障害者手帳の有効期限と更新方法は?手帳の種類別に申請に必要なものを解説

障害をお持ちの方にとって、障害者手帳は生活になくてはならない存在です。障害者手帳は公共サービスを利用する際の補助や、支援サービスの利用、障害者雇用枠での就職など、さまざまな面で支援を受ける事が可能になります。

この障害者手帳には、有効期限がある場合とない場合があるのをご存じでしょうか。手帳によっては定められた期限内に更新する必要があり、更新を忘れると失効してしまうのです。
気づいたときには失効しており、再発行までの間はサービスが利用できないというケースもあります。

そこで今回は障害者手帳の種類や違い、有効期限と更新方法、そして失効した場合の再発行について解説していきます。ぜひ最後まで目を通して参考にしてください。

障害者手帳とは?3つの種類の違いと役割

障害者手帳とは?3つの種類の違いと役割

障害者手帳は、障害のある方々が公共の施設や交通機関を利用する際に補助を受けたり、日常生活の中でさまざまな支援サービスを受けられるようにする制度です。

日本では以下の3つの種類の障害者手帳が発行されており、それぞれに対象や目的、発行の条件、更新期限、交付主体が異なります。

  • 身体障害者手帳
  • 療育手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳

それぞれの種類と役割を詳しく見ていきましょう。

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身体障害者手帳とは

身体障害者手帳は身体障害者福祉法にもとづいて、身体上の障害を持っている方に対して、都道府県や政令指定都市、または中核市から発行される障害者用の手帳です。

障害を持っている方が自立し、社会活動に参加するのを促進し、支援することを目的としています。

この手帳の交付対象は、以下の障害をお持ちの方です。

  • 視覚障害
  • 聴覚や平衡機能の障害
  • 音声機能、言語機能、咀嚼機能の障害
  • 肢体不自由
  • 心臓や腎臓、呼吸器の機能の障害
  • 膀胱や直腸の機能の障害
  • 小腸の機能の障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害
  • 肝臓の機能の障害

身体障害者手帳について、専門的な知見からの詳しい内容は以下のページをご覧ください。
身体障害者手帳の取得メリットや障害年金制度まで徹底解説【専門家監修】

療育手帳とは

療育手帳は療育手帳制度にもとづいて、知的障害があると判定された児童および成人の方に対して、都道府県や政令指定都市、児童相談所を設置している中核都市から発行される手帳です。

通常は幼少期に、児童相談所や医療機関を通じて知的障害があると判定を受けて取得するケースが多い手帳ですが、大人になってから知的障害と判定された場合でも取得できます。

ただし、18歳未満に生じた知的障害が対象であるため、成人後に事故や病気などなんらかの理由で知的機能に障害が生じた場合は対象外になります。

療育手帳について、等級や申請、取得などの詳細な情報は、以下のページをご覧ください。
療育手帳(愛の手帳)をわかりやすく解説!等級、申請~取得・更新の流れまで【専門家監修】

精神障害者保健福祉手帳とは

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律にもとづいて、精神疾患の状態と能力障害の状態の両面から総合的に判断され、都道府県や指定都市から発行される手帳です。

1級から3級まで等級があり、生活における困難さなどによって決まります。

この手帳の交付対象は、以下の精神障害について初診日から6カ月以上経過している方です。

  • 統合失調症
  • うつ病、そううつ病などの気分障害
  • てんかん
  • 薬物依存症
  • 高次脳機能障害
  • 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)
  • そのほかの精神疾患(ストレス関連障害等)

発達障害と知的障害の両方をお持ちの方は、精神障害者保健福祉手帳と療育手帳の両方を発行してもらうことができます。

精神障害者保健福祉手帳について、申請や受けられるサービスの詳細については以下のページをご覧ください。
精神障害者保健福祉手帳取得のメリットとは?申請方法や福祉サービスまでわかりやすく解説【専門家監修】

障害者手帳の種類別有効期限と更新に必要なもの

障害者手帳の種類別有効期限と更新に必要なもの

障害者手帳は、種類によって有効期限と更新方法、必要となる書類、提出先が異なります

またいずれの手帳でも、発行時と障害の状態が変わったら、有効期限にかかわらずすみやかに窓口になっている市区町村へ連絡するように求められています。

 
キャリアアドバイザー
障害者雇用枠で就職するには、障害者手帳が必要です。障害者雇用枠での就労を検討している方で、リハビリなど将来的に手帳の返納が可能な回復が見込めるかもしれないという場合は、キャリアアドバイザーにご相談ください。

身体障害者手帳の有効期限と更新に必要なもの

身体障害者手帳には、原則として有効期限はありません。ただし、障害の回復や変化がある可能性があると判断された場合は、一定期間後に再度認定を受ける必要があるケースもあります。

障害の内容や自治体によって基準や期限が異なるため、自治体からのお知らせには注意しておきましょう。また有効期限とは別に、障害の度合いに変化があった場合は再認定を受けられます。

再認定によって身体障害程度等級が変動することがあり、手帳発行の対象である6級の条件を満たさなくなった場合は、手帳は返納になります。逆に障害が重くなり、現在の等級で得られる支援では不足する場合も、再認定の申請が可能です。

身体障害者手帳の更新に必要なものは、市区町村の窓口によって異なる場合があります。必ず再交付申請書の内容を確認し、不明な場合は事前に問い合わせてください。

多くの場合、再交付申請書と、指定医師による診断書、意見書、顔写真、身体障害者手帳、印鑑、身分証明書もしくはマイナンバーカードが必要になります。

療育手帳の有効期限と更新に必要なもの

療育手帳の有効期限は自治体で異なりますが、おおむね2〜4年ごとになります。18歳以上は10年ごとですが、成人後の更新は不要になる自治体もあるため、現住所のある自治体に相談しましょう。

また成長に伴って障害の度合いに変化があった場合は、有効期限内であってもすみやかに再度判定を受ける必要があります。

療育手帳の更新に必要なものは、市区町村の窓口によって異なる場合があります。必ず再交付申請書の内容を確認し、不明な場合は事前に問い合わせてください。

多くの場合、再交付申請書と療育手帳、顔写真、印鑑を持って市区町村の障害福祉課などに提出し、後日児童相談センターなどで面談と検査を受けて交付を受けます。

 
キャリアアドバイザー
障害者手帳は、同時に複数の手帳を受け取ることができます。
療育手帳と精神障害者保健福祉手帳の両方を受け取っている場合は、別々に手続きをする必要があるため、それぞれの有効期限に注意してください。

精神障害者保健福祉手帳の有効期限と更新に必要なもの

精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年で、有効期限の3カ月前から更新できます。有効期限は手帳に記載されているので、診断書の準備など、ある程度事前にしておくのがおすすめです。

精神障害者保健福祉手帳の更新に必要なものは、市区町村の窓口によって異なる場合があります。必ず再交付申請書の内容を確認し、不明な場合は事前に問い合わせてください。

多くの場合、申請書、顔写真、印鑑、マイナンバーカード、身分証明書、手帳用診断書もしくは障害者年金証書、年金振り込み通知の写しを持って、自治体の障害福祉窓口で申請します。

障害者手帳の更新を忘れたり、ぎりぎりの申請で失効してしまった場合の対処法

障害者手帳の更新を忘れたり、ぎりぎりの申請で失効してしまった場合の対処法

有効期限がある障害者手帳の更新を忘れてしまったり、更新が有効期限の間際になってしまったりした場合、すみやかに自治体の担当部署に問い合わせて、指示に従って手続きをする必要があります。

 
キャリアアドバイザー
障害者手帳が失効してしまうと、さまざまな支援が受けられなくなってしまいます。障害年金の受給や障害者雇用枠での就労にも影響が出るので、すぐに再発行の手続きが必要です。

自治体に事情を説明して再発行の手順と再発行までの対応を確認しましょう。また手続きなどでトラブルが起きないよう、会社などにも再発行の手続き中であることを伝えておくことが大切です」

再発行にはおおむね1~2カ月程度の期間がかかるため、再発行中は更新手続き中である旨の証明を手帳の写しなどで発行してもらえる場合があります。手帳がないと支援が受けられず、日常生活に支障をきたす場合は、その旨を窓口で相談してみましょう。

引っ越しをした場合には再交付は必要?

引っ越しをした場合には再交付は必要?

交付されている手帳や自治体によって異なりますが、基本的に居住地を移してから30日以内に、新しい居住地のある自治体に届け出をする必要があります。

  1. 身体障害者手帳
    転居先の自治体に転入届を出すときに、住所変更の手続きが必要になります。マイナンバーカードとの情報連携が可能です。
  2. 療育手帳
    自治体が発行するため、異なる自治体に転居する場合は、再度認定を受ける必要があります。
  3. 精神障害者保健福祉手帳
    転居先の自治体に転入届を出すときに、住所変更の手続きが必要です。マイナンバーカードを所持していると情報連携が可能です。有効期限の扱いについては自治体によって異なるため、手続きをするときに窓口で詳細を問い合わせてください。

障害の再認定、再判定などで困ったときは自治体の相談窓口や医療機関へ

障害の再認定、再判定などで困ったときは自治体の相談窓口や医療機関へ

障害者手帳は、障害の内容や度合いによって等級が変わるため、リハビリや成長、治療に伴って状況が変化したときは、現在の等級を変更するために再認定を受ける必要があります。

障害の内容を見直して再認定してもらいたいときや、更新のための再判定について疑問がある場合は、以下の3つに相談してみましょう。

  1. 現在かかっている専門医療機関
  2. 市区町村の障害福祉窓口
  3. 地域の保健福祉センター

もし障害が重くなった場合は特に、決して無理をして我慢をせず、今の状況を率直に相談することが大切です。

また、障害の再認定によって等級が変わった場合は、職場にも必ず連絡を忘れないようにしましょう。

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障害者手帳の更新を忘れずに!

障害者手帳の更新を忘れずに!

障害者手帳の更新を忘れると、生活に影響が大きいので忘れないように注意しましょう。万一更新を忘れてしまった場合は、すぐに自治体の窓口に相談してください。

再発行には1~2カ月ほどかかってしまいますが、更新手続き中であることを証明する書類などを発行してもらえる自治体もあります。

自分で更新に行くのが難しい場合は、事前に担当窓口に相談して、代理人に更新手続きをお願いすることもできます。

 
キャリアアドバイザー
障害者枠で転職活動をする場合、入社時には更新が完了している必要があります。
転職活動を開始する際は更新時期を確認し、余裕を持って更新しましょう。

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障害者雇用とは?|働く人が知りたい法律、相談先や求人例までを紹介

監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。