障害者手帳のメリット・デメリットをくわしく解説|手帳取得の就職への影響や実際に取得した人の声も紹介

障害者手帳を持つことにはデメリットがありそうで抵抗感や不安を感じ、取得を見送っているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、本当はデメリットがないのに、知らないだけという可能性もあります。

そこで、今回は障害者手帳を取得するメリットとデメリットについて詳しく解説します。手帳の申請方法もお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

障害者手帳とは

障害者手帳は、障害の種類や程度などを示すための公的証明書です。障害者手帳には3種類あり、それぞれの種類ごとに障害の度合いを示す等級が決められています。

障害者手帳については以下の記事でも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

3つの種類とそれぞれの等級

障害者手帳の種類は、身体・精神・療育の3つのカテゴリに分けられます。それぞれの内容を見ていきましょう。

1. 身体障害者手帳

身体障害者福祉法に基づき、身体障害のある方や指定難病をお持ちの方の自立や社会への参加、支援を目的に交付される手帳。以下に紹介するような障害や難病が対象です。

  • 視覚障害
  • 聴覚障害
  • 平衡機能障害
  • 音声機能、言語機能または咀嚼機能の障害
  • 肢体不自由
  • 内臓の機能障害

困りごとの程度によって1~7級までの等級に区分されますが、すべての障害や疾患に等級が当てはまるわけではありません。

引用元
厚生労働省|身体障害者障害程度等級表

2. 精神障害者保健福祉手帳

精神保健福祉法に基づき、精神障害をお持ちの方の自立や社会参加、支援を目的に交付される手帳。てんかんや発達障害を含むなんらかの精神障害をお持ちの方で、以下のような疾病や障害が対象です。

  • 統合失調症
  • うつ病・躁うつ病
  • 薬物依存症
  • 高次脳機能障害
  • 発達障害
  • その他ストレスなどによる精神疾患

精神障害者手帳の等級は1~3級で、精神障害が理由で日常生活や社会生活にどの程度支障があるかによって分けられます。

3. 療育手帳

療育手帳は、児童相談所または知的障害者更生相談所にて知的障害と認定された方が対象で、児童・成人に関わらず発行されます。

療育手帳の交付は都道府県知事や市長が行い、児童相談所または知的障害者更生相談所にて2年ごとに再判定することが原則です。

療育手帳は重度のA判定と軽度・中度のB判定があり、自治体によってはさらに細かく分けられていることもあります。

引用元
厚生労働省|障害者手帳について
厚生労働省|療育手帳制度について
長崎県|療育手帳

障害者手帳を持つメリット

障害者手帳を持っていることで、さまざまな支援・福祉サービスなどを受けられます。

そこで、就職や日常生活・税金や補助制度など12項目のメリットを、ひとつずつ紹介していきましょう。

1. 障害者雇用枠での就労

障害者雇用枠とは、障害をお持ちの方が働く際に、障害がない方より不利にならないように用意された特別な働き方です。

障害者雇用枠の大きなメリットは、「障害を開示し、企業も障害を理解した上で採用を行うので、適切な障害配慮が受けられ、安心して働ける可能性が極めて高い」ことです。

 
キャリアアドバイザー
障害者雇用枠は、障害者手帳を所有している方のみ応募可能です。障害者雇用枠の求人に詳しい転職エージェントを利用すれば、一般枠ではエントリーが難しい人気の大手企業・有名企業にもチャンスが出てくる可能性があります。

詳しくはこちらの記事をご参照ください。

2. 就労支援~失業・再就職時の福祉サービス

体調や障害、さまざまな事情から、就職や働き続けることが大変な方もいらっしゃるはず。そのため、「就職準備」「定着」「離職」に関しても手厚い福祉サービスが用意されています。

  • ハローワーク(障害者専門窓口もあり)
  • 地域障害者職業センター
  • 障害者就業・生活支援センター(なかぽつ・就ぽつ)

ハローワークや地域障害者職業センターは、必ずしも障害者手帳を所有していなくても利用が可能です。障害者就業・生活支援センターは、18歳以上かつ障害者手帳の所有者のみが対象で、働くことから生活まで幅広く相談に乗ってくれます。

  • 就労移行支援
  • 就労継続支援 A型/B型

上記の就労支援サービスは、障害者手帳がなくても「障害福祉サービス受給者証」があれば利用可能です。

これらの施設を利用した方や就職先の企業によっては、障害者雇用枠で就職した後も「定着支援」を無料で利用できます。「長く働き続けたい」と考える方には見逃せない制度です。

また、万が一失業した際も、障害者手帳をお持ちの方は「就職困難者」に分類され、「失業保険」受給の条件がゆるかったり、給付期間が長かったりします。さらに、再就職した場合は「常用就職支度手当」が支給されるチャンスもあります。

引用元
厚生労働省「常用就職支度手当について」

3. 所得税・住民税の「障害者控除」

「障害者控除」とは、障害をお持ちの方またはその親族(世帯を共にする人)に対して、金銭的な負担を軽減するために税金を安くする制度です。

障害者手帳をお持ちの方、およびそれに準じる方が障害者控除の対象です。

代表的なものとして、所得税と住民税の控除額は以下の通り。

  所得税 住民税
障害者 27万円 26万円
特別障害者 40万円 30万円

※特別障害者:身体障害1級または2級・精神障害1級・療育手帳Aの重度な障害者の方を指し、それ以外の一般的な「障害者」とは区別されています。

引用元
国税庁|No.1160 障害者控除
新宿区|住民税の障害者控除・非課税
京都市|障害者控除について

4. 医療費助成 ※地域や等級による

「医療費の助成」は、医療費が中長期的かつ高額にかかる方を対象に、医療費負担が軽減される制度です。

心身障害者医療費助成(マル障)

重度障害者に対する医療費の助成は、「心身障害者医療費助成制度」(通称:マル障)などと呼ばれています。ただし、所得制限が設けられているので注意が必要です。

一例として、東京都内在住の方で下記に該当する方は、医療機関での医療費の自己負担が原則1割になります。

(1)身体障害者手帳1級・2級の方(心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫・肝臓機能障害の内部障害については3級も含む。)
(2)愛の手帳1度・2度の方
(3)精神障害者保健福祉手帳1級の方

引用元
東京都福祉保健局|心身障害者医療費助成制度(マル障)

実施主体は主に市区町村で、大阪市では「重度障がい者医療費助成制度」、千葉市では「心身障害者(児)医療費助成制度」と呼ばれているように、名称や内容にも違いがあります。

引用元
大阪市|重度障がい者医療費の助成
千葉市|心身障害者(児)医療費助成制度のご案内

自立支援医療

障害者手帳をお持ちでない方も「自立支援医療」制度を活用できます。所得によって、医療費は原則1割負担、かつ1カ月あたりの医療費上限額が設けられます。

主に精神疾患・発達障害等を対象とした「精神通院医療」と、身体障害を対象にした「厚生医療」、身体障害をお持ちの児童が対象の「育成医療」の3種の支給対象があります。

精神通院医療の対象は以下の通りです。

  • 病状性を含む器質性精神障害(F0)
  • 精神作用物質使用による精神及び行動の障害(F1)
  • 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害(F2)
  • 気分障害(F3)
  • てんかん(G40)
  • 神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害(F4)
  • 生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群(F5)
  • 成人の人格及び行動の障害(F6)
  • 精神遅滞(F7)
  • 心理的発達の障害(F8)
  • 小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F9)
  • ※(1)~(5)は高額治療継続者(いわゆる「重度かつ継続」)の対象疾患

引用元
厚生労働省|自立支援医療(精神通院医療)の概要

厚生医療の対象は以下の通りです。

精神疾患だけでなく、てんかんや知的障害、発達障害も対象に含まれます。
厚生医療の対象は、主に身体障害による通院・治療が該当します。

  1. 視覚障害・・・白内障 → 水晶体摘出手術、網膜剥離 → 網膜剥離手術 瞳孔閉鎖 → 虹彩切除術、角膜混濁 → 角膜移植術
  2. 聴覚障害・・・鼓膜穿孔 → 穿孔閉鎖術、外耳性難聴 → 形成術
  3. 言語障害・・・外傷性又は手術後に生じる発音構語障害 → 形成術 唇顎口蓋裂に起因した音声・言語機能障害を伴う者であって鼻咽腔閉鎖機能不全に対する手術以外に歯科矯正が必要な者 → 歯科矯正
  4. 肢体不自由・・・関節拘縮、関節硬直 → 形成術、人工関節置換術等
  5. 内部障害
    • <心臓>・・・先天性疾患 → 弁口、心室心房中隔に対する手術
      後天性心疾患 → ペースメーカー埋込み手術
    • <腎臓>・・・ 腎臓機能障害 → 人工透析療法、腎臓移植術(抗免疫療法を含む)
    • <肝臓>・・・ 肝臓機能障害 → 肝臓移植術(抗免疫療法を含む)
    • <小腸>・・・ 小腸機能障害 → 中心静脈栄養法
    • <免疫>・・・ HIVによる免疫機能障害→抗HIV療法、免疫調節療法、その他HIV感染症に対する治療

引用元
厚生労働省|自立支援医療(更生医療)の概要

 
キャリアアドバイザー
たとえば寛解の可能性がある精神疾患の場合、障害者手帳を取得せずとも、自立支援医療制度を利用すれば医療費を抑えられるというメリットがあります。

5. 自動車税の減免 ※地域や等級による

2019年より、「自動車税」という名称から「自動車税種別割」に変更されました。自動車にかかる税金のことで、障害をお持ちの方は等級などによって減免を受けられます。

たとえば、東京都は以下のような分類です。詳細な対象は、東京都自動車税コールセンターで確認できます。


引用元
東京都主税局|自動車税環境性能割・自動車税種別割の減免制度のご案内

「所有者・運転者は誰か(生計を共にする人も含む)」「車を使う目的は何か」「車の種類は何か(軽自動車)」によって額が決まります。一般的な自動車であれば、45,000円程度を限度に減免されます。

細かい条件や申請方法はお住まいの都道府県によって異なりますので調べてみてください。

引用元
東京都主税局|自動車税環境性能割・自動車税種別割の減免制度のご案内
総務省|地方税制度|2019年10月1日、自動車の税が大きく変わります

6. 電車やバスなどの交通機関の運賃・携帯料金・施設入場料などの割引

交通費、大手キャリアの携帯料金、公共の施設(美術館・博物館)から民間のレジャー施設・温浴施設などまで、障害をお持ちの方への割引サービスは多数あります。

割引制度についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

代表的な電車賃の割引について紹介します。JRの割引は、身体障害者・知的障害者に限られているのが現状です。身体障害者手帳または療育手帳に「第1種/第2種身体障害者」「第1種/第2種知的障害者」と記されている方が対象で、手帳を提示して乗車します。


引用元
JR東日本|身体障害者旅客運賃割引規則

本人と介護者は運賃が5割引きになります。

また、JR以外の私鉄や、都民の方であれば都営地下鉄やバスが割引の対象になることもあるので、ぜひ確認してみましょう。

ミライロIDでクーポンも

現在、障害者手帳のカード化・デジタル化(アプリ化)が進んでいます。

スマホアプリの「MIRAIRO ID(ミライロID)」は、障害者手帳の代替となるだけでなく、コンビニや外食チェーンで使用できるクーポンの利用や障害者割引でのチケット購入ができるなど、障害者手帳をお持ちの方に便利なアプリです。

引用元
MIRAIRO ID|障害者手帳をあなたのスマホに

7. 公営住宅の優先入居

負担の大きい「住まい」の出費。家賃を抑えたい場合、公営住宅などへの入居という選択肢もあります。

公営住宅はその名の通り、国が補助を出して自治体が運営をしている住宅で、収入が少ない方などが入居できます。

(2)入居収入基準(法23条2号、令6条5項)
その者の収入が①~③に掲げる場合に応じ、それぞれに掲げる金額を超えないこと。
(中略)
② 入居者が身体障害者である場合その他の特に居住の安定を図る必要 があるものとして政令で定める場合(裁量階層)
月収26.8万円(収入分位40%)以下
(政令で定める場合) ・障害者でその障害の程度が国土交通省令で定める程度のものがある場合
(国土交通省令で定める程度)
身体障害:身体障害者障害程度等級表1級から4級まで
精神障害:障害等級1級又は2級
知的障害:精神障害の程度に相当する程度

引用元
国土交通省|公営住宅制度の概要について

公営住宅は周辺の家賃相場より安く住めるので人気が高いですが、障害をお持ちの方は一般の方よりも入居が優先・優遇される場合があることがメリットです。

引用元
ドコモ・プラスハーティの障がい者情報サイト ハーティサロン「公営住宅の優先入居 障がい者が公営住宅に入居するための「優先入居」の仕組みとは」

グループホーム(共同生活援助)

障害をお持ちの方が自立を目指して共同生活を送れる場所が、「グループホーム(共同生活援助)」。障害者総合支援法で定められている「福祉版シェアハウス」のようなイメージです。

専門資格を持つ「支援員」「世話人」が常駐していることも多く、気軽に相談にも乗ってもらえるでしょう。一人暮らしをするより費用を抑えられるケースも多いです。

 
キャリアアドバイザー
就労支援に通所しているなどで収入がない・少ない方が利用するケースもあります。

8. 保育に関わる配慮(入園基準、保育料)

子育て世代の方は必見の制度です。障害者手帳を持つことによって、お子さんの「保育」に関しても優遇があります。

保育園の入園に際して、「点数」という言葉を聞いたことはないでしょうか?家庭の状況によって点数が付けられ、点数が高い家庭から保育園の入園が決まっていきます。障害のために育児が困難な場合、点数が加算され優先的に入園できるでしょう。

たとえば福岡市の場合、保護者の病気や障害にともなって子どもの保育が困難な理由別に、90~160点が加算されるようです。

引用元
福岡市保育施設等利用調整基準表

また、地域によって違いはありますが、世帯に障害をお持ちの方(お子さんが障害をお持ちの場合も含む)がいる場合、保育料が無償化や軽減される場合も。川崎市の場合は、以下のように定められています。

軽減措置の概要

要保護世帯で、世帯の市町村民税所得割額が77,100円以下の世帯の場合、保育料は無料となります。 「要保護世帯」とは、次の世帯のことをいいます。

  • ア ひとり親世帯
  • イ 身体障害者手帳の交付を受けている者(ただし特定施設等に入所している場合を除く。)がいる世帯
  • ウ 療育手帳の交付を受けている者(ただし特定施設等に入所している場合を除く。)がいる世帯
  • エ 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者(ただし特定施設等に入所している場合を除く。)がいる世帯
  • オ 特別児童扶養手当の支給対象児童(ただし特定施設等に入所している場合を除く。)がいる世帯
  • カ 障害基礎年金の受給者(ただし特定施設等に入所している場合を除く。)がいる世帯

引用元
川崎市|認可保育所等の利用者負担額(保育料)

 
キャリアアドバイザー
保育の優先入園は「求職活動中」でも加算対象になります。育児や仕事の両立についても気軽にご相談くださいね。

9. 補装具の助成 ※身体障害のみ

補装具とは、安全つえ・人工内耳・車椅子など、主に身体障害の機能を補完するための用具です。障害者手帳をお持ちの方は、収入など条件に応じて補装具費が支給されます。

対象となる補装具は以下のリンクを参照してください。

厚生労働省|補装具種目名称別コード一覧表

引用元
厚生労働省|補装具費支給制度の概要

10. 住宅改造費の補助 ※身体障害のみ

身体障害をお持ちの方で、家のバリアフリー化のための改修が必要な方に対して、費用の補助が行われます。条件や支給額は地域によって異なります。

たとえば神戸市の場合、以下の対象に該当すれば最大100万円まで助成されます。

事業を利用できる人

下記①②のいずれかに該当し、かつ、③に該当する方が対象です。

  1. 介護保険の要介護認定で「要支援」「要介護」と認定された方
  2. 身体障害者手帳の交付を受けた方
  3. 生計中心者の前年分の所得金額が600万円(給与以外に収入がない場合は、給与収入で800万円)以下

引用元
神戸市|住宅改修助成事業

11. 生活保護の障害者加算

憲法でも「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と書かれているように、生活が苦しい方は生活保護を受ける権利があります。

対象は以下の通りです。

  • 障害等級表の1級若しくは2級又は国民年金法施行令別表に定める1級の いずれかに該当する障害のある者
  • 障害等級表の3級又は国民年金法施行令別表に定める2級のいずれかに 該当する障害のある者

引用元
厚生労働省|生活保護法による保護の基準

通常の生活保護費に加え、14,870~26,810円が上乗せして支給されます。障害年金とあわせての受給も可能です。

12. 特別障害者手当

重度の身体障害をお持ちの方が受け取れる国の制度として「特別障害者手当」があります。月額にして3万円近い経済的支援策なので大きな助けとなるでしょう。

精神又は身体に著しく重度の障害を有する方に対して支給される手当です。受給資格が認定されると、申請月の翌月分から、毎年2月・5月・8月・11月に各月の前月分までの手当が支給されます。

手当月額は28,840円です。

引用元
東京都福祉保健局|特別障害者手当(国制度)

支給の条件は20歳以上の成人で、「身体障害者手帳1、2級程度」「愛の手帳1、2度程度」または「それと同等の疾病や精神障害を有する方」です。所得制限などもあるので、お住まいの市区町村の障害者福祉窓口へ申請や詳細の問い合わせてみましょう。

引用元
厚生労働省|特別障害者手当について

障害者手帳を持つことにデメリットはある?

障害者手帳を持つことに、「デメリット」という大きなマイナスはありません。しかし、注意したい点はあるので押さえましょう。

医師の診断書の費用がかかる

手帳の申請や発行は無料ですが、申請時に医師の診断書が必要です。診断料が3,000~8,000円前後かかるのと、病院の受診料などがかかります。自治体によっては診断料の一部を助成してもらえることもあるので、ぜひお住まいの地域の役所で確認してみてください。

交付に時間がかかる

障害者手帳は、申請してから交付されるまでに1~3ヶ月程度かかることが一般的です。必要になってから慌てて取得するよりも、余裕を持って申請したほうがよいでしょう。

障害者雇用枠では給料などの水準が低いことがある

障害者雇用枠で働く場合、一般枠に比べて給料が低め、待遇や昇進などの面で不利という企業もあります。しかし、そのような企業ばかりではないので、就職・転職活動の際によく確認や相談をしてみましょう。

精神障害者保健福祉手帳は2年ごとに更新が必要

障害者手帳のうち、精神障害者保健福祉手帳のみ有効期限があり、2年です。更新を忘れないようにしましょう。また、医師の診断の結果症状が軽くなっていると、更新できないケースもあります。

精神的な不安

障害者手帳の取得を躊躇する最も大きな理由として挙げられるのが、心理的なストッパーです。

「自分に障害があることを受け入れられない」
「ほとんど健常者と変わらない生活をしているのに甘えなのではないか?」
「家族から取らないでほしいと泣きつかれた」
このような理由や事情で取得を見送っている方も少なくありません。

障害者手帳の取得は義務ではありませんし、一度取得したとしても、不要な場合は返納することもできます。もしも生活や労働が困難な状況に陥ったとき、「障害者手帳取得」といった選択肢もあるのだと覚えておくだけで、心にゆとりが生まれるのではないでしょうか。

 
キャリアアドバイザー
後ろめたさを感じる/感じさせる「社会的な障害」を取り除くためにも、私たちもより障害の理解促進に努めていきます。

就職への影響は?職場に障害があることがバレるのでは?

特に障害を開示せずに就職する方が心配されるのが、「障害者手帳を取得すると会社の人に障害があると気づかれてしまうのではないか?」という点です。

実は、障害年金を受給している場合、社内の社会保険の担当者(主に人事や総務)に知られる可能性はあります。

しかし、障害があると判明したからと言って、それを本人の意志に反して第三者に暴露したり、障害を理由に減給や降格、差別的な扱いなどをしたりするのは、あってはならないことです。

障害をお持ちの方に限らず、個人情報の保護・守秘義務は個人情報保護法で守られている上、障害を理由とした減給や降格などは、障害者差別解消法で固く禁じられています。

引用元
内閣府|障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律
e-Gov法令検索|個人情報の保護に関する法律

また、障害者手帳を取得することが、就職で不利に働くことはありません。むしろ障害者雇用枠での就職が可能になるため、障害への配慮を受けた就職が可能です。

障害者雇用枠での就職のメリットはほかにもあり、一般雇用枠とは別なので、無理をせず働けて定着率が高いことなどが挙げられます。

 
キャリアアドバイザー
障害の程度によっては、障害をオープンにせず一般雇用枠で就職する「クローズ就労」を選択することも可能です。クローズ就労とオープン就労の違いやそれぞれのメリット・デメリットは、以下の記事を参考にしてください。

生命保険に入れないのではないか?

生命保険に加入する際には審査があります。しかし、審査で見られるのは「障害者手帳を持っているか否か」ではなく、通院の状況や健康状態などの総合的な判断です。

また、障害があることを前提とした保険商品を取り扱っている会社もあります。

 
キャリアアドバイザー
「保険に入れなくなるかもしれないから…」と思って病院に行かないのは、体調悪化のリスクも大きいのでおすすめしません。民間の保険に入らなくても充分に生きていける社会保障・福祉制度が日本には整っています。

引用元
ぜんち共済株式会社|【保険】知的障がい・発達障がい・ダウン症・てんかんの方のために生まれた総合保険です

障害者手帳の申請方法

障害者手帳の取得をする際は、指定医の診断書が必要なため、まずはお近くの市区町村の障害福祉窓口に問い合わせて診断書の用紙を入手しましょう。

その後、医療機関で医師に診断書を記入してもらい、申請書とともに役所に提出します。

障害者手帳の申請に必要なものは、以下のとおりです。

  • 手帳交付申請書
  • 指定医師による診断書
  • 印鑑
  • 証明写真

自治体によっては、本人確認ができるパスポートやマイナンバーカードなどが必要なことがあるため、診断書や申請書を受け取る際に確認しておきましょう。

引用元
神奈川中央障害年金センター|障害者手帳申請手続きの流れ
福岡障害年金支援センター|申請手続きの流れ(障害者手帳)
大阪市|身体障がい者手帳

オープン就労を目指すなら転職エージェントを活用しよう

障害者手帳を取得して障害者雇用枠の就職を目指すなら、障害者雇用専門の転職エージェントを活用するのがおすすめです。そこで、障害者雇用専門の就職・転職エージェントとして10年以上の支援実績をもつDIエージェントを紹介します。

就職の際は、ぜひ活用しましょう。

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DIエージェントでは専属カウンセラーが常駐し、求人のご提案だけでなく書類作成や面接対策などのサポートを行います。

さらにご本人様の希望や経歴、障害の状況などを総合的に勘案したキャリア診断で、求人の種類や適切な活動開始時期、年収相場などを提示するため、よりマッチング率や定着率の高い企業への就職サポートが可能です。

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DIエージェントの強みは、丁寧なキャリア診断に基づいた、ひとりひとりに最適化した求人の紹介です。

未経験職種の提案やこれまで障害者雇用の実例がない企業へのアプローチによって、キャリア転職やハイクラス転職を成功させてきたという実績もあります。職場定着を重視したマッチングを目指しているので、長く勤められる職場への就職を目指す方におすすめのエージェントです。

障害者手帳はお守り代わりに持っていてもデメリットはない

障害者手帳の取得は、障害をお持ちの方の生活や人生にさまざまなメリットをもたらします。就職や転職でもさまざまな福祉サービスを受けられるため、安心して働ける職場環境を手に入れる可能性を高めることもできるでしょう。

マイナス面を気にしている方もいらっしゃるかもしれませんが、今回見てきたように、障害者手帳を持つことで享受できるメリットに対し、デメリットはほぼないと言えます。

なお、転職におけるゴールは「採用されること」ではなく、「自分らしく働ける環境で長く続けること」。その視点から、 ご自身の障害の特性に合った業務に従事することや、障害に理解や配慮のある環境で働くことが大切です。

今の職場を続けていくことに負担・不安を感じている方や、これから障害に合った仕事で就職を目指している方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。

DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠で就職・転職を検討されている方に対して就職・転職についてのアドバイスや、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。

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「今の自分に無理のない働き方をしたい」「理解のある環境で働きたい」というご希望がありましたら、まだ転職は検討段階という状態でも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。