DIエージェントを通じて転職に成功した皆さんのエピソードをご紹介します。
今回は、Aさんの転職エピソードです。
Aさん 男性(46歳)
障害:直腸機能障害
経験:計3社で経理10年、人事(報酬管理、人件費計画策定、人事領域におけるICT活用による業務改善)10年ご経験
就職先:大手精密機器メーカーC社の人事職
障害者枠で年収1,000万。それでも転職を考えた理由
――カウンセラーによれば、Aさんの前職は業績堅調な大手メーカー、ご年収も1,000万超え、その後のキャリアアップも難しくない状況だったそうですね。転職をお考えになったのはなぜですか?
はい、入社当初は前職への不満は全くありませんでした。ですが、前職に入社して3年目、娘を授かったときに、転職を意識しました。前職への入社時、私はすでに40歳を超えていて、子供は正直諦めかけていました。幸運にも念願の第一子を妻が妊娠したことがわかったとき、娘を大学卒業まで育てるとしたら、60歳の定年以降どうやって収入維持すればいいのだろうと、初めて考えを巡らせたわけです。前職の人事制度では、定年後は嘱託社員という扱いで自動的に年収は180万円程度まで下がることが決まっており、それでは貯金を切り崩しても教育費の工面は難しいと感じました。
一方で、最近ではHRテックの市場が活性化しており、自分の人事としての経験や、RPAツール活用による業務効率改善の経験を活かせるのではないかという期待もあり、外に目を向けてみようと考えたのが転職のきっかけです。
――その後、転職活動はどのように進められたのでしょうか?
同年(2019年)の10月入社を目指し、そこから逆算して転職活動を始めました。2月頃にキャリアの棚卸や職務経歴書の作成、4月頃からエージェントに登録して情報収集、少しずつ求人に応募しながら8月頃から本格的に選考を受けようというスケジュールで考えていました。当初は、一般枠のエージェントと障害者枠に特化したエージェント、1社ずつ登録して求人を探していました。
3週間待っても選考結果が来ず。道が開けたきっかけは開拓型の求人紹介
――かなり計画的に活動を進められたんですね。実際に動かれてみて、予想通りに活動は進んだのでしょうか?
登録したうちの片方のエージェントからは3社応募していましたが、2~3週間くらい待っても音沙汰がない会社もあり、思いのほか進捗は芳しくなかったんですよね。また、もう片方のエージェントからは、「求人があれば連絡します」と言われて求人の紹介が全くありませんでした。そのまま待ち続けるのも不安なので、他のエージェントも利用してみようと思いDIエージェントを偶然見つけて登録しました。
――Aさんほどのキャリアをお持ちであっても、あまり進捗が思わしくなかったというのは意外ですね。その後、DIエージェントのご面談(キャリアカウンセリング)にお越しいただいたときのことは覚えていらっしゃいますか?
もちろんです。最初、驚いたんですよ。エージェントサイトに登録して、数十分後にサイトの運営事務局から電話がかかってきたんですよね。それで、すぐに予約が取れるとのことだったので、翌日に早速面談に行きました。時間が無かったので、電話で転職経緯や求人の要望を伝えたのみで、職務経歴書は面談当日に持参する形になってしまいました。でも、面談に行くと既に求人が用意されていて、自分の要望にピッタリ合うものが出てきたんですよね。短期間の間に、よくここまで求人を出してきてくれたなと感激したのを覚えています。
――面談時のことまで覚えてくださっていて嬉しいです。ご入社が決まったC社の求人についても、その面談で紹介があったのでしょうか?
いえ、C社の求人については、DIエージェントの法人営業担当の方が、私のために面談後に開拓してくれたんですよね。営業担当の方が「こんな求職者がいますよ」と私のプロフィールをC社に紹介してくれて、C社が私の経歴に興味を持ってくださり、オープンポジションで選考を受けてみませんかとスカウトをもらったのを機に応募しました。私の希望年収や希望ポジションの特殊性から考えても、企業から自然に求人が出てくるのを待つだけでは求人数が限られていたので、開拓型の求人紹介は非常に助かりました。
自己応募、エージェント経由での応募。両方経験して感じた違い
――エージェントの介在価値について、もう少し伺えますか。素朴な疑問ですが、Aさんご自身が立派なキャリアをお持ちですし、転職市場の動向を見定めて、自ら企業を探す力をお持ちであるようにお見受けします。それでもエージェントを使う意義はあったのでしょうか?
大いにありますよ。エージェントを介さずに、自分で直接応募した会社もあるのですが、そちらの選考はひどかったですからね。その会社のHPからエントリーして、面接に呼んでいただいたのですが、打診されたのが、なんと経理のポジションでした。確かに経理は10年前に携わってはいましたが、活かしたいキャリアとは全く異なっていました。また、希望年収を伝えたところ、面接官は苦笑されていたので、提示額と大きなギャップがあったように思いました。採用担当者は私の職務経歴書の何を見ていたんだろうと、がっかりしてしまいました。 自分で直接応募をする形だと、面接前に企業へ希望条件を伝えきれないので、そういうミスマッチが起こり得るんです。
――たしかに。企業の採用ページからの応募ですと、そもそも希望条件を記入する欄すらない場合もあり、意向を伝えづらいですよね。一方で、C社の選考は期待通りに進んだのでしょうか?
選考はスムーズに進みました。カウンセラーさんから、面接の事前情報をいただけるのも、自己応募の時との違いですね。「今回の面接官はこういう方で、このポジションで検討されているので、こういう切り口から経歴をPRすると良いですよ」という、自分では知り得ない情報をもらえたので非常に助かりました。
――オファーの内容は、期待に合ったものでしたか?
最良の結果だったと思いますよ。もちろん、他に気になっていた業界も以前はありましたが、タイミングと縁が一番ですからね。先方の人事制度上の制約により、理想としていた前職同等の年収1,000万には届かなかったものの、一時的に下がったしても、結果を出して前職以上の年収を得られればいいと思いました。最も重視していた定年後の年収については、現役時代の50%を保証してくれるとのことでした。また、オファー面談の前に、面談で何を確認できれば内定の承諾可否を判断できるかを整理したことも良かったです。自分にとっては、年収や入社時の職位といった求人の条件面よりも、どれだけ裁量を持って仕事ができるかが気になっていましたので、それをオファー面談で確認できたことが承諾の決め手になりました。
――カウンセラー曰く、C社は折しも社内的にバックオフィスの改革を図るというタイミングだったそうです。企業さんから見てもAさんは喉から手が出るほど欲しい人材だったんですね。
そのように伺いました。そんな風に思っていただける環境に転職できることは、自分としても幸せなことだなと思いますね。
ハイキャリア転職で大事な3つのこと
――Aさんのお話を伺う中で、転職の時期や事前準備など、計画的に転職活動を進められていた姿勢が素晴らしいと思いました。これからのキャリアに迷っている方向けに、ご自身の経験を通じて得た、転職活動のコツや教訓があれば是非教えてください。
色々なキャリアの方がいるので一概には言えませんが、年収800~900万を狙うハイキャリアの方なら、やはり専門性ですよね。私の場合、1社目までは一般枠で就業しており、不運にも20代後半で障害を負いました。当時は色々な苦労がありましたが、障害者枠での就業という選択肢が増えたことを逆にチャンスだと捉えるようにしましたね。1社目では年収400万、障害者枠で入社した2社目で700万、前職の3社目で850万、退職時には1,000万になりました。10年で400万から1,000万に年収が伸ばせたわけです。障害者枠であっても逆転はできるんだぞ、ということを学びましたね。
――もちろん、それだけ評価される実績や専門性を、Aさんご自身が実直に築かれてきたことが一番の成功要因ですよね。
そうですね。人一倍努力することを心がけ、プログラミング、会計スキル、英語、すべて独学で学びました。1つの領域でずば抜けてもいいですし、いくつかを複合させて独自性を作ってもいい。専門領域が3つあれば、かなりの希少価値になると思います。
――今回の転職活動においては、特に意識された点はありますか?
職務経歴書の一貫性ですね。最初に職務経歴書を作成したときは、3~4枚になってしまったのですが、それでは読まれないだろうと思い、最終的には2枚に収まる内容にしました。特に今回は4社目への転職ですから、自分の経歴や専門性のどこをPRしたいかを意識しながら書類を作成しました。
――Aさんの場合、まさにそれを体現されていますよね。ちなみに、求職者の方には「こんな理由で辞めてもいいのか」「いつ転職するべきか」といった、転職するタイミングやきっかけに悩む方も多いように思います。それについては、どう思いますか?
現職を続けた場合の自分と、転職した場合の自分をちゃんとシミュレーションする必要があると思います。年収を例にとるならば、今の会社で年収が上がっていく可能性がどれくらいあるのか、他社に転職した場合はどうか、ということです。自分の場合は、前職の社内の年齢層のピラミッドを想像したとき、明らかに50代以降の年齢層が厚く、上が詰まっていたんですよね。会社としては、きっとセカンドキャリアを推奨しながら上の年齢層を減らす意向だろうなと思いました。であれば、今の自分を歓迎してくれる会社に行こうと決断したのです。
――自分の置かれている環境を冷静に判断する必要があるということですね。
はい。一時の感情で転職を判断してしまってはだめだと思います。自分を必要としてくれる会社がどこなのかを見定めることが大事です。
――経験の専門性、一貫性のある自己PR、自分を評価してくれる環境を冷静に見定めること、の3つを教えていただいたように思います。ありがとうございました。
大学卒業後、大手コンサル会社でSEとして勤務。
職場環境により、自身がメンタル不調を経験したことから、「同じ境遇の方々の転職をサポートしたい」という思いで2014年に株式会社D&I(DIエージェント運営会社)に入社。
キャリアカウンセラーを担当し、のべ1700人以上の方の転職を支援。