免疫機能障害とは?オススメの働き方や両立における注意点を解説

免疫機能障害とは、免疫系が正常に機能しない障害のことです。免疫機能障害によって感染症を発症しやすくなったり重症化したり、さらには自分自身の細胞を攻撃したりするといった様々な症状が見られます。

そこで今回は、免疫機能障害をお持ちの方へ、オススメの働き方や障害との両立における注意点について解説します。どのような業種であれば就労に対する困難を感じにくいのか、さっそく見ていきましょう。

働く前に押さえておこう|免疫機能障害の概要

免疫機能障害は、免疫系統が正常に機能しないことで細菌やウイルスに感染しやすくなり、風邪を引きやすくしたり、長引かせたりするなど、様々な困難が見られる障害です。

免疫機能障害には原発性・続発性の二つに区分され、原発性は遺伝等によって生まれ持った障害を、続発性はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症をはじめ、がん、糖尿病等の長期的な罹患によって生じるものに分かれています。

原発性・続発性には様々な要因がありますが、どちらも障害の度合いは人それぞれとされています。またどちらも早期治療によって悪化の防止・完治・寛解を目指すことが可能と言われています。

万が一、風邪を引いた場合でも、適切な治療を受けていないと重症化する恐れがあります。免疫機能不全をお持ちの方が就労する上では適切な治療を続けることはもちろん、自分の健康を維持する意識も大切と言えるでしょう。

就労と治療を両立する上で大切なこと

免疫機能障害をお持ちの方でも、就労は問題ありません。仕事と治療の両立が無理なく行える就労環境であれば、自分に合った働き方を選択しながら業務に取り組むことができるでしょう。

ただし、就労と治療の両立にあたっては、通院と用量を守った服薬治療の継続が不可欠です。その理由は、免疫機能障害においては、薬物療法の有効性が確立されているからです。

体力的に問題はなく、就労に対する合理的配慮に理解のある会社であれば退職や転職を考える必要はありません。しかし障害の偏見から、適切なコミュニケーションが取れないといったときや十分な配慮が得られないと悩むことが多い場合は、あなたの障害特性に合った就労先への転職をオススメします。

障害をお持ちの方が就労する場合、就労先から合理的配慮を求めることができます。

 
キャリアアドバイザー
合理的配慮についてはこちらの記事でまとめています。
この機会にぜひご覧ください。

免疫機能障害をお持ちの方の就労|働く上での条件

自分に合う働き方や就労環境は、これまでの生活を振り返り、どのようなシーンで配慮やサポートが必要になったかを振り返ると気づきやすいです。

ここでは免疫機能障害をお持ちの方の就労に際して働く上での条件を紹介します。各項目に目を通し、就労先を探す際の参考にしてください。

障害の特性や配慮してほしいことを洗い出す

まずはこれまでの生活や就労を振り返り、自分の障害特性について洗い出してみましょう。この作業を行うことで自分に合う職場を見つけやすくなります。

例えば業務中に体調が悪くなった場合、どのような配慮を求めたいかを考えてみましょう。突発的なシーンをイメージすることで、面接などで事前に必要な配慮・サポートについて共有でき、会社側もどのような配慮が必要なのか知ることができます。

面接などで「障害がある」と一口に言っても、障害の度合いやみられる体調不良について細かく知る人はまだまだ少ないです。適切な配慮・サポートを受けながら働くためにも、自分の特性や配慮事項を洗い出し、会社に共有できるよう準備しておきましょう。

 
キャリアアドバイザー
免疫機能障害では定期的な通院や服薬治療が伴います。
就労するとしてもこのような状況に対して理解を得られるかについても、質問できるよう準備すると安心です。

正確に説明できるよう準備する

就労先へ適切な配慮を求める場合、自分の言葉で会社側に共有することが伴います。自分の障害特性については自分が一番分かっていることでしょう。

しかし、だからといって簡略的にまとめて説明すると、就労先にとっては分かりにくい説明となり、適切な配慮が受けられなくなる可能性があります。

自分の障害特性について理解を深め、どのような配慮が必要になるかを洗い出した後は、誰が聞いてもきちんと理解できる内容にまとめ、不足なく説明できるよう準備しておきましょう。

通勤時間や勤務時間等の調整が可能かを調べる

起床後に体調が優れないときは、できれば通勤ラッシュを避けて出勤したいですよね。就労にあたっては、急な体調の変化を想定して、通勤時間や勤務時間の調整が可能な環境かも調べてみましょう。

フレックスタイム制度が導入された企業だと、体調を考慮しながら自分に合った通勤・勤務が実現しやすいです。また、定期的な通院でも対応できるよう、時短勤務もあると、いつまでも安心して働くことができるでしょう。

なお、免疫機能障害では、定期的な通院が欠かせません。面接等で通院の必要性について共有する際、有給休暇の初回付与や通院休暇等の制度の有無について確認しておくのもオススメです。

必要に応じて障害者雇用も検討しよう

障害の度合いによって、一般就労に困難を感じるときは、障害者雇用も視野に入れて検討するのも方法の一つです。

障害者雇用とは、障害者手帳の交付を受けた方を対象とした雇用形態のことで、障害に理解のある企業に属し、必要な配慮を得ながら働くことができます。一般雇用に比べて必要な配慮を周囲に求めやすくなるので、自分の障害特性に合わせた働き方を実現しやすいです。

障害者雇用についてはこちらの記事でまとめています。ぜひご一読ください。

また、障害を企業に開示して働くことをオープン就労、開示せずに働く方法をクローズ就労と呼びます。それぞれの違いとメリット・デメリットについてまとめた記事も公開中なので、ぜひあわせてご一読ください。

免疫機能障害をお持ちの方が利用できる支援機関

免疫機能障害をお持ちの方であっても、定期的な通院や服薬を続けることで就労することが可能です。その際どのような場所を使って就労先を探せば良いのか分からないといった方もいるでしょう。ここでは、免疫機能障害をお持ちの方が利用できる支援機関を紹介します。

就労先を探す際はもちろん日常生活における支援等をお求めの方は、この機会に利用してみましょう。

ハローワーク

ハローワークとは、仕事を探す方・求人を探す事業主のそれぞれに対して適切なサービスを無償で提供する厚生労働省が管轄の公的機関のことです。日本には500ヵ所以上も設置されており、全国各地の求人情報を閲覧しながら自分に合った求人へ応募することができます。

ハローワークでは求人情報の取り扱い以外にも、失業手当の手続きや障害をお持ちの方の就労支援も行っています。自分に合った求人を探す際は、ハローワークの利用も検討してみましょう。

引用元
ハローワーク |厚生労働省

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障害をお持ちの方に応じた職業リハビリテーションサービスの提供をはじめ、事業主に対する障害者の雇用管理にまつわる相談・援助等を行う支援機関です。

全国に50ヵ所以上、各都道府県に最低1ヵ所ずつ設置されており、ハローワークと密接に連携しながら障害をお持ちの方へ適切な支援を行っています。

引用元
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターの概要|厚生労働省

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、企業への就労を目指す障害をお持ちの方へ、知識・能力の向上を目的に、実習や職場探し等を支援する機関です。現在の知識・能力に自信がないときに通所することで、スキルアップした上で就労先を探すことができます。

就労移行支援の利用にあたっては、メリットや料金について把握しておくことをオススメします。詳細については以下の記事でまとめているので、この機会にあわせてご一読ください。

引用元
就労移行支援事業|厚生労働省

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害者の就労において必要な自立を目的に、雇用・保健・福祉・教育等の関係機関と連携し、一体的な支援を行う機関です。

全国に約340ヵ所設置されているので、ハローワーク同様に居住地を問わず利用しやすいといった特徴があります。利用手順についてはこちらの記事でまとめています。ぜひあわせてご一読ください。

引用元
障害者就業・生活支援センターについて|厚生労働省

障害者雇用に特化した転職エージェント

障害者雇用に特化した転職エージェントもあります。障害をお持ちの方の就業に関する全体的なサポートを行っていることが多いので、就職が決まったあとでも相談することができ、安心して働くことができます。

転職エージェントでは、一般公開されていない求人への応募も可能。利用によって自分に合う業種の幅が広がるといったメリットに期待できます。

 
キャリアアドバイザー
DIエージェントでは障害者雇用に特化した転職サイト「BABナビ」を運営しています。
免疫機能障害をお持ちの方の採用実績のある会社の求人も取り扱っていますので、ぜひ一度ご覧ください。

BABナビ

特性や配慮事項について洗い出そう

免疫機能障害をお持ちの方でも就労は可能です。ただし安心して働き続けるためには、自身の障害特性について理解を深め、その上で必要な配慮とはどのようなものかを洗い出すことが大切です。

障害の度合いは人それぞれ。だからこそ、どのような配慮が必要かについては自分自身で漏れのないように伝え、就労先の障害に対する理解を深めていく姿勢が不可欠です。

障害について理解があり、必要な配慮を求められる就労先を探したいときは、障害者雇用についてまとめた記事を参考にしてみてください。

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監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。