障害者枠の自己PRはどう書けばよい?4つのポイントと【障害別】【職種別】の例文を紹介

就職や転職活動で、必ずといって良いほど提出するものの一つが履歴書です。多くの履歴書には自己PRを記載する箇所があり、選考における重要な材料となります。
また履歴書以外にも面接で自己PRを求められることは少なくないため、内定を勝ち取るためには入念な対策が必要となるでしょう。
今回は障害者の方が就職・転職活動をする際の自己PRで押さえるべきポイントや、実際の例文を紹介します。

自己PRとは

自己PRとは単なる自己紹介ではありません。希望する仕事をするにあたって必要となる人柄や熱意、強みをアピールし、相手に認めてもらうことが目的です。
つまり採用担当者があなたの自己PRを読んだ時に、「この人を採用したい!」と思われるような内容にする必要があるのですね。
もし応募先から字数が指定されている場合は、指定字数の8割以上は書くことを意識しましょう。特に指定されていない場合は300~400字程度にまとめると、ちょうど良い分量となります。


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自己PRで押さえるべき4つのポイント

自己PRはなんとなく自分をアピールするだけではいけません。ポイントを押さえて作ることで、相手に伝わる効果的な内容となります。自己PRで押さえるべきポイントを4つ見ていきましょう。

自分の強みを伝える

まずは自分の強みを伝えることです。ポイントは企業が求めている人物像に沿った形で、強みをピックアップすること。仕事に直結するスキルや知識があれば、積極的にアピールしましょう。
もし仕事に関係するスキルや知識がない場合は、長所を強みとしてアピールします。「集中力があり、何事にも根気よく取り組める」「柔軟性が高く、イレギュラーな事柄にも対応できる」などです。

根拠を具体的に伝える

自己PRする際は根拠も一緒に伝えるようにしましょう。ただ単に「~ができます」「~が得意です」と伝えても、採用担当者にはイメージがわきません。
「〇〇の目標を〇%達成することができました」「社内で〇〇賞をいただきました」など、その強みによってどのように会社に貢献できたかを伝えると、より説得力が増すでしょう。

具体的なエピソードを伝える

具体的な実績がない場合には、自分の強みとともにエピソードを添えてみましょう。「お客様から〇〇のような声をかけていただきました」「上司から〇〇といった評価をしてもらうことができました」等、客観的なフィードバックを入れるといいでしょう。

企業・求人にマッチした人材であることを伝える

最後はあなたが企業や求人にマッチした人材だと伝えることです。あなたが持つ強みやスキルなどと同時に、どのように貢献できるのか、そして活躍できるのかも伝えていきます。あなたを採用した際の活躍する姿を、採用担当者にイメージさせることが大切ですね。
予定されている業務内容をピックアップした上で、どのように活躍できるのかも伝えましょう。

自己PRを考えるステップ

自己PR作成のポイントを押さえたら、実際に自己PRを作っていきましょう。実際に作るための3つのステップを紹介します。

自分の経験を振り返る

最初のステップは、あなた自身の経験を振り返ることです。これまでの歴史を振り返り、仕事や受験、資格取得、その他がんばったことについて内容を掘り下げてみます。
特に困難なことや課題となったことを思い返し、解決するために努力したことをピックアップしてみましょう。努力の結果どうなったのか、そして出来事から何を学んだのかも整理できると完璧ですね。

障害を客観的にとらえる

次はあなたの障害を客観的にとらえることです。自分では何となく理解しているつもりでも、実際に他者に伝えるとなると案外難しいものです。他人に伝えるつもりで一度整理をしておくと良いでしょう。
障害の特性やできること・できないことを整理します。ポイントはできないことに対して、どのような配慮が必要なのかをセットとして考えることです。
「車いすを使用しているので、満員電車に乗れません。朝は1時間ほどの時差通勤を許可していただければ問題なく通勤ができます」
「耳からの情報理解が苦手です。仕事の指示は文章で示してもらえると理解しやすいです」など、具体的な場面での配慮事項を一緒に考えてみましょう。

志望企業について調べる

企業が欲する人物像に合わせて、自己PRをするのは必須です。
応募をする企業の採用ページや求人票などを徹底的に調べてみましょう。企業理念や目的、業務内容、独自性などを理解した上で、企業が求めるものに沿った形で自己PRをすることが大切ですね。
エージェント経由で受けている企業の場合には、エージェントに企業の求める人物像や募集背景を聞いてみてもいいでしょう。


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自己PR例文

最後に自己PRの例文を紹介します。障害別・職種別にそれぞれ紹介するので、自己PR作りの参考にしてください。

【障害別】自己PR例文

まずは障害別です。上肢障害と下肢障害、視覚障害、そして発達障害の4つに分けて紹介します。

上肢障害の場合

2年前に交通事故に遭い、右上肢に障害が残りました。当初は左手のみの生活に慣れませんでしたが、懸命なリハビリや練習を重ね現在は左手だけでパソコン操作も可能です。電話の受話器を手で持ちながらメモを取ることができませんが、ヘッドセットやイヤフォンを使用すれば左手でメモが取れます。
私の強みは根気強さです。事故後のリハビリは身体的・精神的にも大変でしたが、諦めずにやり遂げました。持ち前の根気強さで、事務の仕事もコツコツと確実にこなしていきたいです。

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下肢障害の場合

私は下肢に障害があり、移動時は車いすを使用しています。前職はPCスクールの指導者をしていました。持ち前のPCスキルを活かして、利用者に基本的なPC操作を教えていました。MOSとACAの資格を取得しているため、事務作業はもちろん、社員の方へのPC研修などでもお役に立てると思います。
障害への配慮として、車いすでも移動ができるように、通路には物を置かないようにしていただけると助かります。

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視覚障害の場合

先天性の視覚障害で、視力は両目で0.03です。拡大ソフトを使用すれば、パソコン操作ができます。
前職は介護施設で経理の仕事をしていました。仕事をしながら簿記2級の資格を取得したため、御社での経理業務にも活かすことができるかと思います。

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発達障害の場合

私は専門学校でプログラミングを学びました。コツコツと一つのことを進めるのが得意です。専門学校では地道に作成したプログラミング課題で、優秀賞をもらったこともあります。発達障害の特性から、耳で聞いた情報を記憶にとどめておく「短期記憶」が弱い傾向にあります。業務指示をいただく際は、メモを取る時間をいただけますと幸いです。
実務経験はありませんが得意のプログラミング技術、そしてコツコツと進める能力を活かして、御社に貢献できると思っております。

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【職種別】自己PR例文

続いては職種別の自己PR文をチェックしていきましょう。一般事務と経理、IT系、そして企画職の4つです。

一般事務の場合

私の長所はお客様へのおもてなしの心が高いことです。前職も一般事務でしたが、電話対応や来客対応をすることが多々ありました。お客様にとって初めて接する事務職は、まさに会社の顔。お客様一人ひとりに良い印象を持ってもらえるように言葉遣いには気を付け、常に丁寧な対応を心がけました。
貴社の一般事務の仕事でも、私が持つおもてなしの心が活かせると思っております。

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経理の場合

現在広告代理店の経理職として勤務をしております。通常経理業務だけでなく在庫管理や営業職のサポート業務など、幅広い業務を任せてもらっています。より一層会社に貢献できる経理を目指して、昨年簿記1級の資格を取得しました。仕事をしながらの資格取得で大変でしたが、以前よりも経理職としてのスキルアップを実感しております。
貴社でも経理としての経験と簿記1級の資格を活かし、貢献できればと思っています。

IT系の場合

大学卒業後は不動産会社で営業職として、5年間勤務をしました。もともとプログラミングに興味があったため、仕事をしながらプログラミングスクールへ通い、今年の春に卒業しました。プログラマーの仕事は未経験ですがスクールで学んだJavaとPHP、そして営業職で培ったバイタリティやコミュニケーション能力を活かして、御社で貢献させていただければと思います。

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企画職の場合

食品会社の商品企画部門で働いています。販売促進のために商品パッケージや価格設定、集客のためのキャンペーンなど、多様な視点からの企画業務を行っています。プロジェクトリーダーとして携わった昨年の企画では、売り上げが前年比30%増加となり、社内で高い評価を得ることができました。

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まとめ

就職・転職活動で必須となる自己PRとは、単なる自己紹介ではありません。企業が求める人物像に照らし合わせた上で、あなたの強みや長所、持っているスキル・知識を上手に伝える必要があります。
今回紹介したポイントやステップに沿って考えながら、企業から好印象を得られる自己PRをぜひ作成してみてください。DIエージェントでは、履歴書・職務経歴書の添削、面接対策などを行っているので、ご相談もお待ちしています。

監修:高橋 平
障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザー。
早稲田大学卒業後、(株)D&Iに入社。 障害者雇用ソリューション営業、転職キャリアアドバイザーと幅広い領域を担当。現在はHRソリューション事業部の副部長として、DIエージェントの責任者を務める。