内部障害と仕事|求職活動のコツ・向いている職種・便利な支援サービスを解説

内部障害とは、内臓や気管、免疫などの機能が低下し、生活を送るうえで支障を抱える障害です。障害の度合いによっては、日常生活に限らず仕事においても困難が生じる場合があります。

そこで今回は、内部障害の方が働きやすい職場環境や職種、求職活動で役立つサービスについて解説します。

障害の特性に合った業務に従事することや、理解と配慮のある環境で働くことは、安定して長く仕事を続けていくためにはとても大切です。合わない職場環境で働くことによって、障害が悪化したり、別の病気を発症してしまったりする例も少なくありません。

そうならないように、今後の働き方を考える参考として、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みいただければ幸いです。

内部障害とは

内部障害とは、身体障害者福祉法などで定められている「心臓機能障害」「腎臓機能障害」「呼吸器機能障害」「膀胱・直腸機能障害」「小腸機能障害」「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害」「肝臓機能障害」の7つです。身体障害者手帳の交付を受けることで、様々な福祉サービスを利用できます。

内部障害は外見からわかりづらいため、周囲の理解が得られずストレスを感じる場面もあるでしょう。必要に応じて、環境を整えたり理解を求めたりすることが重要です。

 
キャリアアドバイザー
障害者手帳を取得していれば、障害者雇用枠で配慮を受けながら安心して働くこともできます。

引用元
ハートシティ東京「内部障害」
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会「内部障害とは」
厚生労働省「身体障害者手帳制度の概要」

内部障害の種類と症状【転職成功事例付】

内部障害でよく見られる症状は、「疲れやすい」「息苦しい」といった体力の低下です。定期的な通院を必要とする方も多いでしょう。しかし、内情はそれぞれ異なります。

そこで、ここからは、7つの内部障害の概要と生活や仕事におけるワンポイントをお伝えします。それぞれの障害の解説記事へのリンクも付けているので、より詳しい情報を知りたい方はそちらも併せてご覧ください。

 
キャリアアドバイザー
DIエージェントを通じて転職を成功された方のお声も紹介しています!

引用元
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「5(4)内部障害」

心臓機能障害

心臓機能障害は心臓機能の低下により血液の循環が低下する障害で、活動・運動時には息苦しさ・疲労感が生じます。ペースメーカーや人工の心臓弁の手術をおこなうことで、日常生活も支障なく送れるケースが多いです。

なお、ペースメーカーを使用している方は、携帯電話やIH機器など高い電磁波を発するものの近くでは誤作動のリスクがあるため、仕事でも十分注意しましょう。

 
キャリアアドバイザー
手術後はスポーツなどにアクティブに取り組まれる方もいらっしゃいます。
やりがいも配慮も叶え、在宅ワークで自分の強みを活かして働く

特例子会社勤務(40代・男性)
面接で私は「障害があるからといって委縮して何もしないのではなく、自分の力の許す限り、社会貢献していきたい!」と伝えました。社長からは「そういう理由であるならうちの会社に合いますね」と言われ、内定をいただきました。

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腎臓機能障害

腎臓機能障害は病気や外傷によって腎臓の機能が低下し、疲れやすくなる障害です。主に透析治療が有効とされており、週に何度か通院するため、周囲の理解を必要とします。

また、過度な発汗や風邪が大事につながることもあるため、適切に水分補給をすることや、寒すぎず暑すぎない室温管理が必要です。

透析通院とフルタイム勤務の両立に成功!

大手金融会社勤務(50代・男性)
私の透析通院のスケジュールに合う勤務形態の部署を先方から提案してくださいました。それまで私は週3日の通院日は早退するしかないと思っていたのですが、「Mさんの場合シフトで所定の勤務時間帯をずらせる方が働きやすいんじゃないですか?」と、人事担当の方が勤務時間をずらしてフルタイムで働ける部署を選定してくださいました。

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呼吸器機能障害

呼吸器機能障害では、肺活量が一般の人より著しく少なかったり、日常の動作で息苦しさを覚えたりといった症状が出ます。

酸素ボンベを携帯する方は、通勤ラッシュを避けて移動することが大切です。また、温度や乾燥、タバコの煙など、周囲の環境にも留意しましょう。

膀胱、直腸機能障害

膀胱、直腸機能障害は、排せつ(尿・便)に関わる器官の障害で、単体で起きることは少なく、同時に生じやすいためひとくくりにされます。

尿路変更や人工肛門(ストーマ)の取り付け手術を受けて日常生活を送る方が多いです。ストーマをつけている方を「オストメイト」と呼びます。オストメイトの方々が働きやすい環境を作るには、トイレの配慮・満員電車を避ける・重い物を持たないといった工夫が必要です。

引用元
厚生労働省「オストメイトの公衆浴場への入浴にご理解ください」

年収1,000万円クラスの人材が振り返る「最良の転職ができた」

大手メーカー勤務(40代・男性)
1社目では年収400万、障害者枠で入社した2社目で700万、前職の3社目で850万、退職時には1,000万になりました。10年で400万から1,000万に年収が伸ばせたわけです。障害者枠であっても逆転はできるんだぞ、ということを学びましたね。

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小腸機能障害

小腸には、食べ物の栄養素を吸収する役割があります。その機能が低下することで、全身のエネルギーが不足してしまうのが小腸機能障害です。

発汗によって体内バランスの異常や脱水症状にもなりやすいので、室温・体温調節に注意した上、体力仕事は避けたほうが良いでしょう。

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害

HIVと呼ばれる「ヒト免疫不全ウイルス」によって身体の免疫力が低下する障害です。定期通院と服薬により体調を管理することで、日常生活を制約なく送れます。

ただし、疲労感や軽微な風邪が重症化することもあるでしょう。くわえて、偏見へのストレスを本人が抱えやすくなるため、開示の範囲を限定することや心理的サポートも適宜必要とされます。

なお、HIVによる免疫力の低下によって感染症にかかりやすくなり、全身の倦怠感や体重の減少などの症状が起きたものが「エイズ(後天性免疫不全症候群)」です。しかし、一昔前に比べてHIV感染リスクは低下しており、エイズの発症を遅らせるなどの治療法も確立されてきました。

肝臓機能障害

肝臓は、食物やアルコールの栄養・毒素を分解したり加工したりする機能を持ちます。この機能が低下したものが肝臓機能障害で、2010年に新たに内部障害として追加されました。

黄疸・浮腫・倦怠感などが起き、疲労回復が難しくなるなどの支障をきたします。障害や服薬の影響で、免疫力が低下することもありえるため、感染症予防が欠かせません。しかし、移植手術を受け、適切なサポートが受けられれば、トラブルなく日常生活を送ることも充分に可能です。

引用元
厚生労働省「身体障害者手帳制度における肝臓機能障害について(概要)」

内部障害の方が仕事を探すときの4つのポイント

ここからは、内部障害をお持ちの方の仕事探しにおけるポイントを解説していきます。

1. 職場の環境が整っているか

内部障害をお持ちの方は、医療機器や環境などのハード面が整っていれば、パフォーマンスを発揮できる場合が多いです。

  • 体調が悪化した時に使える医務室はあるか
  • AEDや血圧計などの機器が用意されているか
  • 自分の体調などについて普段から職場の人とコミュニケーションを取れるか
  • 駅から離れており歩く時間が長くならないか
  • 冷房の直下でないか、空調管理はできそうか
  • 高電磁波を発生する環境ではないか(心臓機能障害などの場合)
  • オストメイト対応トイレはあるか(膀胱または直腸機能障害)
  • 禁煙・分煙はされているか(呼吸器機能障害)

その他、健康管理室の有無や、産業医が常駐しているか、産業医がいない場合は医師をすぐに呼べるかどうかも確認しておくと良いでしょう。

 
キャリアアドバイザー
企業に直接聞きづらいことは、エージェントを通じて聞いてもらうこともできます。

2. 勤務時間の融通が利くか・適切な休暇制度があるか

平日に定期的な通院が必要であったり、突然体調が悪化したりすることも多い内部障害。勤務時間の柔軟さは要チェック項目です。

  • 時差勤務…通勤ラッシュを避けるために利用している方が多数います。
  • フレックスタイム制…決まった時間ではなく、働く側が始業・就業時間を決められます。コアタイムの有無も確認しましょう。
  • シフト制…透析治療がある場合、うまくシフトを組み合わせれば、休まずフルタイムで働けます。不規則な生活が体調悪化につながる方は避けましょう。
  • 時短勤務…週20時間以上40時間未満で働けます。通院だけでなく、体力温存や育児などで利用する方もいます。
  • 有給休暇…いつから、何日間付与されるのか確認しましょう。
  • 通院休暇…有給休暇とは別に、通院のために取得できる休暇です。

平日日中の通院が必要な場合、就職前の段階で伝えておきましょう。

 
キャリアアドバイザー
通院は欠勤扱いになるのか、有休として休めるのか、または通院休暇が使えるのかを確認できると良いですね。

3. 仕事内容は調整が可能か

仕事の内容やボリュームについて配慮が得られるかも確認しておきたいところです。面接時には仕事内容や労働条件を確認し、すり合わせを行いましょう。

疲れやすい方は、「残業なし」または「残業●時間以内」といった残業制限などの配慮がある企業を選べるとベター。仕事の内容に関しても、立ち仕事や肉体労働、長距離移動が多いなどの仕事の有無を確認しましょう。身体的な負担は、内部障害の症状の悪化や体調不良を招きやすくなります。

さらに、急な通院や体調不良の際にどのようなカバー体制があるかも確認できると安心です。

 
キャリアアドバイザー
障害者雇用枠で入社すると、気を遣われすぎてしまうがゆえに、「業務の幅が狭い」「やりがいに欠ける」といった声も聞かれます。特に制限なく仕事ができる場合は、その事実と意欲も伝えましょう。

4. 障害者雇用枠を検討する

内部障害について公開し、障害者雇用枠(オープン就労)で働く方法もあります。障害をお持ちの方でも安心して仕事ができるようにと設けられている雇用枠で、職場の方々の理解や配慮を得られながら働けることが大きなメリットです。

自分の障害のことを人に知られるのがイヤ、という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、障害をオープンにしておくことで、突然の体調不良や周りの手助けが必要なときなどにもサポートを求めやすくなります。

内部障害の方が働きやすい職種

いずれの障害であっても、適切な手術や服薬、程度によって無理なく仕事を開始・継続できます。仕事をする上でのポイントは、症状や体力に合わせた仕事を選ぶことです。会社や医療のサポート次第で、安心して長く働ける可能性が高いでしょう。

具体的な職種の例を挙げるので、仕事探しの際に参考にしてみてください。

 
キャリアアドバイザー
DIエージェントでは、体力を温存でき、体調管理がしやすいデスクワークを中心にオススメしています。

事務・データ入力

一般事務・経理など、主にパソコンを使って行う事務職は、内部障害をお持ちの方でも働きやすい職種です。座り仕事で肉体的な負担が少ない・移動が少なく座ったまま仕事ができる・職場によってはテレワークも可能といった特徴があります。

また、データ入力も、事務職と同様に座って作業することが大半のため、オフィス内での移動などの負担がかかりません。

通院などの予定に合わせて、シフトや勤務時間の調整をしてもらえる職場もあるので、無理なく働ける可能性が高いでしょう。

ITエンジニア

知識や技術があれば、エンジニアの仕事も良いでしょう。技術職であるITエンジニアは、主にPCと向き合ってキーボードとマウスの操作をするだけで済む仕事です。

内部障害の方でも、専門の知識や技術があれば活躍できる可能性は十分。スキルアップすれば、収入の増加も見込めます。

ご経験のある業務

状態によっては、過去に携わった職種に就くことも可能です。中途で障害を負い、それまでと全く同じ業務ができなくなったとしても、今のお体でできる範囲の仕事を任せてもらえる、というケースもあります。

募集内容にぴったり一致しなくても、自分にできることとできないことを明確にして応募時に相談することにより、配慮していただける可能性があります。そのため、経験のある分野での就業を完全に諦める必要はありません。

内部障害の方が利用できる就労・転職支援サービス

内部障害をお持ちの方が仕事を探す際には、求職活動をサポートしてくれるサービスを活用するのがおすすめです。どんなサービスがあるのかを見ていきましょう。

ハローワーク

ハローワークとは、全国にある「公共職業安定所」のこと。施設内に設置されている検索機で、全国の求人情報を調べることが可能です。

ハローワークには専門の相談員を配置した援助窓口が設けられており、障害をお持ちの方の就職活動支援を行っています。

一般枠の求人から障害者枠の求人まで、求職者の状況と企業の募集内容を照らし合わせながら相談に乗り、障害をお持ちの方向けに就職面接会を行ったり、面接に同行したりといったサポート体制を整えていることが特徴です。

引用元
障害のある皆様へ|ハローワークインターネットサービス

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターとは、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)」が運営しており、障害者の方に対して専門的な職業リハビリテーションを行う施設です。各都道府県に、最低1カ所以上設置することが義務付けられています。

センターでは、直接就職先を案内するという支援は行っていません。しかし、ハローワークと連携し、職業相談を受け付けたり、職種・労働条件・雇用状況などの求人情報を提供したりといったサポートを行っています。

障害者職業カウンセラー・相談支援専門員・ジョブコーチなどが配置されており、専門性の高い支援を受けられることが特徴です。

引用元
障害者雇用関係のご質問と回答|高齢・障害・求職者雇用支援機構

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターとは、障害者の方の職業面での自立を図るため、雇用や福祉などの関係機関と連携し、地域で仕事面と生活面での一体的な支援を行う施設です。名称が長いため、間の「・」から「なかぽつ」「就ぽつ」などとも呼ばれます。

なかぽつは、令和5年8月22日時点で全国に337カ所設置されています。NPO法人や社会福祉法人などが運営しており、厚生労働省のページにある一覧から、近くのセンターを探すことが可能です。

障害をお持ちの方への就労サポートのほか、事業所に対する障害者雇用への助言や、関係機関との連絡調整などを行っています。

引用元
障害者就業・生活支援センターについて|厚生労働省
令和5年度障害者就業・生活支援センター 一覧 (計 337センター)|厚生労働省

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、一般企業への就職を目指す障害者の方に向けて、訓練や就職活動の支援を行うことで就労をサポートする福祉サービス施設です。通所型の障害福祉サービスで、「障害者総合支援法」という法律のもとで運営されています。

利用者は、事業所に通いながら就労に必要な知識や技術を身につけ、職場見学や実習などを行い、事業所職員のサポートを受けながら仕事を探せることがメリットです。

全国に3,300カ所以上存在し、利用するためには市区町村で手続きをする必要があります。就職後の定着支援まで行ってくれる事業所もあり、安心して頼れるでしょう。

障害者雇用に強い転職エージェント

障害者枠を持っている企業や障害者雇用を積極的に行う企業の求人に特化した、転職エージェントを利用するのも良いでしょう。

障害者の方の求職活動における独自のノウハウを持っており、高い専門知識も兼ね備えているので、初めての転職で不安を抱える方も心強いです。そのエージェントでしか取り扱っていないような、非公開の求人情報を得られる場合もあります。

エージェントでは、高い専門知識を持った専任のアドバイザーが、求職者の希望や障害の度合いなどをふまえた上で企業とのマッチングを行ってくれるのが特徴です。

就職前の準備から就職後の支援までしっかりサポートしてくれるため、自分の特性にマッチした仕事を見つけやすいでしょう。

内部障害をお持ちの方にも輝ける職場がある!自分にぴったりの仕事を見つけよう

内部障害で仕事における困難やつらさを抱えている方も、働きたいという意思があるなら就労を諦めなくてかまいません。

今回仕事探しのポイントや働きやすい職種をお伝えしたように、ご自身の状態に理解のある職場や体に負担がかかりにくい職種はきっと見つかります。適切なサービスを利用してサポートを受けつつ、ぴったりの仕事を探してみてください。

障害を抱えながら働く上では、 障害の特性に合った業務に従事することや、障害に理解や配慮のある環境で働くことが大切です。

今の職場を続けていくことに負担・不安を感じている方や、これから障害に合った仕事で就職を目指している方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。

DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠で就職・転職を検討されている方に対して就職・転職についてのアドバイスや、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。

専任のキャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングし、お一人おひとりに寄り添った働き方を提案させていただきます。

「今の自分に無理のない働き方をしたい」「理解のある環境で働きたい」というご希望がありましたら、まだ転職は検討段階という状態でもかまいませんので、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。