障害者就業・生活支援センター(なかぽつ/就ぽつ)とは?受けられる支援や利用手順を解説

障害者就業・生活支援センター(通称:なかぽつ/就ぽつ)とは障害をお持ちの方の職業生活の自立を目的とした支援機関です。
この記事では障害者就業・生活支援センターの概要、利用方法と流れ、支援の内容などについて詳しく解説していきます。どのような支援が受けられるか気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

障害者就業・生活支援センター(なかぽつ/就ぽつ)とは

障害者就業・生活支援センターとは、様々な支援機関(雇用、保険、福祉、教育)との連携を取りながら障害をお持ちの方の身近な地域において就業面、生活面における支援をおこなっている施設です。

障害をお持ちの方が職業生活で自立し、障害者雇用の促進と安定を図ることを主に目的としています。

▲クリックすると拡大します|参考「障害者就業・生活支援センターの概要」

当該センターは都道府県から指定を受け、社会福祉法人やNPO法人などが運営を担っています。

「なかぽつ」という呼び方は「障害者就業・生活支援センター」の就業と生活の間にある「・(なかぽつ)」からきています。その正式名称が、「長い、言いにくい、覚えづらい」ことから、「なかぽつ」または「就ぽつ」と略して呼ぶようになったと言われています。(以下、この記事では「なかぽつ」と表記します)

参考:厚生労働省「障害者就業・生活支援センターについて」
京都府「障害者就業・生活支援センターについて」

全国の施設数

全国には338箇所のなかぽつが設置されています。(令和4年4月1日時点)
お近くのなかぽつは以下の厚生労働省のホームページから確認できます。

    • 厚生労働省「令和4年度障害者就業・生活支援センター 一覧」
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000928244.pdf

障害者就業・生活支援センターでおこなっている支援

なかぽつでは「就労面での支援」と「生活面での支援」の両輪で一体的な支援を、関連機関と連携しながらおこなっています。

就業面における支援

就業面の支援については職場実習のあっせんや求職活動の支援などをおこなっています。より具体的にみていきましょう。

 
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1施設につき、就業支援担当者が2~7名在籍しています。

就業についての相談支援

就業についての相談支援は、大きく3つの項目に分けられます。

  1. 就職に向けた準備支援→職業準備訓練、職場実習の紹介(あっせん)
  2. 就職活動に関する支援→ハローワークなどと連携した求職活動のサポート
  3. 職場定着のための支援→なかぽつの職員が職場や家庭訪問をおこない状況確認をするなど継続的な支援

企業・事業所への助言

少しでも安心して長く働けるよう、障害をお持ちの方の特性を理解し、お互いのニーズ把握や状況確認をした上で雇用管理について適正な助言を事業所へおこないます。

 
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働きたい障害者の気持ちも採用する企業の気持ちも熟知しているのですね。

関係機関との連絡・調整

なかぽつはハローワーク、特別支援学校、地域障害者職業センターなどの各機関との連絡・利用調整などをおこないます。

 
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「点」ではなく「線」や「面」として支援をしてくれるのが心強いですね。

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生活面における支援

なかぽつでは仕事だけでなく、あらゆる生活面での支援もしています。

日常生活や地域生活についての助言

日常生活を整えるために、生活習慣・健康管理・金銭管理などの自己管理についての助言が受けられます。住居、年金、余暇活動などの地域生活や生活設計についても相談ができます。

 
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生活支援担当者が必ず一人は在籍しています。

関係機関との連絡・調整

なかぽつは地域の就労移行支援事業者、福祉事務所、保健所、医療機関など様々な関係機関との連絡・調整をおこなっています。「漠然と困り感があるけれど、どこに相談したら良いかわからない」という場合はなかぽつを訪ねてみると解決のヒントが見つかりそうですね。

 
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もちろんDIエージェントや就労移行支援のワークイズでもキャリア支援のご相談をメインにご相談は歓迎です!


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障害者就業・生活支援センターを利用できる人の条件は?

なかぽつを利用するために条件はあるのでしょうか? 対象者や条件、持ち物なども確認しましょう。

利用対象者

なかぽつの利用対象者は、身体障害知的障害精神障害難病の障害などをお持ちの方で、センターの近くに住んでいる、または働いている方です。原則は障害者手帳の取得者または申請中の人が対象者ですが持っていなくても医師の診断書があれば利用の対象となる場合があります。
より詳しい利用対象者の条件についてはお近くのなかぽつに直接問い合わせてみてください。

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年齢・利用期間

原則、労働年齢は「15歳以上65歳未満」を対象としていますが、年齢の制限がない場合や地域によって異なる場合もありますので、なかぽつへ確認をしましょう。利用期間についても、各センターに確認してください。

    • 【例】
障害者就業・生活支援センター ワーキング・トライ
    (東京都・板橋区)の開所時間
  • 開所曜日/月~金
  • 受付時間/9:30〜17:00

障害者就業・生活支援センターを利用する方法

なかぽつを利用する方法はまず直接センターに電話し相談する日程を予約します。基本的には直接本人が行って担当者と相談することになりますが、体調面などが懸念される場合には担当者が自宅訪問をする場合もあります。相談・支援は無料で受けられますが、継続して利用するためには登録が必要です。

 
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新型コロナウイルス感染症対策の影響で、通常の面談の方法とは異なる場合がありますので注意しましょう!


障害者就業・生活支援センターを利用する方法と流れ

「なかぽつを利用してみたい」と思った場合、どうしたらよいかの流れをお伝えします。

大まかな流れは以下の通りです。

  1. 電話で予約
  2. 初回面談・登録
  3. 支援プログラムの作成
  4. 職業訓練・就職活動準備
  5. 就職
  6. 職場定着支援

より詳しく、どのようなサポートが受けられるのかみていきましょう。

①近くの障害者就労・生活支援センターに電話する

まずお近くのなかぽつに電話をして面談の予約をおこないます。

 
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自宅訪問を希望する場合は、電話にて依頼をしましょう。

②担当者と面談する・登録する

なかぽつの担当職員との面談では、障害や現在の就労状況などを伝えた後に支援内容についての説明を受けます。そこからさらに継続して支援を受ける場合には登録をおこないます。

初回面談でできること

初回面談では障害の特性、体調、現在の職場、職歴、生活状況などの多角的にヒアリングする時間になります。そこからどのような支援などを受けられるのかというのも併せて説明が受けられます。

 
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障害者手帳や診断書、これまでの記録などを持参すれば話がスムーズですよ。

③支援プログラムが作成される

その後どのような支援が最適かを検討して、個別のプログラムが作成されます。
ハローワークや就労移行支援事業所、病院などとも連携をしているので、個々に合わせてより専門的な施設への紹介や調整をしてくれることが期待できます。

④職業訓練/就職準備・就職活動を行う

職業訓練は就労移行支援事業所などと連携しておこないます。就職を目指して履歴書の書き方や面接指導、 さらには職場実習を通して実際の職場での働く上でのビジネスマナーを身につけていきます。

 
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職場体験やインターンシップができる場合もあります。

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⑤就職する

ハローワークなどとも連携しつつ、雇用条件などを確認・調整をおこなった上でいよいよ就職です。トライアル雇用から始めるといったパターンもあります。

 
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就職活動期はDIエージェントなどのエージェントもうまくご活用ください。利用開始時はなかぽつを使っている旨もお知らせくださいね。より的確なアドバイスをいたします!

⑥職場定着支援を受ける

無事に就職が決まった場合、そこで終わりではなくさらに継続的に就労していただけるような定着支援をおこなっています。センター職員が、職場を訪問したり、本人の家庭訪問をしたりなど定期的に連携をとりながら、定期的に悩みや、課題を聞いて万が一のトラブルにも迅速に対処できることが特徴です。

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障害者就業・生活支援センター利用の注意点

なかぽつでは生活や就労に関する相談に乗ってくれますが、受けられる支援の範囲には限りがあるということを充分に理解しておきましょう。

なかぽつでは基本的に求人の紹介まではしてくれません。しかし転職エージェントであれば全国の大手企業・優良企業の非公開の求人も含め様々な求人の紹介を受けられ、豊富な知識を持った専任の担当者が在籍しています。働く為の準備をしたいというよりも転職する先を探しているのであれば、なかぽつと一緒に転職エージェントを併せて利用するのをオススメします。

 
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DIエージェントの特徴として…
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まとめ

就職したいけど何から始めればいいのかわからない…
この悩み、どこの誰に相談したらいいのかわからない…
このような方々が簡単に、そして気軽に相談できる場所がなかぽつです。

上記のような困った時や不安な時に心の拠り所として登録しておくと安心でしょう。

興味を持ったらすぐ行動! お近くのなかぽつを調べて相談してみましょう!

監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。