発達障害とは脳の発達に関する障害です。その度合いによっては、日常生活に限らず、仕事においても障害が理由で困難が生じる場合があります。
そこで今回は、発達障害の方にオススメの仕事探しのポイントや求人事例を紹介します。
障害の特性に合った業務に従事することや、理解と配慮のある環境で働くことは、安定して長く仕事を続けていくためにはとても大切です。
合わない職場環境で働くことによって障害が悪化したり、二次障害を発症してしまったりする例も少なくありません。
そうならないよう、今後の働き方を考える参考として、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みいただけると幸いです。
発達障害の種類から見る特性と仕事の探し方
発達障害とは、脳に関する障害の一つで、特性によっては他人とのコミュニケーションに苦手意識がみられたり、細かなミスが続いたりすることも少なくありません。
苦手意識やミスがみられるその一方で、ある部分に優れた能力を発揮することも多く、自分の特性に理解を深めることで仕事探しがスムーズに進められます。
ここでは発達障害に含まれる3つの特性のある方へ、特性に応じた仕事の探し方を紹介します。
ADHDの特性と仕事の探し方
ADHDは不注意や多動性、衝動性が言動に現れます。忘れ物やスケジュールに抜けが生じる、集中力が続かない、計画を立てずに思いついたまま行動してしまうなどの特徴があります。
この特性について理解を深めておくことで、自分なりにリカバリしながら就労することが可能です。例えばスケジュール管理に苦手意識があるという方は、手帳やスケジュール管理アプリに翌日取り組むことをメモしておくと管理漏れを予防できます。
集中力が続かない方、多動性に悩む方であれば、毎日同じことを繰り返すような職業ではなく、慎重さを深く求められない職業や行動力の高さを活かせる職業を選ぶと良いでしょう。
ASDの特性と仕事の探し方
ASDの大きな特徴はコミュニケーション障害と対人関係障害、そしてこだわりの3つです。コミュニケーション障害とは耳から入った情報などの処理を苦手とすることです。
対人関係障害は相手の気持ちの想像や、場の空気や暗黙のルールを理解しにくいこと、そしてこだわりとは物の位置やスケジュール・順序などが決まっており、急な変更が苦手なことです。
対人関係はどの職業に就いても避けられないことであるため、自分なりにリカバリできる方法を探すのがポイントです。
ASDの方が仕事を探す上では、対人関係をリカバリする方法として、他人と関わる機会の少ない職業を選ぶと良いでしょう。
例えばテレワークや庫内での軽作業などが挙げられます。ASDの方には一つのことに高い集中力を発揮できるといった特性があるので、マニュアル化された物事をコツコツと取り組める職業もオススメです。
LDの特性と仕事の探し方
LDは知的発達に遅れはないものの、読み・書き・計算などの一部において、著しい困難が生じるのが特徴です。文章を読むのが遅かったり読み間違えたりする、バランスを取って文字を書けない、数の概念が身に付かないことから計算ができないなど、人によって症状の表れ方はさまざまです。
これらの特性を踏まえて自分にあった仕事を探すのであれば、どの点に特に苦手意識を抱くかを洗い出して決めると良いでしょう。例えば文章を読むことに苦手意識を抱くのであれば、目で見て物事を捉えられるデザイナー、カメラマンといった職種が向いています。
LDは人によって苦手意識を抱く分野が異なるので、どの部分が特に苦手かを明確にすることで、自分にあった仕事が探しやすくなるでしょう。
発達障害の人にとって難しさを感じる仕事・職場環境
発達障害には様々な特性障害があり、苦手・得意とする分野も人によって異なります。例えばADHDやASDの方だと、一つのことに高い集中力を発揮して取り組める特性により、職人気質と言われることも多いです。
しかし、スケジュール面や金銭面で細かな管理が求められることから、フリーランスや個人事業主といった働き方はオススメできません。
このように、発達障害の種類によっては、人によって苦手とするもの、得意とするものがまったく異なります。
自分なりに特性障害について理解を深め、工夫次第で働けるとわかっても、仕事探しに迷いや不安を抱えることもあるでしょう。
そのようなときは、就労支援機関の利用がオススメです。就労支援機関には発達障害を含むさまざまな障害について豊富な知識を持つ職員が在籍し、就労にまつわる多角的なサポートが受けられます。
特性や困りごとによっては就労形態を変える方法も
就労支援機関の利用に限らず、特性や普段の暮らしの中でみられる困りごとによっては、就労形態を変えるのも方法の一つです。
特性障害によっては、一般雇用ではなく障害者雇用で働くことができます。この場合は障害者手帳のうちの一つである「精神障害者保健福祉手帳」の交付を受ける必要がありますが、職場の人から必要な配慮を受けながら働くことが可能です。
一般雇用・障害者雇用のどちらを選ぶかは自由です。特性障害があっても自分にあった職場を選びたいと考える方は、障害者雇用も視野に入れると良いでしょう。
特性障害を公開せずに働くことをクローズ就労、開示し、配慮を受けながら働くことをオープン就労と呼びます。
これらについてもDIエージェントで紹介しているので、以下の記事もあわせてご覧ください。
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障害者雇用にはどんな働き方がある?職種や利用できる支援制度、仕事をする上での悩み、成功事例を紹介
障害者雇用のメリットとデメリット|一般雇用との違いや障害者雇用枠の仕事探しについて解説
クローズ就労とオープン就労の違いとは?それぞれの概要やメリット・デメリットを解説
発達障害の方におすすめの就労支援機関
続いては発達障害をお持ちの方の、主な求人の探し方を見ていきましょう。
ハローワーク
ハローワークには、障害者雇用の専用窓口があり、担当の職員と相談をしながら求人を探すことができます。
全国各地に開設されていることはもちろん、求人数が圧倒的に多いのが魅力です。
就職・転職サイト
インターネットで検索すると多くの就職・転職サイトがヒットしますが、これらの活用によっても自分にあった仕事を探すことができます。
掲載されている求人数は一般採用枠と比べて少ないものの、企業一つひとつの情報量は多いです。実際の職場の様子が写真で載っていることもあるため、イメージがわきやすくなっています。
企業の採用サイト
企業によっては障害者雇用枠を設け、直接応募できるよう採用サイトを用意しているケースもあります。サイトをチェックすることで企業の特徴や社風、求める人材などが閲覧できるので、自分にあっているかを細かく調べた上での応募が可能です。
企業の採用サイトではありませんが、障害者雇用に特化した求人サイトも少なくありません。一般的な就職・転職サイトに比べて障害者向けの求人が多く、特性障害など調べたい項目を選択しながら自分にあった求人を簡単に閲覧できます。
就職・転職フェア・合同面接会
就職・転職フェア・合同面接会は、ハローワークや民間企業が開催するイベントです。複数の企業がイベント会場へ一堂に集まり、求職者は各企業ブースを周ります。
気に入った企業があれば担当者から詳しい話を聞いたり、その場で面接を受けたりできるため、効率の良い転職活動ができるでしょう。
国・自治体によるサポート・支援の活用
国や自治体が運営するサポートや支援の活用もオススメです。発達障害を含むさまざまな障害にまつわる知識を持つ職員が在籍しているので、細かな部分も相談しながら転職活動を進めることができます。
自分の特性について深く理解していても、どのような職種を選んで良いのかわからない、といった方はハローワークを含む就労移行支援事業所の利用を検討しましょう。
DIエージェントでは障害者雇用に特化した転職サイト「BABナビ」の運営もしており、希望や条件などを丁寧にヒアリングし、特性障害に適した求人を紹介することが可能です。
次章では、BABナビで掲載中の求人情報を紹介します。
障害者雇用を選ぶならBABナビ|求人事例
DIエージェントでは、障害者雇用に特化した求人サイト「BABナビ」も運営しています。ここでは、障害者雇用の概要について知りたい方をはじめ、障害者雇用を検討の一つに加えている方へ、実際に掲載されている求人を5つ紹介します。
障害者雇用にもさまざまな職種があるので、今後の参考にしてください。
1.Webデザイナー|株式会社ソライズ
株式会社ソライズでは、Webデザイナーを募集しています。IT関連の受託業務および企業支援業務を行う会社で、案件によっては外注やチームを組んでの提案・プロジェクト推進などがあります。
同求人では、ワイヤーフレームを基にWebサイトのデザイン制作を行うほか、WordPressのテンプレートを用いたデザイン制作・カスタマイズなどの業務が中心です。
月給は181,000~263,500円で、経験や前職給与などを考慮して決定されるようです。希望によっては、フレックス制や短時間勤務なども可能。過去にはうつ病やASD、ADHDなどの方の採用実績があります。
2.事務職|ALH株式会社
ALH株式会社では、事務業務に携われる方を募集しています。障害者メンバーで構成されたグループでの業務になることから、お互いにサポートしながら取り組むことができます。
オープンポジションでの募集となり、これまでの経験や希望、特性障害に応じて業務内容を決定します。PCでのデータ入力のほか、Excelを用いた不備のチェック、消耗品の管理や補充などの業務になるので、細かな部分にも気付ける方にオススメです。
月給は201,560〜206,560円で、障害者手当や交通費の支給が受けられます。過去には上肢・下肢障害、聴覚・視覚障害、ASD、ADHDなどの方の採用実績があります。
3. 事務職|株式会社キャメル珈琲
株式会社キャメル珈琲では、カルディコーヒーファームの運営をサポートするための事務職を募集しています。主な業務は正社員、パート、アルバイトなどの電話およびPC操作による応募受付や、採用に関する業務です。
チームを組み、協力しながら業務に取り組めるので、わからないことを先輩に聞けるなど、働きやすい環境が特徴。通院による時間調整も相談できるので、自分にあった働き方をしたい方にオススメです。
月給は200,000~220,000円で、交通費や賞与の支給があります。過去には上肢・下肢障害の方や統合失調症、ASDやADD、ADHDの方などの採用実績がある会社です。
株式会社キャメル珈琲 [1]三鷹市上連雀のオフィス [2]三鷹市新川のオフィス※2拠点の内、いずれかの勤務を予定の求人(ID:1316)|求人サイトBABナビ(バブナビ)
4. IT職|アクセンチュア株式会社
アクセンチュア株式会社ではセキュリティシステムの運用サポートが可能な方を募集しています。適性に応じて業務内容が決められるので、無理のない範囲で業務に取り組むことが可能です。
試用期間は1ヶ月、雇用期間は3ヶ月となっており、月給は250,000〜350,000円、年に1回、昇給のチャンスがあります。短日や短時間での就労相談もでき、定期的な通院が必要な方でも安心して業務に取り組むことが可能です。
同社では上肢・下肢障害の方をはじめ、心臓疾患、うつ病、ASDなどを含む発達障害の方の採用実績があります。
アクセンチュア株式会社 みなとみらいオフィスの障害者求人(ID:6130)
5. Webライター|株式会社マイナビパートナーズ
株式会社マイナビパートナーズでは、各メディアの原稿作成が行えるWebライターを募集しています。就職や転職、アルバイトなどの求人サイトのほか、ライフスタイル系のコンテンツを多く運営しているので、個性や特徴を活かした就労が可能です。業務の中には原稿の校正業務もあり、細かなミスに気付くことが得意といった方にも向いています。
月給は177,000〜186,000円で年に2回賞与が支給されます。表彰制度、保養所の利用、役職手当など、福利厚生も充実しています。過去には上肢・下肢障害の方をはじめ、うつ病、双極性障害の方、ADDやADHDの方の採用実績があります。
株式会社マイナビパートナーズ 東京本社の障害者求人(ID:2815)
発達障害でも働くことは可能|特性障害にあわせた働き方を選ぼう
発達障害と一口に言っても、ADHDやLDなどに分類され、それぞれで苦手とするものや得意とするものが異なります。発達障害のある方が就労を目指すときは、まず自分の特性について理解を深めることが大切です。その上で自分にあった工夫を取り入れることで、特性を活かした就労が可能になります。
障害を抱えながら働く上では、 障害の特性に合った業務に就くことや、障害への理解や配慮のある環境選びが大切です。障害があっても「キャリア成長あきらめたくない」、「自分にあった働き方を探したい」という方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。
DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠の就職・転職について情報提供や、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。
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社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。