障害者の就活について、うまくいかず迷っている方も多いのではないでしょうか。実際に「障害者」による「就活」には、自分らしく働ける会社を見つけられるのかなど、さまざまな不安を抱えている方は少なくありません。そこで今回は、障害者の就活がうまくいかない理由について解説します。
今後の働き方を考える参考として、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みいただけると幸いです。
障害者雇用の現状・就活の状況
まずは障害者雇用の現状と就活状況を見ていきましょう。厚生労働省の「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」によると、雇用障害者数は64万2,178.0人で、対前年比0.08ポイント上昇し、法定雇用率達成企業の割合は50.1%、対前年比からこちらも1.8ポイント上昇傾向にあります。
いずれも上昇に推移しているのは、平成30年の法改正により法定雇用率の上昇、さらには精神障害と発達障害が障害者雇用の対象に含まれたことを受けて、障害者雇用が一般化したことが考えられます。また、障害者雇用そのものに対しての認知度が広まったことも大きく影響しているでしょう。
先のデータにより、日本のさまざまな企業・団体で障害者を積極的に採用する動きも加速していることが分かるその一方で、就活がうまく進まないと悩む人もいます。
理由として考えられることは、第一に障害者枠は一般枠に比べてまだまだ母数が少ないことです。障害者枠の母数が少ないために企業・応募者双方の条件をきちんと考慮する必要性から、就活に悩む人が絶えないと考えられます。
障害者の就活がうまくいかない理由
障害をお持ちの方の就活がうまくいかない理由は、上述した障害者枠の母数が少ないことや自分に合った職種を見つけるのが困難など、いくつかの理由が挙げられます。
ここでは、就活がうまくいかない理由を3つ紹介します。就活をうまく進めるためにも、具体的な理由を押さえ、対策していきましょう。
障害者雇用枠を導入する企業が少ない
障害者枠の母数が少ない1番の原因は、障害者雇用枠を導入する企業がまだまだ少ないからです。そのため、障害者求人を出す企業が限定されてしまい、応募者が殺到、内定につながらないといった理由が考えられます。
障害者雇用を導入する企業が少ないと、就職後の障害者の状況を収集することも困難です。自分と企業のマッチ度を調べたくても決定づける情報が集められないことも、就活を難しくさせている原因といえるでしょう。
特性や希望に合う業界・企業を見つけるのが難しい
自分の障害特性、さらには自分のなかにある希望に沿う業界・企業を見つけることに難しさを感じる人も少なくありません。自分のなかで思い描いていた「やりたいこと」と障害特性によって「できないこと」の間に壁があり、その間で悩む人も少なくないです。
もし仮に、現在自分のなかで障害特性を理由に「難しさ」を感じることがあるときは、国や自治体の支援事業所や支援ツールを活用してみましょう。専門知識を持つ人独自の視点から可能になることもあります。
このように、自分の障害特性について振り返り、どのような業務に困難を感じやすいかを洗い出すと無理なく働ける企業が見つけやすいです!
就活の準備が足りていない
障害のあるなしにかかわらず、就活の準備が不足していることもうまくいかない原因です。
就活を始めるには、まず自分の障害特性を明確にし、深く理解することが必要不可欠。この準備をしっかりと行っていないと、自分に合った職種や業界を見つけにくいです。また、就活の目的がぼんやりしていることも、就活が長引いてしまう原因につながります。
まずは自分の障害特性を把握し、そのあと、企業研究や就職先に求める条件・配慮などを明確にしましょう。
障害者雇用の就活を成功へ導く対策
障害者雇用の就活をうまく進めるには、どのような対策を講じれば良いのでしょうか。ここからは、就活を成功へ導く対策を3つ紹介します。
希望条件を洗い出す
1つめは、希望条件を洗い出すこと。就職先に求める条件には、高い給料や賞与などが挙げられがちですが、障害者雇用で大切なことは自分への配慮です。
障害者雇用を希望するときは、まず自分の障害特性からどのような配慮を求めたいのかを明確にすることから始めましょう。
この対策を行うことで、どのような業界・企業が合っているのかが見つけやすくなります。
たとえば通勤時のラッシュで体調不良を招く方であれば、出社時間を自分の希望に合わせられるフレックスタイム制を導入した企業が望ましいです。
このように、就活では障害特性を抱えながらも実際に働くことを想定し、希望条件に優先順位を付けてから探すよう心がけましょう。
企業研究を行う
2つめは企業研究です。希望条件の優先順位が明確になったら、どのような業界・企業が合っているのかを調べましょう。この場合は、企業の障害者雇用への取り組みを研究するのがおすすめです。
たとえばさまざまな障害特性を抱える人を多く採用した経験のある企業なら、合理的配慮がスムーズに受けられることが判断できます。このような企業だと、障害に配慮したエレベーターやバリアフリーといった設備が導入されていることが多く、業務中のヘルプを申し出る機会も減り、作業に集中できると判断できるでしょう。
障害特性に対する企業の取り組みがリサーチできたら、次は企業理念や求める人材を細かく調べます。ここまできちんと進めることで、就職後のミスマッチを防ぐことができます。
就労支援機関の活用
もし自分だけの力で進める就活に限界を感じたときは、専門知識と豊富な経験を持つプロのアドバイスを受けるのがおすすめです。
障害者雇用の就活におすすめな就労支援機関としては、障害者就業・生活支援センター、ハローワーク、就労移行支援事業所などが挙げられます。ハローワークは、各都道府県に設置された厚生労働省が運営する機関で、全国各地の求人情報を閲覧・紹介が可能です。
障害者就業・生活支援センターは都道府県知事が指定する一般社団法人もしくは一般財団法人などが運営する機関で、就業面にかかわらず、生活面の相談もできます。
就労移行支援事業所は、就職準備に取り組む人へ、就活に必要なトレーニングが受けられる機関。利用者の多くはハローワークに登録している人で、幅広く求人情報を得たい人の利用も問題ありません。
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就労移行支援制度の一般的な利用期間についても触れているので、この機会にあわせてご覧ください。
いくつかの就労支援機関を活用してもうまく就活できないときは、障害者雇用に特化した転職エージェントの利用も検討すると良いでしょう。
当サイトを運営するDIエージェントは、障害者雇用に特化した転職エージェントです。転職エージェントではありますが、新卒支援にも対応しているので、社会人経験がなく就活の進め方がわからないといった方でも安心してご利用いただけます。
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BABナビ
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障害者雇用の就活がうまくいく人の特徴
ここからは、障害者雇用の就活がうまく進む人の特徴を紹介します。どうすればいいかわからず迷っている人は、うまく進められる人の真似をしながら取り組んでみましょう。
障害特性や体調など自己理解が深い
就活において大切なことは、企業と自分双方のマッチ度の深さです。しかし、障害者雇用ではその前に自分の障害特性について理解を深め、どのようなことで体調不良が起きやすいのかなどを把握する、つまり自己理解を深めることが大切です。
障害者雇用の就活がうまく薦められる人は、自己理解が深く、自分にとって必要な配慮を把握し、企業にもきちんと伝えられています。そのことから、まずは企業の特徴を研究するのではなく、自己理解を深めることを意識しましょう。
就活がうまくいかないと気持ちが焦ってしまいますよね。しかし、その焦りを抱いたまま就活に取り組んでも、体調を崩してしまえば長く安定して働くことが困難になってしまいます。
焦る気持ちは分かりますが、まずは自分について理解を深めましょう。
休憩が必要なときは心身をゆっくり休め、体調を整えながら自分に合う企業を探すことが大切です!
広い条件で探している
障害者雇用という言葉から、自分のなかで限界を作っていると就活はうまく進みません。障害者雇用であっても、広い条件を設定し、複数マッチする企業を見つけることが成功の近道です。
一般雇用だと、希望条件を3~5つほどに絞るのがほとんど。しかし、障害特性を抱える人の場合、最低限の条件さえクリアしていれば良いと考える人も少なくありません。
障害のあるなしにかかわらず、就活がうまくいく人は希望条件を広く設定し、一つでも該当すれば応募の候補に加えています。そのことから、自分のなかで明確にした条件が複数該当する企業は、候補としてキープすることをおすすめします。
サポートを有効活用している
就活をうまく進められる人は、利用できるものは利用して、有利に運ぶように動いています。障害者の就活だからといって引け目に感じることはなく、障害があっても就職を目指し、就労支援機関や転職エージェントを活用して、積極的に自分をアプローチしています。
たとえば、ハローワークの障害者求人数が100件だった場合、そのなかから就職先を探すことになるでしょう。先述したように、障害者雇用を導入する企業そのものがまだまだ少ないために、応募者が殺到することは明白です。
このとき、転職エージェントも活用するといった方法を取ると、ハローワークにはなかった求人を発見できたり、より自分に合った企業と出会ったりといったポジティブな可能性が広まります。
DIエージェントは障害者雇用に特化したエージェントであり、新卒就活にも対応。新卒就活に関する記事も公開しているので、この機会にあわせてご覧ください。
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事前準備をきちんと進めて内定を掴もう
障害者の就活がうまくいかないと悩む理由は、本人の問題に限らず、障害者雇用を導入する企業そのものが少ないことが挙げられます。母数が少ない場合、就職後の情報収集も困難なため、うまく進まず悩んでしまうのは当然のことともいえるでしょう。
障害を抱えながら働く上では、 障害の特性に合った業務に就くことや、障害への理解や配慮のある環境選びが大切です。障害があっても「キャリア成長をあきらめたくない」「自分にあった働き方を探したい」という方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。
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大学卒業後、日系コンサルティングファームに入社。その後(株)D&Iに転職して以来約10年間、障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザーを歴任し、 障害・年齢を問わず約3000名の就職支援を担当。