DIエージェントを通じて転職に成功した皆さんのエピソードをご紹介します。今回は公益財団法人日本生産性本部に転職されたRさんにお話を伺いました。
出産・育児や両親の看病など数々のライフイベントがあっても「市場価値が高いIT人材」としてのキャリアを築くには? 障害の有無にかかわらず企業から「欲しい!」と言われる人材とは?
人事担当者からのメッセージも頂戴しましたので、「選考官がどんなことを気にしているか?」もぜひ参考にしてください。
お話を伺った方:Rさん
事務職としてキャリアをスタート。自身の体調悪化、介護、結婚・出産・育児などライフイベントの都度退職を余儀なくされる。40代で本格的にエンジニアとしての専門性を極めることに。独学してきた「Pythonの知識を活かしたい!」と、2021年2月に最後の転職活動を開始。
公益財団法人日本生産性本部
総務部 兼 ICT・ヘルスケア推進部配属(デジタル化推進業務をご担当)
在宅勤務制度あり
最初は転職するかどうかも迷っていたというRさん。
DIエージェントのキャリアアドバイザーのある一言が背中を押すことに……。
障害、結婚、出産、子育て、介護…変化に負けないIT専門スキルを身に付けて
まずはRさんにこれまでのキャリアを振り返っていただきました。
経理からキャリアをスタート、「マイコンって何?」が好奇心の始まり
私のキャリアのスタートは、人事・総務関連の事務職からでした。
当時は「パソコン」という言葉もなく、「マイコン 」が登場してビジネスのごく一部で使われ出した頃です。
私は「マイコンってなんだろう?」と興味をもって、通信教育で二進法から勉強を始めるといった具合でした。
まさかそれが今の仕事につながるとは思ってもみませんでした。
当時は「結婚して家庭に入るんだ」と思っていましたから。
日々の仕事から興味をもったことを見つけ、学び続ける姿勢がステキです。
思わぬことが自分の将来につながることがあります。
ブランクから職業訓練校でWindowsとの出会い
少しブランクがあったため、再就職の前に「職業訓練校」に通いました。
そこでは簿記とパソコンとの出会いがありました。
1990年代初頭、Windowsが登場した時代です。そこから少しずつデジタルの領域に関わることになったのです。
職業訓練校の紹介で次の就職先が決まりました。
寝袋を持ち込み働く職場で、「いつかどこかで活かしてね」とエール
次に入社した会社はいわゆる「ソフトハウス」でした。
エンジニアの末端としてソフト提供後のユーザーサポートや不具合確認をしたり、研修を受けたりしながら過ごしていました。
先輩社員からかけられた印象的な言葉が二つあります。
「デジタルの世界が向いているね」と、私の才能を見出してくれた言葉。
それから「いつか僕が教えたことをどこかで活かしてね」というエールでした。
彼はとても優秀なエンジニアで、特許も取っているような方でした。
その職場ではソフト開発のため寝袋を持ち込んで仕事をしているようなエンジニアがいる環境でした。当時はそれが普通でした。
だから「デジタルの世界は大変だ、早く足を洗おう」くらいに思って、先輩の言葉を聞いていたものです(笑)。
いつの時代も人材不足のIT業界では、育成にも力を入れている企業も少なくありません。教育体制がしっかりしている企業を選ぶことで、キャリアが切り拓けることも…!
結婚、出産を経て専業主婦に。一変したITの世界に感激!
その後もベンチャー企業を経験して、寿退社。
出産した後は体調を崩しがちになったことも重なり、専業主婦になりました。
子育てが一段落し、パートとして再び社会に出たのは2000年代始め。
コンピュータでもマルチタスクができるようになったと知り、「コレもできる!アレもできる!」と興奮したのを覚えています。
外資系の企業に勤めていたこともあり、当時の日本より20年くらい先の先進的な技術を間近で見られたのは本当に楽しかったです。
ただ、自分の体調不良と子どもの受験が重なり、再び仕事から離れなければなくなりました。
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40代で本格的にエンジニアの道へ
その後、再就職をして「システムアドミニストレータ(シスアド)」として配属されることになりました。
それまでは技術者の横で「すごい!」と言っているような、素人に毛が生えた状態でしたが、この時40代にして本格的に「IT人材として手に職を」とキャリアの軸が定まりました。
頑張りを周囲にも認められ、「プログラミングを学ぶスクールに行ってきて」と会社からチャンスをいただけることに。
業務ではAccessをやっていたので、VBAを学べるコースを選択しました。
学校に通わせてもらったからには、成果を可視化しようと思い、VBA エキスパートの資格も取得したのです。
書類や面接だけでみなさんの実務上の能力を伝え切るのは難しい…そんな時に役立つのは資格です。
IT職種では資格が立派な実績・実力として認めてもらいやすいです。
障害者の方が就職活動や転職活動を有利にすすめるには、資格の取得がおすすめです。資格とは、どのような能力があるのかを客観的に認められたことを示すものです。資格があれば、その方の能力が企業にも正しく伝わり、就職・転職が有利に進みやすくなります。[…]
社内SEとしての活躍、移動時間や5分間のスキマ時間も無駄にしなかった
インプットだけでなく実務を通してアウトプットもできた職場でしたが、出張や不規則な生活が続き、残念ながら私の体力ではついていくことができませんでした。
IT人材不足、そして障害者雇用枠でのIT人材の稀少性からか、次の就職もそこまで苦労なく決まりました。そこでは社内SEとして活躍しました。
オフィスの移転があり通勤時間も伸びましたが、その移動時間も「Progate」というプログラミング学習アプリを使って、勉強は欠かさなかったですね。
先ほどのシスアドや社内SEは障害者雇用枠でも求人が絶えない職種です。
テレワークもしやすく、しっかり見極めれば「無理なく自分らしく働ける職場」も多いです!
障害者枠雇用でもIT人材の求人はたくさん。これからもIT需要は続き、将来性の高い業界です。 この記事では、障害者枠でIT業界への転職を考えている人に向けて、業界の分類、主な職種、年代別の対策や転職を成功させるポイントを解説していきます。 […]
AIやディープラーニングに惚れ込んだ!
10年近く働き続けた頃、新型コロナウイルス感染症が大流行しました。
当時の会社でも急遽テレワークに切り替えられ、対面がメインだった私達の仕事は激減……少し時間にゆとりができたのです。
そこで、テーマを決めて自習するよう会社から指示がありました。
私は最新の技術であるAI(人工知能)について学んでみようと思い、インターネットや書籍を買って調べ、自分でプログラミングを書いてみて……という日々をしばらく過ごしました。
これが私と「Python」の出会いになりますが、ものすごく面白かったですね。
VBAやJavaでは数行必要だったコードがたった1行で書けてしまう。
このすばらしさに惚れ込んでしまいました!
たとえ日々嫌なことやモヤモヤすることがあっても、5~10分プログラミングの勉強に集中してしまえば全部忘れられます。
それほど私にとってプログラミングとSEの仕事は心躍るもの だったのです!
Rさんの場合はまさに「好きを仕事にした」好例です。
カウンセリング時からもお仕事への情熱・前向きさが伝わってきました!
本人も驚きの条件アップ入社! 「仲間が見つかった、これまでの出会いに感謝」
ここからはさらに、Rさんが今回転職活動を開始されてから現在のご就職先の決定・入社後についてDIエージェントからお聞きしました。
Q1.今回ご転職のきっかけを教えてください
私の中で、「Pythonのスキルをもっと活かしてみたい」という気持ちが芽生え始めていました。
それまでの職場は嫌なことももちろんありましたが、慣れ親しんでいたこともあり退職するかどうかも迷いがある中でDIエージェントに登録しました。
転職活動開始当時で58歳だったので諦めもあったのですが、初回カウンセリングで担当のキャリアアドバイザーさんが私の経歴を聞いた上でポロっと呟いた「これは条件アップしますね」の一言にビックリ!
「じゃあ試しに……」と転職活動をしてみる気になったのです。
Q2.今回の転職活動はどのように進められましたか?
DIエージェントのような障害者雇用専門のサイトの他に、一般のエージェントも利用しました。
業務未経験の独学であってもPythonを扱えること、また「Python 3 エンジニア認定基礎試験」の資格を持っていたことも追い風になり、多くの企業からオファーがくるような状況でした。
数社から、「一緒に働きたい」とおっしゃっていただけました。
結果としてはそちらには就職しませんでしたが、面接をしてくださった様々な立場の方のお話は非常に刺激になりました。
これまでも複数の企業を渡り歩いてたくさんの良い出会いがありました。
転職って出会いなんだなぁと感じています。
Q3. 約10年ぶりの転職活動、大変なことはありましたか?
先ほど「オファーがたくさんきた」とお伝えしましたが、いざ年齢を明かすと、定年制度などの関係から条件が合わず落とされてしまうこともしばしば……。
「それでも条件を合うところを!」とDIエージェントはたくさん紹介してくださいました。
また、時代は変わったなと感じました。
1つは社会の温かさです。障害者雇用に限らず、ダイバーシティへのまなざしが変化して、受け入れの土壌が培われてきているように感じています。職種や働き方も多様化していることに驚きました。
2つめは、採用の進め方です。
DIエージェントの初回カウンセリング、企業の面接、内定まで全てオンラインで済んでしまいました。便利な世の中になったものだなと驚きです。
オンラインの選考でしたが、今の就職先、日本生産性本部は面接担当者のやさしい雰囲気が画面越しでも伝わってきました。会話も弾んでしまいましたね(笑)。
3つめは、DIエージェントのサポート体制です。
面接時の環境や就職先の特徴など情報がとても豊富で、驚くとともに大変心強く、安心しました。このサポート体制は、本当にありがたかったです。
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Q4.日本生産性本部さんへ内定承諾をされた決め手はなんですか?
先ほどお伝えしたように、面接での雰囲気が非常に和やかだったこと。
そして、スキルを活かせる・伸ばせると感じたことでしょうか。
求人票に細かく必要スキルが書かれていたので、「これはできる」「このアプリは触ったことがないけれども、これまでのスキルを応用すれば問題なく使えそうだ」とリアルに働くイメージが湧き、具体的にスキルのPRができました。
選考もトントン拍子で進み、キャリアアドバイザーさんが話していた通り、求人票に書いてあった年収提示額よりもさらに上回る年収でのオファーがきて、即内定承諾をしました!
実際入社してみると、「公益財団法人」に抱いていたイメージよりも風通しが良いことに驚いています。
また、配属部署の雰囲気もピッタリでした。独学でプログラミングを学ばれている方もいるのですが、偶然にも同じPythonのテキストを買っていて……「一緒に勉強する仲間が見つかったぞ♪」という気持ちで、毎日楽しく働いています(笑)。
Q5.最後にこれから転職をされる方にぜひメッセージをお願いいたします。
あきらめずに学び続けること。
たとえば、「Ctrl + Cでコピー」「Ctrl + Vでペースト」というたった二つのショートカットを覚えるだけでも、数秒の時間短縮になります。その積み重ねがものすごい業務の効率化になるわけですよね?
このようなスキルをないがしろにせずに学び続けることで、どんどんスキルは向上していきます。
そして、学びのとっかかりや総まとめとして資格を取ることも有効です。
資格は「自分の能力は世間一般に求められている水準ではどうなのか?」を可視化する機能があります。
私のようなIT職に限らず、事務職でもWordやExcelなど業務に特化した資格を取ることで、企業から「欲しい」と言ってもらえる人になれるでしょう。
1日10分の勉強でも取れる資格もあるのですよ。活用しない手はありません。
年齢にとらわれず、大変な状況にある方もあきらめずに前を向いて欲しいなと思っています!
私の経験が役に立ったら嬉しく思います。
Rさん、ありがとうございました!
まだまだRさんの活躍可能性が広がっていきそうで私共としても就職のサポートができたこと光栄に思います。
人事担当者の目線! 日本生産性本部・中村様よりメッセージ
また、今回は特別に就職先の日本生産性本部で人事を担当されている中村様よりメッセージもいただきました。
「企業はどんな人材が欲しいのか?」の参考にもしてくださいね。
Rさん、この度は入職おめでとうございます。
豊富なご経験や当本部の欲していたスキルにマッチしたこともさることながら、DIエージェントから送られてきた推薦文にあった「知的好奇心が高く、かわいらしいお方です」といった一文に惹かれました。
「これはぜひお会いしてみたい!」と面接でお会いすることになりました。
ご推薦の通り非常に勉強熱心で、チャレンジ精神をお持ちの方だというのが面接での第一印象です。
正直、この年代の方は「定年」という一区切りに向けてどこか受け身になりがちなイメージを抱いておりました。そのような中、Rさんは「まだまだ新しく身に付けたスキルを活かして、挑戦していきたい!」と一貫したメッセージを伝えてくださったことが印象に残っています。
私たちは年齢や障害にとらわれず、そのような意欲的な方と一緒に働いていきたいと考えております。
共に働くことができ嬉しいです。これからもDX推進に向けて、どうぞよろしくお願いします!
まとめ:自分の市場価値を知るためにもエージェントは気軽に使ってみて
Rさんの事例からの学びをまとめてみました。
- 日々の業務に真剣に取り組むことで思わぬところで将来の道が拓ける
- 専門スキルを身に付けていればライフイベントの変化も乗り越えられる
- 主体的な1日数分の学びを継続することが市場価値の高い人材になるカギ
就職した会社の教育体制が恵まれていたこともありますが、Rさんは業務で興味をもったことを自ら学び、それを継続されています。
今回はITスキルのエピソードを中心にお話を伺いましたが、このような素質をもつ人材は職種を問わず重宝されます。
またDIエージェントからお伝えしたいポイントは2つあります。
②障害者転職市場の理解×第三者目線で、企業により魅力的にアピールをする
Rさんのようなハイスキルな専門職の場合、企業によってPRポイントを変えていくことも重要です。履歴書や職務経歴書などはついつい使いまわしをしてしまいがちですが、企業に求められていることをより深く理解し、書類や面接の答え方を企業ごとにカスタマイズしていくと内定にグンと近づきます。
もちろん、DIエージェントではそのようなアドバイスや企業側への推薦も実施しています!
Rさんもおっしゃっていたように、転職は一つの出会いの契機です。
DIエージェントでは無理な転職を勧めることはいたしません。
「市場価値を知りたい」「キャリアの棚卸をしたい」
そのような気軽な感覚でぜひエージェントも利用してみてください。