障害者雇用のメリット・デメリット|一般雇用との違いや「やめた方がいい」といった声を検証

障害者雇用での就職・転職を検討している方に向けて障害者雇用のメリット、デメリットについて詳しく解説していきます。ネット上では「やめた方がいい」といった評判も目立ち障害者枠での就労をためらわれている方もいるかもしれません。一般雇用と比較しながら向いている人・向いていない人はどんなタイプ・志向性かを見ていきましょう。障害者雇用枠で働かれている方の生の声も併せて参考にしてください!

障害者雇用とは?

障害者雇用とは障害をお持ちの方の働く機会を守り、安心・安定して働き続けるための制度です。

「障害者雇用」とは、求職者は障害があることを開示し、企業もそれを承知した上で雇用をおこなうことです。
企業は「障害者雇用枠」を特別に設けることで、障害をお持ちの方が不利にならないように機会の創出を図っています。
また「障害者雇用」をおこなう雇い主は、障害をお持ちの労働者が安全に働き続けられるよう一定の配慮(=合理的配慮)が求められます。

引用:DIエージェント「障害者雇用とは?|働く人が知りたい法律、相談先や求人例までを紹介」 

障害者雇用に関する様々な規定は「障害者雇用促進法」に定められています。

障害者雇用促進法による制度

「障害者雇用促進法(正式名称:障害者の雇用の促進等に関する法律)」は昭和35年に定められ、時代の変化やニーズに応じて改正が重ねられてきました。たとえば「障害者雇用」の対象も段階を経て広がってきています。

参考:厚生労働省「障害者雇用促進法の概要(昭和35年法律第123号)」

障害者雇用の法定雇用率

障害者雇用を語る上で避けて通れないのが「法定雇用率」です。
「法定雇用率」とは企業規模に応じて雇うべき障害者の数を定めたものです。障害者雇用の法定雇用率は2021年3月に引き上げられ、民間企業2.3%、国、地方公共団体等2.6%、都道府県等の教育委員会 2.5%となっています。

 
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法定雇用率の引き上げ傾向は今後も続くと予想されており、ますますみなさんにとって活躍の場は増えてきそうです。

参考:厚生労働省「障害者雇用率制度」

「障害者雇用」企業にとってのメリット・デメリット

「障害者雇用促進法」では、法定雇用率を満たしていない企業に対して「社会的責任を果たしていない」として、納付金を払わなければならなかったり社名が公開になったりするといったルールが定められています。

一方で積極的に障害者雇用をおこなう企業は、ブランドイメージの向上だけでなく、法定雇用率以上の雇用をおこなった場合の報奨金や環境整備のための助成金が支払われるなどといったメリットもあるのです。

障害者雇用の対象

「障害者雇用促進法」では身体障害者、知的障害者または精神障害者(発達障害を含む)の障害者手帳を交付されている方が主にその対象となります。

 
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一部の難病を含めた障害者手帳未取得の方はまだ対象となっていません。今後も対象の拡大や制度の柔軟性が期待されます。

参考:厚生労働省「障害者雇用促進法における障害者の範囲、雇用義務の対象」

身体障害者

障害者雇用促進法では以下の対象疾患が「身体障害」として定められています。

  • 視覚障害
  • 聴覚又は平衡機能の障害
  • 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害
  • 肢体不自由
  • 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害
  • ぼうこう又は直腸の機能の障害
  • 小腸の機能の障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害
  • 肝臓の機能の障害

 

くわえて、身体障害者障害程度等級表の1~6級のいずれか、または7級以上の障害を2つ以上有する方が対象です。

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知的障害者

知的な遅れのため日常生活に支障を感じており、公的機関で「知的障害者」と判定された方・「療育手帳(愛の手帳)」を交付されている方も1998年以降に拡大され障害者雇用の対象となりました。

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精神障害者

「精神障害者保健福祉手帳」の交付を受けている、統合失調症やうつ病、てんかんなどをお持ちの方、さらに発達障害をお持ちの方は総じて「精神障害者」という分類になります。2018年以降対象となり、障害者雇用の歴史はまだ浅いと言えます。

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障害者雇用と一般雇用の違い

障害者雇用と一般雇用の大きな違いは雇用時に障害に関する申告の有無です。障害をお持ちでも一般雇用への応募は可能です。
一般雇用の場合は障害に関して周囲に伝えるかどうかは本人次第です。障害を伝える場合を「オープン就労」、周囲に伝えない場合を「クローズ就労」と言うこともあります。

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障害者雇用と一般雇用のメリット・デメリット比較

障害者雇用と一般雇用のメリット・デメリットの違いを表にまとめてみました。

 

 

障害者雇用

一般雇用

障害に対する配慮

×

就職の難易度

定着率

職種の幅

 

前提として、「ご本人が何を大事にしたいか?」の優先順位、そして企業のマッチ度によるところが大きいです。

 
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「障害配慮がある中で快適に長く働きたい」と思うなら障害者雇用がオススメです。DIエージェントでは「一般雇用、障害者雇用どちらで受けるべき?」といった相談もお受けしています。

障害者雇用で働くメリット

障害者雇用で働くメリットをさらに深堀りしていきましょう。

障害に対する配慮を得られる

障害者雇用の最大のメリットは「障害に対する配慮を得られる」ことです。どのような配慮が必要か、会社で対応ができるか、すり合わせをおこなったうえで入社が決まり、配慮に関しては安心ができます。「障害者雇用促進法」でも障害を理由にした差別は禁止されており、対応可能な範囲での合理的配慮の提供が義務付けられています。

  • 車椅子でも利用できる広めの作業場所に席替えをし、スロープや手すりを設置した(製造業/肢体不自由)
  • 過集中にならないよう通常の昼休みにくわえ、午前と午後に小休憩を設けてもらった(サービス業(特例子会社)/精神障害)
  • 理解がしやすいようにイラスト入りの業務フローマニュアルなどを作成してもらった(教育業/知的障害・発達障害)
参考:高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用事例リファレンスサービス」

一般雇用では合理的配慮は原則望めず、上司や職場への相談が必要となります。

 
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「どうしても一般雇用がいい!」という場合は、柔軟性のある企業を選ぶか、職場のメンバーの運次第になってしまいがちです。

参考:厚生労働省「障害者差別禁止指針(概要)」
厚生労働省「合理的配慮指針(概要)」

就職の可能性が高くなる

2つめのメリットは、一般雇用より競争率が低く、応募要件も「未経験可」などゆるい傾向にあり、就職可能性が高まります。また視覚障害や聴覚障害などへの配慮のある中で選考を受けられるでしょう。
さらに、雇用促進法の改正によってますます就職のチャンスは広がってきています。たとえば、2020年には週20時間未満でも障害者を雇う会社には特例給付金が出されるようになり、「短時間勤務なら働ける!」といった方にとっては働く機会が増えました。

 
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参考:厚生労働省「週20時間未満の障害者を雇用する事業主に対する特例給付金について」

一般雇用に比べ離職率が低い

障害者の就業状況等に関する調査研究」によれば、就職から1年後の定着率は「障害者求人(障害者雇用)」で70.4%、「一般求人 障害開示(一般雇用のオープン就労)」で49.9%、「一般求人 障害非開示(一般雇用のオープン就労)」で30.8%です。つまり、一般雇用では過半数が1年以内に職場を辞めてしまう傾向にあるのです。

短期離職を繰り返してしまうと、転職がどんどん難しくなり、ご自身の理想のキャリアを叶えづらくなります。

「これまで仕事をすぐ辞めてしまっていたけど、障害を開示して安心して長く働きたい!」と一般雇用から障害者雇用枠へ切り替えられる方はたくさんいらっしゃいます。

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障害者雇用枠で長く働くためのポイント集

障害者雇用で働くデメリット

しかし障害者雇用にもデメリットはあります。以下に挙げるデメリットなどによって「やめたほうがいい」という意見を持つ方もいらっしゃるでしょう。

職種の幅が狭い

障害者雇用は求人数そのものが一般雇用より少ないため職種も限られてしまいます。そのため希望する職種の求人がタイミングよくあるとは限りません。職種としては「補助的な事務職」が多い傾向にあります。これは急に体調が悪くなってお休みをした人が出たりしても仕事が回るように配慮されている結果です。
したがって、お仕事探しをする際に「これまでのスキルを活かせる機会が少ない」と感じたり、就職後も「決まった仕事しかやらせてもらえず物足りない」と感じたりする方もいるかもしれません。

 
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障害者雇用の給料(平均月収)が一般雇用より低く感じられるのには理由があります。まずは障害配慮のためにサポート体制を整えるといったコストがかかること。そして、正社員就労やフルタイム勤務をしていないケースも多く、管理職などハイレベルな仕事が少ない傾向にあるので、一般に比べて平均月収や年収が低い結果になっている場合があるのです。
囲み

令和2年 障害者雇用状況報告」(厚生労働省調査)を基に計算すると、障害者雇用おける短時間労働者(1週間の所定労働時間が20時間以上30 時間未満の労働者)は重度身体障害 12.5%、一般身体障害13.3%、重度知的障害20.9%、一般知的障害25.3%、精神障害38.5%となっています。

また賃金、労働条件の不満による離職は身体障害者、精神障害者ともに30%程度にのぼっています。

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障害者枠で雇用された場合の時給や最低賃金は?賃金が低いのでは?と感じる理由など解説

一方で、障害者雇用枠に転職したことで年収アップを実現された方もいます。

「クローズ就労から障害者枠」なのに年収もアップ

社交不安障害(20代・女性)
入社することになった企業には、前職と比べて年収が20%以上アップするという好条件を提示していただきました。
長く働いていけるイメージが具体的に湧き、ポテンシャルを評価していただいたのも嬉しく思いこちらの企業を選びました。
引用:DIエージェント「地方在住でエージェントからも紹介なし…でも一度落ちた有名企業に内定!逆転だらけの障害者枠転職[転職成功事例 Vol.7] 」

障害者雇用であっても、経験や実績に応じて評価をおこない、給料に反映してくれる求人はあるのです。

参考:厚生労働省職業安定局「障害者雇用の現状等」

周囲に障害について知られてしまう

障害者雇用促進のために創設されている特例子会社で働く場合や、障害をお持ちの方を同じ部署で固める配属をおこなう企業の場合は、周囲に「障害がある」とを知られてしまう可能性があります。それにより、「レッテルを貼られているのではないか?」と感じられたり、いきすぎた配慮のために業務過少の状況に陥るデメリットが考えられます。
あるいは一緒に働くメンバーに障害について周知をするケースもあるので、必要以上に知られたくない場合は、障害を開示してほしい/してほしくない範囲を入社時に伝えておくと良いでしょう。

 
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発作時の対応など周囲からのサポートが必要な場合や、体調不良などで遅刻・早退などを多くする場合は、むしろ障害を開示した方が仕事を進めやすさや安心感につながります。

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障害者雇用のメリットを活かして働くには?

では実際に「障害者雇用で働きたい!」と思った場合、どのような準備が必要でしょうか?

まずは、障害者雇用の対象となるのが「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」を取得されている方に限られていることにご注意ください。

 
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特に「精神障害者保健福祉手帳」はには有効期限がありますので、期限内か、更新が切れていないかを確認しましょう。

参考:厚生労働省「精神障害者福祉手帳」

 

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最初は抵抗を感じた就労移行への通所。実際は転職成功の鍵だった

聴覚障害・精神障害(20代・男性)
その時にカウンセラーさんに「まだ体調も万全ではないし、休職期間のブランクがある中での転職活動の方が不利になってしまう。就労移行に通った方が、安定して活動できたという実績が作れて、絶対にプラスになるよ」と言われ、納得しました。
引用:DIエージェント「障害発症、休職、1年半のブランク。壁を乗り越えて内定を勝ち取った転職活動 [転職成功事例 Vol.1] 」

さらに、初めての障害者雇用就職・転職でも応募から内定後フォローまで丁寧にサポートがあります。履歴書や職務経歴書の添削や面接対策が受けられるのも魅力の一つです。

自己応募とエージェントとの違い

腎機能障害-透析(50歳・男性)

エージェントを利用する方が断然良かったですよ。企業からのフィードバックが聞けるので努力すべき方向性がわかることが一番の違いです。
DIエージェントでは、面接後に必ずカウンセラーさんが電話を入れてくれて「面接官の方がこんな点を評価されていましたよ」と面接官のコメントを教えてくれたので「あ、ここは良かったんだ」とか「こういう視点で話した方がいい」とか、次の面接に向けての対策がしやすかったです。(略)

カウンセラーさんからアドバイスがもらえる分、やはり選考の通過率も高まると思います。私も最初はネットの情報を信じて応募書類を作成してみたのですが、DIエージェントのカウンセラーさんに相談したら「もっとこうした方がいいですよ」と細かい点まで添削してくださいました。実は添削する前の書類で他のエージェントさんから応募したものは7社中1社も書類選考が通過しなかったのですが、DIエージェントから応募した3社はすべて書類選考が通過、うち2社は最終面接に進むことができました

引用:DIエージェント「透析通院とフルタイム勤務の両立に成功。50代で初めてのSPI対策も [転職成功事例 Vol.4] 」

「障害者トライアル雇用」での就業という選択肢も

また「障害者トライアル雇用」制度を使って、会社の雰囲気を知りながら、働き始めてみるという選択肢もあります。

「障害者トライアル雇用」とは働くことに不安がある障害者を対象として、企業とお互いのことを知りながら働くことができる制度です。ハローワーク経由での応募が必要になります。最近では短時間のトライアル雇用やテレワークのトライアル雇用など種類も多様化してきました。

 

「障害者トライアル雇用」対象者は以下のいずれかに当てはまる方です。

① これまでに働いたことのない職業に挑戦してみたい方
紹介日時点で、就労経験のない職業に就くことを希望していること
② 離転職を繰り返し、長く働き続けられる職場を探している方
紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返していること
③ 働いていない期間がしばらくあったが、再び就職しようと考えている方
紹介日の前日時点で離職期間が6か月を超えていること
④ 重度身体障害、重度知的障害、精神障害のうちいずれかのある方
 (④の方は、①~③の要件に関わらず、障害者トライアル雇用の対象になります。)

引用:厚生労働省「障害者トライアル雇用」に応募してみませんか?(求職者の方へ)

障害者手帳を取得していない場合でも参加できる可能性もありますので、詳細はハローワークまで問い合わせましょう。

参考:厚生労働省「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」

 
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まとめ

障害者雇用で働く上でのメリット・デメリットは人それぞれの「何を大切にしたいのか?」によって変わってきます。世間のイメージや周囲の声に流されすぎず、まずは自分の中の優先順位を整理して、キャリアを描いていきましょう。

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監修:高橋 平
障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザー。早稲田大学卒業後、(株)D&Iに入社。 障害者雇用ソリューション営業、転職キャリアアドバイザーと幅広い領域を担当。現在はHRソリューション事業部の副部長として、DIエージェントの責任者を務める。

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