【アンケート調査】「障害者雇用枠」の理想とギャップ~「こんなはずじゃなかった!」を防ぐ就職・転職方法は?~

みなさんは「障害者枠で働く」ことにどんなイメージを持っていますか?
D&Iでは現在就職・転職を検討や活動されている障害をお持ちのみなさまにアンケートを実施しました。

「周りの障害をお持ちの当事者はどのように転職活動を進めているのか?」
「障害者枠で働いてみて実際どんなメリットがあったのか」
「障害者枠で働き、実現したいこと」……など180名の方に答えていただきました。

また働き始めてから「こんなはずではなかった!」とガッカリしないためにもDIエージェントキャリアアドバイザー兼障害者雇用コンサルタントによる解説もあわせてお読みください。

【調査概要】
  • アンケート実施期間:2021年8月30日~9月15日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 対象:株式会社D&Iが運営するキャリア支援サービス(DIエージェントBABナビ)の登録者
  • 有効回答数:180

「障害者枠」での就労経験

まずは今回のアンケートで回答いただいたみなさまの就労経験について伺ってみました。

 円グラフ「障害者枠就労経験の有無」|D&Iアンケート調査
▲クリックで拡大します

「障害者枠」で働いた経験がある方は180人中130人(72%)にのぼりました。
ご自身の周りの変化のためやより働きやすい環境、キャリアアップを目指して転職をしようと考えられている方が多い結果となりました。

 
CA

一般枠で働いてみて「心身がつらい」と感じ、障害者枠を検討される方もいらっしゃいます。仕事のストレスによってうつ病や適応障害などの別のメンタル障害を発症すること(二次障害)は避けたいですよね。

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「障害者枠」で働いたことがある方が思うこと…3割が「業務が物足りない」と感じた

では「障害者枠」での就労経験がある方は実際どのように感じているのでしょうか?「メリットはあったのか」「希望した配慮が叶ったのか」などについて答えていただきました。

障害者枠で就業した際のメリットはなんですか?

棒グラフ「障害者枠就労のメリット」|D&Iアンケート調査
▲クリックで拡大します

「障害者枠」で働くメリットとして、最も多い回答が「障害を開示しているので、安心して働くことができた」(67人)、次いで「一般枠ではエントリーが難しかった企業に就職できた」(51人)「未経験の業界や職種に就職できた」(23人)と続きます。障害者枠で働くことで「年収アップにつながった」方も11人にのぼりました。

しかし残念ながら「特になし」と答えた方も一定数いらっしゃいました。

 
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体力仕事が多い「接客」から未経験の「事務職」へ、といった可能性が大いにあるのが「障害者枠」の良さでもあります。

障害者枠で就業した際に希望した配慮を受けることができましたか?

障害者雇用枠の最大のメリットは「配慮」が受けられることですが実際に障害者枠で働いた方は必要な配慮を受けられたのでしょうか?

円グラフ「希望した配慮が受けられたかの経験」|D&Iアンケート調査
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「障害者枠で就業した際に、具体的に希望した配慮を受けることができましたか?」に対し、最も多かった回答は「はい」(42%)でしたが、「どちらでもない」(36%)・「いいえ」(22%)が過半数を超えます。
残業時間の制限など皆さんの知らないところで配慮されている場面や、会社の規定上叶わない配慮もあったのではないかと推測できます。

 
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「必ず配慮して欲しいこと」はエージェントを介して、求人選びや企業側と交渉してもらえると安心です。

障害を開示することによって自身の症状や特性に合った業務を任せてもらえたと感じますか?

障害者枠での経験者は、一律の配慮だけでなく個々に合った業務を任せてもらうことはできるていたのでしょうか?

円グラフ「症状や特性に合った業務へのアサイン」|D&Iアンケート調査
▲クリックで拡大します

驚くことに最多の回答は「いいえ」特に「業務の量や内容が物足りなかった」という方が42名、全体のおよそ3割にのぼりました。

僅差ではありますが、「適切な配慮が受けられた」と感じる方も「要求が高く大変だった」と感じる方も同じく3割程度です。

業務量のすり合わせに困難を感じる方は多いようです。

 
CA

一つのテクニックとして、選考・入社時に「~~は障害のためにできないことがありますが、どんどん仕事を任されて活躍したい」という意思を伝えられると良いですね。特に勢いのあるベンチャー企業ではそのような人材は好まれますよ。

障害者枠での就労経験ありの方の声

実際に働いている方々の声をピックアップしました。※プライバシー保護のためコメントを一部編集しています

障害者枠で働いて感じた改善点

代表的なコメントをまとめました。

偏見・差別を感じる

障害枠で働いていると健常者も気を遣っていて壁を感じる事があります。

賃金が低い

長く働いても、キャリアアップや時給アップができない。 最低賃金に毛が生えた程度のまま。

キャリアの不透明さ

キャリアがなくても資格の取得などの実績でキャリアサポートを受けられるようにしてほしい

 
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本来安心して働いてもらうための気遣いや心配が、行き過ぎてしまった結果として疎外感を生んでしまっている背景もあるかもしれません。人事や現場で働く方の障害への理解不足、そして本人からの発信不足ゆえに偏見が生じてしまっていることが考えられそうですね。結果として賃金の低さにもつながっていそうです。
D&Iでは第三者の相談相手としての定着支援サービスや企業への障害理解・啓発もおこなうようにしています。

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障害者枠で働いて良かった声

ネガティブなご意見だけでなく、「障害者枠で良かった」という経験談も寄せていただきました。

口コミ

障害の特性に合った業務に勤務させてもらい、安心して働くことができています


一般枠で就職年数が長かったおかげで障害枠で大手企業に就職出来た。福利厚生がしっかりしていて大変うれしく思います。


障がい者枠でも、能力主義で評価していただいておりました。

 
CA

「障害者枠」でも公平にスキル・成果に応じて評価され高収入を狙える企業があること、また福利厚生が充実した企業で働くことで生涯賃金をアップできることなどはもっと多くの方に知っていただきたいですね。


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「障害者枠」で働いた経験がない方がお持ちのイメージ…企業に期待することは?

これから「障害者枠」で働くことを検討している方々は「障害者枠での働き方」に対してどのようなイメージを持っているのでしょうか?

障害者枠の就業でどのようなメリットを得たいと思いますか?

棒グラフ「障害者枠就労に期待すること」|D&Iアンケート調査
▲クリックで拡大します

上位から「障害を開示しているので、安心して働くことができそう」「自身の症状や特性に合った業務を任せてもらえそう」「希望した配慮を受けることができそう」と続き、「安心感」に繋がる項目が多く挙がりました。

 
CA

障害者枠就労経験ありの方も「安心感」が期待することの第一位に挙がった一方で、開きが大きかったのは「一般枠ではエントリーが難しかった企業に就職できた」というメリットです。
エージェントを通してだと、インターネットやハローワークでは見つからない有名企業・大手企業への求人に出会えることもありますよ。

障害者枠での就労経験なしの方の声

初めての「障害者枠」で、イメージが先行していたり戸惑われていたりする方も多い印象でした。

採用過程の透明度について

応募しても良い案件と、そうではない案件の区別が付きにくいのが難点です。

 
CA

他にも「何十社も落ち続けていて、心が折れそう」という声も聞かれました。そのような方こそ、応募条件に合った求人を紹介してくれたりフィードバックをもらえたりもするエージェントの利用を検討してみてください。

給料や仕事の幅について

給与設定が低い水準の求人が多いように思います。理解ある企業も増えているように思いますし、障害を抱えていても働けることを思えば割りきりも必要だとは思いますが、フルタイム年収200万ではエントリーできないのが現実。障害をオープンに「する」「しない」で、開きがありすぎる。


障がい者枠では単調な仕事や補助的な仕事が多くやり甲斐のある仕事に就くことは厳しいと感じています。

 
CA

少ないながらも障害者枠でも総合職やマネジメント業務も含むオープンポジションでの応募がかかることがあります。そのような求人が出たらお見逃しなく!
「就労経験が少ない、職を転々としておりスキルが身に付いていない」という方は数年間、安定就労の根拠を作ってステップアップするというキャリアの描き方もあります。

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みんなの障害者枠の就職・転職活動の進め方とは?

同じく障害をお持ちの周りの方はどのように情報を集め、就職・転職活動を進めているでしょうか?

「障害者枠」という働き方はどの様なきっかけで知りましたか?

棒グラフ「障害者雇用を知ったきっかけ」|D&Iアンケート調査
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多かった回答から「行政機関/ハローワークのアドバイス」「就労支援機関のアドバイス」「インターネット」「医師/医療機関のアドバイス」と続きます。
大多数の方が専門知識をもった第三者から「障害者枠という選択肢がある」とアドバイスを得ているようですね。

 
CA

一般枠では応募が殺到してしまう有名・大手企業も、障害者枠では「ライバルが少ない」というような状況も! 知る人ぞ知る就職・転職ルートなのです。

就職・転職活動ではどの様な媒体/サービスを利用していますか?

DIエージェントまたはBABナビ登録者が使っている・併用しているサービスは……

棒グラフ「障害者就職・転職利用媒体」
▲クリックで拡大します

最も多いのが「行政機関/ハローワークからの紹介」でした。「求人サイト」「エージェントサービス」も100名前後の方が利用をしています。複数のサービスを併用しているとの声も多数でした。

エージェントとの相性や求人サイトによって扱う求人の種類や得意分野が異なることも。一つの情報源・手段に頼り切らず「求人サイト」も「エージェント」も複数登録がオススメです。

 
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求人サイトやハローワークでピンときた求人を見つける→エージェントに「こんな求人が理想です」と伝えることでより的確な求人を紹介してもらえる可能性が高まります。ちなみにDIエージェントの特徴は「長く安心して働ける優良企業」「事務職」「テレワーク」求人が多いことです。

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キャリアアドバイザー(CA)が教える!「ギャップを防ぐ就活・転職必勝法」

みなさん一人ひとりにとってベストな企業に出会うためにはどのようにすればよいのでしょうか? ここではちょっとしたコツをお伝えします。

障害配慮や条件面でのギャップを防ぐ

「障害配慮を受けたい」という思いが先行するあまり、「ではどのくらい活躍できるのか?」「自分のキャリアをどうしていきたいのか?」といった観点は後回しになりがちです。

そのような場合、一緒にキャリアの棚卸しができるパートナーが身近にいると安心です。ハローワークや就労移行支援の職員さんでもいいですし、もちろんエージェントのキャリアアドバイザーも心強い味方になります。

 
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これまでもお伝えしてきた通り、「××は配慮が必要ですが、○○に関してならお任せください」と言えるようなスキル・姿勢を身に付けていたいですね。

そして、一人で就職・転職活動を進めていては大変なのが残業やお給料などの条件面での交渉です。

やはりここでも自分と企業との間に第三者が入っていると心強いでしょう。また入社時の契約書面は良くチェックしておき、入社前までに不安を潰しておきましょう。

 
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ハローワークでは企業との条件交渉まではサポートしてくれない点に注意です。

雰囲気のギャップを防ぐ

「勤務条件などは求人サイトから分かっても、社風や雰囲気が合うか分からない!」とお困りの方も多いかと思います。会社の雰囲気については自分から能動的に情報を取りに行く姿勢が大切です。

手軽な方法としてはエージェントに聞いてみることです。「体育会系で、毎日大声で𠮟咤激励が飛ぶような環境が苦手なのですが…」「みんなでランチに行くような雰囲気が得意ではない」「放置されるような職場にトラウマがあります」などと伝えていただければ、皆さんが雰囲気に合った求人を選んでくれます。
SNSや企業のクチコミサイトを参考に見るのも良いでしょう。


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最後に

アンケートにご協力いただいたみなさん、たくさんのご意見本当にありがとうございました。
DIエージェントやBABナビを運営しているD&Iでは、障害をお持ちの皆さん一人ひとりが「人生で最もよい選択をしてもらうために」創業時から10年以上一貫して障害者雇用の場面でご支援を続けてきました。

今回の調査結果を拝見して、まだまだ障害者雇用をおこなっている職場にも障害者差別意識が残っていると課題を感じました。これらの結果は真摯に受け止め、企業へもメッセージとして伝えていきたいと考えています。

そしてみなさんの「企業の一員として貢献したい」「一社会人として活躍したい」という気持ちも強く伝わってきました。D&Iのお取引企業は「法定雇用率達成のための採用」ではなく「戦力として活躍できる人材を採用したい」と考えている企業様が多いです。人手不足が続く日本では、みなさんの力が必要です。

これからも一人でも多くの方が「良かった」と思える企業との出会いを生み出せるよう、当事者目線で私たちも全力でキャリアサポートをおこなって参ります!

監修:高橋 平
障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザー。早稲田大学卒業後、(株)D&Iに入社。 障害者雇用ソリューション営業、転職キャリアアドバイザーと幅広い領域を担当。現在はHRソリューション事業部の副部長として、DIエージェントの責任者を務める。

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