障害者雇用枠は転職回数が多いと不利?企業が抱く懸念や退職理由の書き方を紹介

一般的に転職回数が多い人は、長続きしそうにないイメージやより好待遇の企業が見つかればさらに転職してしまうのではないかなど、様々な懸念により不利と言われています。

では、障害者雇用枠でも同じく転職回数が不利になってしまうのでしょうか?結論からお話しすると、一概に不利になるとは言えないのが事実です。

本記事では、障害者枠で転職活動をする方の中で「自分は転職回数が多いのでは?」と気になる方へ、転職回数の多さによって選考で不利にならないための対策ポイントと退職理由の伝え方をご紹介します。

「転職回数が多い」と思われるのは何社以上から?

「転職回数が多い」と思われるのは何社以上から?

何社以上から「転職回数が多い」と思われるのかは、その方の年齢や応募先の企業の感覚によって異なり、一概に言えません。

しかし、DIエージェントを過去に利用された方々の傾向を参考にすると、下記のような場合は企業から転職回数が多いという印象を持たれやすいです。

  • 3年以上在籍した会社がない
  • 在籍1~2年での退職が直近にある or 連続している

終身雇用の考え方が変わり転職が当たり前になりつつある今、障害者雇用枠において転職回数の多さがネックになるのはなぜなのでしょうか。

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障害者雇用枠の転職で見られる退職理由

障害者雇用枠の転職で見られる退職理由

障害者雇用枠の転職で見られる退職理由には、以下のような理由が挙げられます。

  • 職場の雰囲気・人間関係
  • 賃金、労働条件
  • 仕事内容があわない
  • 疲れやすく体力意欲が続かなかった
  • 症状が悪化(再発)した
  • 障害のため働けなくなった

これは厚生労働省が公開した2017(平成29)年度の「障害者雇用の現状等」から抜粋したもので、障害や特性による理由のほか、就労先の企業に対する不満を理由に退職した障害者の方がいることがわかります。

同データには、

「仕事内容や賃金、評価等の労働条件のほか、職場の雰囲気や人間関係、体力との関係、通勤などの「働く場」に関する課題も多く見られる」

引用元
厚生労働省|障害者雇用の現状等

との記載もあることから、障害者雇用枠の転職理由は障害や特性に限らず、実際に働いてみて気付いた企業の欠点が退職の理由になり得ると考えられます。

そのため、転職回数が増えてしまい、「企業にマイナスな印象を与えてしまうかも」と不安があるときは、なぜ回数が増えてしまったのか退職理由を正直に伝えることが大切になります。

引用元
厚生労働省|障害者雇用の現状等

転職回数が多い人に企業が抱く懸念

転職回数が多い人に企業が抱く懸念

障害者雇用枠の退職理由は、抱える障害・特性に限らず、就労先の企業への不満も一理あることがわかったことと思います。

では、採用担当者は転職回数が多い人に対しどのような懸念を抱くのでしょうか。ここでは企業側の懸念を3つご紹介します。企業が懸念することを踏まえ、自身にあった転職対策を考えましょう。

(1)体調への懸念

転職回数が多いと、「体調が不安定な方なのではないか」という懸念を持たれるケースがあります。

障害の内容や状態は個人差が大きいため、その方の障害を客観的に把握するのは難しいと感じる採用担当者は少なくありません。面接の中で確認するにしても、障害に関する話は本人の自己申告によるため、正確に知ることに限界があります。

そのため、採用担当者にとっては勤続年数や定着の様子という事実が、体調の安定度合いを確認するうえで一つの基準になりやすいです。

(2)職場への懸念

職場での人間関係が上手くいかなかったのではないかという憶測を生んでしまうこともあり得ます。

障害者雇用に慣れていない企業の場合、「他の職場に長く定着できなかった人を受け入れて大丈夫なのか?」といった、余計な懸念を抱かれかねません。

(3)ジョブホッパーに対する懸念

ジョブホッパーとは、好待遇によって転職を繰り返す人、または3年以内の転職を繰り返す人のことです。

近年、障害者雇用の拡大により求職者の売り手市場状態が続いています。そのため、例えば大手企業や好待遇な企業を転々としているような経歴の方の場合、「良い条件があればすぐに転職してしまう人なのではないか」というジョブホッパーへの懸念を与えるケースもなくはありません。

障害者雇用枠での転職|応募書類に退職理由を書くときの対策ポイント

障害者雇用枠での転職|応募書類に退職理由を書くときの対策ポイント

転職回数の多い方が障害者雇用枠の転職において気を付けるポイントはどのようなことなのでしょうか。ここでは履歴書や職務経歴書といった応募書類に退職理由を書くときの対策ポイントをご紹介します。

(1)前職に比べて条件が良かった場合

前職に比べて条件が良いことを理由に転職する場合、好待遇の部分だけを選んだような書類を作成するのは厳禁です。

好待遇という理由をそのまま書類に書いてしまうと、企業が提示した条件で選んでいることが明確に伝わり、ネガティブな印象を与えます。

場合によっては、「より好待遇の企業を見つけたらまた転職してしまうのでは」といった不安を植え付けてしまうことになりかねません。

たとえ待遇の良さが理由で転職したいと考えたとしても、「症状(特性)により自宅(病院)から近い勤務地を探していた」「これまでは短時間勤務を希望していたが症状が安定したことを受けてフルタイムで働ける場所を探していた」など、別の理由を書くよう工夫しましょう。

(2)やりたいことがあった場合

前職の退職理由がなにかしらやりたいことがあった場合も、そのまま書いてしまうのは厳禁です。そのまま書いてしまうと「やりたいことが見つかったらまた退職するのでは?」と不安を与えてしまいます。

この場合も、「自分なりの目標に向けて退職し資格取得を目指したものの、障害(特性)により諦めざるを得なかった。資格取得を目指したことで得たスキルや知識を活かせると考え応募に至った」など、表現に工夫を取り入れることでポジティブな印象にまとまります。

(3)人間関係の場合

職場の人間関係が直接の理由であっても、ストレートに書くのはNGです。

このような理由のときも、「上司からの過度な叱責により緊張感のある業務時間が続き、特性・症状が悪化した」「そのまま在職していると業務にも支障を来すと考え転職を希望した」などと書きます。

そうすることで人間関係だけでの退職ではなく、本人なりに努力したこと、熟考したゆえの退職だとわかる内容にまとまります。

(4)障害・特性への配慮不足の場合

企業による障害・特性への配慮不足が理由であっても、そのまま書くのは厳禁です。これは企業なりの配慮があったにもかかわらず、そう感じられなかった可能性が考えられるためです。

そのままストレートに書いてしまうと、被害妄想が強いこと、我が強いこと、自分勝手などと余計なことを不安視される可能性があります。

障害や特性への配慮不足が理由のときは、企業に対してどのような配慮を求めたのかを説明できるようまとめておくことが大切です。

例えば「面接時に書類にまとめた配慮事項を提出し、企業からも了承いただいていた。にも関わらず勤務日数が長くなるにつれ、配慮不足が感じられるようになった。人事部や教育担当などにも相談したものの改善されることはなく、業務に携わり続けることは困難と考え退職を申し出た」など、応募から退職までの一連の流れを簡潔な文章にまとめるよう工夫しましょう。

重要なのは退職理由によって不安要素を与えないこと

いくつかの理由を踏まえた上で念頭に置いて欲しいのは、障害者雇用枠への転職で大切なのは、転職回数への懸念ではなく退職した理由です。

応募書類だけを見れば転職回数の多さが際立ち、そのとき企業の採用担当者は、なぜ転職回数が多いのかその理由を気にするはずです。もし、好待遇や人間関係を書いた退職理由では、再度同じ状況になったときに転職する可能性があるとネガティブな印象を与えてしまいます。

採用担当者にネガティブな印象を与えないためにも、退職理由は納得させられる内容にまとめることが大切です。そうすることで、単なるジョブホッパーなのか深刻な理由があったのかが明確になるでしょう。

そして退職した理由を企業と共有できれば合理的配慮にもつながり、これ以上転職回数を増やすことなく安心して働くことができます。

 
キャリアアドバイザー
書類作成や面接に対して不安があるときは、DIエージェントのような障害者雇用に特化した転職エージェントを活用しましょう。アドバイザーに相談・解決しながら対策することで、自信を持って面接に臨めますよ。

応募方法ごとの対策ポイント(自己応募、エージェント経由)

応募方法ごとの対策ポイント(自己応募、エージェント経由)

転職回数が多い方が、選考で不利にならないためにはどうしたらよいのでしょうか。ここでは求人への応募方法ごとの対策ポイントをご説明します。

求人サイトやハローワークから直接応募する場合

求人サイトやハローワークから直接応募する場合、履歴書や職務経歴書に転職理由を補足するのがおすすめです。

直接応募する場合は、企業はその方の応募書類に記載されている情報のみで合否を判断するため、採用担当に懸念されそうなポイントを先回りして説明した方が良いためです。

「転居に伴い退職」「契約期間満了に伴い退職」といったシンプルな内容であれば、履歴書の職歴欄に書いても問題ありません。もう少し補足が必要な場合は、職務経歴書に書くとよいでしょう。後ほど退職理由のパターン別に書き方の例文をご紹介します。

転職エージェントから応募する場合

転職エージェントから応募する場合は、これから紹介する3つの項目を押さえておくのがおすすめです。

企業に伝える情報について担当アドバイザーとすり合わせを行う

転職エージェント経由で求人に応募する場合には、担当者が応募先との仲介を行ってくれるため、転職経緯を本人に代わって企業に伝えてくれる場合があります。どのように伝えていいのかわからない転職理由については、担当のキャリアアドバイザーに伝え方を相談するとよいでしょう。

また、エージェントを利用する際に注意が必要なのは「エージェントから企業に事前に伝えている情報」と「自分が面接で企業に伝える情報」に齟齬が生まれないようにすることです。書類選考が通過して面接に進んだ際は、面接で過去の退職理由を聞かれた際の答え方を、担当アドバイザーとすり合わせするようにしましょう。

応募書類の添削をしてもらう

経験社数が多すぎる場合は適宜要約するなどの工夫が必要です。また、複雑な事情がある場合には応募書類にはあえて記載をせずに、担当アドバイザーから企業に口頭で補足してもらった方がよい場合もあります。

どのように書類を作成すればよいか迷ったときは担当アドバイザーに相談してみてください。

面接対策として、実際に口に出して言う練習をする

企業によっては、過去の転職理由を1社ずつ全て聞かれる場合もあります。適切な表現を選びつつ端的にまとめる必要があるため、スムーズに説明ができるよう口に出してみる練習をしましょう。

障害者雇用枠に特化した転職なら「DIエージェント」がおすすめ

障害者雇用枠への転職を希望するなら「DIエージェント」の活用がおすすめです。DIエージェントは障害者雇用に特化した転職エージェントで、応募書類の添削や面接対策のほか、障害者雇用に注力する企業への転職を支援しています。

お一人おひとりに寄り添った働き方を提案しているので、「転職回数をさらに増やしてしまうかも」といった心配も要りません。自身の障害・特性に対する合理的配慮を受けながらいつまでも安心して就労できる企業をお探しの方は、ぜひこの機会にDIエージェントをご活用ください。

 
キャリアアドバイザー
DIエージェントを運営する株式会社D&Iでは、在宅訓練に特化した就労移行支援事業所「ワークイズ」やテレワーク勤務を希望される方向けの就労管理プラットフォーム「エンカク」も運営しています。
ワークイズでの経験を経てDIエージェントからの転職、といった方法も可能なので、気になった方はいつでもご相談ください!

障害者雇用枠の転職をサポート|「BABナビ」とは

障害者雇用枠の転職をサポート|「BABナビ」とは

障害者雇用に特化したDIエージェントを含む、様々な就労支援を行う株式会社D&Iでは、障害者雇用枠用求人サイト「BABナビ」の運営もしております。

BABナビで紹介している求人はDIエージェントでもご紹介できるので、スキルや経験があればスムーズな転職が実現可能です。

勤務地や職種、希望のキーワードを使って検索できるほか、各求人の特集ページから探している条件をすぐに検索する事が出来るので、ご自身の希望に近い転職が実現します。

BABナビには障害者採用にまつわる予備知識や転職活動の準備など、知りたい情報が細部まで閲覧できるページもあるので、転職活動に不安がある方でも安心して取り組むことが可能です。

 
キャリアアドバイザー
自分に合った就労先とはどんなところなのかを知りたい方、さらには障害者雇用枠の仕事をすぐに見つけたいといった方は、ぜひこの機会にBABナビを活用してみてくださいね。

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転職回数は退職理由を話すことが大切|伝え方に工夫を取り入れよう

転職回数は退職理由を話すことが大切|伝え方に工夫を取り入れよう

転職の回数によっては「不利になるのでは……」と不安を抱える方もいらっしゃるでしょう。このときに大切なことは、応募先の企業へ「どのような理由があって退職したのか」をきちんと伝えることです。

「転職回数が増えた背景にはこのような理由があった」と採用担当者が納得できる内容に工夫し、まとめることで、転職回数をリカバリーできます。さらに、自身の障害や特性について共有しておけば企業による合理的配慮が受けられ、転職回数を増やすことなく安心して就労に取り組むきっかけにもつながります。

転職におけるゴールは「採用されること」ではなく「自分らしく働ける環境で長く続けること」だと言えます。その視点で、障害の特性に合った業務に従事することや、障害に理解や配慮のある環境で働くことが大切です。

今の職場を続けていくことに負担・不安を感じている方や、これから障害に合った仕事で就職を目指している方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。

DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠で就職・転職を検討されている方に対して就職・転職についてのアドバイスや、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。

専任のキャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングし、お一人おひとりに寄り添った働き方を提案させていただきます。

「今の自分に無理のない働き方をしたい」「理解のある環境で働きたい」というご希望がありましたら、まだ転職は検討段階という状態でも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修:東郷 佑紀
大学卒業後、日系コンサルティングファームに入社。その後(株)D&Iに転職して以来約10年間、障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザーを歴任し、 障害・年齢を問わず約3000名の就職支援を担当。