療育手帳(愛の手帳)をわかりやすく解説!メリットや等級、申請~取得・更新の流れまで

知的障害をお持ちの方が取得できる障害者手帳「療育手帳(愛の手帳)」についてわかりやすく解説します! 等級の違いや手帳交付の手続きや更新の流れまでがわかります。取得することで受けられる福祉サービスのメリットも紹介しているのでぜひ役に立ててください。

療育手帳とは

愛の手帳(表面)
カードタイプの療育手帳。本人の顔写真と保護者(親)の名前も記されています。画像引用:愛の手帳(東京都療育手帳) 東京都福祉保健局

療育手帳とは知的障害をお持ちの方に交付される手帳です。

「療育手帳」とは知的障害のある方に対して一貫した指導・相談をおこない、各種の援助措置を受けやすくすることを目的とした手帳です。
引用:DIエージェント「知っておきたい「障害者手帳」|対象疾患・等級・メリット(受けられるサービス)など」

「療育手帳」または「愛の手帳」などと呼ばれています。この手帳を持っていると障害者総合支援法などで定められた福祉サービスを受けやすくなり、割引制度を利用する時には本人証明書類にもなります。

療育手帳制度は各自治体によってルールが異なり、等級や判定基準、受けられるサービスなどにも違いがあります。
判定する機関は児童相談所または知的障害者更生相談所などです。

  1. 知的障害者の氏名、住所、生年月日及び性別
  2. 障害の程度(重度とその他の別)
  3. 保護者(親権を行う者、配偶者、後見人その他の者で知的障害者を現に監護する者をいう。以下同じ。)の氏名、住所及び知的障害者との続柄
  4. 指導、相談等の記録
参考:厚生労働省「療育手帳制度要綱」
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障害者手帳の対象疾患・等級・受けられるサービスなどもわかりやすく解説

地域によって違いあり。名称一覧

住んでいる自治体(都道府県または政令指定都市)によって「療育手帳」「愛の手帳」と呼び方が変わります。また細かいルールも違っています。

以下は各都道府県の療育手帳の名称と申請に関するサイトの一覧です。必要な書類や等級に違いがあるので、詳しいことはお住まいの県または市区町村のホームページで確認してみてください。

都道府県 名称

北海道

療育手帳

青森県

愛護手帳
岩手県 療育手帳
宮城県 療育手帳
秋田県 療育手帳
山形県 療育手帳
福島県 療育手帳
茨城県 療育手帳
栃木県 療育手帳
群馬県 療育手帳
埼玉県 療育手帳
千葉県 療育手帳
東京都 愛の手帳
神奈川県 療育手帳
新潟県 療育手帳
富山県 療育手帳
石川県 療育手帳
福井県 療育手帳
山梨県 療育手帳
長野県 療育手帳
岐阜県 療育手帳
静岡県 療育手帳
愛知県 療育手帳
三重県 療育手帳
滋賀県 療育手帳
京都府 療育手帳
大阪府 療育手帳
兵庫県 療育手帳
奈良県 療育手帳
和歌山県 療育手帳
鳥取県 療育手帳
島根県 療育手帳
岡山県 療育手帳
広島県 療育手帳
山口県 療育手帳
徳島県 療育手帳
香川県 療育手帳
愛媛県 療育手帳
高知県 療育手帳
福岡県 療育手帳
佐賀県 療育手帳
長崎県 療育手帳
熊本県 療育手帳
大分県 療育手帳
宮崎県 療育手帳
鹿児島県 療育手帳
沖縄県 療育手帳 
 
CA

たとえば神奈川県では「療育手帳」ですが、横浜市では「愛の手帳」と呼ばれています。

療育手帳の対象は?大人でも取得できる?

知的障害は中枢神経系疾患が原因で、発達期(18歳頃)までに生じると定義されています。

1 知的障害
「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの」と定義した。
引用:厚生労働省「知的障害児(者)基礎調査:調査の結果」  

しかし大人になって働いたり一人で生活をしたりしていく上で、困る場面が増えて知的障害に気づくこともあるでしょう。 子どもの頃に知的障害に気づいて保護者が手帳を取得することもありますが、成人後も「療育手帳」を取得することは可能です。
多くの自治体では18歳未満と18歳以上で手帳の交付を受けるための判定場所が異なります。

たとえば東京都では…
18歳未満の場合:児童相談所
18歳以上の場合:東京都心身障害者福祉センターまたは多摩支所 にて判定を受けます。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「知的障害(精神遅滞)」
東京都福祉保健局「判定の予約・受付・申込み(愛の手帳Q&A)」

療育手帳の等級と認定基準

療育手帳の程度は「知能指数(IQ)」や「生活能力・介護がどのくらい必要か」など総合的に判定されます。

第3 障害の程度の判定
(略)療育手帳の障害の程度の記載欄には、重度の場合は「A」と、その他の場合は 「B」と表示するものとする。
引用:「療育手帳制度の実施について」

「重度」「軽度」の他にも「中度」を定める自治体もあります。 全国の認定基準を表にまとめるとこのようになります。

障害の程度 等級 細かい等級 愛の手帳(東京都など)
最重度 A マルA/A1 1度
重度 A2 2度
中度 B マルB/B1 3度
軽度 B2/C 4度

マルAやマルBは実際には下図のように表記されます。 マルAマルBの表記

以下では知的障害それぞれの「程度」の基準をお伝えします。18歳以上の場合を想定していますが、判定基準は年齢などによって変わってきます。気になる方はまずは各機関に相談してみましょう。

「最重度知的障害」A/マルA /A1/1度

最重度の知的障害と判定されるのは、知能水準(以下IQ)がおおむね20以下で、生活を送るうえで常に援助を必要とする方です。言葉でのコミュニケーションも難しい傾向にあります。 療育手帳の等級は「A」「マルA」「A1」、愛の手帳では「1度」となります。

「重度知的障害」A/A2/2度

重度の知的障害と判定されるのはIQがおおむね21~35で、日常生活を送るためには個別的な援助を必要とされる方です。読み書き計算は苦手ですが、簡単なコミュニケーションはとることができます。 療育手帳の等級は「A」「A2」、愛の手帳では「2度」となります。

「中度知的障害」B/マルB/B1//3度

中度の知的障害と判定されるのはIQがおおむね36~50程度で、助けを受けつつ日常生活を送ることができます。簡単な読み書き計算や物の操作もおこなえます。 療育手帳の等級は「B」「マルB」「B1」、愛の手帳では「3度」となります。

「軽度知的障害」B/B2/C/4度

軽度の知的障害と判定されるのはIQがおおむね51~70程度で、複雑な事態・ことがら・計算などの理解は難しく感じる場面もありますが、基本的な社会のルールを守って日常生活を送れます。配慮があれば十分に働くこともできます。 療育手帳の等級は「B」「B2」「C」、愛の手帳では「4度」となります。

参考:厚生労働省「調査の結果」
東京都福祉保健局「愛の手帳について(愛の手帳Q&A)」

療育手帳取得のメリット・デメリット

「療育手帳」を取得するとどのような良いこと・悪いことがあるでしょうか? 役に立つ制度をまとめました。

メリット

障害者手帳の「療育手帳」を取得していると、障害者総合支援法やその他の法律・ルールにそって、必要な福祉サービスを受けられる・受けやすいことが大きなメリットです。 たとえば「療育手帳制度」では以下のような援助が受けられると書かれています。

    1. 特別児童扶養手当 ※重度のみ
    2. 心身障害者扶養共済
    3. 国税、地方税の諸控除及減免税
    4. 公営住宅の優先入居
    5. NHK受信料の免除
    6. 旅客鉄道株式会社等の旅客運賃の割引

    参考:「療育手帳制度の実施について」

他にもメリットはたくさんあります。

「知的障害」をお持ちだという証明と記録

療育手帳は「知的障害をお持ちである」ことの大切な証明書類になります。 またこれまで受けた療育の記録としても意味があります。 また電車を乗る際に提示すれば運賃が割引になったり、遊園地や美術館などで障害者割引が使えたりすることもあります。

参考:JR東日本「知的障害者旅客運賃割引規則」

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お金の不安やリスクを減らす

割引制度だけではなく、障害者手帳をお持ちの方に対しては他にも経済的なメリットがあります。

  • 医療費の助成
  • 一部税金の控除、非課税化
  • その他障害者手当や障害児福祉手当
  • また「日常生活自立支援事業」といった日々の生活費の管理(日常的金銭管理)や定期訪問などの日常生活のサポートも得られます。

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    障害者雇用枠で働ける

    大人になった時、「難しい仕事ができるだろうか?」「なかなか採用されないのではないか?」などと不安に思うかもしれません。
    障害者手帳をお持ちの方だけが採用される「障害者雇用枠」という制度があります。障害に理解がある会社で、安心して働くことができます。
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    デメリット

    適切な療育や支援を受けるためにも「療育手帳」取得のメリットは大きく、取得のデメリットはほとんどないといえます。

    障害を受け止めることに前向きでない方やそのご家族にとっては、取得をためらうことはあるでしょう。 障害者手帳の取得は義務ではないので、必要がなければいつでも返還することができるので安心してください。
    また年齢に応じて、「手帳の内容が適切か」を見極める更新が必要なので、それがやや面倒に感じられる方もいるかもしれません。

    療育手帳の申請の流れ

    ここでは「療育手帳」を取得するために必要な申請の方法を確認してみましょう。 大まかな流れはこのようになっています。

    1. どこに相談するか調べる
    2. 必要な書類をそろえる
    3. 児童相談所または知的障害者更生相談所などで検査を受けて判定をしてもらう
    4. 手帳を受け取り、使い方の説明を受ける

    ①の相談先は、自分の住んでいる場所(住民票のある場所)に確認します。 申請から発行までは、約1~2ヶ月程度かかります。

     
    CA

    就職のためなど「療育手帳」が必要な方は早めに申請をおこないましょう。

    大阪の例

    大阪を例に具体的な申請の流れを見てみましょう。

    ①どこに相談するかを調べます

    大阪市であれば、住んでいる区の保健福祉センターで申請を受け付けています。

    ②必要な書類を調べる

    大阪府の場合、写真(タテ4cm×ヨコ3cmの証明写真)と印鑑が必要です。 「療育手帳交付申請書」はホームページ上でダウンロードできたり、保健福祉センターの窓口でもらえたりします。

     
    CA

    自治体によっては、申請時または判定時に母子手帳や学校の成績表、医師の診断書などが必要書類として求められることもあります。

    ③判定のための検査を受ける

    大阪市では18歳未満は「大阪市こども相談センター」、18歳以上の方は「“はーとふる”ぷらざ(大阪市立心身障がい者リハビリテーションセンター知的障がい担当)」で判定を受けます。専門家が毎日の様子を聞いたり、心理検査をおこないます。2時間~3時間程度かかります。

    ④手帳の交付

    大阪府では青地のケースに入った療育手帳が交付されます。最初に相談した保健福祉センターや機関から連絡がくるので、受け取りに行きましょう。最近ではカード式の療育手帳もあるようです。大阪府では障害の程度によって「A(重度)、B1(中度)、B2(軽度)」に分けられます。

    参考:大阪市「障がい者手帳のカード化について (…>障がいのある方へ>各種手帳の交付)」

    療育手帳の更新方法

    「療育手帳」には、年齢による更新や程度の変更(「再判定」)があります。
    東京都の場合は3歳・6歳・12歳・18歳の年齢更新があります。
    大阪府の場合は判定時に次の更新年月を決めています。おおよそ5年を目安としています。
    お住まいの地域の判定を受けられる場所に予約をとって、再判定を受けます。

    療育手帳の疑問

    ここでは療育手帳に関するよくある質問についてお答えします。

    発達障害で認定はおりる?

    発達障害をお持ちの場合は、一般的に「精神障害者保健福祉手帳」を取得するケースが多いです。 しかし知的な遅れをともなう自閉症など、発達障害と知的障害の両方の特性をお持ちの方もいらっしゃいます。そのような場合、総合的な判断をもとに「療育手帳」を交付されることがあります。

    参考:総務省「発達障がい者に対する療育手帳の交付について」
    国立障害者リハビリテーションセンター「みなさんに、わかってほしいこと」

    療育手帳を利用して働くには?

    療育手帳をお持ちの方は「障害者雇用枠」にて一般企業や団体に就職、または公務員として働けます。
    知的障害をお持ちの方に人気の働き方は、障害者雇用を目的に設立された特例子会社に就職したり、一般企業や福祉就労にて清掃や軽作業のお仕事をすることです。

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     Aさんは特別支援学校を卒業後、障害者枠で一般企業に就職されましたがキャリアアップをしたいとの思いが強くなり転職を決意、DIエージェントに相談いただきました。
    エージェントからは素直で一生懸命なお人柄を強みだと考え、Aさんに複数の企業をおすすめいたしました。
    結果として、大手外資系コンサルティング企業への内定が決まり、50万円以上の年収アップ・幅広い仕事をお任せいただけることになりました。

    まとめ

    「療育手帳」は知的障害をお持ちの方が取得できるメリットがたくさんある障害者手帳です。まだお持ちでない方は大人でも取得できる可能性がありますので、ぜひ検討してみてください。
    お仕事のお悩みはDIエージェントにもお気軽にご相談ください。

    監修:井村 英里
    社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。

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