合は「常用就職支度手当」が支給されるチャンスもあります。

参考:厚生労働省「常用就職支度手当について」

メリット3:所得税・住民税の「障害者控除」

「障害者控除」とは、障害をお持ちの方またはその親族(世帯を共にする人)に対して、金銭的な負担を軽減するために税金を安くする制度です。

障害者手帳をお持ちの方、およびそれに準じる方が障害者控除の対象となります。

ここでは代表的な「所得税」・「住民税」の控除額についてお見せします。

 

所得税

住民税

障害者

27万円

26万円

特別障害者

40万円

30万円

参考:国税庁「No.1160 障害者控除」

メリット4:医療費助成※地域、等級による

「医療費の助成」とは医療費が中長期的に・高額にかかる方を対象に医療費負担が軽減される制度です。

心身障害者医療費助成(マル障)

重度障害者に対する医療費の助成は「心身障害者医療費助成制度」(通称:マル障)などと呼ばれています。また所得制限が設けられています。

一例として、東京都内在住の方で下記に該当する方は、医療機関での医療費の自己負担が、原則1割になります。

(1)身体障害者手帳1級・2級の方(心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫・肝臓機能障害の内部障害については3級も含む。)
(2)愛の手帳1度・2度の方
(3)精神障害者保健福祉手帳1級の方

引用:東京都福祉保健局「心身障害者医療費助成制度(マル障)」

実施主体は主に市区町村で、大阪市では「重度障がい者医療費助成制度 」、千葉市では「心身障害者(児)医療費助成制度」と呼ばれいているように名称や内容にも違いがあります。

自立支援医療

また、障害者手帳をお持ちでない方も「自立支援医療」制度を活用できます。
所得によって、医療費は原則1割負担、かつ1ヶ月あたりの医療費上限額が設けられることになります。
主に精神疾患・発達障害等を対象とした「精神通院医療」と身体障害を対象にした「厚生医療」、身体障害をお持ちの児童が対象の「育成医療」の3種の支給対象があります。

精神通院医療の対象

精神通院医療の対象は以下の通りです。

5 対象となる精神疾患

    1. 病状性を含む器質性精神障害(F0)
    1. 精神作用物質使用による精神及び行動の障害(F1)
    1. 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害(F2)
    1. 気分障害(F3)
    1. てんかん(G40)
    1. 神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害(F4)
    1. 生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群(F5)
    1. 成人の人格及び行動の障害(F6)
    1. 精神遅滞(F7)
    1. 心理的発達の障害(F8)
    1. 小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F9)

※(1)~(5)は高額治療継続者(いわゆる「重度かつ継続」)の対象疾患

引用:厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)の概要」

精神疾患だけでなく、てんかんや知的障害、発達障害も対象に含まれます。

厚生医療の対象

主に身体障害による通院・治療が該当します。

4 対象となる障害と標準的な治療の例

  1. 視覚障害・・・白内障 → 水晶体摘出手術、網膜剥離 → 網膜剥離手術 瞳孔閉鎖 → 虹彩切除術、角膜混濁 → 角膜移植術
  2. 聴覚障害・・・鼓膜穿孔 → 穿孔閉鎖術、外耳性難聴 → 形成術
  3. 言語障害・・・外傷性又は手術後に生じる発音構語障害 → 形成術 唇顎口蓋裂に起因した音声・言語機能障害を伴う者であって鼻咽腔閉鎖機能不全に対する手術以外に歯科矯正が必要な者 → 歯科矯正
  4. 肢体不自由・・・関節拘縮、関節硬直 → 形成術、人工関節置換術等
  5. 内部障害
    • <心臓>・・・先天性疾患 → 弁口、心室心房中隔に対する手術
      後天性心疾患 → ペースメーカー埋込み手術
    • <腎臓>・・・ 腎臓機能障害 → 人工透析療法、腎臓移植術(抗免疫療法を含む)
    • <肝臓>・・・ 肝臓機能障害 → 肝臓移植術(抗免疫療法を含む)
    • <小腸>・・・ 小腸機能障害 → 中心静脈栄養法
    • <免疫>・・・ HIVによる免疫機能障害→抗HIV療法、免疫調節療法、その他HIV感染症に対する治療

引用:厚生労働省「自立支援医療(更生医療)の概要」

 
CA

たとえば寛解の可能性がある精神疾患の場合、障害者手帳を取得せずとも自立支援医療制度を利用すれば医療費抑えられるといったメリットがあります。

参考:厚生労働省「自立支援医療」

メリット5:自動車税の減免※地域、等級による

2019年より自動車税という名称から「自動車税種別割」に変更になっています。実態は自動車にかかる税金で、障害をお持ちの方は等級などによって減免が受けられるのです。

たとえば東京都であれば以下のような分類になっています。詳細な対象は東京都自動車税コールセンターで受け付けています。

減免対象の障害別等級表_減免対象となるのは視覚障害(視力障害・視野障害)だと1級~3級・視力障害4級(4級の1)など
▲画像元:「東京都主税局」

さらに「所有者・運転者は誰か(生計を共にする人も含む)」「車を使う目的は何か」「車の種類は何か(軽自動車)」によって額が決まります。一般的な自動車であれば45,000円程度を限度に減免がなされます。


細かい条件や申請方法はお住まいの都道府県によって異なりますので調べてみてください。

参考:東京都主税局「自動車税環境性能割・自動車税種別割の減免制度のご案内 | 軽減制度」
総務省「地方税制度|2019年10月1日、自動車の税が大きく変わります」


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メリット6:電車賃・携帯料金やレジャー施設などの割引制度

交通費、大手キャリアの携帯料金、公共の施設(美術館・博物館)から民間のレジャー施設・温浴施設など、障害をお持ちの方への割引サービスは多数あります。

割引制度についてはこちらの記事で詳しく説明をしております。▼

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お得な障害者割引まとめ記事

代表的な電車賃の割引について紹介します。JRの割引は身体障害者・知的障害者に限られているのが現状です。
身体障害者手帳または療育手帳に「第1種/第2種身体障害者」「第1種/第2種知的障害者」と記されており、手帳を提示して乗車します。

身体障害者手帳の中に書かれている割引
引用:JR東日本「身体障害者旅客運賃割引規則」

本人と介護者は運賃が5割引きとなります。

またJR以外の私鉄や都民の方であれば都営地下鉄やバスが割引の対象になることもあります。

ミライロIDでクーポンも

現在、障害者手帳のカード化・デジタル化(アプリ化)が進んでいます。

ミライロIDは障害者手帳の代替となるだけでなく、コンビニや外食チェーンで使用できるクーポンが配布されているようです。

参考:「ミライロID – 人と企業をつなぐ、障害者手帳アプリ」

メリット7:公営住宅の優先入居

大きい「住まい」の出費。家賃をおさえたいならば公営住宅などへの入居という選択肢もあります。
公営住宅はその名の通り、国が補助を出して自治体が運営をしている住宅で、収入が少ない方などが入居できます。

(2)入居収入基準(法23条2号、令6条5項)
 その者の収入が①~③に掲げる場合に応じ、それぞれに掲げる金額を超えないこと。
(中略)
② 入居者が身体障害者である場合その他の特に居住の安定を図る必要 があるものとして政令で定める場合(裁量階層)
 月収26.8万円(収入分位40%)以下
 (政令で定める場合) ・障害者でその障害の程度が国土交通省令で定める程度のものがある場合
 (国土交通省令で定める程度)
身体障害:身体障害者障害程度等級表1級から4級まで
精神障害:障害等級1級又は2級
知的障害:精神障害の程度に相当する程度

引用:国土交通省「公営住宅制度の概要について」

周辺の家賃相場より安く住めるので公営住宅は人気が高いのですが、障害をお持ちの方は一般の方よりも入居が優先・優遇される場合があります。

参考:ドコモ・プラスハーティの障がい者情報サイト ハーティサロン「公営住宅の優先入居 障がい者が公営住宅に入居するための「優先入居」の仕組みとは」

グループホーム(共同生活援助)

障害をお持ちの方が自立を目指して共同生活を送れる場所がグループホーム(共同生活援助)です。

障害者総合支援法で定められている「福祉版シェアハウス」のようなイメージです。また専門資格を持つ「支援員」「世話人」が常駐していることも多く、気軽に相談ものってくれるでしょう。

たとえば横浜市のグループホーム「自立支援ホーム ピュアルト」の場合、家賃と食材費の合計が「62,000~66,000円程度」。一人暮らしをするよりかなり費用を抑えられると言えます。

 
CA

就労支援に通所しているなどで収入がない・少ない方が利用するケースも!

メリット8:保育に関わる配慮(入園基準、保育料)

子育て世代の方は必見の制度です。障害者手帳を持つことによって、お子さんの「保育」に関しても優遇があります。

保育園の入園に際して「点数」といった言葉を聞いたことはないでしょうか? 家庭の状況によって点数が付けられ、点数が高い家庭から保育園の入園が決まっていきます。障害のために育児が困難な場合、点数が加算され優先的にお子さんが入園できます。

たとえば福岡市の場合、以下のような加算がなされます。

福岡市保育施設等利用調整基準表_保護者の疾病・障がいで概ね100点以上の加算がなされる
引用:福岡市保育施設等利用調整基準表

また地域によって違いはありますが、世帯に障害をお持ちの方(お子さんが障害をお持ちの場合も含む)が要る場合、保育料が無償化や軽減される場合もあります。

川崎市の場合は以下のように定められています。

軽減措置の概要

要保護世帯で、世帯の市町村民税所得割額が77,100円以下の世帯の場合、保育料は無料となります。 「要保護世帯」とは、次の世帯のことをいいます。

  • ア ひとり親世帯
  • イ 身体障害者手帳の交付を受けている者(ただし特定施設等に入所している場合を除く。)がいる世帯
  • ウ 療育手帳の交付を受けている者(ただし特定施設等に入所している場合を除く。)がいる世帯
  • エ 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者(ただし特定施設等に入所している場合を除く。)がいる世帯
  • オ 特別児童扶養手当の支給対象児童(ただし特定施設等に入所している場合を除く。)がいる世帯
  • カ 障害基礎年金の受給者(ただし特定施設等に入所している場合を除く。)がいる世帯

引用:川崎市「認可保育所等の利用者負担額(保育料)」

 
CA

保育の優先入園は「求職活動中」でも加算対象になります。育児や仕事の両立についても気軽にご相談くださいね。

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メリット9.補装具の助成※身体障害のみ

車いす、杖、補聴器などの補装具

補装具とは安全つえ・人工内耳・車椅子など、主に身体障害の機能を補完するための用具です。障害者手帳をお持ちの方は、収入など条件に応じて補装具費が支給されます。

対象となる補装具は以下のリンクを参照してください。

◆補装具種目一覧(平成18年厚生労働省告示第528号)

参考:厚生労働省「補装具費支給制度の概要」

メリット10:住宅改造費の補助※身体障害のみ

身体障害をお持ちの方で家のバリアフリー化のための改修が必要な方に対して、補助が行われます。条件や支給額は地域によって異なります。

たとえば神戸市の場合、以下の対象に該当すれば最大100万円まで助成がされます。

2.事業の対象者

下記①②のいずれかに該当し、かつ、③に該当する方が対象です。

    1. 介護保険の要介護認定で「要支援」「要介護」と認定された方
    1. 身体障害者手帳の交付を受けた方
    1. 生計中心者の前年分の所得金額が600万円(給与以外に収入がない場合は、給与収入で800万円)以下
引用:神戸市「住宅改修助成事業」

メリット11:生活保護の障害者加算

憲法でも「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と書かれているように、生活が苦しい方は生活保護を受ける権利があります。

対象は以下の通りです。

    1. 障害等級表の1級若しくは2級又は国民年金法施行令別表に定める1級の いずれかに該当する障害のある者
    1. 障害等級表の3級又は国民年金法施行令別表に定める2級のいずれかに 該当する障害のある者
引用:厚生労働省「生活保護基準の体系等について」

通常の生活保護費に加え、およそ15,000~25,000円が上乗せして支給されます。
また障害年金とあわせて受給も可能です。

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メリット12:「特別障害者手当」

重度の身体障害をお持ちの方が受け取れる国の制度として「特別障害者手当」があります。月額にして3万円近い経済的支援策なので大きな助けとなるでしょう。

身体又は精神に著しい重度の障害を有する方に対して支給される手当です。受給資格が認定されると、申請月の翌月分から、毎年2月・5月・8月・11月に各月の前月分までの手当が支給されます。
手当月額は27,350円です。
引用:東京都福祉保健局「特別障害者手当(国制度)」

支給の条件は20歳以上の成人で、「身体障害者手帳1、2級程度」「愛の手帳1、2度程度」または「それと同等の疾病や精神障害を有する方」です。所得制限等もあるので、お住まいの市区町村の障害者福祉窓口へ申請や詳細の問い合わせをしましょう。

参考:厚生労働省「特別障害者手当について」


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障害者手帳のデメリット

では障害者手帳取得にあたりデメリットはあるのでしょうか?

開示の必要はなし、デメリットはほとんどないと言える

障害者手帳取得のデメリットはほとんどないと言えます。これまで見てきたように、たとえクローズ就労であったり配慮が不要であったりする場合でも、経済的な恩恵が多く受けられるためです。

しかし「障害者手帳取得にためらっている」という声も聞かれます。
ここでは代表的な不安と誤解についてみていきましょう。

職場に障害があることがバレるのではないか?

特にクローズ就労をされている方が心配されるのが、「障害者手帳を取得すると会社の人に障害があると分かってしまうのではないか?」といったことです。
障害年金を受給している場合、社内の社会保険の担当者(主に人事や総務)に気づかれる可能性はあります。
しかし障害があると判明したからと言って、それを本人の意志に反して第三者に暴露されたり、障害を理由に減給や降格、差別的な扱いを受けるのはあってはならないことです。

生命保険に入れないのではないか?

確かに「保険」に加入する際には審査があります。しかし、それは「障害者手帳を持っているか否か」で判断されるのではなく、通院の状況や健康状態などが総合的に判断されているのです。

また障害があることを前提とした保険商品を取り扱っている会社もあります。

 
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「保険に入れなくなるかもしれないから…」と思って病院に行かないのは、体調悪化のリスクも大きいのでおすすめしません。民間の保険に入らなくても充分に生きていける社会保障・福祉制度が日本には整っています。

参考:ぜんち共済株式会社「【保険】知的障がい・発達障がい・ダウン症・てんかんのかた向け」

申請・更新における煩雑さのデメリット

障害者手帳を申請する際には公的な書類を揃えたり証明写真を撮ったりと様々なステップがあります。また障害によっては再認定や更新が必要です。

さらに障害者手帳交付・更新においてお金はかかりませんが、医療機関で診断書を書いてもらうために2,000~5,000円程度の料金がかかります。今後のメリットと天秤にかけて取得を判断してみください。

どうしても「腰が重い」という方は、病院や社労士(社会労務士)が申請を代行してくれるケースもあります。

申請や更新についてはこちらの記事を参考にしてください▼

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障害者手帳とは?対象疾患・等級、 受けられるサービスなどもわかりやすく解説!専門家監修記事

参考:厚生労働省「障害者手帳について」

世間体が気になる?-精神的なデメリット

そして障害者手帳取得を躊躇する最も大きな理由として挙げられるのが心理的なストッパーです。

「自分に障害があると受け入れられない」
「ほとんど健常者と変わらない生活をしているのに甘えなのではないか?」
「家族から取らないで欲しいと泣きつかれた」
このような思いを持つ方も少なくありません。

障害者手帳の取得は義務ではありませんし、一度取得しても返納することもできます。もしも生活や働くことが困難な状況に陥った時、「障害者手帳取得」といった選択肢もあるのだと覚えておくと心にゆとりが生まれるのではないでしょうか。

 
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後ろめたさを感じる/感じさせる「社会的な障害」を取り除くためにも、私たちもより障害の理解促進に努めていきます。

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実際に障害者手帳をお持ちの方は?|「メリットあり」が8割【アンケート】

それでは実際に障害者手帳をお持ちの方はどのように感じているのでしょうか? Twitter上でアンケートを実施しました。

結果は「障害者手帳を取得するメリットがある」と回答された方は80%以上にのぼりました。

メリットとして挙がった体験談の中には
「配慮のある障害者雇用枠で働ける」
「一般枠では受からなかったが障害者雇用枠で働けるようになった」
「交通費の割引を利用している」
「美術館や博物館、映画の割引を使ってリフレッシュになる」
「普段から配慮はほとんどいらないがうまく使い分けている」
などといった声が多数寄せられました。

ただ、一部では
「開示をしたところ差別を受けた」
「障害を受け入れられないから取得しない、と聞いたことがある」
といった声もありました。
取得に慎重になるお気持ちも非常によくわかります。

障害者手帳は生きやすくなるためのパスポート

障害者手帳は社会によって作られた「障害」によって不利益を受けている方のためにある必要な支援であり、みなさんがよりよく生きるための選択肢を増やしてくれるパスポートだと考えています。
取得を迷われている方は、世間の目ではなくご自身の幸せを考えてみてはいかがでしょうか?

みなさんの可能性と選択肢を広げるきっかけとなりましたら嬉しいです。

監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。