呼吸器機能障害とは?身体障害者手帳の活用法から日常生活・仕事での工夫まで解説

呼吸慢性気管支炎、慢性肺気腫、慢性呼吸不全……これらの疾患は呼吸器機能障害に認定されるかもしれません。この記事では身体障害者手帳の取得における疑問にお答えし、日々の生活におけるヒントをお伝えします。障害者雇用のプロであるキャリアアドバイザーから、働く上でのアドバイスもありますのでぜひ参考にしてください。

呼吸器機能障害とは?

呼吸器機能障害とは肺や呼吸器の不全や機能の低下により、日常生活に困難をきたす障害です。肺活量が一般の人より著しく少なかったり、日常の動作で息苦しさを覚えたりといった症状が出ます。

 
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重度の方は人工呼吸器やチューブを装着して、生活を送る方もいらっしゃいます。

呼吸器機能障害は内部障害に分類され、身体障害者手帳や障害年金などの福祉サービス・社会保障を受けられる場合があります。

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代表的な疾患と症状

呼吸器機能障害の代表的な疾患は以下の通りです。

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)*慢性気管支炎・肺気腫など
  • 慢性呼吸不全
  • 肺結核
  • 肺がん
  • 肺炎
  • 肺炎球菌感染症 …など

参考:一般社団法人日本呼吸器学会「慢性呼吸不全」
e-ヘルスネット(厚生労働省)「慢性気管支炎」

代表的な原因

呼吸器機能障害につながる代表的な原因を挙げます。

第一は生活習慣・生活環境によるものです。
本人が煙草を吸うだけでなく受動喫煙でも肺に悪影響を及ぼす可能性があります。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は「肺の生活習慣病」とも呼ばれる理由です。
また大気汚染・交通量が多く排ガスが多い場所、粉じんが舞う工事現場など空気の悪い場所に長期間いることで、肺や気管支の疾患を発症することもあります。

第二に、小児期・成人期問わず、患った肺炎や肺結核などの後遺症・悪化によるものです。喘息が悪化・重症化するケースや、実は肺がんにかかっているケースもあります。気になる方は早めの受診が大切です。

第三に、肺機能そのものの低下だけではなく、筋力の低下によって呼吸器にも影響をきたすことがあります。筋ジストロフィーや筋萎縮性側索硬化症、間質性肺炎などが原因として挙げられます。

参考:虎の門病院呼吸器センター内科・岸一馬「大気汚染と呼吸器疾患」

呼吸器機能障害の症状

以下は、呼吸器機能障害の様々な疾患によって引き起こされる症状の一例です。

  • 咳や痰が長く続く(慢性気管支炎)
  • 疲れやすい
  • 集中力の低下
  • 睡眠の質の悪化
  • 動悸
  • 浮腫(むくみ)
  • 腹部の不快感

後天的に発症した場合、「これまで普通にできていたことができなくなった」ことから、うつ状態などメンタルに不調をきたす方も少なくはありません。

 
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ストレスの解消法なども見つけ、ご自身の心身とうまく向き合っていきましょう。

参考:独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター「呼吸機能障害の原因と対処」


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身体障害者手帳における呼吸器機能障害

これまでご紹介した症状や疾患が見られる方は身体障害者手帳を取得し、様々な福祉サービスを受けることができるかもしれません。
対象は以下のように定められています。

ア 認定対象は、原則として次のとおりとする。
a 肺・胸郭系の疾患が原因となって発生した呼吸器機能障害
b 呼吸筋(横隔膜を含む。)の障害又は末梢神経の障害に由来する呼吸器機能障害
c 原発性肺高血圧症や肺血栓塞栓症などによる肺循環系の障害に由来する呼吸器機能障害の場合、急性期を脱し、安定した時期に認定を行うこととする 原発性肺高血圧症については生後十分年月が経過した後とし、肺血栓塞栓症については反復して発作を起こすことが多いので、最終の発作後、原則として6か月以上経過して病状が安定した状態で認定を行う
イ ただし、常時人工呼吸器を使用する必要のある者は、原因の如何を問わず呼 吸器機能障害1級として認定することとする。
(後略)

引用:東京都心身障害者福祉センター「身体障害者手帳」

障害者手帳を取得するメリットは以下の記事よりご紹介しています。

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認定基準と等級

まずは認定の基準と各等級についてみていきましょう。

等級

呼吸器機能障害

1級

呼吸器の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの

2級

3級

呼吸器の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの

4級

呼吸器の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの

大阪医科大学「身体障害者障害程度等級表」を元に作成

 

呼吸器機能障害には2級はありません。1級は重度、3級・4級は中度の障害にあたります。
上記の程度に加え、「予測肺活量1秒率(指数)」や「動脈血O2分圧」など客観的な数値を調べた結果が診断書に書かれ、手帳取得や等級の判定がなされます。

 
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これらの等級はあくまで目安です。等級に関わらず、日常生活や就業ができている方は多数いらっしゃいます。

呼吸器機能障害1級

呼吸器機能障害1級にあたる方は、呼吸困難のため歩行もままならないなど日常生活において強い制限を受ける方もいれば、酸素療法・人工呼吸器を用いて社会復帰ができる方もいます。
また発生(音声)のコミュニケーション面が難しいこともあるでしょう。

呼吸器機能障害3級

呼吸器機能障害3級にあたる方は家庭内で落ち着いた生活を送る上の支障はありません。中長距離の移動は大きく体力を消耗します。

 
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テレワーク&デスクワークなど身体に負担がかからないお仕事がオススメです。

呼吸器機能障害4級

呼吸器機能障害4級にあたる方は家庭内に限らず「温和な社会生活」が可能となります。肉体労働や立ち仕事は避け、デスクワークなど落ち着いた仕事が向いているでしょう。

 

参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「障害・職種別『就業上の配慮事項』-企業の経験12,000事例から-」

呼吸器機能障害の「障害年金」と等級

障害者手帳が取得できない場合でも、呼吸器機能障害によって働けない・収入が少ないという方は障害年金を受け取れる可能性があります。

身体障害者手帳の等級とは異なる等級が定められており、1級・2級・3級の3つの等級によって区分されます。

等級

呼吸器機能障害の程度

1級

・身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態

・日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級

・身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態
・日常生活が著しい制限を受けるか、日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級

・身体の機能に労働が著しい制限を受ける/労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

 
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提出する診断書の書き方には注意が必要です。

受給を考えている方は、作成の前に年金事務所にまず相談をしましょう!

参考:日本年金機構「呼吸器疾患の障害用の診断書を提出するとき」

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呼吸器機能障害をお持ちの方が日常生活で気を付けたいこと

呼吸器機能障害をお持ちの方は、日常の些細な動作で息が上がったり、疲れやすいという方が多いです。体力を激しく消耗するような活動は避けなければいけません。
一方で、座ってばかりの生活では体力・筋力の低下を招き、さらに悪化にもつながります。

かかりつけ医と相談しながら無理のない範囲での体力維持を心がけることが大切です。

 
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軽い風邪でも重症化しやすい方も……感染症が流行しているシーズンは特に感染予防を徹底しましょう!

その他、日常生活で気を付けたいシーンを紹介します。

食事

呼吸器機能障害をお持ちの方の中には、食事をすることでお腹(胃)が膨らみ、器官の動きが悪くなることがあります。食べすぎに注意し、規則正しいリズムで食事をとるようにしましょう。

また食事の内容はお腹にガスが溜まりやすい炭酸飲料やイモ類は避けると良いと言われています。体力を維持し、筋肉を落とさないようタンパク質を多く取り入れましょう。

 
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食事のとり方・内容はしっかり医師に確認してくださいね。

参考:COPD(慢性閉塞性肺疾患)に関する情報サイト「食事の工夫」

入浴

熱いお湯に肩までつかると、体力を消耗し、息苦しくなる方もいます。入浴をする場合は、ぬるめのお湯にみぞおち程までつかる半身浴が推奨されています。

参考:独立行政法人環境再生保全機構 ぜん息などの情報館|大気環境・ぜん息などの情報館「【実践編】息苦しさを和らげる日常の動作」

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呼吸器機能障害の方が仕事で考慮すべき点

ここからは、障害者雇用を専門のDIエージェントのキャリアアドバイザー(CA)から「呼吸器機能障害」をお持ちの方の働き方について詳しく説明いたします。

 
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呼吸器機能障害をお持ちの方の転職支援実績あり! 元気にやりがいをもって働いていらっしゃいますよ!

障害者手帳をお持ちの方の場合、障害者雇用枠で配慮を受けながら自分らしく働けます。また手帳を取得していなくても、障害をオープンにして一般枠でお仕事を継続・転職することができます。

呼吸器機能障害をお持ちの方がお仕事で気を付けたいポイントは3つです。

  1. 体力を消耗する肉体労働や残業を避ける
  2. 職場環境をチェックする
  3. テレワークも視野に入れる

掘り下げて見ていきましょう。

①体力を消耗する肉体労働や残業を避ける

これまでも触れてきた通り、息があがる・呼吸器に負担がかかるような働き方は避けましょう。肉体労働や移動の多い仕事、立ち仕事などはオススメができません。
人気の仕事は事務や専門職(プログラミングや翻訳)などのデスクワークです。

また必要に応じて残業がないようにお願いすることも検討しましょう。

 
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「移動の多い仕事」とは外回り営業だけではなく、たとえば清掃・メール室(各部署に届いた手紙を届ける)などで社内を動き回り階段を昇降するといったシーンも想定されます。
異動・転職の際は「どの程度、動く必要があるか?」を確認しましょう。

②職場環境をチェックする

職場で特に気にしたいことは、空気がきれいか、湿度・温度などです。また分煙や禁煙の状況も確認したいところです。工場内やほこりっぽい環境も推奨できません。

 
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酸素ボンベを使用している方は、火気に近づかない環境であるかのチェックも必要です。
自分からは確認しづらいという場合は、ぜひエージェントを頼ってくださいね。

③テレワークも視野に入れる

通勤の移動の負担を減らし、体力の温存にもつながる「テレワーク」の働き方もぜひ検討してみてください。
求人数は限られる一方で人気が高いため狭き門ではあるのですが、フルタイム就労も充分実現できるはずです。


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呼吸器機能障害をお持ちの方への職場の配慮は?

呼吸器機能障害をオープンにして働く場合、必要に応じて配慮をお願いし、職場環境や働き方を整えてもらうことができます(=合理的配慮)。

一例としては以下のような配慮を求めることがあります。

 

  • 定期通院時の休暇をもらう
  • 残業が発生しないように業務量や部署を調整してもらう
  • 発作が起きた際、休憩や休暇を取りやすいようにしてもらう
  • 携帯用酸素ボンベを持ち歩くため、通勤ラッシュを避ける
  • 疲れやすさなど、配属先への周知と理解

 

参考:名部誠『日本職業・災害医学会会誌』「呼吸機能障害者の社会(職業)復帰の現状と支援の試み」53(4)187-194

呼吸器機能障害をお持ちの方の働き方例

働き方・配慮例

製造業の場合
フルタイムで就労しており、休憩を昼休憩40分・午前と午後に10分ずつの小休憩を取れるようにしています。
通院日の配慮や、業務量の調整をおこない、体調や悩みについていつでも相談できる体制をとっています。

またDIエージェントを通じてご転職を成功された方もいらっしゃいます。会社が変わっても活かせるスキルをお持ちで、見事条件アップ転職・テレワークで無理なく働ける職場環境が叶いました。
以下のリンクよりインタビューをお読みいただけます。

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呼吸器機能障害をお持ちの方は見た目では分からないことも多いですが、人知れず息苦しさや疲労感を耐えていらっしゃる方も少なくないのではないでしょうか?
疾患をできるだけ進行させないようにすることも大切です。無理をなさらず、生活と環境を整え、必要なサポートを受けてくださいね。

DIエージェントではこれまでも呼吸器機能障害をお持ちの方のご支援をしてまいりましたが、どの方もやる気に溢れ、いきいきとご転職先で活躍されています。
お困りのことがあったらお気軽に相談ください。
DIエージェントがみなさんの幸せな人生を歩むためのサポートができましたら嬉しいです。

監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。

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