緑内障とは目の病気の一種です。その度合いによっては、日常生活に限らず、仕事においても障害が理由で困難が生じる場合があります。
そこで、今回は、緑内障の方におすすめの職種・働き方など仕事選びのポイントや、実際に就職・転職活動を進める方法について解説します。
障害の特性に合った業務に従事することや、理解と配慮のある環境で働くことは、安定して長く仕事を続けていくためにはとても大切です。
合わない職場環境で働くことによって、障害が悪化したり、別の病気を発症してしまったりする例も少なくありません。
そうならないよう、今後の働き方を考える参考として、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みいただけると幸いです。
緑内障とは
ここでは、緑内障の症状や原因、種類について解説します。どのような原因によってどのような緑内障につながるのかを、これまでの生活などを振り返りながらチェックしましょう。
症状・原因
緑内障は、さまざまな原因で視神経が圧迫・障害されることで発症します。そのなかでも多いのが、眼圧が上がる・高くなることで、視神経が傷ついてしまうものです。
眼圧とは、眼の内側で眼の形状を維持する圧力のことで、眼圧の高さは眼の硬さを意味しています。
視神経が傷つくと、脳に伝達される視覚神経刺激の機能が低下します。機能の低下によって、視野が狭まったり視力低下に陥ったりなど、さまざまな症状がみられます。
種類
緑内障は3つに分類されます。ここでは、以下3つの種類について詳しく解説します。
- 原発緑内障
- 続発緑内障
- 発達緑内障
原発緑内障
原発緑内障とは、眼圧が上がる原因が不明である緑内障のことです。
原発緑内障は、原発開放隅角緑内障と原発閉塞隅角緑内障に分類され、眼圧が正常値なのにもかかわらず、緑内障の症状がある場合は正常眼圧緑内障と、原発開放隅角緑内障と原発閉塞隅角緑内障の合併例として混合型緑内障の2つあります。
原発開放隅角緑内障 | 房水の流出経路に異常が見られないのに、慢性的に房水の流れが悪く、眼圧が高い状態が続く緑内障のこと |
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正常眼圧緑内障 | 眼圧が正常値なのにもかかわらず、視神経の障害が進行し、視野が狭まる緑内障のこと |
原発閉塞隅角緑内障 | 眼球のなかにある毛様体で作られた房水が、虹彩と水晶体の間で流れにくくなり、房水が貯まって虹彩(眼球の色がついた部分)が前に押しつけられ、隅角を塞いでしまう緑内障のこと |
混合型緑内障 | 原発開放隅角緑内障と原発閉塞隅角緑内障の合併例のこと |
引用元
緑内障の分類について|眼科専門医の説明 | 大浦アイクリニック
原発開放隅角緑内障とは|眼科専門医の説明 | 大浦アイクリニック
原発閉塞隅角緑内障とは|眼科専門医の説明 | 大浦アイクリニック
続発緑内障
続発緑内障とは、眼圧が上がる原因がほかの眼疾患、または全身疾患、服薬の副作用による緑内障のことです。
続発緑内障は原発緑内障と同様に医師による偶角の診断によって続発開放偶角緑内障と続発閉塞緑内障に区分されます。
続発開放隅角緑内障 | 眼にまつわるそのほかの疾患や、全身疾患、服薬による副作用が原因で発症する緑内障で、隅角が塞がっていないもの なお、続発開放隅角緑内障は、原因によって4つに分類される |
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続発閉塞隅角緑内障 |
白内障が進行して
などを原因に起こる緑内障のこと |
引用元
続発開放隅角緑内障とは|眼科専門医の説明 | 大浦アイクリニック
緑内障とは? – 東京逓信病院
発達緑内障
発達緑内障とは、眼圧が上がる原因が生まれつき(先天的)な緑内障のことです。
具体的には、偶角に発育異常がみられ、眼圧が上昇します。発達緑内障は大きく3つに分類されます。
早発型発達緑内障 | 生後1歳までに発症する緑内障のこと 眼圧が高いために眼球が広がり、涙が多く出たり・光を極端にまぶしく感じたりするほか、まぶたがけいれんする、黒目が白く濁ってしまう、黒目が大きく見えるなどの症状がある 原因は、CYP1B1という遺伝子に変異があると言われている |
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遅発型発達緑内障 | 先天的な隅角異常で、10~20歳のうちに発症する緑内障のこと 早発型発達緑内障のような症状や自覚症状はなく、若年層が緑内障を意識していないために、発見が遅れる場合がある |
そのほかの先天異常 | 無虹彩症、Sturge-Weber症候群、xenfeld-Rieger症候群、Petersʼ anomaly、Marfan症候群、Weill-Marchesani 症候群、ホモシスチン尿症、神経線維腫症、風疹症候群、などを原因として起こる緑内障 |
引用元
発達緑内障とは|眼科専門医の説明 | 大浦アイクリニック
検査・治療方法
緑内障の検査・治療方法は下表のとおりです。
検査 |
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治療方法 |
視野の狭まりや視力低下を食い止めるため、眼圧を低くコントロールさせる治療が一般的
症状や緑内障の種類によってはこれらの治療を用いて視野や視力を維持する |
なお、緑内障は患者の自覚なしに障害が徐々に進行するほか、若年層の緑内障への理解が低く、進行が進み手遅れになる場合もあります。
視野や視力が低下すると、それ以上進まないよう、眼圧を低くするための治療が必要です。一度視野や視力が狭まったり低下したりすると、元に戻すことは難しいため、違和感があるときは、できるだけ早期に受診することが大切です。
緑内障を抱える中で感じやすい仕事の悩み
緑内障を抱える方は、仕事に対してさまざまな悩みを抱えています。たとえば、パソコンを使う業務が多く、目が疲れやすく、頭痛をともなうことが多い方や、眼精疲労によって体に疲れが周り、栄養ドリンクで回復を図らなければならない方などです。
このように、目の不調そのものに限らず、頭痛や体の不調などさまざまな症状を引き起こし、仕事に影響を及ぼしていることがわかります。
緑内障の方にとって働きやすい職場
ここでは緑内障を抱える方へ、働きやすい職場を2つ紹介します。
自分のペースで働ける
緑内障を抱える方が働きやすい職場には、自分のペースで働ける場所が挙げられます。緑内障を抱えていると、急な不調によって急遽仕事を休んで受診したり、経過を観察するために出勤時間を遅らせたりする必要がある場合があります。
自分のペースで働ける職場を選んでおくと、周囲からの理解を得ながら長く働き続けることができます。
パソコンを長時間使う仕事、さらには細かな字をたくさん見るような仕事は目を酷使します。自分のペースで働ける職場を選ぶなら、適度に休憩を得られる環境や職種を選ぶとよいでしょう。
緑内障への理解があり、サポートが受けられる
もうひとつは、緑内障への理解があり、サポートが受けられる職場です。緑内障は治る病気ではなく、治療によって進行を遅らせながら、生涯付き合っていく病気です。そのため、定期的な受診が必要であり、その点について職場から理解を得なければなりません。
症状が辛く感じたときや通院日は、出勤時間を遅らせたり休んだりすることもあります。そのようなときに、周囲の人がサポートしてくれるような体制が整った職場だと、安心して働き続けることができます。
緑内障を抱える方が感じやすい仕事での苦労
緑内障を抱える方が感じやすい仕事での苦労は、たとえば目を酷使するパソコン業務によって眼圧が上がり、その結果、全身にまで疲労がまわって業務に集中できず、周囲に迷惑をかけてしまうなどが挙げられます。
しかし、緑内障を理由に仕事を辞めることはもちろん、目を酷使しない作業だけを上司へお願いすることは難しいと思われます。
緑内障を抱える方は、目を酷使しない仕事を探す前に、緑内障でも受けられる公的支援を探してみることをおすすめします。公的支援を受けられれば、緑内障と上手に付き合いながら長く続けられる仕事に就くことができるでしょう。
緑内障を抱える方が受けられる公的支援・就職(就労)支援
ここからは、緑内障を抱える方が受けられる公的支援・就職(就労)支援について紹介します。
身体障害者手帳
身体障害者手帳とは、身体障害者福祉法によって、身体障害のある方の自立や社会活動の参加を促し、支援する目的をもつ手帳のことです。
概要や取得条件については下記ページで詳しく解説しているので、この機会にあわせてご確認ください。
障害年金
障害年金とは、病気、ケガ、障害を原因とする障害によって、仕事や日常生活に支障をきたす場合に支給される年金のことです。
、国民年金に加入している人が受け取れる障害基礎年金が、厚生年金に加入している人は、障害基礎年金にくわえて障害厚生年金が支給されます。
障害年金については下記ページで詳しく解説しているので、この機会にあわせてご確認ください。
ハローワーク
ハローワークとは、公共職業安定所のことです。障害者枠で仕事を探す場合は、障害者専門の窓口で求人検索や相談ができます。
ハローワークについては下記ページで詳しく解説しているので、この機会にあわせてご確認ください。
求人紹介サービス
求人紹介サービスとは、さまざまな求人を扱い、就労までのサポートを得られるサービスです。障害者枠専門の求人紹介サービスもあり、業務内容や待遇等に加えて、働き方や障害配慮の面でも希望に沿った求人を紹介してもらえます。
障害者専門の求人紹介サービスについては下記ページで詳しく解説しているので、この機会にあわせてご確認ください。
DIエージェントもその一つで、これまでに累計約1,000名以上の方の就職・転職活動をサポートしてきました。
緑内障をはじめとした視覚障害等をお持ちの方も多数サポートした実績があるので、就労における不安を抱える方は、お気軽にご相談ください。
緑内障を抱えながら働くには主治医と職場への相談が大切
障害を抱えながら働く上では、障害の特性に合った業務に従事することや、障害に理解や配慮のある環境で働くことが大切です。今の職場を続けていくことに負担・不安を感じている方や、これから障害に合った仕事で就職を目指している方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。
DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠で就職・転職を検討されている方に対して就職・転職についてのアドバイスや、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。
専任のキャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングし、お一人おひとりに寄り添った働き方を提案させていただきます。
「今の自分に無理のない働き方をしたい」「理解のある環境で働きたい」というご希望がありましたら、まだ転職は検討段階という状態でも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。
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社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。