障害者の方がハローワークで在宅ワーク(在宅での仕事)を探すには?

就職や転職を考えたときに、自宅で仕事をしたいと思う障害者の方は少なくありません。この記事では、ハローワークを活用した、在宅でできる仕事の探し方を紹介します。
在宅での仕事といっても、在宅勤務・在宅ワーク・内職の3つに分かれるのをご存じでしょうか。ハローワークで探せるのは「在宅勤務」に当たります。それぞれの仕事の違いや、ハローワーク以外の方法で探す、家でできる仕事の探し方なども合わせてご紹介します。在宅でできる仕事を探している方は、ぜひ参考にしてみてください。

障害者の方にとっても在宅ワーク(在宅でできる仕事)は魅力的

在宅でできる仕事の中でも、自分が個人事業主として仕事をするのか、または、企業に所属して自宅で仕事するのかで、仕事の探し方が異なります。在宅でできる仕事の種類や求人例、仕事の探し方などを紹介します。まずは、在宅でできる仕事の基礎知識を身に付けることからスタートしましょう。

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在宅でできる仕事の種類

在宅で仕事をするといっても、いくつかの仕事の種類があります。仕事の種類が理解できていなければ、スタートしてから「こんなはずじゃなかった」ということにもなりかねません。在宅でできる仕事の種類について詳しく解説します。

在宅の仕事の種類

在宅でできる仕事は、大きくわけて「在宅勤務」「在宅ワーク」「内職」の3種類があります。ハローワークで見つけられるのは、これらのうちの「在宅勤務」と呼ばれるものです。3つの違いを理解して、自分が求めるスタイルに合う仕事を選びましょう。

3種類の違いは、雇用形態によるもの

「在宅勤務」「在宅ワーク」「内職」の3つはどれも在宅でできる仕事の呼び名です。似ているようですがそれぞれ違いがあります。3種類の大きな違いは、雇用形態によるものです。1つずつご紹介していきます。

「在宅勤務」とは

在宅勤務は「雇用型テレワーク」とも呼ばれ、会社に出勤する代わりに家で仕事をすることを言います。家で働いているものの、契約を結んでいる会社の正社員や契約社員という扱いになります。ハローワークで探せる在宅でできる仕事のほとんどが、在宅勤務の仕事です。在宅勤務の場合、PCを使った仕事になるケースが多く、PCスキルは必須条件と言っても過言ではありません。

「在宅ワーク」とは

在宅ワークは「自営型テレワーク」と呼ばれるもので、会社と働く人との間に雇用契約がありません。フリーランスや自営業の人で、家で仕事をする人が在宅ワークに該当します。仕事をするときには、取引をする企業と、請負契約または委任契約のどちらかの業務委託契約を結ぶのが一般的です。厚生労働省の定義では、なかでも「情報通信機器を活用して」仕事をするものを在宅ワークとするとしています。

「内職」とは

内職も在宅でできる仕事のひとつですが、在宅勤務や在宅ワークとは少しイメージが異なります。内職は企業と契約を結んで、企業から送られる部品や材料を組み立てたり、仕様書通りに商品を作り上げたりするものです。企業に雇用されるといっても、正社員というよりもパートやアルバイトに近いものになります。基本的には手作業での仕事が多く、成果物に対しての単価が低いのも特徴のひとつです。PCスキルが不要なのが一般的で、誰でもチャレンジしやすいというメリットがあります。

在宅での仕事ができる求人の例

在宅でできる仕事はさまざまです。例えば、PCのスキルや専門知識がある人であれば、イラストレーターやプログラマー、Webデザイナーなどの仕事があります。企業と連絡を取り合い、顧客のニーズに合うものに仕上げて納品するというのが一連の流れです。
高度なスキルはないけれど、ある程度PCが触れるというのであれば、ライター(記事制作)やデータ入力の仕事もあります。特にデータ入力は、数字や文字を打ち込む単純作業が多いため、特別なスキルがなくてもチャレンジしやすいでしょう。
他にも企業によっては、書類の封入などの軽作業系の仕事、テレフォンアポインターなどで在宅勤務を行なっているところもあります。
詳しくは後述しますが、求人情報に記載されている「在宅勤務」と「在宅勤務可」では意味が異なるため、注意しましょう。

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障害者の方がハローワークで在宅ワーク(在宅でできる仕事)を探すには?

仕事探しといえば、ハローワークを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ハローワークでは、障害者の方が仕事を探しやすいように工夫が施されています。ハローワークを活用した障害者の方の在宅仕事の探し方を紹介します。

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障害者のためのハローワークの利用方法

ハローワークの求人にあるのは、「在宅勤務」のみ

ハローワークでは、求人件数はそれほど多くはありませんが、障害者の方を対象とした在宅勤務の仕事が掲載されることがあります。ハローワークの在宅の仕事は在宅勤務のみで、その多くは、東京都や大阪府などの都市部に集中しています。都道府県によっては、まったく求人がないことも珍しくありません。情報を逃さないためにも、こまめなチェックがおすすめです。

「在宅勤務」と、「在宅勤務可」、という表現の違いに注意

在宅勤務を探す際に注意したいのが、求人情報に「在宅勤務可」と記載されているケースです。「在宅勤務」と「在宅勤務可」は一見同じように思えますが、前者は在宅勤務で働くことを前提としているのに対し、後者は通勤での勤務が基本になります。
在宅勤務可というのは、出勤して働くことを基本とし、働く人の希望や特別な事由で在宅勤務を望んだ場合、それが叶うこともあるということを意味しています。

ハローワークでの求人の探し方

障害者の方が、在宅でできる仕事をハローワークで探したいときには、どのようにすれば良いのでしょうか。ハローワークの在宅の仕事の探し方は2通りあります。ハローワークでの求人の探し方を紹介します。

ハローワークに相談する

ハローワークでは、仕事に関する相談窓口が設けられています。求人のなかで気になるものがあったときに、求職者に代わってハローワーク担当者が企業へコンタクトを取るというのが業務です。担当者によっては、在宅でできる仕事を探していることを告げると、相談に乗ってくれたり、情報提供してくれたりすることがあります。まずは、一度窓口で相談してみても良いでしょう。

検索システムを利用する

一般的には、ハローワークで求人を探すときは、ハローワークが開設している「ハローワークインターネットサービス」を利用して、PCやスマートホンから求人情報をチェックします。ハローワークではサービスのひとつとして、ハローワークインターネットサービスから、障害者の方の仕事が探しやすいように窓口を開設しています。
ハローワークインターネットサービスのトップページから、「仕事をお探しの方へのサービスのご案内」のページへ移った「各種ご案内」のところに、障害のある方の仕事が探せるページがあります(サイトの仕様は変更になる可能性があるのでご注意ください)。
仕事を探すページで、条件入力としてフリーワードに「在宅勤務」を記載すると、障害のある方を対象とした、在宅勤務の仕事が見つかりやすいでしょう。

ハローワーク利用のメリット

障害者の方がハローワークを利用して在宅の仕事を探すことには、収入の安定や情報の安心感などの大きなメリットがあります。障害者の方が、ハローワークを利用して在宅の仕事を探すメリットを紹介します。

直接雇用となるため収入が安定する

ハローワークのインターネットサービスに掲載されている在宅の仕事のほとんどが、在宅勤務の仕事になります。ハローワークで探した仕事が在宅勤務の場合は、応募者と企業との直接雇用となるため、フリーランスで契約するよりも収入の安定が見込めます。同時に、障害があることを前提として仕事が探せるため、企業とのミスマッチが起きにくいのも大きなメリットです。

ハローワークを通しての就業先なので安心感がある

ハローワークに掲載されている企業の情報は、ある程度ハローワークで確認が取られています。就業先の求人内容に大幅な間違いがないことが予測され、応募する際に安心感があるのが特徴です。また、ハローワークは都市部だけでなく、地元企業の情報量が多いこともメリットとして挙げられます。在宅勤務の場合、仕事や企業によっては月に数回程度、出社日が設けられているケースもあるため、地元企業であれば通勤の不便も少なくなるでしょう。

ハローワーク利用のデメリット

メリットが多いハローワークでの求人検索ですが、デメリットがないわけではありません。活用する前にデメリットを知っておくと、就職・転職活動の際の対策が早めにできます。ハローワークで障害者の方が在宅の仕事を探すときの、デメリットをご紹介します。

ハローワークに行く必要がある

ハローワークで仕事を紹介してもらうには、ハローワークに本人が出向き、担当者に企業と連絡を取ってもらうほか、応募書類や面接の際に必要となるハローワークからの紹介状を受け取りに行く必要があります。ハローワークが近くにある場合は、不便が少ないかもしれませんが、遠方の場合は時間も手間もかかってしまいます。

必ずしも期待通りの仕事内容とは限らないので注意も必要

ハローワークで紹介される仕事は、企業の所在地や仕事内容などを、ひと通りハローワークがチェックします。しかし、膨大な求人票を預かっているがゆえに、1社ごとの情報量が浅い場合があります。なかには業務がスタートしてから、仕事内容や待遇面などで、事前に聞いていたのとは異なるものを言い渡されるケースがあり、注意が必要です。仕事内容や待遇が事前に聞いていたものと異なる場合は、ハローワークへ報告や相談をすることをおすすめします。


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ハローワーク以外の、在宅でできる仕事の探し方

障害者の方の在宅の仕事が探せるのは、ハローワークだけではありません。ここではその他の仕事の探し方を紹介します。

ランサーズやクラウドワークス等を利用する

インターネットサイト上で、在宅でできる仕事探しをする人も増えています。ランサーズやクラウドワークスといったクラウドソーシングサイトは、仕事をしたい人と仕事を依頼したい企業が同じサイトに登録し、双方の合意で仕事が進められるというものです。
企業に雇用されるわけではなく、クラウドソーシングサイトを仲介とした業務委託や請負委託になります。

就職・転職エージェントを利用する

最近では、就職・転職エージェントを利用して在宅でできる仕事を探す人も増えています。エージェントサービス登録の際に在宅勤務のできる会社を希望することを伝えておくと良いでしょう。
求職者にエージェントの担当者がついてくれるため、仕事内容の希望が伝えやすく、在宅でできる仕事についての不安や疑問も気軽に聞けます。就職・転職エージェントなら、企業とのやりとりを自分でする必要もないため効率的に仕事が探せます。


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在宅で仕事をするメリット

最近では、在宅でできる仕事の人気が高く、転職の際に今の仕事を辞めて在宅勤務に変わる人もいます。在宅で仕事をすることに、どのようなメリットがあるのかご存じですか?在宅で仕事をするメリットをチェックしてみましょう。

通勤しなくて良い

職場が遠方の場合や、混み合う時間帯で通勤をしている方の場合、仕事は好きだけれど、通勤が苦痛という人も少なくありません。在宅で仕事ができれば、通勤にかかる時間が短縮され、その時間を有効活用できます。在宅で仕事をすることは、ワークライフバランスの維持だけでなく、体力の維持や精神的負担の軽減などのメリットがあげられます。

自分の落ち着く環境で集中して仕事ができる

在宅で仕事をすることの大きなポイントとして、周りの人の目や声を気にせずに、目の前の仕事だけに集中できることがあります。特に、仕事をしたくても周りに人の気配がある環境や、周りの人が立てる音の下でうまく集中できない方の場合は、在宅の落ち着いた環境で仕事ができるのは大きなメリットです。精神的な負担が軽くなり、仕事のやりがいもアップします。

在宅で仕事をする場合の注意点

メリットの多い在宅での仕事ですが、きちんと仕事をこなすためには、いくつか注意点があります。在宅で仕事をするときの2つの注意点を紹介します。これから在宅で仕事をすることを希望している人は参考にしてみてください。

私生活と仕事の切り替えが重要

在宅勤務では、私生活と仕事を同じ空間で行うため、気持ちの切り替えができず、ついついだらだらとしてしまいがちです。生活と同じ空間であっても、きちんと仕事と向き合えるように、自分を律することが必要となります。落ち着ける環境だからこそ、気持ちを緩めすぎないように気を付けましょう。
反対に、いつまでも仕事ができるという点でも、仕事をしすぎてしまうことがあります。家で仕事をするときには、仕事と生活のリズムをきちんとつけることが大切です。

1人で集中して仕事をしないといけない

これまで周りに人がいる環境で仕事をしていた方にとっては、1人での仕事に慣れるまでは、不安や孤独を感じてしまうことも少なくありません。
周りに励まされて頑張れるタイプの方は、自分だけでトラブルも乗り越える必要があり、不安になることもあるでしょう。1人で集中して仕事を進めることは、慣れるまでに少し時間がかかるものだと、事前に認識しておくと安心です。

在宅で仕事をする場合にあるとよいスキル

在宅で仕事をしたいけれど、自分に何ができるだろうかと疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。在宅で仕事をするときにあると有利になるスキルを紹介します。自分に照らし合わせチェックしてみてくださいね。

基礎的なPCスキル

在宅でできる仕事は、内職をのぞいてそのほとんどがPCを使う機会のあるものです。例えば、Webデザイナーであれば、1日中PC作業になるケースも少なくありませんし、営業系の仕事でも、日報提出や資料の作成などでPCのスキルが必要になることがあるでしょう。
高度な技術が必要になることもありますが、ワードやエクセル、パワーポイントといった基礎的なPCスキルがあればできる仕事もたくさんあります。

文章の構成スキルや表現スキル

障害者の方が行う在宅の仕事のなかでも人気が高いのが、Webライターと呼ばれる、インターネット上で公開される記事を執筆する仕事です。仕事内容は、新発売する商品について紹介する記事や、ビジネスで使う専門用語を解説する記事などさまざまです。文章の構成スキルや表現スキル、正しい言葉の使い方など、国語力が問われる仕事だと言っても過言ではありません。たくさんの本や記事を読んで表現力や語彙、品詞のルール等を勉強することでスキルを高められます。

まとめ

障害者の方で、在宅でできる仕事を探している場合は、まずは在宅の仕事の種類をチェックし、自分に向いているものを見定めましょう。なかには専門的な知識やスキルが問われる仕事もあります。空き時間を見つけて、在宅勤務に役立つスキルを身に付けておきましょう。
DIエージェントでも在宅勤務(テレワーク)ができる求人を多数扱っておりますので、気になる方はぜひ下記よりお申し込みください。

監修:小林 鉄郎
(株)D&I創業者、代表取締役(2021年~)。15年以上の障害者雇用コンサルタント経験をもつ。 テレワーク型障害者雇用サービス「エンカク」の展開や地方創生×テレワークをテーマとした自治体連携等も推進している。