DIエージェントを通じて転職に成功した皆さんのエピソードをご紹介します。 今回は関西在住で、社交不安障害をお持ちの女性にお話を伺いました。
人前で極度な緊張があり、初めての障害者枠雇用を選択されたNさん。目に見えない障害に向き合い、努力を重ねてきた様子は読者のみなさんにもきっと気づきがあるはずです。
Nさん女性(20代) 関西地方在住
障害:社交不安障害
経験:一般枠就労にて新卒で日系大手保険会社に入社、外資系大手IT企業へと転職。自発的に制度作り・改善活動などもおこない、社内での表彰もされてきた。
就職先:東証一部上場 日系メーカー
※本記事は2021年6月取材当時の内容です。
大阪には求人があるけれども……地方就職の壁
――この度はご内定・ご転職おめでとうございます。早速ですが、今回転職を決意されたきっかけを教えていただけますか。
多くの同僚がリストラされ続けていく光景を目の当たりにしたことがきっかけです。
前職では他社で通用するようなスキルや経験もあまり身につかないと感じていました。「停滞し続けてもあまりメリットはない」「第二新卒としてキャリアチェンジするならこのタイミングだ」と判断し、転職を決意しました。
――コロナ禍でそのように考えられる方は増えていますね。ではどのように転職活動をスタートされましたか?
2020年の冬に一般枠転職もできる大手エージェントや障害者雇用に特化したエージェントなど複数社に登録をしました。
しかし関西地方……それも大阪などの中心地からも離れた場所に住んでいることもあり、「大阪を視野に入れないのであれば求人紹介は難しい」と、どのエージェントからも求人を1社も紹介してもらえませんでした。
――そのような中、DIエージェントをどうやって見つけてくださいましたか?
自分で情報収集をしていると、複数の障害者雇用エージェントを実際に利用し比較しているブログを見つけました。 「関西の地方在住」という共通点のある筆者が勧めるDIエージェントに興味を持ちました。
――登録後、他のエージェントとの違いは感じられましたか?
はい。すぐに複数の求人を紹介していただけました。そのうち3社に応募し、4月には2社から内定をいただきました。
一度は書類選考落ちした企業に逆転内定!
――ご内定先も日本では知らない人がいないくらいの超大手メーカーさんですね。
実は……内定承諾先は自己応募をして書類選考で落ちた企業だったんです。
書類落ち連絡の翌日、偶然DIエージェントさんからもその企業を勧められました。
「再度受けることなど可能なのか?」「一度落とされているのにまた受けるのか?」といった不安もあり、選考辞退も考えました。
しかしキャリアアドバイザーさんの後押しやサポートがあり、2021年の春には無事内定までたどり着けました。
――大手企業だと書類選考はどうしても機械的になりがちです。企業と求職者の双方を理解した上で推薦をしているので「エージェント経由だと受かった」ということはよくありますね。
これまでは入社してから「体育会系の社風」だと気付き、自分には合わず離職の一因となりました。
今の内定先へは、私の性格や仕事の細かい実績、キャリアの希望も汲んで担当者がプッシュしてくれたようです。
「クローズ就労から障害者枠」なのに年収もアップ
――2社内定が出たとのことですが、メーカーさんへ進ばれた決め手はなんでしたか?
2社とも魅力的な好条件を出していただいて、ギリギリまでどちらに就職するか迷うくらいでした。
入社することになった企業には、前職と比べて年収が20%以上アップするという好条件を提示していただきました。
長く働いていけるイメージが具体的に湧き、ポテンシャルを評価していただいたのも嬉しく思いこちらの企業を選びました。
憧れの企業さんに勤めることができ、心から良かったと思います!
「障害者枠ならば、等身大の自分を表現できる」
――内定先にもご満足いただけて私どもも嬉しい限りです。今回の就職活動で得たことはありましたか?
まずは、「等身大の自分を面接で表すことが何よりも重要」だと理解しました。
面接で最もダメなのは面接官に自分がどのような人間なのかを伝えられないことだと思います。
障害者雇用での就職は、自分の障害を打ち明けることができるため、自分の特性を隠している後ろめたさもなく、等身大の自分を表現しやすかったです。
――社交不安障害の方にとって、面接は一つのハードルですものね。
私の場合、緊張が高まると思うようにパフォーマンスを発揮することができません。面接でも緊張しやすいので入念に準備することで対処しました。
Quizlet(暗記カード形式のアプリ)やExcelで想定問答を約300問作り、空いた時間に面接の練習していました。 面接本番は、想定通りの質問が多く比較的落ち着いて話すことができました。
――300問はすごいですね! でもその「準備」が自信につながったのですね。
私の考える「不安」の乗り越え方
——Nさんは面接の場面に限らず、「社交不安障害」に対する自己理解・対処も優れていたとキャリアアドバイザーから聞いております。
子ども時代から「人前で話すことが苦手」など緊張しいな部分はありました。
大学のゼミ活動や就活の際にディスカッションや面接をきっかけに自分の中で課題感が大きくなり、専門書を読むなどして対策を練っていきました。
――たとえばどのような対処法を身に付けましたか?
ネガティブな気持ちを反芻(はんすう)しないための場面切り替え方法です。
不安や落ち込みなどネガティブな思考にはまっているなと気づいたら「ストップ」と口に出して強制終了させた上で、好きなことを考えるようにしています。
私の場合はスマホのロック画面を愛猫にしておいてそれを眺める、テレワークの時は愛猫に会いにいくなどしてネガティブ思考を断ち切ります。
あとはきちんとリラックスすることも必要なので、リフレッシュに甘いものを食べます。
甘いものを食べると、セロトニンが分泌されるのでリラックスできるそうです。
チョコやケーキが好きですが、健康にも気をつけて最近はバナナシェイクを飲むようにしていますね。
――ここまで深く自己理解、自己対処をされていることは採用する企業にとっても安心につながりますね。では最後にこれから転職活動を始められようとしている方にメッセージをお願いいたします。
コロナ禍でご苦労されることもあるかと思いますが、Web面接やマスク着用可などいいことも多いです。
逆境こそがチャンスだと思ってポジティブな気持ちで頑張ってください!
――同じようなお悩みを持たれている方も多いので、Nさんのご経験や対処法はみなさんの役に立つと思います。今回はご協力ありがとうございました!
不安障害とは強いストレスや不安によって引き起こされる精神的な病気・障害のことを指します。代表的な4つの不安障害のほかにも、さまざまな症状があり、その度合いによっては、日常生活に限らず、仕事においても障害が理由で困難が生じる場合があります。 […]
担当キャリアアドバイザーより一言
Nさん、この度はご転職おめでとうございます。
「社交不安障害」は一般的な認知度も低く、転職においては不利なお立場だったのではないかと思います。
しかしNさんとキャリアカウンセリングにてお話する中で、ご自身の障害や今までの仕事に対して真摯に向き合い、前向きに取り組んでいらっしゃるご様子が伺え、「Nさんのことを理解し、歓迎してくださる企業は絶対にある」と確信を持ちました。
内定先の企業もその一つで、「自己応募の書類選考では伝わらなかったNさんの良さを客観的に伝えることができればきっと理解してくれる」という思いから、再応募を提案いたしました。
エージェントはその方の強みを客観的な視点から引き出して、企業様に推薦をしております。
いわば「シード枠」だと思って、みなさんにも気軽にご利用いただければと思っています。
DIエージェントを利用していただくからには、どこに住んでいてもどんな障害をお持ちでも、何一つあきらめずに可能性を広げられる転職支援をできるよう今後も努めて参ります。
この度はDIエージェントをお選びいただきありがとうございました。
これからのご活躍、DIエージェント一同応援しております。
障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザー。早稲田大学卒業後、(株)D&Iに入社。 障害者雇用ソリューション営業、転職キャリアアドバイザーと幅広い領域を担当。現在はHRソリューション事業部の副部長として、DIエージェントの責任者を務める。