withコロナ時代の障害者転職のポイント ~求人への応募の仕方編~

新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言が発令された今年4月以降、転職市場において求人数は大幅に減り、一気に買い手市場に変化したといわれています。一般枠・障害者枠いずれも採用そのものの停止や、選考の停滞が見られるようになりました。そのようなwithコロナ時代において、どんな点を意識すれば転職活動が上手く進むのでしょうか。本記事では「求人への応募の仕方」の面からポイントをお伝えします。

「求人票の内容は変わる可能性がある」ことを前提に、幅広めに求人を探す

障害者雇用枠の求人の特徴として、「求人内容は選考を通じて変わりやすい」という点があります。
例えば、求人票の「業務内容」の項目には、一般事務と書かれていても、応募者のスキル・経験によってはもっと専門的な業務を任せたり、それに伴って年収も上がったりすることがあり得るのです。

なぜかというと、一般的な中途採用の目的が「欠員補充」や「事業拡大のための増員」であるのに対し、障害者雇用枠では「障害者の方の雇用促進」が目的となるためです。

つまり入社してもらい、かつ長く働いてもらうことを障害者雇用枠では最も重要視しており、業務内容やそれに連動する条件面は、「応募者に合わせて柔軟に対応する」というスタンスの企業が多い傾向があります。求人票の内容は「このような業務内容であれば、合う求職者がいるのではないか」「このような条件であれば応募が集まりやすいのではないか」という人事側の仮説に近いといっても過言ではありません。

そのため、「求人内容は変わる可能性がある」ことを前提に求人を選んでいく必要があります。では、具体的にどのように求人を選ぶべきなのでしょうか。転職エージェントを利用する場合と、それ以外で応募する場合に分けて解説します。

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転職エージェントを利用して求人を探す場合

転職エージェントとの目線合わせが最初のポイント

転職エージェントとは、キャリアアドバイザーと呼ばれる専門のスタッフが、求職者に対して転職全般のサポートをしてくれるサービスのことです。エージェントを利用する際にまず大切なのは、担当のキャリアアドバイザーとの目線合わせです。
担当アドバイザーとの顔合わせ(エージェント登録時)の面談で、「絶対に譲れない条件(MUST)」「できれば叶えたい条件(WANT)」「その理由」をそれぞれ伝え、整理しましょう。

エージェントによっては、仮に求職者の希望に合う求人が無かった場合にも、企業に条件を交渉してくれたり、新しく求人を開拓してくれたりすることがあります。そのように、うまくエージェントに動いてもらうためにも、自分にとってのMUST条件とWANT条件を伝え、お互い共通認識を持つことが大事です。

また担当アドバイザーからの助言を参考にしながら、希望条件をさらに整理してみるとよいでしょう。
「A社はご希望のエリアよりも少し遠方の勤務地になりますが、〇〇の点では非常にマッチしているので、通勤できそうかどうかは面接に実際に行って判断してみませんか」
「ご希望の業界とは異なりますが、事業の将来性という意味ではB社も希望に近いと思いますよ」等、自分で気付けなかった視点での提案をもらうことができます。

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気になる点はエージェントに遠慮なく伝える

もちろん、エージェントから提案される求人に納得がいかないこともあり得ます。そのような場合は、「このような点が気になっているので、この求人への応募を迷っています」「○○業界は先々に不安を感じますので、お断りします」など、気になっていることを遠慮なく伝えてみましょう。伝えたはずの希望条件が自分の意図通りにエージェントに伝わっていない場合がまれにあるので、気になることを伝えればエージェント側はすぐに対応してくれるでしょう。
エージェントからの求人紹介メールにいちいち返信するのは面倒くさい作業かもしれませんが、「応募しません」の断りだけではなくちょっとしたコメントを添えるだけで、求人紹介の精度は上がっていくはずです。

企業への交渉が可能かどうか確認する

前述のように、選考を通じて求人内容は変わる可能性があり、企業との交渉次第で懸念に思っていた点がクリアになる可能性もあります。「この条件がもっとこうだったら受けてみたいのですが、企業への交渉は可能ですか」と、ちょっとした要望もエージェントに伝えてみるのがおすすめです。
万が一、詳細な説明もなく希望に合わない求人を紹介されるような場合には、信頼のおけるエージェントかどうか疑わしいので、その後のやり取りに注意しましょう。

ハローワークや求人サイトから直接応募する場合

次に、ハローワークや求人サイトから直接応募する場合のポイントをご紹介します。

応募書類の職務経歴、障害の説明は丁寧な記載を

エージェントを通じた応募の場合、エージェントが応募先の採用担当者と直接やり取りをするので、求職者のプロフィールを補足説明したり、採用担当者の懸念点などをヒアリングしてくれたりします。直接応募の場合にはそういった仲介者がいないので、その人の応募書類だけをみて合否が判断されることになります。そのため、採用担当者がよく見ている下記ポイントを押さえて応募書類を作成することが大事です。

  • 単に職務経歴を記載するだけでなく、「応募先の企業で自分の経験をどのように活かすことができるか」という観点で自己PRを書く
  • 応募先に合わせた志望動機を記載する
  • 希望職種、希望年収、配慮してほしい事項を明記する
  • 障害についての説明は必ず書く
  • 1~2年以内の短期離職が多い場合、職務経歴書に転職理由を補足する

下記の記事でも解説していますので、詳しく知りたい方はご一読ください。

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掲載開始日が新しい求人へ優先的に応募

ハローワークは、無料で求人を出せることから多くの求人が集まる反面、気軽に掲載できることで求人企業の管理が行き届かないことが起こり得ます。積極採用はしていないのに求人が掲載されたまま放置されている、選考結果が出るまで長く時間がかかるなどです。

そのため、掲載開始日が新しい求人から応募していくのがおすすめです。ハローワークインターネットサービスでは「新着(1週間以内)の求人情報から検索」などの検索がかけられるので試してみてください。

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まとめ

本記事では、求人への応募の仕方から転職成功のためのポイントを解説しました。求人数が例年と比べて少ない中では、戦略的に求人を探し応募してくことが大切です。
転職エージェントやハローワーク・求人サイトを上手く活用するうえで、ぜひ参考にしてみてください。

監修:小林 鉄郎
(株)D&I創業者、代表取締役(2021年~)。15年以上の障害者雇用コンサルタント経験をもつ。 テレワーク型障害者雇用サービス「エンカク」の展開や地方創生×テレワークをテーマとした自治体連携等も推進している。