リウマチを患う人が職に就く場合、どのようなことを視野に入れながら就職(転職)するのが望ましいのでしょうか。リウマチは痛みの強弱がその日によって異なるため、周囲とのコミュニケーションが取りやすく、働きやすい環境を探すことが大切と考えられます。
今回は、リウマチを患う人がやってはいけない仕事について解説します。避けるべき理由と適職についてもあわせて解説しているので、参考資料の一つとして本記事をお役立てください。
リウマチの概要
ここではまず、リウマチの概要と障害者手帳についてご紹介します。リウマチの症状によっては障害者手帳の取得対象となるので、あわせて押さえておきましょう。
リウマチの症状
リウマチとは体の関節が炎症を起こし、痛みをともなう病気のことです。炎症によって軟骨や骨に負担が生じ、関節の機能が低下するほか、変形する場合もあります。なかには患部が腫れる患者も多く、日常生活に支障をきたすことも珍しくありません。
リウマチの主な原因は免疫機能の異常と考えられています。免疫機能が正常に機能しないために細菌感染(ウイルス感染を含む)しやすいほか、体内の細胞・組織を誤って破壊することもあると言われています。
リウマチは身体障害者手帳の対象
症状によっては身体障害者手帳の取得対象となります。障害者手帳の取得によって、障害者雇用での就労が可能になるほか、公共交通機関・公共施設の利用料が割り引かれるなどのメリットがあります。
取得方法は主治医に診断書を作成してもらったうえで、福祉事務所または市区役所で手続きします。障害者手帳については厚生労働省公式ホームページに詳細が記載されているので、この機会に目を通しておきましょう。
リウマチの人がやってはいけない仕事 3つの特徴
ここではリウマチの人がやってはいけない仕事を3つご紹介します。就職先を探すときは、リウマチを患うなかで考えられる可能性を視野に入れながら検討を進めましょう。
1.長時間動かなければならない仕事
長時間立ち続ける仕事や、長時間同じ姿勢を保たなければならない仕事、歩行をともなう仕事は不向きです。デスクワークや事務職など同じ姿勢が続く仕事をする方であれば、意識的に休憩を挟んだり足を軽く動かしたりするなど、関節に負担がかからないような工夫をすることが大切です。
2.関節や全身に負担がかかる仕事
重い物を運ぶような関節に負担がかかる仕事も不向きです。リウマチは関節に痛みを感じるため、体をいたわりながら働くことが求められます。
また、リウマチの症状によっては治療期間が長引く場合もあります。就職を考えるなら、リウマチと向き合い、体をいたわりつつも無理なく働ける仕事を選ぶと良いでしょう。
3.雨雪に当たる外の仕事
雨雪に当たる外の仕事も不向きです。関節の冷えや天候によって症状が悪化する可能性があり、治療期間が長引く場合があります。天候や気温の変化に左右されやすいリウマチの症状を受け止め、現状でも働ける仕事とはどんなものかを主治医と相談しながら決めるのが望ましいでしょう。
リウマチの人が避けるべき2つの職場環境
ここでは、リウマチの人が避けるべき2つの職場環境を解説します。リウマチの特徴を振り返りながら、自分に合った企業を探しましょう。
1.サポートが受けられない環境
リウマチは天候や気温、湿度の変化によって、症状の強弱が左右されます。そのため、職場環境のサポートが必須であり、コミュニケーションの取りにくい環境は不向きです。
作業に取り組むなかで痛みが増せば、周囲のサポートを得ながら一緒に進める必要があります。円滑なコミュニケーションが取りやすい環境だと長続きしやすいでしょう。
2.大きな責任をともなう環境
大きな責任をともなう環境もおすすめできません。たとえば、少人数規模の店舗による接客業や、担当する顧客が多い営業職等です。これらは代役が立てにくく休みにくいほか、営業職であれば顧客管理やクレーム対応も任される場合があります。
ストレスはリウマチを悪化させる原因としても知られていることから、大きな責任をともなう環境も避けた方が良いと言えます。
就職を検討するときは、リウマチに対して理解がある企業を探すのが望ましいでしょう。
リウマチの人におすすめの働き方
リウマチを抱えながら就職するには、現在の症状や状況に合わせた働き方を見つけるのがベターです。ここでは、リウマチの人におすすめの働き方を3つご紹介します。
1.気候や気温に左右されない事務職
リウマチは、気候や気温、湿度に左右されやすいため、デスクワークが中心の事務職に就くのが良いでしょう。
ただし、長時間同じ姿勢ではリウマチの痛みを増加させる場合があります。事務職に就く場合は関節に負担をかけないよう、適度に休憩を挟んだり手足を軽く動かすなどの軽いストレッチを取り入れたりすると作業が続けやすいでしょう。
2.在宅でも働きやすいクリエイティブ職
クリエイティブ職もおすすめです。リモートワークが主流となった2020年頃から、クリエイティブな作業を中心に在宅ワークが増加しています。
- プログラミング
- データ入力
- 秘書事務
- Webライター
- イラストレーター
これらの職種はあくまで一例であり、在宅ワークにはほかにもシール貼りや商品管理などクリエイティブ以外の職種も多くあります。
リウマチは痛みの強弱が日によって異なるほか、痛みが強すぎるあまり、当日に受診が必要になる場合もあります。リウマチの特性を考慮し、体を労りながら続けられる働き方が望ましいと言えるでしょう。
3.体への負担が少ない軽作業
軽作業もおすすめの働き方です。たとえば電話を使って顧客対応が中心のテレフォンアポインターは体の負担が少なく、長続きしやすいと考えられます。
しかし、ここまでに紹介した職種は一例であり、人によっては向き不向きがあります。これから就職しようと考えるときは、まずは現状の自分にはどのような仕事が向いているのか主治医や支援機関に相談することをおすすめします。リウマチの症状や特性を知り、上手にコントロールしながら、自身に向いている仕事はなにかを探してみましょう。
リウマチの人が利用できる就業支援
リウマチでも働ける企業を探すなら、国や市で運営する就業支援を利用するのもおすすめです。ここではリウマチの方でも利用可能な4つの就業支援について、特徴や支援内容についてご紹介します。
1.地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、障害者への専門的な職業リハビリテーションサービスをはじめ、相談や援助をおこなっています。
仕事の選び方や継続就労を目指すための就労支援カリキュラムも受けられるので、一人で悩むことなく理想的な就職先を探すことができます。詳細は下記ページでご確認ください。
障害者の方へ|高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)
2.障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、障害者の職業生活において自立をはかれるよう、雇用・保健・福祉などの関係機関と連携を取りながら一体的な支援をおこなう施設です。
障害者雇用の促進や安定をはかることを目的としており、現在では日本各地に設置されています。障害者就業・生活支援センターの詳細については下記ページでご確認ください。
障害者就業・生活支援センターについて|厚生労働省
3.職業安定所(ハローワーク)
全国500ヵ所を超える職業安定所(ハローワーク)は、豊富な求人情報をもとにした職業紹介や雇用保険、雇用対策などの国の制度を組み合わせた雇用支援する施設です。
応募書類作りなどのサポートや、就職を有利にするための職業訓練の案内が受けられます。
各都道府県の職業安定所については下記ページでご確認ください。
ハローワーク|厚生労働省
ハローワーク就職活動|厚生労働省
エージェントサービス
リウマチを抱えていても、利用可能なエージェントサービスもあります。DIエージェントでは、就職を検討する方の状況や症状を丁寧にヒアリングしながら、適切な働き方をご提案させていただいております。リウマチを抱える方の支援実績もあるので、いつでもお気軽にご相談ください。
障害者転職・就職のDIエージェント
リウマチを抱えながら働くうえでの注意点
リウマチを抱える方が働くうえでは3つの項目に注意する必要があります。
- 痛みがあるときはすぐに報告する
- 体調が悪いときは無理をしない
- 周囲とコミュニケーションを取り、相談しやすい環境を構築する
リウマチはその日によって症状が異なり、問題なく働ける日と働きにくい日があります。リウマチを抱えながら就職するには、痛みがあるときはすぐに報告できるコミュニケーションが取れ、そのうえで相談しやすくサポートを受けながら社員全員で取り組める環境が望ましいと考えられます。
理想的な求人が見つかったときは、求人内容や障害者雇用の有無、社員の協調性を重視しているかなど、細かな項目についても目を通すと良いでしょう。
リウマチにより休職を検討するときは
万が一リウマチの症状が悪化し休職を検討する場合は、3つのポイントを視野に入れましょう。
1.主治医に今後について相談する
リウマチの悪化により在職が困難と判断したときは、まず主治医へ相談し適切な指示を仰ぎましょう。「治療に専念すべき」と判断された場合は、現職の上司へ今後について相談するよう努めましょう。
なお、休職にあたっては主治医の診断書が必要になる企業もあります。この場合は主治医より診断書を書いてもらい、そのうえで休職の手続きを進めましょう。
2.在職する企業の休職制度について調べる
リウマチの症状によって休職を検討するときは、休職制度について調べましょう。労働基準法や労働契約法では休職について義務づけていないことから、企業によっては休職制度がないケースもあります。まずは就業規則に目を通し、休職に関する項目を確認しましょう。
3.休職中に利用可能な支援制度を調べる
休職を決めたあとは、休職中に利用できる支援制度について調べましょう。日本ではケガや病気で働くことができない人を対象にした「傷病手当」があり、リウマチを患う方でも利用可能です。疾病手当は支給開始日から最大1年6ヵ月まで受給可能で、働いていた金額の3分の2相当が支給される仕組みです。傷病手当の詳細については下記ページでご確認ください。
傷病手当金について|厚生労働省
リウマチを抱えているなら障害者雇用に力を入れた企業を探そう
リウマチは天候や気温などに左右される病気であるため、屋外での仕事や長時間体を動かす仕事が不向きな点から業務幅が限られてしまいます。しかし近年ではリモートワークを主流とした企業も増加し、家から離れなくても自由に働けるまでに時代は進化しています。
まずは客観的な医師の診断を踏まえて、具体的な対処方法を検討したり、周囲に相談したりすることをお勧めします。
現職中でリウマチを抱えながら仕事を続けるのは難しいという方や、これから就職を考えている方は、障害者枠で就職・転職するという手段もあります。
初めから症状を伝えて、配慮をあらかじめすり合わせしたうえで入社することによって、安心して働くことができます。
実際に、障害者枠で働き始めた方々からは「隠しながら就業していた頃よりも安心して働ける」「配慮をいただきながら働くことに後ろめたさがなくなった」というご感想をいただいております。
DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害をお持ちの方々の生活に有益な情報の発信に努めて参ります。
「今の自分に無理のない働き方をしたい」「症状に理解のある環境で働きたい」というご希望をお持ちの方に対して、就職・転職についてのアドバイスや、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。
お一人おひとりの状況やご希望に合わせて適切なご提案をさせていただきますので、ぜひ一度ご相談ください。
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早稲田大学卒業後、(株)D&Iに入社。 障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザーを歴任し、 現在はHRソリューション事業部の副部長として、DIエージェントの責任者を務める。