障害をお持ちの新卒の方は、履歴書の書き方について悩んでいる方も多いのではないでしょうか。履歴書そのものにもいくつかの種類があり「どんなタイプを選べば良いのかわからない」という方や、「障害特性についてどのように書いていいのかわからない」といった悩みを抱える方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、新卒の方の履歴書の書き方、選び方、そして今すぐ使用できるダウンロード用テンプレートを紹介します。書類選考、さらには面接で印象を残せる履歴書に仕上げ、内定をつかみましょう。
【新卒用履歴書】基本的な種類と選び方
まずは履歴書の選び方を押さえておきましょう。2024(令和6)年現在では、4種類の履歴書が存在します。それぞれの特徴を紹介するので、自分に合う履歴書はどれかを明確にしましょう。
一般的な履歴書(厚生労働省様式)
最もポピュラーな履歴書として「厚生労働省様式」があります。厚生労働省様式は2021(令和3)年4月に厚生労働省が公正な採用選考を行えるよう制作した履歴書です。一般的に流通する履歴書の様式から以下2つの変更点があります。
- 性別の任意記載
- 通勤時間・扶養家族数(家族を除く)・配偶者・配偶者の扶養義務の削除
これらはLGBTQの観点などから、公正な採用選考が行えないと判断されたために削除されたと考えられます。
経歴が浅い、または長所・個性をアピールしたいとき
新卒者は社会人経験がどうしても浅く、学歴・経歴欄がやむを得ず空白になってしまうことも。空白が多いと志望への熱意が薄いと判断されることも少なくないことから、経歴が浅い人や、長所・個性など自分のことを最大限にアピールしたい人は、学歴・経歴・資格・免許欄の小さい履歴書がおすすめです。
これらの欄が小さい代わりに、特技や長所、自分で把握している短所などを自由に書き込める様式もあります。
具体的な書き方については後述しているので、志望動機などの書き方の章でご確認ください!
多面的なアピールをしたいとき
特技や長所、短所のほか、趣味や自己PRなどに厚みを持たせたい人は、それぞれの項目を一定の分量で設定された様式がおすすめです。
職歴や経歴だけに限らず、自分の人となりを前面に押し出せる様式なので、保有資格が多い人や前職でリーダーなどを任された経験がある人などにも選ばれています。
志望動機に厚みを持たせたいとき
職歴や経歴は浅いものの、どうしてもその企業で働きたいといった強い熱量がある人は、志望動機の広い履歴書がおすすめです。
A5サイズのうち約4分の1は志望動機の欄になるので、起承転結を用いり、より具体性のある志望動機に仕上げることができます。
この記事ではさらに、履歴書の各項目の書き方についても紹介しています!
本記事を参考にしながら内定を取る履歴書にまとめてください!
新卒用履歴書のダウンロードはこちらから
各履歴書のフォーマットはこちらからダウンロードできます。
【フォーマット】(Word)※ここをクリックでダウンロードできます
障害特性の項目が設けられた履歴書はないので、それぞれの項目の幅や高さを変えるなど、自由にカスタマイズしながらお使いください。
【新卒用履歴書】基本項目・学歴・経歴の書き方
ここからはいよいよ履歴書の作成です。基本項目や学歴、経歴の書き方を紹介するので、参考にしながら記入しましょう。なお、履歴書に記入するときは、誤字脱字があってもいいように、シャープペンシルや鉛筆でまずは下書きすることをおすすめします。
基本項目
履歴書の左側一番上には日付を記入する欄があります。日付は履歴書を提出する日を記入しましょう。よくありがちな間違いとして履歴書を作成した日が書かれることがありますが、採用担当者が目を通す日を書くよう注意してください。日付は年号と西暦のどちらを使用しても問題ありませんが、一度記入した年号または西暦は各書類の日付にも統一させるのがマナーです。
次に氏名・生年月日・年齢・住所です。名字と名前の間はひとマス空けることを意識しましょう。生年月日は日付と統一した年号または西暦を記入します。性別は、厚生労働省様式であれば任意記載のため、自分に合う項目を選択してください。
連絡先やメールアドレスは、本人と最も連絡が取れる電話番号、最も開くメールアプリのアドレスを書きましょう。なお、電話番号のない携帯電話をお使いの方は、自宅や実家など、自分とつながりやすい固定電話の電話番号を書くことをおすすめします。
学歴・経歴
次に学歴・経歴です。以下4つは基本的なことなので、念頭に置きながら埋めていきましょう。
中学校卒業から記入する
どの様式であっても、基本的には中学校卒業から記入します。学校名は省略せず、正式名称を書き、ひとマス空けてから卒業と記入してください。
職歴に記載することが多い場合は、中学校卒業はなくても問題ありません。ただし、基本的なこととされているので、職歴が多い人は経歴欄の広い様式を選ぶことをおすすめします。
在学中で、卒業見込みの状況であるときは、学校名を書き、ひとマス空けて「卒業予定」と記入しましょう。
学歴の記入が終わったら、一行空けた次の欄の中央に「職歴」と記載しますが、新卒者の方は職歴がないため、次の行の中央に「なし」と記入します。
一行空け、右端に「以上」と記入したら、経歴欄の記入は以上です。
アルバイト・インターンシップなどは自己PRに
職歴に書きがちな項目として、アルバイト・インターンシップがあります。アルバイトやインターンシップもアピールポイントにはなりますが、職歴には該当しません。そのため、履歴書に記入するのであれば、自己PR欄に書いてアピールしましょう。
資格・免許は時系列+正式名称で記入する
資格・免許を保有する方は、時系列を追って記入しましょう。このときも、正式名称を書くこと、日付で記入した年号または西暦に統一することを意識します。
学歴の記入と同じように「取得年」「取得日」「取得した資格の正式名称」を書いたら、ひとマス空けて「取得」または「合格」「取得見込み」を書きますが、民間資格の場合は資格名称に加えて実施団体も記入してください。
すべて書き終わった後は、一行空けた右端に「以上」と記入して結びます。
取得と合格の違いはアピールになるかを考えて記入する
免許や資格によっては「取得」や「合格」「修了」といった言葉を添えます。類似した言葉ではあるものの意味はまったく異なるので、要所に適しているかを考えて選ぶことを心がけましょう。
言葉 | 意味 |
---|---|
取得 | 「免許」が付く名称の場合やTOEICのスコアを記入するとき |
合格 | 一般社団法人などが実施する試験・検定に合格したとき |
修了 | 授業・講義の受講を証明するとき |
登録 | 試験に合格したあと、企業の就業証明などの要件を満たしたとき |
免状 | 学科・実技試験に合格したとき(労働安全衛生関係) |
履歴書の書き方はもちろん面接対策も行っているので、不安のある方はぜひお気軽にご相談ください!新卒採用についての記事も公開しているのであわせてご覧ください。
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【新卒用履歴書】志望動機・自己PR・障害特性・本人希望欄の書き方
ここからは、志望動機・自己PR・障害特性・本人希望記入欄の書き方を紹介します。
志望動機
志望動機は、言葉の通り応募者の志望した理由を伝える項目です。どのような内容をどう書くかによって企業や業務への熱意が増減します。志望動機では、自己理解や企業研究のなかで「応募したい!」と強く感じたことを書きましょう。
履歴書の様式によっては欄が小さい場合もあります。まずは志望するきっかけを振り返り、具体的なエピソードを交えてまとめると良いでしょう。
なお、理由やエピソードを書くだけでは熱意が伝わり切りません。入社後どのように活躍する予定かを採用側もイメージできるよう、働き方や目標を盛り込み、モチベーションが高いことを伝えることも意識しましょう。
自己PR
自己PRだからこそ、自分の特徴や長所をすべて書きたくなってしまうもの。しかし、この場合も、応募する企業や業種に適した特徴・長所をピックアップして記入するよう意識しましょう。
自己PRでは、企業の強みや理念、取り組みについて入念にリサーチし、それぞれにどう貢献できるかを書くことが大切です。自分の特徴や長所がどのように活きるかを軸に書くことで、ほか応募者との差別化につながる履歴書にまとまります。
企業理念に共感する場合、具体的にどの部分にどのような感情を抱いたのか、そして自分の長所を持ってどのように広めていきたいかなどを書き、文章から企業と自分のマッチ度の高さが感じ取れる内容にまとめましょう。
趣味・特技
採用側は趣味・特技の項目を見て、面接時のアイスブレイクに役立つ素材であるかを判断するものです。また、応募者の人となりが表面化しやすい項目なので、入社後どのような活躍をしそうかなど、応募者の全体像を濃くする役割もあります。
自分を最もアピールできる項目ではありますが、自由に書くのはNGです。履歴書はあくまでビジネスシーンで使用するもの。そのことから、趣味・特技の項目も、業務や企業の取り組みにマッチするものをピックアップしたうえで埋めることをおすすめします。
障害特性について
障害特性について開示したうえで入社を希望したい方は、障害特性を記入できるよう、項目を作成しておくことをおすすめします。
障害特性を記入する場合は、下記項目を設け、それぞれ漏れがないよう記入し、開示しましょう。
- 私の障害について
- 障害者手帳取得年(月日)
- 障害者手帳の種類・等級
- 内容
- 現状と詳細
- 通院状況
- 協力支援機関
- 必要な配慮
なお、これらの項目以外にも、日常生活で再発や予防、障害に起因する不便に対して行っている工夫として「自己対処」を設けても問題ありません。
本人希望欄・その他の項目
本人希望欄は、給与や勤務地、勤務時間にまつわることを記入します。とくに希望がなければ「貴社規定に従います」と記入してください。
好きな学科、得意な科目といったその他の項目は、学生時代に力を入れたことを具体的なエピソードを交えながら記入します。とはいえ、小さめのサイズではすべてを書き切れないので、一番思い出に残っていること、とくに努力したことを簡潔にまとめたうえで記入しましょう。
新卒用履歴書における注意点
新卒者の場合、大学指定の履歴書の使用が一般的であり、おすすめと言われています。その理由は、新卒者は社会人としての経験がなく、経歴や実務経験といった項目を埋め切れないためです。
大学指定の履歴書は、自己PR欄が大きく、学生ならではのアピールがしやすい仕様になっています。
なお、先でお伝えしたように、履歴書はいくつかの様式が存在するものの、障害特性について記入できるタイプはありません。
障害特性について漏れなく企業へ開示したうえで応募したいときは、紹介したダウンロード可能テンプレートを活用し、自分に合ったものにカスタマイズしましょう。
自分にあう履歴書を使って上手にアピールしよう
新卒者の方へ、今回は履歴書の選び方・書き方・注意点を紹介しました。現在のところ、障害特性について記入可能な様式はないため、自分で履歴書をカスタマイズしながら書くことをおすすめします。
障害を抱えながら働く上では、 障害の特性に合った業務に就くことや、障害への理解や配慮のある環境選びが大切です。障害があっても「キャリア成長をあきらめたくない」、「自分にあった働き方を探したい」という方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。
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大学卒業後、日系コンサルティングファームに入社。その後(株)D&Iに転職して以来約10年間、障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザーを歴任し、 障害・年齢を問わず約3000名の就職支援を担当。