発達障害をお持ちで面接に受からないと感じている方へ|「面接成功」のための準備とポイントを解説 

「発達障害があるけど、就職の面接で上手く話せなくて受からない」「転職活動をしているけど、採用されるための面接対策を知りたい」などと思っている人はいませんか。 
障害の有無に関わらず就職・転職では、ほとんどの企業で面接が求められます。しかし、発達障害をお持ちの方の中には面接に苦手意識を持ち、上手くいかずに悩んでいる人も少なくありません。 
面接を成功させるためには面接の目的を理解した上で、障害特性を理解するなどの事前準備が大切です。 
今回は発達障害をお持ちの方が面接を成功させるための準備や、面接官に好印象を与えるポイントなどを紹介します。今後の就職・転職活動の参考にしてくださいね。

障害者枠における面接の目的とは?

そもそも就職・転職活動において、なぜ面接が行われるのでしょうか。
面接の目的はズバリ、企業が求めている人材とマッチしているかどうかをチェックすることです。
業種や職種によって業務内容は異なり、求められる知識やスキルが異なるのはもちろん、企業の社風に合うかどうかなども面接の中で見られています。 

それに加えて障害者雇用枠の面接では「どのような障害を持っており、会社側がどのような配慮をすれば活躍してくれる人材なのか」を確認する場でもあります。面接を受ける求職者は企業ニーズをくみ取った上で、「私はこれだけ会社のニーズにマッチした人材ですよ!」とアピールし、「障害を持っていてもこのように活躍できます」と企業を安心させる必要があります。

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発達障害のある方が面接に受からないと感じる理由

発達障害をお持ちの方の中には面接に苦手意識があり、受からないと感じている人も少なくありません。多くの人が感じている理由は次の3つです。

うまく受け答えができない

まずは面接でうまく受け答えができないことです。
面接官との面接では志望動機や自己PRなど、さまざまなことが質問されます。質問の意図を正しく理解した上で、意図に沿った形で簡潔に回答しなければいけません。
しかし発達障害をお持ちの方の中には相手の気持ちを推察したり、言葉の意味を正確に把握したりすることが苦手な人もいることでしょう。質問の意図とは論点がずれた回答となってしまったり、冗長に話し続けてしまったりすることがあります。

自分の特性をしっかりと理解しきれていない

面接では一人ひとりの特徴や得意なこと、不得意なことも聞かれます。自分のことを客観的に理解した上で、さらに企業が持つニーズにマッチできる部分をピックアップして伝えることが必要です。
しかし発達障害がある人の中には自己分析が不十分で、客観的に自分のことを理解していない人も少なくありません。どのような障害特性があり、どのようなことが得意なのか、そして苦手なのかを理解していないと、面接で上手くアピールすることは難しいでしょう。

仕事ができないと思っている

仕事ができないと自分で思いこんでいる場合もあります。
過去の就労経験で失敗体験があると、「自分には仕事ができない」とマイナスな感情を持ちやすくなります。例えば一般枠で就職し、障害への配慮をしてもらわずに仕事をしていると、周囲と比べて仕事が進まなかったりミスを多くしてしまったりして、自信を失ってしまう場合があります。
失敗経験ばかりが記憶に残っていると、うまく自己PRができなかったり、受け答えに自信のなさが表れてしまったりすることも考えられます。

発達障害のある方が面接で受かるための4つの準備

発達障害のある方が面接で受かるためには、事前準備が必須です。
以下の4つを重点的に行いましょう。

自分の特性を理解し整理する 

あなた自身がどのような特性を持っているのかを整理してみましょう。特性を客観的に理解することで面接の場で正確に伝えられるようになるだけでなく、特性に合った仕事を探すこともできるようになります。
「イレギュラーな対応はパニックになるので、ルーティンワークが良い」「計算が得意で集中できるため、経理職が合っている」などです。
これまでの生活や就労経験などを思い出しながら、リストアップしてみると良いですね。また家族や友人、支援者などに聞いてみるのもおすすめです。

必要な配慮をまとめる

苦手なことを整理することも大切ですが、より重要なことはどうすれば苦手なことをカバーできるか理解することです。
例えば面接で「マルチタスクが苦手です」「暗黙のルールの理解ができません」などと、苦手なことだけを伝えてしまうと、面接官は「採用して大丈夫かな?」「どのような対応すれば良いのか分からない」と不安だけを感じてしまうしょう。

マルチタスクが苦手ですが、優先順位をつけて計画を立ててから業務に取り組むようしています。業務を指示していただく際は納期を明確に教えていただけると、計画的に取り組めます 
「暗黙のルールに気づきにくいため、もし気になる言動があれば、その都度指摘してもらえると理解できます」など、どのような配慮があれば仕事ができるのかを一緒に伝えると、面接官は安心します。

また「ナビゲーションブック」と呼ばれる、障害特性や得意なこと・苦手なこと、必要な配慮を文章でまとめたシートを企業に提出してもいいでしょう。

特性に適した職種を見つける 

自分の特性を理解したら、特性に適した仕事や業界を探してみましょう。やりたいことを仕事にすることも大切ですが、長く働き続けるためには特性に合った仕事に就くことも重要です。
例えば一つのことに黙々と集中して取り組み、数字の間違いにもすぐに気が付けるような人には経理の仕事が、長時間集中することは苦手だけどコミュニケーションには自信があるという場合は人事アシスタントや総務の仕事など、それぞれの特性にマッチした仕事を探してみてください。

企業のニーズを研究する 

最後は企業のニーズを研究することです。企業研究は障害の有無に関わらず、就職・転職活動をする人にとって必ず求められます。
前述したように企業が欲する人材は、企業ごとによってさまざま。企業研究をすることで、どのような人材を求めているのかを理解できるようになるでしょう。 
企業の採用ページなどに目を通し、経理理念や業務内容などをチェックしてみてください。またすでに働いているスタッフの体験談も参考になりますね。

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面接で好印象を与える5つのポイント 

面接ではあなたが話す内容だけでなく、身だしなみや表情など多くの点を面接官はチェックしています。 
面接官に好印象を与える5つのポイントを見ていきましょう。

清潔感を大切にする 

面接室で面接官と対面した際、面接官はあなたの外見を最初に見ます。服装や髪の毛、爪などに清潔感があるかどうかは、面接官の第一印象を大きく左右するものです。
以下の項目でそれぞれのポイントを紹介します。

服装のポイント

多くの人は就職・転職活動の面接ではスーツを着用することでしょう。スーツは体のサイズにピッタリと合ったものを選んでください。
大きすぎるものや小さすぎるものは見た目が悪いだけでなく、シワやヨレなどの原因にもなりかねません。必ずお店で採寸をしてもらって作るようにしましょう。
男性は靴下の色をスーツに合わせること、女性はストッキングが伝線していないかも重要なチェックポイントです。
またカバンや靴に汚れがないかどうかも確認してくださいね。

髪・爪のポイント 

男性の場合、髪の毛は短めにするのが良いでしょう。特に前髪を短くしたり、長い場合は上にあげて額を出したりすると清潔感が表れます爪は短くカットして、爪の間に汚れがないかどうかも確認してください。 

女性で髪の毛が長い場合は後ろで縛りましょう。爪も短めにカットしておきます。マニキュアを使うのであればベージュや透明など、目立たない色が無難です

表情は自然な笑顔で 

面接中は自然な笑顔を心がけます。常に口角を少しだけ上げるようにすると、自然な笑顔となって印象が良くなりますね。
実際に鏡を使って練習をしてみましょう。

姿勢をよくする 

着席している間の姿勢にも気を使いたいところです。
椅子の背もたれに背中を付けず、浅く座るようにしましょう。背筋をまっすぐに伸ばすと見栄えが良くなります。また着席中男性は足を肩幅程度に開き、反対に女性は開かず膝をくっつけるように意識してください。

明るく話す 

話す際はハキハキと明るく、明瞭にすることが大切です。また早口になると面接官が聞き取りにくいため、注意しましょう。
自分で適度な声量やスピードが分からない場合は家族や友人、支援者などに聞いてアドバイスをもらってください。

目線は面接官へ 

目線は常に面接官へ向けます。緊張からキョロキョロとあちこちに目線を運ぶと、「落ち着きがない」「話しを聞いていない」などマイナスのイメージを与えかねません。
自然な形で面接官の目を見ることが大切です。しかしどうしても目を見るのが難しい人は、面接官の鼻に視線を置くと良いでしょう。


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相談できる相手を持つことも重要 

発達障害をお持ちの方が就職や転職活動で採用を勝ち取るために面接対策は大切ですが、相談できる相手を持つことも重要です。面接対策も含めて、さまざまなアドバイスや支援を受けられるでしょう。 

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは発達障害者に関わる、総合的な相談・支援窓口です。
就労に関する相談や支援も行っており、ハローワークやその他の労働関係機関と連携をしながら情報提供もしています。必要に応じて職場へ訪問して、作業へのアドバイスや各種調整なども行ってくれるのが特徴です。

就労移行支援施設

就労移行支援施設は一定期間通所をして、就労に必要な知識やスキルを習得するトレーニング施設です。求人選びから面接対策、企業とのやりとり、就職後のサポートなど、一貫した支援をしてくれます。
トレーニング内容は施設によって異なるため、利用する場合はいくつかを比較してみると良いでしょう。

ジョブカフェ

ジョブカフェは障害の有無の関わらない、若者の就職支援を行っている施設です。各都道府県が主体となって設置しています。
職業相談から職業体験、各種セミナーの開催、職業紹介などの就労支援をワンストップで行っているのが特徴です。ジョブカフェは通称であって、地域ごとに名称は異なります。

ハローワーク 

ハローワークには障害者雇用の専用窓口があり、担当スタッフが職業相談や職業紹介をしてくれます。
就職や転職に関わる不安なことを相談しながら、特性や条件に合った求人探しも手伝ってくれるのは大きなメリットでしょう。

障害者枠専門の転職エージェント 

最後は転職エージェントです。登録をすると希望に合った求人を紹介してくれるサービスのことです。
障害者枠に特化した転職エージェントであれば自分と同じような障害を持った人がどのような企業に就職・転職しているのかを熟知しているため、経歴や障害特性、希望条件に合った求人を紹介してもらえますさらに履歴書の添削や面接対策なども行ってくれるため、効率的に就職・転職活動を進めてけるでしょう。

まとめ 

就職活動や転職活動を進めていく中で、面接が苦手と感じている発達障害者は少なくありません。上手く受け答えができない、自分の特性を客観的に理解していないなど、理由はさまざまです。
面接で受かるためには事前の準備が必須。特性を整理して理解したり、必要な配慮をまとめたりすることが大切です。 

監修:高橋 平
早稲田大学卒業後、(株)D&Iに入社。 障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザーを歴任し、 現在はHRソリューション事業部の副部長として、DIエージェントの責任者を務める。