障害者雇用枠でも年収500万円は目指せる?平均給与・必要スキル・高年収を稼ぐコツも紹介

ネットの情報を見ると「障害者雇用枠は年収が低い」「障害を持っていると年収アップを目指しにくいのでは?」という印象を持ちやすいかもしれません。ですが、ポイントをつかめば年収500万円を目指すことは十分可能です。
この記事では、年収500万円を目指したい障害者の方向けに、障害者の方の平均給与・雇用形態・賃金の支払い形態、健常者との年収に差がある理由などについて説明しています。また、年収500万円を稼ぐために必要な条件やスキルについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

障害者雇用枠で年収500万円は可能?

前述の通り、障害を持っていても高年収を目指すことは十分可能ですが、必要なスキルや要素を満たすことが条件となります。参考までに、年収500万円がどのくらいの水準なのかを知るために、障害者の方の平均給与の実態をご紹介します。


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障害者の方の平均月収・雇用形態・賃金の支払形態など(厚労省データ)

参考情報として、厚生労働省のデータから障害者の方の平均・雇用形態・賃金の支払い形態についてご紹介します。

身体障害者の場合

厚生労働省のデータでは、身体障害者の雇用形態は、無期契約の正社員が49.3%、有期契約の正社員が3.2%、無期契約の正社員が19.9%、有期契約の正社員以外が27.2%となっています。
労働時間は、約80%の身体障害者が30時間以上労働をしているという調査結果が出ています。また、給料支払い形態としては月給制が約58.6%、時給制は約34%、日給制が4.6%となっています。

知的障害者の場合

知的障害者の雇用形態は、無期契約の正社員が18.4%、有期契約の正社員が1.4%、無期契約の正社員以外が40.9%、有期契約の正社員以外が39.1%となっています。労働時間は、30時間以上働いている人が65.5%で、20時間以上30時間未満で働く人は31.4%です。また、給料支払い形態としては時給制が73.8%、月給制は19.9%、日給制が6%となっています。データからは、知的障害者は正社員以外の雇用形態で、時給制で働く人の割合が高いことが分かります。

精神障害者の場合

精神障害者の雇用形態は、無期契約の正社員が25%、有期契約の正社員が0.5%、無期契約の正社員以外が46.2%、有期契約の正社員以外が28.2%となっています。労働時間は、30時間以上働いている人が47.2%で、20時間以上30時間未満で働く人は39.7%です。また、給料支払い形態としては時給制が68.9%、月給制は28.6%、日給制が2.3%となっています。データからは、精神障害者は正社員以外の雇用形態で、時給制で働く人が多く、週に30時間働く割合が比較的少なめであることが分かります。

発達障害者の場合

発達障害者の雇用形態は、無期契約の正社員が21.7%、有期契約の正社員が1.0%、無期契約の正社員以外が31.3%、有期契約の正社員以外が45.9%となっています。労働時間は、30時間以上働いている人が59.8%で、20時間以上30時間未満働く人は35.1%です。また、給料支払い形態としては時給制が約71.8%、月給制は約27.2%、日給制は1%となっています。データからは、発達障害者は正社員以外の雇用形態で、時給制で働く人が多いことが分かります。

参照:厚生労働省『平成 30 年度障害者雇用実態調査結果』

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障害者と健常者の年収に差があるのはなぜ?

国税庁の「民間給与実態統計調査 (平成30年分)」によると、国民全体の平均年収(1年を通して勤務した給与所得者の1人あたりの平均給与)は441万円となっており、障害者の方との年収に差があることが分かります。こちらでは、「なぜ障害者と健常者で年収に差が出てしまうのか」についてご説明していきます。

労働時間に差がある

障害者の方は体調の安定化などのためにフルタイム勤務(1日7.5時間から8時間)でなく短時間勤務をしていることが多く、健常者よりも労働時間が少なくなり年収も下がりやすい傾向にあります。また、勤務時間を調整しやすくするために月給制ではなく時給制で働く人も多く、それによりボーナスがなく年収が低くなることも考えられます。

仕事上の「配慮」を受けている場合も多い

障害者の方の場合、障害の状況によって勤務先に業務上の配慮を希望していることが多くあります。それにより比較的負担が少なく、自分のペースで進められるアシスタント系の仕事に就く場合が多く、結果的に年収が下がることがあります。

障害者雇用枠で年収500万円を稼ぐために必要な条件・スキルは?

障害者の方の平均給与を考えると、障害者雇用枠で年収500万を目指すことは簡単なことではないようにも思えます。ではどうしたらいいのでしょうか。次から障害者の方が年収500万円を稼ぐために必要な条件やスキルをご紹介します。

業務経験がある

年収500万円以上を稼ぐことができる実際の求人では、同一職種での「3年以上の業務経験」が求められることが多くなります。そのため、障害者の方が年収500万円を稼ぐためには業務経験があることが重要です。

専門スキル・資格がある

何かしらの専門スキルを持っていると、年収500万円の仕事への転職に有利になります。例えば、プログラミングや簿記などのスキル・資格を持っていると年収アップに効果的です。
近年はIT人材の需要が急激に高まっており、Webサイトの作成やシステム開発、アプリゲームの開発などのスキルはIT関連の仕事への転職に有利です。また、経理や財務といった専門職は業種を問わず必要とされるため、簿記などの資格を持っていると高年収を目指しやすくなります。

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語学力がある

英語などの語学力も、年収アップを目指すうえで武器になります。英語資格のTOEICでは、障害や健康上の理由で配慮が必要な人でも受験ができるように「プライオリティサポート」が用意されているため受検しやすくなっています。
プライオリティサポートでは具体的に次のようなサポートを受けることができます。
・【視覚障害の場合】拡大版問題用紙と拡大版解答用紙を用意。点字受検可能。
・【聴覚障害の場合】スピーカー近くの座席で受験可能。リスニングセクションをイヤホンやヘッドホンで受験できる。
・【車いす利用・歩行障害の場合】車いす専用トイレのある会場利用、1階教室またはエレベーターの利用できる会場での受験が可能。

1つ注意しておきたいのは、転職市場では資格以上に「実務経験」が重視されるので、「資格はあるけど職種自体は未経験」という方は、いきなり高年収を目指すのは難しい場合があるということです。まずはその職種の経験を積める会社に入ってスキルを高め、そのうえで高年収を目指していくといいでしょう。

給与水準が高い企業を狙う

「特別なスキルや資格は持っていないな・・・」という方も中にはいるかもしれません。
ごく一部のケースですが企業によっては、業務内容は他の企業と同じでも、その企業の給与水準が高いために高年収を狙えるという場合もあります。外資企業や商社、業績好調な大手企業の一部などがその傾向にあります。経験やスキルに自信がないという方は、そういった業界の求人を探してみることをおすすめします。もちろん、待遇の良い企業ほど多くの求職者が応募するため競争率は高まりますし、すぐに募集終了となる可能性もあるので気を付けましょう。

自力ではなく、エージェントを活用する

年収500万円を目指して、自分1人だけで条件のいい仕事を探すのは大変です。転職活動全般をサポートしてもらうためにエージェントを活用するのもおすすめです。
エージェントでは、キャリア相談、希望条件に合った求人の紹介、選考の対策、企業との年収交渉などを行ってくれます。求人サイトには掲載されていない非公開求人も含めて紹介してくれるので、優良求人に出会える可能性もあります。

エージェント経由で年収500万を目指す方法

エージェントを活用して障害者の方が年収500万円を目指す方法をご紹介します。

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ポジション開拓をしてもらう

これは、何かしらに特化したスキルや資格をお持ちの方におすすめの方法です。
エージェントによっては「ポジション開拓」を行っているところがあります。ポジション開拓とは、求人をまだ出していない企業に対して、エージェントから求職者のプロフィールを伝え「御社でこのようなスキルが生かせると思うので、選考してもらえませんか」と掛け合い、求人を開拓することです。
障害者雇用枠の特徴として、企業側は応募者を集めやすいよう、障害の内容を問わず対応しやすい一般事務やアシスタント業務のような求人を多く出す傾向があります。しかし、「スキルがマッチする求職者がいれば募集中の求人に限らず積極的に採用したい」という企業も少なくないため、エージェントが掛け合うことで新たに出てくる求人もあるのです。
何かしらに特化したスキルや資格をお持ちの方は、ポジション開拓をしてもらえるかどうかエージェントに相談してみるとよいでしょう。

経験・スキルを具体的に伝える

希望条件を満たす仕事に転職するためには、自分の経験やスキル、強みをしっかりアピールすることが大事です。学歴や職歴だけでなく、専門的な資格やスキルがあれば履歴書や職務経歴書、面接で強調しましょう。前職での成果がある場合には、具体的な数値で説明すると採用担当者の印象に残ります。
エージェントを利用すると、履歴書や職務経歴書の添削や面接対策をしてもらえます。「履歴書や職務経歴書で自分の強みをうまくアピールできない」「面接がうまくいかない」という人におすすめです。

希望年収の伝え方のポイント

自力で転職活動をする場合、希望年収を伝えたり、給与交渉を行ったりするのはハードルが高いと感じてしまう人は多いと思います。前職や現職での給与、スキルに見合った希望年収であれば伝えても失礼に当たることはありません。エージェントを通して、スムーズに給与交渉をしましょう。


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まとめ

「労働時間が短い」「配慮を受けている」といった理由で、障害者の方の平均年収は健常者の平均年収と比べると低い傾向にあります。ですが、業務経験や専門スキルを磨いていくことで年収500万円を目指すことは十分可能です。さらに、エージェントを活用すれば希望条件に合った求人の紹介、選考対策、年収交渉などをしてもらえるので、転職活動を1人で進めることに不安がある人でも安心して進められます。
本記事でご紹介したポイントをぜひ参考にしてみてください。

監修:高橋 平
障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザー。
早稲田大学卒業後、(株)D&Iに入社。 障害者雇用ソリューション営業、転職キャリアアドバイザーと幅広い領域を担当。現在はHRソリューション事業部の副部長として、DIエージェントの責任者を務める。