障害をお持ちの方が働くため大切なのは「障害の自己理解」です。そして障害をオープンにして働く場合、職場で共に働く人に適切に「伝える」スキルも必要です。
この記事では「障害を理解して自分らしい働き方をしたい」「初めて障害者雇用枠で企業を受ける」という方のために、障害理解の方法を分かりやすく解説していきます。便利なツールも紹介するので、簡単に自己理解をしたい方はぜひ参考にしてください。
障害の自己理解はなぜ大事か?
障害をオープンにする/しないに関わらず、働く上で困難を感じるのであれば「障害の自己理解」を深めていくことが大切です。
障害への理解を深めることは、苦手やできないことに対処し、得意を伸ばして仕事で成果をあげるといったことに繋がります。つまりより自分らしくイキイキと働くために障害の自己理解は欠かせません。
就職・転職の時には「自己分析」をおこなうように、障害の理解も深めていきましょう。
さらに「障害者枠や障害をオープンにした上で配慮を受けて働きたい」と考えているならば、自分で障害をよく理解した上で、他者(面接官や共に働く人など)に伝えられるようにならなければなりません。
障害者雇用枠では 「障害の自己理解ができているか」は選考上での重要なチェックポイントになります。
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自己理解のステップ
自己理解のステップはまずは自分のことを以下の3つを中心に分析します。
- 障害や病気のどのような理由によりどのような困りごとがあるのか
- 困りごとに対して、自分で心掛けていることは何か
- さらに、解決できない困りごとはどのような配慮が受けられると働きやすくなるのか
この①~③の内容を自分の言葉でまとめて、「なぜ配慮を必要としているのか」、そして「働きやすくなることでどのように会社に貢献できるのか」といった仕事に対する思いを伝えれば、説得力を持たせながら相手に伝えることができます。
まずは自分でやってみて、家族や友人、主治医、専門家(ハローワークや就労移行支援の相談員、キャリアカアドバイザーなど)に相談してみるとより客観的な分析ができますよ。
自己理解のチェックポイント
たとえば以下のようなチェックポイントで自己理解を進めていきます。
✓体調に関して(悪くなる際の予兆、どんな症状が出るか、対処法)
✓環境に関して(洋式トイレが必要、クーラーの下だと体調調節が難しいなど)
✓コミュニケーションに関して(指示の受け方は口頭よりもチャットが良い、など)
これまで学校・職場や人間関係で苦労したこと、働くことをリアルに想像してみながら書き出してみましょう。
こちらでご紹介したのはチェックポイントのほんの一部です。多角的に考えていきましょう!
どのタイミングで、どう伝える?
障害をお持ちの方への合理的配慮は「障害者差別解消法」により行政機関や事業者へ義務づけられています。しかし自ら配慮事項を伝えることに対して気が引ける・苦手意識を持つ方もいらっしゃるでしょう。
そのような方は、伝える内容や伝え方の手順を考慮するだけで、企業の担当者・一緒に働くメンバーの受け取り方や印象も異なります。
伝えるタイミング別の伝え方を見てみましょう。
- 応募書類に添える(履歴書・職務経歴書に書く・「わたしの障害について」を作成する)
- 面接時、面談時に口頭で伝える
- 働き始めて困りごとがあるようなら、一緒に働くメンバーに伝える(厚生労働省が出している「就労パスポート」や自作のナビゲーションブックを活用するなど)
中には「一緒に働くメンバーに向けて障害を知ってもらうためのプレゼンテーションを設けてもらった」という例もあります。
DIエージェントの場合はキャリアアドバイザーがカウンセリングをしたうえで紹介シートを作成いたします。
参考:ぴーちゃん(2021)『ぴーちゃんは人間じゃない? ADHDでうつのわたし、働きづらいけどなんとかやってます』
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カンタンに自己理解をしたい!便利なツールは?
しかし実際にゼロから自分で考えて、書き出すとなると大変に感じるでしょう。
そんな時に使えるのが「torisetu(トリセツ) https://umbre.jp/torisetu」です。
このツールは、質問に選択肢を選んで答えていくだけで「困りごと」「対処」「お願いしたい配慮」をまとめることができます。
たとえば面接時に「印刷した結果を見せる」「スマホで表示させた画面を見せる」といったこともできます。(※作ったデータの保存には会員登録が必要です)
2021年12月現在、対応している障害・疾患の一例です。
- うつ病、双極性障害、統合失調症などの精神疾患
- ADHD、ASD、LDなどの発達障害
- 難聴、内部障害などの身体障害
- その他、潰瘍性大腸炎などの難病
障害をお持ちの方も多数利用されており、このような声もあるようです。
・いままで面接に受からなかったのに、トリセツをつかったら受かった
・配慮事項に関してスムーズに喋れた
・クローズで働いていたが、配慮事項に関して相談したところ、在宅勤務の許可と配慮をしてもらえるようになった
「トリセツでできた自己分析結果をハローワークなどに持っていって相談をした」という方もいらっしゃるようです。色々な使い方ができますね!
まとめ
「自己理解・自己分析」は就職・転職活動のはじめのステップです。まずは気軽な気持ちで取り組んでみましょう。
より客観的に、より企業に伝わるようなフィードバックが欲しい場合はぜひエージェントへもご相談ください。「内定をゲットする」ポイントに絞ったアドバイスを障害者雇用のプロがいたします。