障害者の方への面接マニュアル|面接時までに準備しておくと良いことなど紹介します

「面接の流れが分からない」「面接では緊張してしまってうまく受け答えできない」と悩んでいる人は少なくないのではないでしょうか?この記事では、障害者の方が面接に行く際の注意点などをマニュアル的にご説明しています。また、「面接当日までに準備しておくと良いこと」も紹介しているので、面接に行く際の参考にしてください。

採用までに行われる面接

障害者雇用枠の面接回数は、平均で2回から3回です。1次面接、2次面接はほとんどの企業で行われ、場合によっては3次面接(最終面接)まであることもあります。こちらでは、面接ごとの担当者と面接の目的についてご説明します。

1次面接

1次面接は人事担当者との面接です。1次面接では人柄や経験、希望条件、障害状況についての確認が行われ、「2次面接に通してよい人材かどうか」を判断されます。
「長く働いてくれそうだ」「志望動機がしっかりしている」「障害について客観的に受け止めている」と担当者が判断すれば2次面接に進む可能性が上がります。

2次面接

2次面接は配属先担当者との面接です。2次面接では実務経験やスキル、協調性の有無、仕事への意欲など一緒に働く上で重要となる項目について確認されます。実務経験やスキルがある場合には、「経験を生かして企業に貢献できること」を具体的にアピールするといいでしょう。

3次面接(最終面接)

3次面接は部長や役員との面接です。3次面接では入社意欲や応募企業への理解度を確認されます。特に役員や経営者が3次面接を行う場合には、「なぜ、この企業でなければいけないのか」「企業の強みを理解しているのか」が問われます。

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当日の大まかな流れ

1回の面接にかかる時間は、30分から1時間程度が一般的です。面接の流れを把握しておけば、時間と心に余裕をもって面接を受けることができます。こちらでは、面接当日の大まかな流れをご説明します。

面接会場へ出発

面接への遅刻は厳禁です。面接会場には10分から15分までには到着するように余裕をもって出発しましょう。面接会場までの道のりが不安な場合は、事前に面接会場付近まで実際に行ってみるのもおすすめです。遅刻は厳禁ですが、あまり早く会場に到着してしまうと迷惑をかける可能性があるので注意してください。

面接会場到着~面接開始まで

面接会場に到着してから面接開始までの詳しい流れをご説明していきます。流れを知って、慌てずに行動できるようにしましょう。

受付に行く

受付では、担当者に「〇時に面接のお約束をしております」と面接に来たことを丁寧に伝えます。面接会場に入った時点から面接は始まっていると考え、会場内では常にマナーに配慮した行動を心がけましょう。

待機場所にて次の案内があるまで待機

受付後は面接が始まるまで待機場所で待機することが一般的です。面接を待っている間であっても気を抜かずに姿勢を正して待機しましょう。

名前を呼ばれたら返事をして案内に従う

名前を呼ばれたら、その後は担当者の案内に従って移動しましょう。社員と廊下ですれ違った際はあいさつをするなど、好印象を残せるように心がけてください。

面接開始(入室)~面接終了(退室)まで

面接開始(入室)から面接終了(退室)までの詳しい流れをご説明します。面接が始まると緊張してしまうと思うので、事前に自宅などで入室方法や質問の受け答えなどを練習しておくと安心です。

入室

面接会場に案内されたら、ドアがある場合には3回ノックしましょう。ノックした後に「どうぞ、お入りください」と返事があったら、「失礼いたします」と言って入室します。入室後は後ろを振り向き、丁寧にドアを閉めてください。

着席前に挨拶をする

入室したら着席する前に面接官の方を向き、ゆっくりと一礼します。椅子の入り口に近い方の横に立ち、名前を言い、「よろしくお願いします」と伝えましょう。

おかけくださいと言われたら着席

椅子に座るのは、面接官から「おかけください」と言われてからです。着席を進められる前に自分の判断で椅子に座らないようにしましょう。座るときには、「失礼します」と言ってから着席します。また、鞄は足元(椅子の脇)におきましょう。

面接官からの質問開始

面接官からの質問にはリラックスしながら落ち着いて対応することを心がけましょう。髪を触ったり手先を動かすなど落ち着きのない動作は面接官の印象が悪くなるので注意してください。面接官が複数いる場合には、面接官全員に気を配ることが重要です。緊張してしまう方も多いと思いますが、多少言い間違えなどをしても「失礼しました」と言って訂正すれば全く問題ありません。深呼吸をして落ち着いて受け答えをしましょう。

面接終了を告げられたら席を立つ

面接官が「これで面接は終了です」と言うことで面接が終了します。面接が終了したら「本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました」と伝えて席を立ちましょう。椅子の横に立った時に再度「ありがとうございました」と伝えると丁寧です。

退室

ドアの前まで行ったら振り返り、「失礼します」とお礼を言って一礼をして退室します。面接官は退出するまでの振る舞いを見ていますので、ドアを静かに閉めることも忘れないようにしましょう。エレベーター前まで面接官が見送ってくれた場合は、エレベーターのドアが閉まるまでおじぎをするのがマナーです。

面接官が見ているポイント

面接官は30分から1時間ほどの面接時間の中で、姿勢、態度、表情、話し方など全体的な立ち居振る舞いを見ています。そのため、質問への受け答えだけでなく、人として好感が持てるかどうかも重要です。こちらでは、面接官が見ているポイントをご紹介するので、面接の際に意識してみましょう。

ビジネスマナー、言葉遣いや身だしなみ

面接では、社会人として通用するビジネスマナーを身に着けているか、言葉遣いに問題はないか、身だしなみは整えられているかということが見られています。服装や髪型が乱れているとだらしない印象を与えてしまうため、清潔な印象になるような身だしなみを意識しましょう。

長く働くことが可能かどうか

採用する側は、「採用した人にできるだけで長く働いてもらいたい」と考えています。そのため、面接官は面接でのやり取りを通して、「長く働くことが可能かどうか」を判断しているのです。特に転職回数が多い場合には、「すぐに辞めてしまうのでは?」と思われないように働く意欲を伝えることが大切です。

どんな仕事に適性がありそうか

障害者雇用枠では、応募者の障害に適したポジションに配属することが多いため、面接官は「どのような仕事に適性があるのか」を見ています。一般的には「強みは何ですか」「仕事で意識していたことは何ですか」「評価されたことは何ですか」という質問で仕事の適性を把握します。

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社風に合っているか

「革新的な会社である」「保守的な会社である」「人間関係が濃密な会社である」など会社ごとに社風があります。会社の雰囲気に合っている人であれば一緒に働く仲間としてうまくやっていける可能性が高くなるため、面接では「社風に合う人かどうか」を見られるのです。応募会社の社風については、事前にインターネットや転職エージェントで確認しておくことをおすすめします。

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しっかりと伝えるべき内容

障害についての情報は、採用担当者が具体的に知りたいと思っていることです。入社後のミスマッチを避けるためにも、障害の状況や配慮希望についてはしっかりと伝えるようにしましょう。こちらでは、障害について伝えるべき内容についてご説明します。

ご自身の障害についての情報

障害について伝える時には、障害についての過去・現在・未来(障害発症の経緯と診断名、現在の障害の状態、将来どのような経過をたどる可能性があるか)を整理して伝えましょう。特に現在の症状については、「症状が安定しているのか」「症状に波があるのか」など具体的に伝えておくとお互いのミスマッチを防ぐことができます。

苦手なことや得意なこと

苦手なことや得意なこともしっかりと伝えましょう。特に苦手なことについては、「苦手な業務・苦手な行動・苦手な人間関係」など具体的に伝えることが大切です。また、苦手なことについては「どのように対策できるか」「どのように工夫していきたいか」といった前向きな姿勢を表すようにしましょう。

健康面で配慮をお願いしたいこと

健康面で不安なことや配慮をお願いしたいことを伝えましょう。また、週何日勤務、残業の有無など、配慮してもらいたい事項を具体的に面接官に伝えることが大事です。配慮をお願いしたいことについて伝える際には、優先順位をつけるといいでしょう。

当日までに準備するべきこと

面接でうまく自分をアピールして良い印象を与えるためにも、面接で聞かれることを想定して事前に答えを準備しておきましょう。こちらでは、1次面接と2次面接それぞれでよく聞かれる質問を取り上げていますが、面接全体で統一感を出すためにも1次面接初日までにすべてまとめておくことをおすすめします。場合によっては(提出するしないに関係なく)、自分用のマニュアルとして書面に起こして作成しておくと安心です。

1次面接対策

1次面接では、人事担当者に人間性や障害状況などについてしっかりと伝えられるようにします。自分の障害への理解、過去の経験など幅広い質問がくることを想定して準備をしておきましょう。

自己紹介

自己紹介では、職歴があればこれまでの職歴を、学生であれば学歴を伝えます。履歴書に書いてあることと矛盾したことを答えてしまうと「準備してきていない」と思われてしまうので注意しましょう。

ご自身の障害について説明できるようにしておく

障害者雇用枠であれば、障害の状況、自分の障害への理解などについての説明が求められます。説明する際には、障害の具体的な状況、希望する配慮、不安なこと、通院への配慮について分かりやすく説明できるように準備しておきましょう。

志望動機をまとめる

志望動機は必ずと言っていいほど質問されます。志望動機では「自分がやりたいこと」だけでなく「応募する企業だからこそ、やりたいことができる」「応募企業で自分の能力を役立てることができる」ことが伝わるように話しましょう。

前職(現職)の退職理由を考える

転職希望の場合は、退職理由を聞かれることが一般的です。正直な転職理由を伝えることが大切ですが、「上司が嫌だった」「業務内容が嫌だった」などネガティブな表現は印象が悪くなるので避けましょう。
「このような働き方をしたいと思っていたが、前職(現職)ではこのような事情があってどうしても難しかったので転職を検討している」と、前向きな表現を心がけましょう。

2次面接(~最終面接)対策

2次面接(~最終面接)では、主に配属先担当者に伝える内容を整理しておきましょう。仕事への意欲、入社意欲、過去の実務経験や能力、協調性の有無などを見られることを想定し準備

ご自身の長所・短所

面接官は、長所・短所の質問で「自己分析ができているか」、「短所に対して自分で考えて克服できるか」を見ています。長所は応募企業が求める人物像や社風に関連付けると印象が良くなります。
また、短所はネガティブとしてしかとらえられないものではなく、言い換えれば強みになることを伝えるようにしましょう。また「〇〇は苦手ですがこのように改善できるよう努めています」等、努力している姿勢を補足するとよいでしょう。

入社してからやりたいこと

「入社してからやりたいこと」という質問では、入社意欲や企業の事業についての理解があるかどうかを見られます。携わりたい事業や所属したい部署など具体的に答えることで仕事への熱意があると判断されます。

なぜ、その企業で働きたいのか

面接が進むほど、「なぜ、その企業で働きたいのか」を問われます。「この企業の、こんな仕事がしたい」、「自分の持っているスキルで貢献できる」、「具体的に携わりたい事業がある」など「その企業でないといけない理由」を伝えましょう。

5年後、10年後どうなっていたいか

5年後、10年後を見据えて仕事のビジョンを持っている人材は、「長く働いてくれる」という印象を与えることができます。将来的にどんな仕事をしているか、どんな実績を作りたいかを具体的に考えておきましょう。

身だしなみ・服装のマナー

面接では、好印象を与えるような清潔感のある身だしなみや服装を心がけましょう。こちらでは、女性と男性別にご紹介します。

女性

髪型はすっきりとまとめ、フケや寝癖に気を付けましょう。カラーリングをしている場合は、派手すぎる色味は控えます。メイクは派手にならないように、健康的で清潔感を感じさえるナチュラルなメイクを心がけましょう。伸びた爪は切り、マニキュアを塗る場合は派手でない色を選びます。服装は紺やダーク系のスーツが一般的です。スカートは膝丈を選び、シャツにはアイロンをかけて清潔感を出しましょう。靴はピンヒールやミュールではなく、ヒールの低めなパンプスを履いてください。

男性

髪型はすっきりと清潔感のある印象になるようにし、カラーリングをする場合は派手な色を避けましょう。ヒゲはきれいに剃り、鼻毛が出ていないかチェックしてください。長く伸びた爪は良い印象を与えないため、短く切りましょう。服装はダーク系のスーツで、体型に合ったサイズを選ぶように注意します。また、シャツにはアイロンをかけてシワがないようにすると印象がアップします。靴と靴下もダーク系を選び、靴は磨いてきれいにしておきましょう。

模擬面接で本番に備える

面接で聞かれる質問について自分の考えや何を話すかをまとめた後は、面接を想定して繰り返し模擬面接を行いましょう。繰り返し練習しているうちに、スラスラと受け答えができるようになります。

就職・転職エージェントを利用する

模擬面接では家族や友人などに面接官役をお願いするという方法もありますが、障害者枠に特化した転職エージェントを利用するとより本格的に面接の練習を行うことができます。面接の基本から、「障害についての伝え方」「配慮事項の伝え方」など障害者枠に特有の質問への答え方を知ることができます。

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まとめ

面接は応募企業に自分のことを知ってもらうための大切な機会です。面接の流れやよく聞かれる質問、服装やマナーなど事前に確認し、準備したうえで面接に臨みましょう。

監修:高橋 平
早稲田大学卒業後、(株)D&Iに入社。 障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザーを歴任し、 現在はHRソリューション事業部の副部長として、DIエージェントの責任者を務める。