上肢障害がある方の仕事選びはどこに注目?|受けたい支援サービスも紹介!

上肢障害とは、指・手・腕の動きや機能が制限されている障害です。麻痺や欠損などがあり、障害の度合いによっては、日常生活に限らず仕事においても困難が生じる場合があります。

そこで今回は、上肢障害の方におすすめの職種や仕事の選び方、実際に就職・転職活動を進める方法について解説します。

障害の特性に合った業務に従事することや、理解と配慮のある環境で働くことは、安定して長く仕事を続けていくためにはとても大切です。合わない職場環境で働くことによって、障害が悪化したり、別の病気を発症してしまったりする例も少なくありません。

そうならないように、今後の働き方を考える参考として、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みいただけると幸いです。

上肢障害とは?

上肢障害とは?

上肢障害とは、生まれつき腕や指に欠損や機能不全がある、または怪我や病気により、痛み・しびれ・麻痺が生じたり、一部の機能が制限されたりするといったように、主に指や腕に関係する障害のことです。

上肢障害の原因は外傷や脳へのダメージなどさまざまで、先天性の場合と後天性の場合があります。障害の程度によっては、上肢に負担のかかる作業を減らす・リハビリを行うなどの治療による改善も期待できるでしょう。

また、同じく度合いによっては、障害者手帳の取得や障害年金の受給ができるケースもあります。

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上肢障害のある方が仕事をする上でぶつかる悩み・壁とは

上肢障害のある方が仕事をする上でぶつかる悩み・壁とは

つづいて、上肢障害の方が仕事をする際に抱えがちな悩みについて、例を挙げて説明します。

業務内容が限られてしまう

上肢障害を抱えている場合、指先で行う細かい作業や両手を同時に使う作業など、手作業が多い業務は対応できないことが多いでしょう。また、ものを運んだり掴んだりすることも難しいため、職種や業務が制限されてしまいがちです。

一見して分からない場合、周囲の理解が得られにくい

しびれや麻痺など、目に見えない上肢障害の場合は、周りからの理解に時間がかかります。自分でも状態をうまく伝えられず、一見しただけでは「できるのにやっていない」「楽をしようとしている」と思われがちなため、職場の人間関係に影響が出る可能性もあるでしょう。

自分の障害について事前に伝えておくのはもちろん、できないことや時間がかかることはその都度伝えるなどして、理解や協力を仰ぎましょう。

周囲と比べて引け目を感じてしまう

上肢障害をお持ちの方は、他人と比べると、どうしても「できないこと」が多く存在します。そのため、「できない」という事実に引け目を感じて精神的負担になりやすいです。

自分のできない範囲を補うための特別なツールや整備が必要になることもあり、申し訳なさから長期就労に結び付かないというパターンもあります。

作業に時間がかかってしまう

上肢障害を抱えていると、動作が制限されることから、作業によっては時間が長くかかってしまうこともあります。時間をかければ作業自体はできても、時間にシビアな業務の対応は難しい場合も。

そのため、時間的に余裕のある業務を振り分けてもらうなど、周囲からの配慮が必要です。

上肢障害の方でも働きやすい環境とは?

上肢障害の方でも働きやすい環境とは?

上肢障害をお持ちの方は、どんな環境だと働きやすいのでしょうか。就職の前に確認したい職場環境のポイントを解説します。

障害への理解のある環境

当然のことながら、障害に対する理解の深い職場であることが重要です。障害をお持ちの方でも引け目を感じない・精神的負担にならないように、理解を持った人間関係ができあがっていることが理想といえます。

たとえば、障害者雇用の実績がある、または障害者雇用を積極的に進めている会社は働きやすいでしょう。障害者雇用の実績がなくても、社風がよく多様なバックボーンの方が活躍している環境もおすすめです。

上記のような会社は、一人ひとりの事情に合わせて適切な配慮をしてくれることが多いため、しっかり注目しましょう。

また、整備が不足している面においては、気軽に相談し、一緒に職場環境を改善できるような人間関係も必要です。

会社内の設備環境

社内の設備やツールが整っているかどうかもポイント。

業務上で直接的に上肢機能を補う配慮としては、デスクの高さや使いやすさ、仕事で使う道具の配置、文字入力支援ツールなどがあります。

また、トイレやロッカーなどの共用スペースにおける配慮がなされているか、段差でのスロープやフロアの上り下りに利用できるエレベーターが設置されているかなどもチェックしましょう。

サポートを求めやすい職場の雰囲気

和気あいあいとしておりコミュニケーションが活発にできるなど、職場がヘルプを求めやすい雰囲気であることも大切。仕事中に困難が生じても手助けを頼みやすく、作業が効率的になります。

気兼ねしてなかなか言い出せずに困ってしまうといったストレスも抱えにくく、気持ちよく働けるため、長期定着にも繋がりやすいでしょう。

 
キャリアアドバイザー
入社時に障害のことを伝えていたとしても、実際に仕事を進めている中で新たな悩みや課題が生まれることもあります。
その都度サポートをお願いできたり、気兼ねなく相談ができたりする環境であれば、負担を抱えることなく仕事を続けられます。

上肢障害がある方に向いている仕事とは?

上肢障害がある方に向いている仕事とは?

ここでは、上肢障害をお持ちの方にはどのような職が向いているかをご紹介します。

事務系・コールセンター

事務職では、パソコンへの打ち込み・書類作成・伝票整理・備品の発注などのデスクワークが中心です。手指をあまり使わなくて済む業務を担当したり、文字入力支援ツールを使用したりすることで、上肢障害の方でも無理なく働くことができます。

また、コールセンターはヘッドセットなどを使用して受話器を持たずに済むことも多く、ログを残すためのサポートがあれば口頭でのやり取りがメインのため、上肢障害の方にも向いているといえるでしょう。

データ入力

「データ入力はスピードを求められるので上肢障害の方には向いていない」と思われるかもしれません。しかし、業務によってはスピード以上に正確性が求められることもあります。

麻痺が残っている場合や片手のみの入力になる場合も、正確性を重視するデータ入力業務であれば、向いている可能性があるでしょう。実際に、上肢障害をお持ちでデータ入力に従事している方も多数いらっしゃいます。

リモートワーク・完全在宅勤務でやれる仕事

リモートワークや在宅勤務では自分で勤務形態を選べます。自分に合ったツールが手元に揃っており作業しやすい環境下で仕事ができるため、作業効率がよく働きやすいでしょう。

ご経験のある業務

もし中途で上肢障害を負ったことによって今までと全く同じ業務ができなくなったとしても、今のお体でできる一部の仕事をお任せする、というケースもあります。

求人の募集内容とぴったり当てはまらなかったとしても、できることとできないことを明確にした上で、応募時に相談することによって、配慮していただける可能性があるため、経験のある分野での就業も諦めることはありません。

上肢障害がある方の仕事選びのコツとは?|成功への秘訣

上肢障害がある方の仕事選びのコツとは?|成功への秘訣

上肢障害の方が仕事選びに成功するためのコツとして、利用できるサービスをお伝えします。

ハローワークを利用する

ハローワークとは、全国にある「公共職業安定所」のことです。窓口や施設に設置してある検索機で全国の求人情報を調べることができます。

仕事探しの方向性が定まっていない方やキャリアプランのイメージがつかめない方は、窓口で職員に相談してみましょう。アドバイスをもらいつつ、仕事探しを手伝ってもらえます。

また、ハローワークでは、障害を持つ方向けの窓口を設置。障害について専門的な知識を持つ支援員が担当になり、仕事に関する情報の提供や就職相談など、さまざまな支援を実施しています。

地域障害者職業センターを利用する

地域障害者職業センターとは、障害をお持ちの方の就職に向けた専門的な職業リハビリテーションを実施する施設。「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」が運営しており、都道府県ごとに最低1カ所以上設置することが義務付けられています。

地域の福祉サービスを利用することにより、ジョブコーチや職業カウンセラーなど、障害者の就労について詳しく相談しやすい専門家に支援してもらえる点がメリットです。

引用元
障害者雇用関係のご質問と回答|高齢・障害・求職者雇用支援機構

就労移行支援事業所を利用する

就労移行支援事業所とは、障害がある方の一般企業への就職を支援してくれる福祉サービスです。自分に合ったスキルを身につけてから仕事を探すことができ、就職後も定着のためのサポートをしてもらえるため、長く働ける職場に出会いやすいでしょう。

 
キャリアアドバイザー
就労移行支援事業所は、足りないスキルを身につけた上で就職活動に臨めます。やりたい仕事に対するスキルが足りていないと感じたらぜひ利用しましょう。

障害者向け支援のある転職エージェントを利用する

数ある転職エージェントの中から、障害者雇用を専門に行っているエージェントを利用する方法もおすすめです。障害者採用を積極的に行っている企業の求人を取り扱っており、場合によっては非公開の求人情報も得られます。

専任のアドバイザーがつき、就職前の準備から就職後の支援までをトータルでサポート。障害の状況に合った仕事探しができ、ニーズに適した企業とマッチングしやすいでしょう。

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無理なく長く働くために、自分に合った環境や働き方を検討しよう

無理なく長く働くために、自分に合った環境や働き方を検討しよう

上肢障害があることにより、あれもできない、これもできないと諦める必要はありません。障害をお持ちでも、適切な設備やツールなどを利用したり、周りからサポートをしてもらったりすることで、「できる」仕事はたくさんあります。

環境の整った職場探しや支援サービスの利用によって、働きやすい職場を見つけましょう。

障害を抱えながら仕事をする上では、 障害の特性に合った業務に従事することや、障害に理解や配慮のある環境で働くことが大切です。

今の職場を続けていくことに負担・不安を感じている方や、これから障害に合った仕事で就職を目指している方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。

DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠で就職・転職を検討されている方に対して就職・転職についてのアドバイスや、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。

専任のキャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングし、お一人おひとりに寄り添った働き方を提案させていただきます。

「今の自分に無理のない働き方をしたい」「理解のある環境で働きたい」というご希望がありましたら、まだ転職は検討段階という状態でもかまいませんので、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。