そしゃく機能障害の方と仕事|働きやすい環境や就職活動におすすめのサービスを解説

そしゃく機能障害とは、食事に支障を抱える障害です。障害の度合いによっては、日常生活に限らず仕事においても困難が生じる場合があります。

そこで今回は、そしゃく機能障害の方が働きやすい職場環境や職種、実際に就職・転職活動を進める方法について解説します。

障害の特性に合った業務に従事することや、理解と配慮のある環境で働くことは、安定して長く仕事を続けていくためにはとても大切です。合わない職場環境で働くことによって、障害が悪化したり、別の病気を発症してしまったりする例も少なくありません。

そうならないように、今後の働き方を考える参考として、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みいただけると幸いです。

そしゃく機能障害とは

そしゃく機能障害とは

そしゃく機能障害とは、食べ物を噛み砕いたり飲み込んだりする「そしゃく・嚥下機能」が低下しており、食事の方法や内容に大きな制限があるなどの状態のことです。

神経や筋疾患によるもの、口腔や咽頭などの欠損によるもの、咬合異常によるものといった原因があり、状態や程度によって障害の3級または4級に分類されます。

引用元
第3章 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害|山口県

 
キャリアアドバイザー
そしゃく機能障害は、音声機能や言語機能の障害とセットで扱われることが一般的です

DIエージェントの完全無料キャリア相談に申し込むボタン

そしゃく機能障害の方が働きやすい職場環境とは

そしゃく機能障害の方が働きやすい職場環境とは

そしゃく機能障害をお持ちの方にとって働きやすいのは、どんな環境が整っている職場なのでしょうか。仕事探しをする前に、下記のような点を確認しておきましょう。

医療器具を使いながらでも仕事ができる

そしゃく機能障害により、経管栄養のチューブや胃ろうのためのカテーテルを繋いでいる方も、負担が少なく働けるような職場がよいでしょう。

たとえば、オフィスに出社しなくてもテレワークができる、時差出勤や時短勤務により通院ができるといった環境が整っているなどです。柔軟な働き方ができれば、身体的にも精神的にも負担を感じにくくなります。

職務配置や能力開発に配慮してくれる

企業側の配慮として、障害の度合いや状態に応じた部署に配置してもらえたり、得意分野・対応可能な業務での能力を伸ばしてくれるような制度などがあったりすると働きやすいです。

また、職場の方とのコミュニケーションの際には、必要に応じてチャット・メール・筆談・文字起こしツールなどを利用できるとよいでしょう。

自分の障害のことを伝えやすい

障害の程度やできることの範囲には個人差があります。そのため、自分でしっかりと理解した上で、一緒に働く仲間に説明し、わかってもらうことが必要です。

双方の認識に行き違いがないように、きちんと話に耳を傾け、理解しようとしてくれる人々の存在が重要。話しやすい人間関係ができていると安心でしょう。

サポートを求めやすい・相談しやすい

困ったことがあったときに周囲の方にサポートをお願いしたり、仕事上の悩みを相談したりできる環境であることも大事です。前項とも関連しますが、職場の人間関係は、障害をお持ちの方が働く際に大きなポイントになります。

 
キャリアアドバイザー
ここまで見てきたように、そしゃく機能障害を含む身体障害をお持ちの方が仕事をする際は、職場での『合理的配慮』が欠かせません

そしゃく機能障害の方に向いている仕事

そしゃく機能障害の方に向いている仕事

つづいて、そしゃく機能障害をお持ちの方にはどんな仕事が適しているのかを見ていきましょう。

デスクワーク(事務系)

書類作成・伝票処理・文字やデータの入力など、紙やPCと向き合うデスクワークであれば、そしゃく機能障害の方でも体への負担が少なく取り組みやすいでしょう。

また、事務職は仕事のペースを自分である程度調整できたり、テレワークで行えたりするケースも多いです。自分にとって働きやすい形態で仕事ができるかも、企業に確認してみてください。

ご経験のある業務

もし中途でそしゃく機能障害を負い、今までと全く同じようには仕事ができなくなった場合でも、今のお体でできる範囲の業務を任せてもらえるケースもあります。

企業の募集内容に完全に合致しなくても、できることとできないことを明確にした上で応募時に相談すれば、配慮していただける可能性もあるでしょう。そのため、ご経験のある分野での就職を諦める必要はありません。

そしゃく機能障害の方の仕事探しに役立つサービス

そしゃく機能障害の方の仕事探しに役立つサービス

そしゃく機能障害をお持ちの方が就職・転職を考える際には、活動をサポートしてくれるサービスを活用するとよいでしょう。どんなサービスがあるのかをご紹介します。

ハローワーク

ハローワークとは、全国にある「公共職業安定所」のこと。窓口や施設に設置してある検索機で、全国の求人情報を調べることが可能です。

ハローワークには専門援助部門が設けられており、専門の相談員を配置した窓口で障害をお持ちの方が就職活動をするための支援を行っています。

一般向けの求人から障害者枠の求人まで、求職者の状況と企業の募集内容を照らし合わせながら相談に乗ってくれ、障害のある方向けに就職面接会を行ったり、面接に同行したりといったサポート体制を整えていることが特徴です。

引用元
障害のある皆様へ|ハローワークインターネットサービス

関連記事
ハローワークとは?メリット・デメリットや障害のある方が利用するときのポイントまで解説

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターとは、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)」が運営しており、障害をお持ちの方に対して専門的な職業リハビリテーションを行う施設です。全都道府県に最低1カ所ずつ以上設置することが義務付けられています。

センターでは、直接就職先を紹介するという支援は行っていません。しかし、ハローワークと連携しながら、職業相談を受け付けたり、職種・労働条件・雇用状況などの求人情報を提供したりといった支援を実施しています。

障害者職業カウンセラー・相談支援専門員・ジョブコーチなどが配置されており、専門性の高い支援を受けられることが特徴です。

引用元
障害者雇用関係のご質問と回答|高齢・障害・求職者雇用支援機構

関連記事
地域障害者職業センターの支援内容とは|障害者就業・生活支援センターとの違いまで解説

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、一般企業への就職を目指す障害者の方に向けて、トレーニングと就職活動の支援を行うことで就労をサポートする福祉サービス。通所型の障害福祉サービスで、「障害者総合支援法」という法律のもとで運営されています。

利用者は事業所に通いながら、就職に必要な知識や技術を獲得し、職場見学や実習などを行い、事業所職員のサポートを受けながら仕事を探せることがメリットです。

全国に3,300カ所以上あり、利用するためには市区町村で手続きをする必要があります。就職後の定着支援まで行ってくれる事業所もあり、安心して頼れるでしょう。

関連記事
【5分でわかる】就労移行支援とは?制度や「就労継続支援」との違い、お金についてやさしく解説

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターとは、障害をお持ちの方の仕事面での自立を図るため、雇用や福祉などの関係機関と連携し、地域で仕事と生活面での一体的な支援を行う施設です。名称が長いため、間の「・」から「なかぽつ」「就ぽつ」などと呼ばれることもあります。

なかぽつは、全国に337カ所(令和5年4月1日時点)設置されています。社会福祉法人やNPO法人などが運営しており、厚生労働省のページにある一覧から、近くのセンターを探すことが可能です。

障害をお持ちの方への就職支援や助言のほか、事業所に対して障害者雇用に関する助言を行ったり、関係機関との連絡調整を実施したりしています。

引用元
障害者就業・生活支援センターについて|厚生労働省
令和5年度障害者就業・生活支援センター 一覧 (計 337センター)|厚生労働省

関連記事
障害者就業・生活支援センター(なかぽつ/就ぽつ)とは?受けられる支援や利用手順を解説

障害者雇用に強い転職エージェント

障害者の採用枠を持つ企業や、障害者雇用を推進する企業の求人に特化した転職エージェントもぜひ利用してみましょう。

障害者の方の就職活動におけるノウハウを持っており、高い専門知識も兼ね備えているので、初めての転職で不安を抱える方も心強いです。そのエージェントしか取り扱っていないような、非公開の求人情報を得られる場合もあります。

高い専門知識を持った専任のアドバイザーが、求職者の希望や障害の度合いなどをふまえた上でマッチングを行ってくれるのが特徴です。就職前の準備から就職後の支援までしっかりサポートしてくれるため、自分の特性にマッチした仕事を見つけやすいでしょう。

関連記事
障害者専門の人材紹介会社とは?利用するメリットやマッチングのコツ、おすすめの人材紹介会社を紹介

DIエージェントの完全無料キャリア相談に申し込むボタン

自分に合った仕事を見つけて長く活躍しよう

自分に合った仕事を見つけて長く活躍しよう

そしゃく機能障害をお持ちの方が仕事をするときに感じやすい悩みや、働きやすい職場環境、仕事探しに利用できるサービスについて見てきました。自分の状態や特性を理解し、紹介したようなサービスの手も借りながら、ぴったりの仕事を見つけていただければ幸いです。

障害を抱えながら働く上では、 障害の特性に合った業務に従事することや、障害に理解や配慮のある環境で働くことが大切です。

今の職場を続けていくことに負担・不安を感じている方や、これから障害に合った仕事で就職を目指している方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。

DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠で就職・転職を検討されている方に対して就職・転職についてのアドバイスや、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。

専任のキャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングし、お一人おひとりに寄り添った働き方を提案させていただきます。

「今の自分に無理のない働き方をしたい」「理解のある環境で働きたい」というご希望がありましたら、まだ転職は検討段階という状態でもかまいませんので、ぜひお気軽にご相談ください。

関連リンク
障害者採用枠で働くことについて、メリット・デメリットを解説しています。これから就職・転職を検討されている方はぜひご一読ください。
障害者採用とは?一般採用との違いやメリット・デメリット、企業選びのポイントをわかりやすく解説!

「就職・転職活動は検討しているけど、エージェントって何?」という方に向けて、エージェントの特徴や利用方法について解説しています。
障害者枠では転職エージェントを利用すべき?メリット・注意点を含め解説!

監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。