下肢障害があっても大丈夫!足に負担の掛からないおすすめの仕事とは

下肢障害とは肢体不自由に含まれる身体障害です。

度合いによっては、日常生活に限らず、仕事においても障害が理由で困難が生じる場合があります。

特に下肢障害は、車いすに加えて介助が必要な人から、軽い麻痺などの比較的軽い障害まで、移動や足の負担に対して抱える悩みは幅広く、結果として職場で感じる不便も多様になりがちです。

そこで、今回は、下肢障害の方が抱えることが多い悩みや、足に負担が掛からないオススメの職種・働き方など仕事選びのポイント、実際に就職・転職活動を進める方法について解説します。

障害の特性に合った業務に従事することや、理解と配慮のある環境で働くことは、安定して長く仕事を続けていくためにはとても大切です。

合わない職場環境で働くことによって、障害が悪化したり、別の病気を発症してしまったりする例も少なくありません。

そうならない様、今後の働き方を考える参考として、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みいただけると幸いです。

下肢障害とは?

下肢障害とは?

下肢障害は身体障害の一種で、肢体不自由に分類されています。失われている機能の度合いに応じて1~7等級で分けられており、車いすから歩行を補助する装具の装着まで、移動の補助にはさまざまな段階と方法があります。

また、先天的なものと後天的なものがあり、さらに一部の機能が失われている場合と、脚自体が損なわれている場合でも、状況は大きく異なります。

そのため一言で下肢障害と言っても、単純で画一的な支援や対応ではすまず、個人が職場に感じる悩みも複雑で多様化しやすいのです。

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下肢障害の方が感じる職場の悩みはさまざま

下肢障害の方が感じる職場の悩みはさまざま

前述の通り、下肢障害の段階や必要な配慮、支援は多様で、人によって悩みの内容や困りごとのポイントが異なります。

職場としては配慮して対応したつもりでも、お互いの認識が噛み合わず、小さな悩みが積み重なってストレスになってしまうことも珍しくありません。

そこで、実際に就労するとどのような悩みがあるのか、よくあるお悩みからいくつか紹介していきます。

 
キャリアアドバイザー
下肢障害にもさまざまな段階があり、抱える悩みも多様です。深刻な悩みを抱え込んでしまう前に、周囲や上司に相談しましょう。また、どうしても居づらさを感じるときは、転職を選択肢のひとつに入れることも大切です。

バリアフリー対応が不十分で、職場内での移動やトイレが困難

車いすの人と義足の人、補助具があれば自分の足で歩ける人では、必要となるバリアフリーの対応が異なります。

適切な位置にスロープがなかったり、低いが段差が多かったり、手すりが配置されていないなど、移動に支障をきたしたり、遠回りしなければいけなかったりする問題を抱えていても、言いにくくて我慢してしまうケースは少なくありません。

また、身体障害者用トイレがなかったり、トイレ内部に手すりがなかったり、ドアが構造や位置の問題で開け閉めしにくいという悩みを持つことも珍しくないのです。

周囲にサポートを受けることや、業務を免除されることに引け目を感じる

同僚に身体的サポートを頼んだり、業務によっては難しいので免除になることに対し、引け目を感じてしまうことがあります。

障害者雇用に際して合理的配慮の研修をしている企業は多く、自然に声掛けやサポートをすることが職場環境としてあったとしても、相手の仕事の手を止めることが申し訳ないと思ってしまうという声は珍しいものではありません。

また、合理的配慮によって持ち回りの業務などを免除されるとき、障害があるから仕方ないねという対応に傷付くケースもあります。

見た目でわかりにくい障害だと、周囲の理解が得にくい

足のしびれや麻痺、軽度の不自由など、外見上ではわかりにくい障害だと、障害があり困難だと理解して貰いにくいケースがあります。

職場の上層部は障害を理解して配慮していても、現場では「ズルい」「楽をしている」と受け止められることもあるのです。

日々の通勤が大変

通勤に使う路線の電車やバスなどの公共機関が混雑しやすく、通勤ラッシュの時には特に移動が大変になるというケースもあります。

移動に掛かる身体的・時間的な負担が大きく、それが毎日になると思っていた以上に辛いと感じる人は少なくありません。

また、下肢障害は天候による影響も受けやすく、雨や雪など地面の状態がよくない時は通勤に時間が掛かりやすいため、負担が大きくなってしまいがちです。

異動やキャリアパスに制限がある

営業のように外回りが多い業務や、立ち仕事が多い業務などは、キャリアとして希望していても、実際に異動の希望を出しにくいケースがあります。

車両の運転が伴う業務も、障害の度合いによっては障害対応の車両がないために、希望できないことがあります。

障害を理由に諦めなければいけないキャリアの希望があることに、辛さを感じる人も少なくないのです。

下肢障害の人でも働きやすい、足に負担の掛からない職場とは

下肢障害の人でも働きやすい、足に負担の掛からない職場とは

職場を選ぶにあたって、社内でのバリアフリー対応が充実していること、障害に対する理解があり、合理的配慮が社内文化として受け入れられていることが重要です。

求めるサポートを気軽に話せる環境や、社内の雰囲気が良好である企業文化、そして下肢障害だけでなく、多様な立場の人々の働き方に対応する制度が整っている場所では、より働きやすさを感じることができます。

また、テレワークが可能であるなど、職場に縛られずに働ける環境も大きなポイントとなります。このような条件を満たす職場は、下肢障害を持つ方にとっても働きやすいでしょう。

参考元
障害者雇用事例リファレンスサービス

 
キャリアアドバイザー
合理的配慮は入社前に依頼するだけでなく、就労後のすり合わせも大切です。実際に仕事を続ける中で感じた新しい問題や悩み、障害がある側からしかわからない課題などを職場に伝えることは、最初は負担に感じるかもしれません。しかし貯め込まずに都度相談して、環境をよくしていくことで、自分にとっても会社にとっても働きやすい環境になっていきます。

下肢障害のある人に向いている、脚に負担の掛からない仕事とは

下肢障害のある人に向いている、脚に負担の掛からない仕事とは

基本的に座った姿勢でのオフィスワークや、座ってできる軽作業が向いています。事務や経理、コールセンター、ITエンジニアやデザイナー、ライター、講師などが挙げられます。

職場への移動にかかる負担が軽減される完全在宅勤務が可能な仕事もおすすめです。どのような仕事が適しているか、実際にいくつか詳しく見てみましょう。

事務・経理

基本的に座ってできるオフィスワークの代表ともいえる事務や経理の仕事は、下肢障害のある方にも適しています。

簿記などの経理資格や、Microsoft Officeシリーズを扱うMOSの資格などがあれば、大きくキャリアアップを目指せます。

参考元
障害者雇用事例リファレンスサービス:肢体不自由者(車いす利用者)の電気・ガス・熱供給業・水道業における合理的配慮事例

ITエンジニア

下肢障害のある方で、IT系の開発エンジニアとして仕事をしている方も多くいます。ITエンジニアは基本的に移動が少ないので、足の負担は軽いといえるでしょう。

ただし、SIerなどでの客先常駐が多いSES(System Engineering Service)や、サーバー機器の移動を含むサーバーエンジニアなど、一部のエンジニアは業務内容や職場環境から難しいケースもあるので注意が必要です。

参考元
dodaチャレンジ:上肢下肢障害/40代/SEへの転職ストーリー
チャレンジホームオフィス:システム・プログラム開発業務 雇用事例 > 事例1

コールセンター

コールセンターは自分のブースに座って勤務するため、足への負担は少ない仕事のひとつです。最近は在宅コールセンターなども増え、自宅でコールセンター業務に従事できる職場も増えており、ますます足への負担が軽くなっています。

コールセンターからは、センターのスーパーバイザーなどへのキャリアパスがあります。

Webデザイナー

Webデザイナーは在宅業務に対応している職場が多いのが特徴です。実際に下肢障害のある方でWebデザイナーとして活躍している人も少なくありません。

Webデザイナーは基本的にデスクワークなので足への負担も少ないのですが、偶に客先での会議などがあるので、外出が完全にないというわけではない点には注意しましょう。

参考元
チャレンジホームオフィス:Webサイト関連業務 雇用事例 > 株式会社沖ワークウェル

ライター

Webライターは基本的に在宅で勤務することが多い職種のひとつです。打ち合わせもオンラインが多いので、出勤することも少ないのがおすすめのポイントです。

所属する会社や編集部によって、店舗や街、イベントなどの取材を含む業務が偶にありますが、現場の方針によるのですり合わせが可能です。

チャレンジホームオフィス:原稿作成・データ入力業務 雇用事例 > UTハートフル株式会社

下肢障害のある人が足に負担の掛からない仕事を探す方法

下肢障害のある人が足に負担の掛からない仕事を探す方法

合理的配慮が得られる職場を探すには、行政の障害者支援サービスを利用するほかに、同時に転職エージェントを利用するという方法があります。

支援サービスも内容が異なるので、自分の環境と状況に合わせて選ぶ必要があります。

行政のサービスは公開求人になるが、転職エージェントの場合は非公開求人もあります。

自分の希望する職種・業種への就労を目指すなら、転職エージェントと行政のサービスを併用するのがおすすめです。

 
キャリアアドバイザー
障害に理解があり、合理的配慮が受けられる職場を探すには、さまざまな方法があります。それぞれ特徴が異なるので、ご自身の状況に適したサービスを利用するのがおすすめです。

就労移行支援事業所

就労移行支援の制度を利用している人に向けて、仕事に携わるために必要な技術の習得や、選考用の書類作成の支援、面接対策などの支援をおこなう機関です。

事業所自体は求人紹介サービスではありませんが、事業所によってはほかの事業と連携して求人の紹介までサポートする場合もあります。

基本24カ月で終了しますが、正当な理由があると認められた場合は3年目以降も利用を延長することが可能です。

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障害者雇用促進法に基づいて設立された支援機関で、ハローワークと連携し、障害を持つ方々に働くための準備と支援を提供します。

職業準備支援を通じて、職業的スキルや知識を磨くことができます。また、ジョブコーチの個別支援で、職場での成功に向けた具体的なアドバイスや指導を受けることができます。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害を持つ方の仕事と日常生活のサポートを目的として設立されています。

このセンターは、仕事と生活のバランスを見つけ、自立生活を目指す障害をお持ちの方々に向けて、全面的な支援を提供します。

就業に関する相談やアドバイス、関係機関との連絡や調整を支援し、さらに仕事を通じて生じる日常生活の問題に対する助言やサポートも提供しています。

ハローワーク

ハローワークは公共職業安定所の通称で、障害者の方々のために専用の窓口があります。窓口では専門スタッフに相談し、職業指導を受けたり、障害者雇用枠への応募をしたりすることができます。

また、職業訓練の紹介も受けられ、就労に必要なスキルを磨く支援を得ることができます。

障害者の就労に実績のある転職エージェント

障害者の就労に実績のある転職エージェントは、各求職者に専任の担当者を配し、面談や手続きなどの仲介を提供してくれます。

キャリアアドバイザーは障害の特性と求職者の希望条件を理解した上で、本人の希望をヒアリングしてキャリアプランを提案してくれるので、納得のいく転職を目指せます。

ほかにも書類の添削、模擬面接、キャリアカウンセリングなどのサービスを利用することで、書類選考や面接に臨む準備が整います。

さらに、入社後もアフターフォローを受けられ、新しい職場での適応をサポートしてくれるのが特徴です。

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足に負担の掛からない仕事を探すには、一人ではなく支援員やエージェントと協力するのがおすすめ

足に負担の掛からない仕事を探すには、一人ではなく支援員やエージェントと協力するのがおすすめ

下肢障害の人が抱える足の負担と職場の悩みは多種多様で、外から見てわかりにくいが故に受けられない不理解もあれば、過剰な気遣いに対して引け目を感じてしまうストレスもあります。

また、入社前に伝えておいても、実際に仕事が始まってみると異なる問題が出てくることもあります。

最近ではフルリモートで完全在宅勤務に対応している職場も増えました。職場選びのひとつの選択として、在宅でできる仕事を選ぶというのもおすすめです。

障害を抱えながら働く上では、 障害の特性に合った業務に従事することや、障害に理解や配慮のある環境で働くことが大切です。今の職場を続けていくことに負担・不安を感じている方や、これから障害に合った仕事で就職を目指している方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。

DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠で就職・転職を検討されている方に対して就職・転職についてのアドバイスや、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。

専任のキャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングし、お一人おひとりに寄り添った働き方を提案させていただきます。

「今の自分に無理のない働き方をしたい」「理解のある環境で働きたい」というご希望がありましたら、まだ転職は検討段階という状態でも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。