障害者転職は40代でもチャンスはある!転職活動の5つのコツと転職方法をくわしく解説

厚生労働省が発表した令和2年度の「障害者雇用状況」によると、民間企業の障害者雇用人数は過去最高数を記録し、就職・転職のチャンスが広がっているといえます。今回は、40代の障害者の方が転職をする際のコツや、転職活動前に知っておきたいこと、転職方法などを紹介します。40代の障害者の方で転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

※この記事は2020年7月27日に公開し、2021年12月9日に情報を更新をしました。

障害者雇用とは

障害者雇用とは、障害者手帳を持っている人を対象として設置した採用枠のことで、応募も採用も障害者の方に限定して行われます。
一般採用との違いや、改正された障害者雇用促進法のポイントなど、詳しくチェックしてみましょう。

一般採用との違い

一般採用と障害者雇用との違いは、応募できる対象が異なります。一般採用は、障害の有無に関係なく誰でも応募することができますが、障害者雇用は、障害者手帳を持っている人しか応募できません。
障害者雇用で採用されると、応募の時点から障害があることを企業側が知っているため、障害への理解が得やすいのが大きなメリットです。企業によっては、障害に配慮した設備を整えてもらえたり、通院や服薬の管理の配慮が受けられたりすることもあります。
ただし、障害者雇用は一般採用よりも採用人数が少なく、職種がやや限定的であるなどのデメリットもあります。応募の際には、一般採用と障害者雇用のどちらが自分に合っているのかを考えて応募することをおすすめします。

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障害者採用と一般採用の違いについてメリットデメリットを比較して解説します

2020年4月 障害者雇用促進法の改正

2020年4月、障害者雇用促進法が改正されました。今回の法改正のポイントは、大きくわけて2つあります。

ひとつは、障害者の方を雇用した事業主(企業等)への給付金の条件が緩和された点です。今回の改正で、以前は給付対象外であった週10~20時間未満の短時間勤務をする労働者を雇用した場合でも、給付金が支払われるようになりました。障害によって週の労働時間に制限がある方の雇用につなげることが狙いです。

もうひとつは、中小企業を対象とした、障害者雇用優良認定制度(もにす制度)の設置です。これは、障害者雇用の促進に積極的に取り組んでいる優良企業に対して、優良事業主としての認定マークを付与するものです。付与された中小企業は、自社製品や広告、求人票などに認定マークを掲載することができ、先進的な改革を行なう企業として広くアピールするのに役立ちます。
障害者雇用促進法の改正により、企業が障害者の方を雇用しやすくなったほか、雇用をすることが自社のアピールとなり、障害者雇用がより広がっていくことが期待されています。

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障害者雇用とは?一般雇用との違いやメリット・デメリット、障害者雇用の成功事例や頼れる支援機関も紹介

参照:厚生労働省『障害者雇用促進法の概要』
「週20時間未満の障害者を雇用する事業主に対する特例給付金について」


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転職活動の前に知っておきたいこと

40代の障害を持つ方が、転職活動をする前に知っておきたいことを紹介します。転職活動は不安や迷いが生じやすいものですが、それらを解決するヒントとしてお役立てください。

障害者雇用は年々進んでいる

障害者の方の転職では、「仕事が見つかるだろうか」「次の職場ではちゃんと環境が整っているだろうか」など、不安が大きいものです。しかし、障害者雇用は年々進みつつあります。
厚生労働省が定めた、民間企業における障害者雇用の法定雇用率は、2018年度に2.2%に引き上げられ、さらに2020年度末までに2.3%まで引き上げられました。今後も障害者の方の就職件数は伸びていくと予想されています。
障害者の方の雇用が増えると、労働時間などの働き方が柔軟になったり、障害への理解が深まったりすることは確かです。採用される職種にも広がりが見られ、障害者の方の転職市場は明るいと言えるでしょう。

求人が増えるタイミングがある

「障害者雇用枠の転職活動の流れ」より、ポイントを抜粋してお伝えします。

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法定雇用率の改定時

障害者の方の転職市場が明るいとはいえ、いつでも求人がたくさん出ているわけではありません。障害者雇用の転職市場で最も求人件数が増えるのは法定雇用率の改定前だと予想されます。2021年3月の0.1%の引き上げ時には、新型コロナウイルス感染症の流行もありましたが業績が好調な企業は積極的に障害者枠の求人でも募集をおこなっていました。

 
CA

法定雇用率が「引き下げられる」ことはまずありません。今後も法定雇用率の改定時期はよくチェックしておきましょう。

4月、6月、12月入社の求人が多い傾向に

新年度がスタートする4月は、組織改編に伴う人事異動などが盛んで、一般採用・障害者雇用ともに募集が多い時期です。
障害者雇用に関しては、6月と12月入社に向けて企業が積極的に採用活動を行う傾向にあり、求職者にとってはチャンスです。早期に情報収取を進め、入社希望時期の2~3ヶ月前には応募を始めてみることをおすすめします。

 
CA

「最高の条件で転職したい」と考えるのであれば、転職予定の約1年前からエージェントに登録して、ベストな求人が出てくるタイミングを待つ…といった戦略もありです。
特に専門資格・スキルを活かしたい場合通年募集があるとは限りません。エージェントと相談しながら「資格があることを企業にPR」「オープンポジションへの打診」などをしてもらいましょう。

40代以上の就職率も向上している

35歳転職限界説がささやかれることがありますが、実際には、40代以上でも転職成功者がたくさんいます。障害のある方の就職率は年々増加傾向にあり、ハローワーク利用者データでも、40代の就職率が平成23年に比べて増加していることがわかります。40代だからといって転職を諦める必要はなく、転職を考えている人は、自信を持って積極的に活動していきましょう。

参考:厚生労働省『労働市場分析レポート』

大企業も積極的に採用

大手企業は雇用率達成を掲げていることが多く、障害者雇用に積極的なところが多くあります。もちろん誰もが知っているような大手企業は応募が集中し、競争率が高い傾向にありますが、全体の社員数が多ければ多いほど雇用率が0.1%上がるだけでも、採用人数が大幅に増えるため、チャンスもあると言えます。

40代の障害者の方が転職するための5つのコツ

コツをおさえてスムーズに転職活動を進めましょう。40代障害者の方の転職成功のコツを紹介します。

今の仕事を続けながら転職活動する

障害者の方の転職市場が明るいことや、40代の転職者が増えているとはいえ、タイミングによっては希望する求人と出会えない場合もありえます。転職活動をするときには、現在の仕事を退職してから行うのではなく、働きながら転職活動を進めることをおすすめします。
転職活動中は交通費や通信費など、意外と出費がかさみます。また、退職してからの転職活動では、早く仕事を見つけたいという焦りから、冷静な判断ができないことも考えられます。在職中に転職活動を行うのは、スケジュールの調整や採用担当者とのやりとりが難しいこともありますが、有給休暇や休憩時間を活用して上手に進めて行きましょう。

自分の障害について理解を深める

転職活動を行う前には、自分の障害について自分自身が理解を深めておく必要があります。面接では、自分にできることとできないこと、望む配慮などを正確に伝えることが求められます。自分で自分のことが理解できていなければ、企業にもきちんと伝えることができません。
働き始めてから、「こんなはずじゃなかった」ということにならないためにも、自分を客観的に捉えることが大切です。現在の職場で助かった配慮や、追加したい希望なども整理しておくとスムーズに伝えられます。

謙虚な姿勢を持つ

40代になると、現在の職場で責任のある仕事を任されているという方も多いのではないでしょうか。
しかし、転職して新しい会社に入社すると、これまでの地位や経験は一切関係なくなります。40代の方が転職活動を行なうときには、新しい会社では新人だという自覚を持つことが大切です。面接や採用担当者とのやりとりも、謙虚な姿勢で挑むことで好印象が残せます。

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会社にどう貢献できるかをアピールする

転職活動が進まないという40代の障害者の方に多いのが、アピールの仕方を間違えているというパターンです。転職活動では、これまでの経験や実績を伝えることが大切ですが、それらを伝えただけでは、採用担当者の心には響きません。これまで培った経験や実績を踏まえて、その会社でどのように活躍できるのか、どのように貢献していきたいのかという具体的なビジョンを伝えることが大切です。

油断せずに面接対策をしっかり行う

若年層に比べ、転職の面接に慣れている40代は、経験から面接をこなせる自信があるため、準備不足で当日を迎える人が少なくありません。履歴書はもちろん、職務経歴の準備、自己紹介や志望動機、障害についての説明、転職理由など基本的な質問へも、事前にきちんと回答を用意しておくことを忘れずに。
なかでも、志望動機や転職理由などは、しっかりとした業界研究や企業研究の成果が問われる重要なポイントです。準備不足で不採用にならないように注意しましょう。

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40代の障害者の方の転職方法

40代の障害者の方はどのように転職活動をすれば良いのでしょうか。40代の障害者の方の転職方法を紹介します。

ハローワーク

国によって運営される職業紹介事業者がハローワークです。全国各地に開設されているため、手軽に利用しすいところが魅力です。ハローワークに登録された全国の求人へは、どこからでも応募できるため、地元で就職したい人にもおすすめです。
規模が大きい分、求人件数は目を見張るものがありますが、デメリットとして、企業の採用ニーズをハローワークの窓口担当者がすべて把握しているわけではない点が挙げられます。自分に合った求人かどうか、採用の可能性などの見定めが難しい点に注意が必要です。

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障害者の方向けの転職・就職フェア

全国各地で障害者の方向けの転職・就職フェアが行われているため、転職を考えている人は参加してみると良いでしょう。一度に多くの企業とコンタクトが取れるのは、転職・就職フェアならではのメリットだと言えます。なかには、大手企業や書類選考が難しいとされる人気企業が参加していることもあり、日時や場所の都合が合う場合は、積極的に参加してみましょう。
※現在(2020年7月時点)は、新型コロナウイルスの影響で対面式のイベントは延期・中止となっている可能性がありますのでご注意ください。

障害者の方向けの転職サイト

最近では、インターネットから応募ができる障害者の方向けの転職サイトを利用するケースも増えています。いつでもどこからでもアクセスできることが大きなメリットです。デメリットとして、転職サイトの場合は、後述する転職エージェントとは異なり、企業とのやりとりをすべて自分で行う必要があります。選考の日程調整や年収等の条件交渉などを行う手間がかかるため、在職中に活用する際はその点に留意しましょう。

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障害者の方向けの向け転職エージェント

転職サイトと同じように、近年利用者数が増加しているのが、障害者の方向けの転職エージェントです。転職エージェントとは、転職希望者と企業とのマッチングを行なうサービスのことです。転職エージェントを利用すると、求職者の希望にマッチする企業をエージェント側が探してくれるため、在職中で転職の情報収集が難しい人でもスムーズな転職活動が行えます。
条件のすり合わせや、企業との連絡も転職エージェントの担当者が行ってくれるため、企業とのやり取りに自信がない人でも、有利に転職活動が進められるのが大きなメリット。応募書類のチェックや模擬面接を行なっている転職エージェントも多く、転職活動に不安を感じる40代の障害者の方は、積極的に活用することをおすすめします。

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キャリアを十分に積みプライベートでの見通しも立ち始める40代。選択肢は無数にあるように見えるかもしれません。DIエージェントではみなさんのライフプランに沿った最適なキャリアを応援し、ピッタリな職場をご紹介いたします。

 
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まとめ

障害者雇用が促進され、障害者の方の就職や転職市場が盛んに動き出しています。本記事でご紹介した、転職活動におすすめの時期や活動のコツ、各種転職サービスのメリット・デメリットなどをぜひ参考にしてください。

監修:高橋 平
障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザー。
早稲田大学卒業後、(株)D&Iに入社。 障害者雇用ソリューション営業、転職キャリアアドバイザーと幅広い領域を担当。現在はHRソリューション事業部の副部長として、DIエージェントの責任者を務める。