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不安障害を抱えて仕事を続けるには?治療法・自分でできる対処法も解説

「不安」とは従来、人間にとって平静な生活を送るために心が発する警報(アラーム)機能です。しかしながら警報が働きすぎてしまうが故に、日常生活にも支障をきたしてしまう方も少なくありません。
この記事ではそんな不安症状にまつわる障害によってお仕事がなかなか続かない方や、ご転職活動を検討されている方、今の職場でこれから続けていくにはどうすればよいか悩んでいる皆様へ各症状の特徴や対処法を解説していきます。

不安障害(不安症)とは?

不安障害(不安症)とは、精神疾患の一種で、「不安」を主症状とする様々な疾患群をまとめた総称です。その中には、特徴的な不安症状を呈するものや、原因がトラウマ体験によるもの、体の病気や物質によるものなど、様々なものが含まれています。パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害(PTSD)もこの中に分類される代表的なものであり、不安起因で生じる症状の傾向別、不安の発生要因別に分類される場合が多いものになります。不安がふさわしくない状況で生じる、頻繁に生じる、日常生活に支障をきたすほど強い不安が生じ、それらが長く持続する場合には、精神障害とみなされます。

不安障害にはどんな種類がある?

アメリカ精神医学会が出版している、精神疾患の診断・分類基準「DSM-5」によると不安障害(不安症)に属する分類は以下の9種類になります。

分離不安症/分離不安障害

概要:愛着のある人や物から離れることに対して持続的に強い不安が生じる障害。
症状:慢性的な不安、不眠、悪夢、頭痛や胃痛などの身体症状
原因:親族、友人、ペットの死や転居、転校など、生活上のストレスが引き金となって分離不安症を発症することがあります。

選択性緘黙(かんもく)

概要:言語能力は正常であるも、特定の場面や人に対して、話すことができないという障害。※場面緘黙症とも呼ばれます。
症状:話す能力はあるが特定の場面で話せない、もしくは流暢な会話ができない。
原因:不安になりやすい気質、言語・身体・運動能力などの機能的な問題、コミュニケーション上の失敗体験によるトラウマ等による発症が主とされています。

限局性恐怖症

概要:特定の状況、環境等に対して非現実的で激しい不安や恐怖感が持続する障害。※高所恐怖症、尖端恐怖症等が代表的なものですが、日常生活に支障をきたすレベルの過剰な不安症状が生じた際にのみ診断されます。
症状:過剰な不安と恐怖感、パニック発作、失神 等
原因:心的外傷的出来事(例:性的虐待、エレベーターに閉じ込められる)や、他人が心的外傷的出来事を受けた様子を目撃したことによる発症が主な原因とされています。

社交不安症/社交不安障害(社交恐怖)

概要:対人コミュニケーションの場(対個人、対大勢を問わず)で、強い不安や恐怖、緊張を感じる障害。もしくはその場面予期することで過剰な不安を感じる障害。
症状:極度の緊張、赤面、動悸、思考停止、身震い
原因:明確な原因が特定されておらず、先天的な当人の気質との因果関係もないものと言われています。一方で後天的な要因として、緊張場面を回避しながら過ごしてきた人が、就職後に仕事上それが回避できなくなり発症する場合が多いとされています。

パニック症/パニック障害

概要:突発性のパニック症状があり、それらを引き起こすことに対して過剰な不安を生じる障害。
症状:動悸、呼吸困難、吐き気、震え等のパニック発作症状と、それらに対する不安や抑うつ症状。後述の広場恐怖症との併発が多くみられます。
原因:脳内神経伝達物質(脳内ホルモン)のバランスの乱れであることがわかってきています。

広場恐怖症

概要:人の多い場所や広域の空間等に身を置いた際に過剰な恐怖感を感じる障害。※広場恐怖症の人の約30~50%は、パニック障害を併発しています。
症状:公共交通機関利用中、店や劇場等の閉鎖空間内、人混みの中等の環境下において以下のような症状がみられる。不安・恐怖心、震え、息苦しさ、動機、パニック発作 等
原因:物事を否定的にとらえる気質や、子どもの頃の辛い出来事、何者かに襲われる、大事なものを奪われるといったストレスの強い出来事が、広場恐怖症と関連していると考えられています。

全般不安症/全般性不安障害

概要:毎日の生活の中で漠然とした不安や心配を慢性的に持ち続ける障害。
症状:慢性的な不安感、思考力低下、注意力散漫、疲れやすさ、不眠(中途覚醒)、無気力等
原因:明確な要因が特定されておらず、神経質の性格や遺伝的要因、今直面しているストレス状態や自律神経の障害などが発症の原因のひとつだと言われています。

物質・医薬品誘発性不安症/物質・医薬品誘発性不安障害

概要:物質の直接的な作用によって不安症状が引き起こされる障害。
症状:無気力、漠然とした不安、身震い、過剰な興奮、易怒性、せん妄症状 等
原因:アルコール、抗不安薬、鎮静剤、カフェイン、タバコ、大麻、コカイン、有機溶剤等の物質の過剰な摂取、乱用、使用の中断を機に発症することが確認されています。また物質毎に治療方法が異なるため要因物質の特定と適切な処置が必要です。

他の医学的疾患による不安症/他の医学的疾患による不安障害

概要:重篤な疾患に罹患、または罹患しつつあるという状況により不安を生じる障害。
症状:うつ症状、パニック発作、何気ない身体的変化に対する過剰な不安(発汗や腹鳴など病状に関係ない正常な身体機能に対しても)、過剰な治療行為の要求もしくは治療行為の忌避行動。
原因:呼吸器疾患(ぜんそく、肺炎 等)、心血管系疾患(心不全、不整脈 等)、内分泌疾患(甲状腺機能亢進症、低血糖症 等)、神経疾患(脳炎、てんかん 等)などの重篤性や突発性のある疾病により発症が認められるケースが多いです。

不安障害で仕事上困ることは?

不安障害があることで、仕事にまつわるさまざまな場面で、症状が次のような困りごとにつながってしまうことがあります。

人前で話すことがこわい

採用面接時に面接官と話すことや、仕事上の会議での発言、プレゼンテーションを行う場面で流暢に話せない、極度の緊張を感じる、動機や過呼吸発作等の症状が現れることがあります。

人の視線が気になり集中できない

同僚や上司の視線に対して過剰に反応することで、周りの見ている前で失敗してしまうことで、周囲からどのように思われるか等の妄想が働いてしまい、発言ができない、集中できない等の状況になることがあります。

電話でうまく話せない

同僚の前で電話の応対をすることに極度に緊張してしまう場合や、また電話相手に失礼のないようにと意識しすぎてしまうがために生じる緊張から声が震えてしまう、流暢に話せない場合があります。

会議・宴会など人が集まる場所に参加できない

大勢の前での発言行為そのものへの不安を感じてしまうことや、それをしたことによって引き起こす失敗への予期不安を感じることなどがあります。またうまく雑談ができないために宴会の席で委縮してしまい上手く話せないことがあります。

電車・バスなどに乗れない

パニック障害や広場恐怖症がある場合、不安や恐怖を感じて電車やバスなどに乗ることができず、会社に行くことができなくなることがあります。

不安障害を治療する方法は?

不安障害のある人が仕事上で直面するこれらの困りごとは、以下のような方法により治療や状態の改善ができる可能性があります。

どの診療科に行けばよい?

不安障害が疑われる症状が6か月以上続く場合は、精神科か心療内科を受診しましょう。動悸やめまいなどの身体症状が強いときは、内科の領域である心療内科のほうが適しています。不安障害の治療は、薬物療法と精神療法が基本です。ストレスが蓄積して心身共に疲れているようなときは、長期休養が必要です。主治医から1か月間休養するようにと指示された場合は、休養も治療の一環と理解して必ず指示を守るようにします。

薬物療法

薬物療法では、抗うつ薬の1種であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が中心になります。セロトニンとは思考や意欲、感情、気分などに関わる脳内の神経伝達物質で、服用すると不安を緩和する効果が得られます。

精神療法

精神療法にはいろいろありますが、不安障害に対しては主に次のような療法が用いられます。

1. 認知行動療法

認知行動療法では、障害当事者の方が自分の力で問題を解決できるようになることを目標として、必要なスキルの向上や対処法の習得を治療者が援助します。ある状況における、ある人の『考え方』、『行動』、『気分』、『身体の反応』は、それぞれが影響を与えあっていると考え、それらを修正することで相談者の抱えている問題の解決を目指します。
不安障害の場合では、『これが怖い、○○はできるはずない、●●が苦手』といった考え方が不安や恐怖心と関連していると考え、これらを引き起こしている考え方を、少しでも気分が楽になるような考え方に変えられるように治療者と一緒に練習します。認知行動療法は治療者と一緒に問題解決に取り組む心理療法で、不安症状の治療や予防に効果があることが確認されています。

2. 曝露療法

不安症状をもつ当人に対して、不安を引き起こす場所・場面に実際直面する事により、不安や恐怖感に徐々に慣れていく療法です。不安場面に直面すると、一時的に強い不安を経験しますが、最終的には安全な状態に落ち着いていきます。不安度合いの低い状況から開始し、徐々に不安度の高い場面に向き合うに当たって徐々に自信を身に着けていきます。単身で行うことが困難な場合には医師だけでなく、配偶者やパートナー、友人の支えが力になることもあります。曝露療法の治療効果としては、89%でパニック発作等の症状が消失したとの報告もあり、薬物療法と同等の効果がある事がわかっています。

不安障害をもって働く上で、自ら行える対処法

不安障害は薬物・行動療法以外にも日々の取り組みの中で、症状の改善や予防を行うことができます。

食生活や生活習慣を改善する

食事や睡眠などの生活リズムを作る習慣の乱れにより心身の調子が崩れることで、不安や恐怖に対する心の抵抗力も低下します。十分な睡眠や栄養バランスの良い食事、適度な運動により基礎体力をつけることなどが、不安や恐怖への抵抗力をつけることにつながります。

自分がリラックスできる方法を複数もつ

不安が生じた際に、心の乱れを整えてリラックスする方法を身に着けておくことで、「不安が起こることへの不安」を防止し、不安症状の深刻化や悪循環を防ぐことができます。

1. 呼吸法

不安と恐怖を感じて呼吸が浅く速くなった場合は、呼吸を意図的にゆっくり、深く行います。呼吸の回数と心拍数は連動していると考えられているため、呼吸を整えることで、動悸などの身体症状がやわらぐ効果が期待できます。呼吸を整えるには、お腹をふくらませながら鼻から息を吸い、お腹をへこませながら口からゆっくりと息を吐く「腹式呼吸」が適しています。

2. 筋弛緩法

不安や恐怖を感じたときは、無意識のうちに体のさまざまな筋肉に力が入っています。したがって、筋肉をゆるめることで心の緊張もやわらぐ効果が期待できます。筋肉をゆるめる「筋弛緩法」には、さまざまなやり方があります。これらのやり方に共通する目的は、筋肉にいったん力を入れてから脱力することで、筋肉がゆるむ感覚を味わうことです。例として、歯をくいしばって顔全体に力を入れてから力を緩め、両肩を耳につけるように引き上げて力を入れてから、脱力して肩を落とすなどのやり方があります。

同僚や周囲の人に症状について打ち明ける

不安障害は外からではその辛さが分かりにくいため、上司や同僚など、身近な人に症状を伝えて支援を仰ぐこともひとつの方法です。業務量や勤務時間の調整をすることで、症状が和らぐ可能性もあります。上司などに伝えることに抵抗がある場合は、産業医や産業カウンセラーなど、社内の専門家に相談してみる等も方法の一つです。

通勤ストレスを減らす

通勤時の電車やバス内などの通勤環境に対して不安が生じやすい場合には、不安を感じやすい状況を避ける工夫をしてみましょう。

1. ラッシュ時間帯の回避

満員電車時間帯を避けて早めに職場に到着する方法や時差出勤の制度があれば利用する等も効果的です。

2. 各駅停車の利用

また主要駅しか止まらない「急行」「特急」や「快速電車」などですと、停車駅が少なく混雑するリスクが高く、すぐに降りられない状況や過度な混雑状況から不安症状を引き起こす可能性が高くなります。あえて各駅停車に乗車すれば、混雑を避けられる機会や降りる機会は多くなり、不安になってもすぐに降りることができます。また、「混雑していない」「すぐに降りられる」と感じるだけでも、不安になるリスクが低くなります。

3. 感覚緩和法

電車によってパニックになる方は、五感のうちのどれかが過敏に働いているケースがあります。視覚の緩和は乗車中のみ、本やスマートフォンを見るようにする。嗅覚の緩和はマスクを着用する。聴覚の緩和はヘッドフォン、イアーマフなどを着用する。触覚の緩和は上述した方法により満員電車を避ける。等の対処が効果的とされています。

業務量や職場環境を調整する

業務量に起因する不安の場合は、これらを減らす(もしくは増やす)方法がないか、上司や同僚に相談してみましょう。業務プロセスの効率化や、業務過重になりすぎている人の担当業務の再割振の可能性があるかも相談してみましょう。また環境的な要因がある場合には席の配置を変えてみる等、可能な範囲で行いましょう。業務内容に対する適性の低さが原因であれば、業務配置転換に関する相談をしてみるのもよいでしょう。

不安障害のある人が利用できる制度・機関は?

不安障害と付き合いながら仕事をしていく場合は、一人で抱え込まず、会社や病院、福祉制度といった社会的資源を利用しましょう。

仕事を探す際に相談できる制度・機関

1. 障害者就労生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害者の雇用促進等に関する法律に規定されている事業です。全国に332センターがあり(平成29年時点)、厚生労働省や都道府県から社会福祉法人やNPO法人に委託されています。東京都内には6センターが設置され、ハローワークをはじめ、行政機関、就労移行支援事業所等の福祉施設、区市町村障害者就労支援センター、障害者職業センター、医療機関、特別支援学校等の関係機関と連携しながら、障害のある方の就労支援と、企業への雇用支援を行っています。

2. 就労移行支援事業所

障害者総合支援法で定められた障害福祉サービスの1つです。障害のある人に職業訓練を実施するだけでなく、仕事探しから就職して職場に定着するまで一貫して支援を行うのが特徴です。利用者は定期的に事業所へ通ってサービスを受けることになります。昨今では不安障害が理由で複数の会社を転々としてしまった方や、就業経験が浅くこれといった主なキャリアをお持ちでない若年層の方の利用が増えており、しっかりとしたトレーニングカリキュラムを修了し、安定的に毎日自宅以外の環境に通えた実績を武器に就職活動を進めている方もいらっしゃいます。民間企業においても注目が高まっており、書類選考上、利用している方と利用していない方とで、選考の有利不利が分かれるケースも見受けられます。

3. 障害者求人専門転職エージェント

民間企業のうち人材紹介事業を行っている会社の中には、障害者求人を専門で取り扱う転職エージェントがあります。キャリアアドバイザーやコンサルタントなどと呼ばれる専門スタッフが、自分と企業との間に立ち、面接から入社までの橋渡しをしてくれるサービスです。 希望や能力に合った求人の紹介だけでなく、応募に関する相談やアドバイスなども行っているケースが多く、ご自身の経験や不安障害の症状を伝えると、それをもとに最適な職場環境を提案してもらえるサービスです。

経済的な支援が受けられる制度

1. 自立支援医療制度(精神通院医療制度)

精神疾患の治療にかかる医療費の自己負担額を軽減する制度です。疾患の種類や所得に応じて、ひと月当たりの負担額に上限が設定されます。申請は、市区町村の障害福祉窓口で行います。

2. 傷病手当金

疾患や怪我で会社を休んだ際、無収入になってしまう休職中の生活を保障するために支給される手当金です。保険組合の加入期間によって平均収入額の3分の2の額か月額28万円のいずれかが、最長1年6ヶ月まで支給されます。申請する場合は、まずは勤務先企業の人事担当者に相談しましょう。

まとめ

不安障害には様々な種類があるだけでなく、同じ種類の障害と診断された方でも、具体的な症状や発症の背景、必要な治療法がすべて個々人毎に異なります。DIエージェントではそんな個別性の高い不安障害をお持ちの方の各症状や不安傾向を踏まえて、実際の求人だけでなく、職場(求人)を選ぶ上でのポイントや、仕事を進める上での効果的な対処方法、周囲の方への協力依頼の方法までをご紹介しております。一人で抱え込まずにまずはプロに相談することで、不安の解消法を模索してみるのはいかがでしょうか?

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