発達障害(ASD・ADH・LD/SLD)の方は疲れやすい?原因や対処方法を知ろう

発達障害(ASD・ADH・LD/SLD)の方には疲れやすいという特徴があります。では、なぜ疲れやすいのでしょうか。疲れる理由を知るとともに、疲れへの対処の仕方を理解しましょう。

発達障害の方が就職・転職活動を行うときにサポートしてくれるサービスについても伝えるので、ご自身の将来に向けて役立ててください。

発達障害(ASD・ADHD・LD/SLD)とは

発達障害(ASD・ADHD・LD/SLD)とは

発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する低年齢で発症する脳機能の障害です。主に下記のような種類と特徴があります。

  • ASD(自閉スペクトラム症):コミュニケーションがうまくいかない・曖昧な言い回しへの理解が難しい・相手の感情や場の空気を読むのが苦手・特定のものへのこだわりが強い など
  • ADHD(注意欠如・多動症):注意力や集中力が低い・待つことが苦手・衝動的に行動する・多動(落ち着きがなく動いてしまう) など
  • LD・SLD(学習障害/限局性学習症):文字や文章の読み書きが苦手・計算や数の概念への理解が難しい・結果や原因を推論できない など

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発達障害の方が疲れやすい原因

発達障害の方が疲れやすい原因

発達障害の方は疲れやすいと言われますが、なぜ疲れやすいのでしょうか。理由として考えられることを紹介します。

1. 感覚過敏でストレスが溜まる

発達障害では、光や音、においなどに対して敏感な方が多いです。

部屋の照明が明るすぎる・近くで工事しており音が響くなど、一般の方でもストレスになりかねない状況はもちろんのこと、刺激に対する反応が強いため、時計の針の音や空調音などのちょっとした刺激でもストレスを感じ、疲れやすくなります。

2. 過集中・完璧主義によりエネルギーを大量消費しやすい

発達障害の方には、作業に没頭して時間を忘れる・休憩を取らずに何らかの行動をし続けるという傾向も。手を抜くことができず根を詰めて完璧に仕上げようとする姿勢は、仕事などでは高く評価されやすいですが、その一方で肉体は非常に疲れてしまいます。

3. 過剰適応で負担になる

たとえばASDの方は、空気を読んだり相手の気持ちを察したりすることが苦手な傾向がありますが、それでも社会生活のなかで適応しようと努めます。

そのため、我慢して、あるいは頑張って周りに合わせようとするがために、知らず知らずのうちに負担がかかって疲れやすいということも考えられるでしょう。

4. 睡眠不足・過剰睡眠

発達障害のなかでも、特にADHDの方は睡眠障害を抱えているケースが多いです。よく眠れない不眠や、反対に寝すぎてしまう過眠により、心身にまで影響が及んでしまいます。

そのため、疲れを感じにくい良質な睡眠をとるためには、室温や光など、自分が眠りやすい環境を整えることが重要です。

 
キャリアアドバイザー
自分で疲れに気づかずに限界を迎え、不調に陥ってしまう方もいます

発達障害で疲れやすい場合の対処法

発達障害で疲れやすい場合の対処法

では、発達障害の方の疲れやすさにはどんな対処をすればいいのでしょうか。4つの方法をチェックしましょう。

1. 刺激を緩和する

刺激に弱い方は、過敏な感覚への対策・工夫を行いましょう。以下のような対策が有効です。

  • 余計な音が耳に入らないようにイヤホンやヘッドホンを着ける
  • 光が強い場合はサングラスをかける
  • 自分が過ごしやすい環境を整えた自宅で働けるようテレワークをさせてもらう など

2. 強制的にこまめな休憩を取る

集中しすぎて時間を忘れてしまうタイプの方は、アラームを設定してこまめに休憩するとよいでしょう。休憩時間をタスク化してスケジュールに入れ込み、必ず休むようにします。

また、伸びやストレッチをする・目を冷やす/温めるなどして、リラックスすることも大切です。休みの日には、運動する・「推し活」をする・カラオケに行くなどしてストレスを発散し、疲れを軽減させましょう。

3. 無理に周囲に合わせずに済む環境を作る

無理して周りに合わせなくてもいいように、一人で過ごすという方法も。友達や仲間と一緒に行動するのがよい、という社会観念を気にしないようにしてみましょう。

仕事においては、仕切られた空間での作業やテレワークにより、あまり人と関わらなくて済むようにしてもらうなどの配慮を受けられるとよいでしょう。

4. 睡眠をコントロールする

睡眠に困難を抱えている方は、リラックスして心地よい眠りにつけるように、音や光などの環境を適切に調整することが大切です。場合によっては病院で診てもらい、薬をもらうなどの対策も取りましょう。

発達障害に対して日常的にできること

発達障害に対して日常的にできること

発達障害では、疲れやすい以外にもさまざまな困難があります。日常生活や仕事においてそのような困りごとがあった場合、どんな対処をすればいいのかを押さえましょう。

自己理解を深める

発達障害の特性や症状には個人差があるので、自分自身の特性について理解することはとても重要です。自分は何が得意で何が苦手なのか、どんなときに困りやすいのかなどを把握しましょう。

自分のことがわかっていると、仕事をするときにも相手に伝えやすく、役に立ちます。

周囲に相談し配慮してもらう

家族や仕事仲間など、周りの人々の協力も欠かせません。自己理解をすると自分の状態を伝えやすく、どうしてほしいのかも明確になりやすいです。

仕事では、周りに対して合理的配慮を求め、必要なサポートをお願いするとよいでしょう。自分に合った職場を見つけるためには、ぜひ就職・転職を支援してくれるサービス(後述)も活用してください。

生活習慣を整える

疲れやすい方は、生活習慣も乱れているケースが多いです。規則正しい生活を送り、体調を管理しましょう。

睡眠については前述しましたが、食事の栄養バランスを考える・適度な運動をすることも大切です。運動はストレッチやウォーキングのほか、瞑想・ヨガなどもおすすめなので、試してみてください。

ストレスを発散する

気分転換・リフレッシュ・テンションを上げることを目的に、自分なりのストレス解消法を見つけて実行してみましょう。

前章でもいくつか例を挙げましたが、植物を育てる・好きな音楽を聴く・おいしいものを食べる・本を読む・好きな番組を見るなど、楽しめることを探してみてはいかがでしょうか。

 
キャリアアドバイザー
自分でできるセルフケア方法を知っておくことと、周囲の協力を得ることが大切といえます

疲れやすい発達障害の方が働ける場所

疲れやすい発達障害の方が働ける場所

つづいて、疲れやすさを感じやすい発達障害の方の就職先にはどんなところがあるか、求人の具体例を挙げます。

株式会社マイナビパートナーズ|一般事務

株式会社マイナビパートナーズ|一般事務

株式会社マイナビの特例子会社にて、テレワークで事務業務を担います。アンケートの集計・資料作成・インターネットでの情報収集などです。

月給は手当などを含めて185,000円で、残業はありません。募集は契約社員ですが、正社員への登用の可能性もあります。年間125日の休みがあり、リフレッシュもしやすいでしょう。

引用元
株式会社マイナビパートナーズの障害者求人(ID:5219)|求人サイト・BABナビ(バブナビ)

非公開求人|データ入力

非公開求人|データ入力

非公開求人で、週20時間からOKの時給制データ入力業務です。入社から1ヶ月程度は出社の必要がありますが、業務習得後は完全テレワークが可能。90分ごとに10分の休憩が3回と、昼休憩が60分で、実働は7.5時間と短めです。

時給は1,113円なので、月給は1,113円×20.4日×7.5時間=170,289円程度になります。時短勤務を希望する場合は、気軽に相談してみてください。

引用元
DIエージェント障害者求人(ご自宅)|No.11077|求人サイト・BABナビ(バブナビ)

発達障害の方が就職・転職時に利用できる支援機関

発達障害の方が就職・転職時に利用できる支援機関

最後に、発達障害の方が就職活動をする際にサポートしてくれるサービスをチェックしましょう。

広汎性発達障害の方がキャリアアップと年収アップを叶えた、下記の転職事例も参考にしてください。

ハローワーク

ハローワークとは、全国にある「公共職業安定所」のこと。窓口や施設に設置してある検索機で、全国の求人情報を調べることが可能です。

ハローワークには専門援助部門が設けられており、窓口には専門の相談員が配置され、障害をお持ちの方が就職活動をするための支援を行っています。

一般向けの求人から障害者枠の求人まで、求職者の状況と企業の募集内容を照らし合わせながら相談に乗ってくれ、障害のある方向けに就職面接会を行ったり、面接に同行したりといったサポート体制を整えていることが特徴です。

参考
障害のある皆様へ|ハローワークインターネットサービス

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)」が運営しており、障害をお持ちの方に対して専門的な職業リハビリテーションを行う施設です。全都道府県に最低1カ所ずつ以上設置することが義務付けられています。

センターでは、直接就職先を紹介するという支援は行っていません。しかし、ハローワークと連携しながら、職業相談を受け付けたり、職種・労働条件・雇用状況などの求人情報を提供したりといった支援を実施しています。

障害者職業カウンセラー・相談支援専門員・ジョブコーチなどが配置されており、専門性の高い支援を受けられることが特徴です。

引用元
障害者雇用関係のご質問と回答|高齢・障害・求職者雇用支援機構

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、一般企業への就職を目指す障害者の方に向けて、トレーニングと就職活動の支援を行うことで就労をサポートする福祉サービス。通所型の障害福祉サービスで、「障害者総合支援法」という法律のもとで運営されています。

利用者にとって、事業所に通いながら就職に必要な知識や技術を獲得でき、職場見学や実習などを行い、事業所職員のサポートを受けながら仕事を探せることがメリットです。

全国に3,300カ所以上あり、利用するためには市区町村で手続きをする必要があります。就職後の定着支援まで行ってくれる事業所もあり、安心して頼れるでしょう。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターとは、障害をお持ちの方の仕事面での自立を図るため、雇用や福祉などの関係機関と連携し、地域で仕事と生活面での一体的な支援を行う施設です。名称が長いため、間の「・」から「なかぽつ」「就ぽつ」などと呼ばれることもあります。

なかぽつは、全国に337カ所(令和5年8月22日時点)設置されています。社会福祉法人やNPO法人などが運営しており、厚生労働省のページにある一覧から、近くのセンターを探すことが可能です。

障害をお持ちの方への就職支援や助言のほか、事業所に対して障害者雇用に関する助言を行ったり、関係機関との連絡調整を実施したりしています。

引用元
障害者就業・生活支援センターについて|厚生労働省
令和6年度障害者就業・生活支援センター 一覧 (計 337センター)|厚生労働省

障害者向け転職エージェント

障害者枠を設けている企業や障害者雇用を推進する企業の求人に特化した、転職エージェントもぜひ利用してください。

障害者の方の就職活動におけるノウハウを持っており、高い専門知識も兼ね備えているので、初めての転職で不安を抱える方も心強いでしょう。そのエージェントしか取り扱っていない、非公開の求人情報を得られる場合もあります。

高い専門知識を持った専任のアドバイザーが、求職者の希望や障害の度合いなどをふまえた上でマッチングを行ってくれるのが特徴です。

就職前の準備から就職後の支援までしっかりサポートしてくれるため、自分の特性にマッチした仕事を見つけやすいというメリットがあります。

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疲れやすい発達障害の方も自分に合った働き方を見つけよう

疲れやすい発達障害の方も自分に合った働き方を見つけよう

病気の特性上、発達障害の方は一般の方以上に疲れやすい傾向があります。しかし、さまざまな対処法があるので、自分の状態に合わせて実践してみてください。

仕事でも必要以上に疲れることがありますが、きちんと休憩を取ったり適切な配慮を受けたりすることができれば快適に長く働けるはず。ぜひ「DIエージェント」を利用して、自分にぴったりの職場に出会いましょう。

障害者の雇用サポートを専門とするDIエージェントは、キャリアアドバイザーが求職者の方とマンツーマンで就職・転職活動を進めます。ヒアリングの結果から、適性やご希望をもとにご提案や必要なサポートを実施していることが特徴です。

まだ転職は検討段階という方でもかまいませんので、まずは一度お気軽にご相談ください。

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監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。