30代の障害者枠転職を成功に導くポイントと注意点|転職成功事例も紹介

30代で障害者枠での転職を考えている方は、転職活動の難しさに直面している方やうまくいくかわからない不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

実際に「どうやって求人を探したらいいかわからない」「アピールできる強みがない」という不安を抱えている方は少なくありません。そこで、今回は30代の障害者枠の転職について解説します。

今後の働き方を考える参考として、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みいただけると幸いです。

30代・障害者雇用枠就転職データ

統計データから30代の転職について考えてみましょう。

「令和4年雇用動向調査結果の概況」によれば、20代が転職のピークで、30代以降は転職の動きが落ち着くと見ることができます。

こちらのデータからは転職市場の全体の傾向としては、20代後半までに転職をする方が多いといえそうです。

  男性 女性
20代前半 14.1% 15.5%
20代後半 14.7% 11.6%
30代前半 9.1% 9.6%
30代後半 6.8% 9.9%
40代前半 5.4% 7.9%
40代後半 4.9% 7.7%

引用元
厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」(年齢階級別転職入職率 令和4年(2022)より)

 
キャリアアドバイザー
同じ調査からは、女性はパート・アルバイトが半数近くという結果も出ています。
20代後半から30代前半にかけては出産・育児による離職も目立ちます。

30代の転職・離職理由は?

前項で紹介した「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、30代の転職理由(自己都合退職)は

「労働条件(賃金以外)が良くなかったから」
「職場の人間関係が好ましくなかったから」
「賃金が低かったから」
などが上位の理由として挙げられています。

 
キャリアアドバイザー
また、転職によって約4割の方が賃金が増加したとの調査もあります。

障害者の場合「30~40代」「精神障害」が転職が活発

障害をお持ちの方に限った場合は、「労働市場分析レポート 第 87 号」に調査結果があります。

就職件数における比率は40代、次いで30代が多く、障害種別では30代は「精神障害」をお持ちの方が全体の2割を占めます。

DIエージェントでは「障害と向き合いながら働くことができてきた……キャリアアップが目指せる職場に転職したい」「転職を繰り返してきたがそろそろ自分に合った職場を見つけたい」といったご希望・お悩みから転職を検討される30代の方が多くいらっしゃいます。

引用元
厚生労働省「労働市場分析レポート 第 87 号」

30代の転職で求められる人材とは

フレッシュさをウリにできる20代と違い、30代の転職では、ある程度の社会経験や即戦力としてのスキルを持ちつつ、新しい環境に馴染んだり仕事の進め方の違いなどに柔軟に対応できる能力も求められます。

また30代は、前半と後半で企業が求める人材価値が異なるともいわれ、30代前半では適応力や新しい仕事を吸収する柔軟性に加え、即戦力になるスキルや経験をもっているかどうかが重要です。

一方で30代後半に求められるのは、スキルや経験だけでなく、管理職としてのマネジメント能力やリーダーシップなど。それまでに培ってきたスキルや経験をもとに、それをどう実務に活かすかという視点をもつことも大切だといえるでしょう。

30代で障害者雇用枠転職を目指す方に伝えたい4つのポイント

30代で転職活動をする場合の4つのポイントは以下の項目です。

  1. 専門エージェントを利用する
  2. 強みと弱みを把握し、転職の軸を定める
  3. ライフプランを見据えた選択をする
  4. 求人の希望条件に優先順位をつける

一つずつ詳しく見ていきましょう。

1.専門エージェントを利用する

障害者雇用枠の求人は、通常の転職エージェントや求人サイトなどでは見つけることは難しいでしょう。

そこで、障害者雇用の求人を専門に扱うエージェントを利用するのがおすすめです。障害者雇用専門のエージェントは、誰もが知るハローワークを含め、複数あります。ここでは、3つの方法を紹介しましょう。

ハローワーク

全国にある国が運営する就職相談機関であるハローワークには、障害をお持ちの方向けの窓口があります。

障害者雇用に関する専門知識を持つスタッフに相談しながら、求人の紹介や書類添削、面接指導などのサポートを受けることができ、障害者就業・生活支援センターや地域障害者職業センターなどとも連携をとった就職支援を受けることが可能です。

求人サイト

Webで手軽に求人をチェックできる求人情報サイトには、障害者雇用に特化したものもあります。

たとえばBABナビという求人サイトは、業界トップクラスの2,400件以上の求人が掲載されており、勤務地や職種、フリーワードなど、こだわりの条件で検索することが可能。プロフィールを見た企業からスカウトがくることもあります。

プロフィールはもちろん、個人を特定できないよう配慮されているので安心です。

BABナビ

転職エージェント

障害者雇用専門の転職エージェントもあります。

DIエージェントは、障害者雇用支援のエージェントとして10年の実績を持ち、一人ひとりに寄り添った「オーダーメイド」なサポートが特徴です。

丁寧なカウンセリングによる強みやスキルの洗い出し、書類作成や面接対策などのサポートはもちろん、ご本人の希望や経験などを踏まえ丁寧なマッチングを心がけています。

市場に出回らない優良企業のシークレット案件の取り扱いや、求人のない企業へのアプローチなど、定着率の高い就職をカウンセラーが1対1で全力でサポートするため、初めての転職活動でも安心です。

2.強みと弱みを把握し、転職の軸を定める

ここでいう強みと弱みとは、障害や個性、人柄(コミュニケーション面)などによるものとキャリアやスキルによるものの2種類が考えられます。

選考の限られた機会の中で「何を強みとし、PRするか」また「弱みとなる部分が働く上で大きな支障にならないか、どれだけの対処ができそうか」を示せるようにしましょう。

20代までは「未経験歓迎」だったポジションは30代以降だと厳しくジャッジされることも…。キャリアチェンジを目指すのであれば、これまでの経験やどのような強みを転職先で活かせるのかを説得力を持って伝える必要があります。

 
キャリアアドバイザー
初めて事務職を目指すのであれば独学や就労移行支援事業所などを利用しつつ、最低限のパソコンスキルを身につけておきましょう。
もちろん「私の強みってなんだろう?」といったご相談も就労移行支援・ワークイズやDIエージェントで承りますよ!

3.ライフプランを見据えた選択をする

結婚、出産・育児、介護などライフイベントの変化を迎えたり、そして体力の衰えなどを感じ始めたりするのも30代のキャリアでは非常に大きなポイントです。

 
キャリアアドバイザー
接客業や肉体労働、変形シフト制などから事務職へ転身したいと考える方もいらっしゃいます。

目の前の年収や企業のネームバリューに惑わされるのではなく、長期的なキャリアプランを描き、ズレが起きないか考えてみましょう。

  • 雇用形態はどのようなものか(正社員登用実績はあるのか?)
  • どのようにキャリアを積めるか(専門スキルを高めるのか? マネジメントが必須か?)
  • ワークライフバランスなど無理のない働き方ができるか
  • 福利厚生・手当なども含め生涯年収はどのくらいになりそうか
  • 育休・産休、介護休暇制度は適用されるか
 
キャリアアドバイザー
「一般枠→障害者枠にチェンジしたことで長く働ける見通しが立った!」というケースもあります。

4.求人の希望条件に優先順位をつける

譲れない条件を妥協して就職しても、長くは続かないかもしれません。一方で、希望条件が多すぎたりこだわりが強すぎたりすると、就職活動は長引く可能性もあります。

難しいと言われる30代の就職では、求人の希望条件に優先順位をつけ、妥協点を見つけておくことも大切です。絶対に譲れない条件と妥協できる部分を明確にしておくことで、さまざまな求人のなかから希望条件に近い理想の職場を見つけることができるでしょう。

30代の障害者雇用転職で気を付けたい落とし穴

DIエージェントの支援実績から、気を付けたい30代転職のポイントをお伝えします。

転職理由の伝え方を工夫する

30代までに短期離職を繰り返しており10社近い会社経験があるようでしたら、「なぜ辞めてしまったのか?」「同じ状況にならないためにはどうしたらよいか」を整理して伝える必要があります。

 
キャリアアドバイザー
転職回数の多さを理由に書類選考が通らないことも出てくるでしょう。転職回数を気にしない企業を知りたい場合はぜひDIエージェントに聞いてみてください!

また「企業が求めるポジションとミスマッチはないか」という点にも気を付けましょう。仕事に対して自信を持ち始め「これがやってみたい!」と思うことも出てくるかもしれません。

即戦力が求められる30代の転職では、せっかくスキルを持っていても会社が期待する役割とズレていてはなかなか内定はもらえません。企業が求めているものと自分の志向・スキルがマッチしているかはきちんと見極めましょう。

謙虚さをもち熱意を伝える

30代で転職をすると、自分より入社歴の長い20代の上司・同僚といった環境に入ることも少なくありません。そのような場で謙虚に仕事について学べるかを人事担当者は見ています。

また「障害者雇用枠だから」と無理なく働ける定型業務しか用意していない企業も多々あります。今の仕事に物足りなさを感じている場合は「配慮は最低限で、もっと働いていきたい!」という熱意を伝えるべきです。

シークレット求人は市場に出回っていないことがある

ハローワークや求人サイトは、誰でも閲覧できる代わりに企業が非公開求人として門戸を狭めて募集する求人には出会えません。

そういった非公開求人は、独自のルートや実績がある転職エージェントが独自に抱えていることも多く、そういった案件は優良企業のものや好条件のものも多いのが実情です。

求人を探す際は視野を広く持ち、一ヶ所だけに限定せずいろいろなサポートを利用してみるといいでしょう。

スキルだけでなく人間性も訴える

30代の転職では、ある程度のスキルや経験など即戦力としての人材価値を求められるのは、先述したとおりです。また中間管理職として上司と部下に挟まれて、円滑に業務をすすめる調整力も問われるでしょう。

そこで、スキルや経験、保有資格などだけでなく、物事に柔軟に対応する順応力やコミュニケーション能力など、調整役としての能力もアピールすることが大切です。

30代の転職成功事例から学ぶ

それでは、実際にDIエージェントを通じて転職成功された30代の方々の転職エピソードを紹介します。

1.30代(男性/広汎性発達障害)|自分らしく働ける職場への転職に成功

特例子会社でのマネジメント経験を活かし、キャリアアップ転職に成功されたMさん。

口コミでは「他社よりも保有する求人数が圧倒的に少ない」と書かれていましたが、その一方で支援の質が高いと好評であったことや「オーダーメイドの求人開拓」があることに加え、DIエージェントさんの転職成功事例を拝見し、大変魅力を感じたため利用登録をしようと思いました。

他社エージェントさんと比べて良かった点はご紹介くださった求人数、面接対策、志望動機の添削、そして私の価値観を尊重してくださった点です。ほとんど全ての点で他社よりも良かったと感じております。

 
キャリアアドバイザー
実績とアピールポイントを具体的に表現されていらっしゃったこともあり、面談でも「誰とでもコミュニケーションが取れる方」だと確信しました。自信をもって私達も企業さんへ推薦できました。また面接の通過はアドバイス内容を落とし込み、面接の場で実践してくださったMさんご自身の準備の結果かと存じます。

2.30代(女性/上下肢障害)|公務員から民間企業の完全テレワーク転職に成功

新卒で就職した障害者枠の公務員から、ネクストステージを求めて完全テレワークの会社へ転職されたEさん。

初回の面談から丁寧に対応していただき、登録から2ヶ月という短期間で内定がいただけました。

転職理由については私は最初は「身体的な事情で入浴や出勤の準備に時間がかかるから」とだけしか書いていなかったのですが、「“年数を重ねていくにつれて、業務量も難易度も増していって”と具体的に書いた方が良いですよー!」といったことや「“困難な状況を改善する努力はしたけど、職場の事情で叶わず転職を決めた”と前職での努力と前向きな転職であることをアピールしてください」といったアドバイスを受け、改善ができましたね。

 
キャリアアドバイザー
完全なテレワークになることによって、朝リハビリの時間がとれるようになったとのことです。庶務の経験で培ったスキルを活かせる完全テレワークの仕事に転職成功おめでとうございます!

3.30代(女性/心臓機能障害)|自己理解を深めて完全テレワーク転職に成功

新卒から10年近く勤めた障害者雇用枠で就職した会社を、テレワーク不可だったことからコロナ禍に惜しまれながら退職されたYさん。

「障害者雇用でテレワーク勤務ができるところ」を探していた際に、DIエージェントに辿り着きました。

すごく印象的だったのは、私の障害について、私以上に把握をして、気づきを与えてくれたことです。自分でも気づいていなかったこれまでの働きづらさの理由がわかったことで、自分の中でも納得感が生まれ、書類選考に書く時も面接で障害や配慮を説明する時も、スラスラと書いたり話したりできるようになりました。

 
キャリアアドバイザー
笑顔が素敵で、ご自身のキャリアやこれまでがんばってこられたこと、逆につまずいたところまで素直に包み隠さず話していただけたおかげで、よりご希望に合う求人をご紹介できました。

4.30代前半(女性/精神障害)|特例子会社からのステップアップ転職に成功

特例子会社のキャリアに行き詰りを感じ転職活動をスタートしたHさん。


担当アドバイザーの方が親身に話を聞いてくださり、細やかに希望をくみ取っていただけたことが印象的です。実際に候補求人の選定が的確でした。


特例子会社では実現できなかったキャリア形成支援に力を入れている一般企業に内定! テレワーク勤務や年収100万円アップなど希望以上の転職を叶えました。

 
キャリアアドバイザー
丁寧なカウンセリングをおこなうので、お人柄、ご志向からピッタリな求人をチョイス! 不安にも最後まで寄り添い、入社後もご活躍されています!

5.30代(男性/聴覚障害・てんかん)|ITのキャリアを活かして外資企業へ転職成功

経験は積めたものの十分な合理的配慮がされず、業務遂行に不安を感じたことから転職を決意されたKさん。

今までのプログラミングスキルを活かせることにくわえ、障害への合理的配慮がしっかりして安心して働ける企業に入りたいと考え転職に至りました。

細かい懸念事項もキャリアアドバイザーがチャットで迅速に回答いただけたことで転職活動に専念できました。結果として人気の高いグローバル企業に転職でき、満足をしています。

 
キャリアアドバイザー
「てんかん」の障害説明がネックとなりましたが、これまでのご支援例からどのように企業に伝えればよいかをアドバイスしました。

6.30代後半(女性/発達障害)|前職の人間関係の失敗を活かして完全テレワークに転職成功

発達障害の特性のため雑談が苦手……テレワークで悩みから解放されたというまどりさん。
前職では特有の人間関係や雑談といったことに疲弊してしまい、給料や業界などは考えずに、テレワークができることを最優先にしていました。

自らもアクションを起こし、運良く自分に合った企業に巡り会え、エージェントにも今の職場・上司にも感謝しかありません!

 
キャリアアドバイザー
元々大変な努力家であったこと、そしてテレワークの働き方がマッチし、現在は正社員登用&年収大幅アップも叶えられています。

30代の転職、まだまだ可能性は広げられます!

30代の転職は、ある程度のスキルや経験があることを前提として、マネジメント能力や中間管理職としての調整力なども求められ、20代の転職に比べて難易度が高いと言われています。

障害者雇用枠での転職であっても、即戦力としてのスキルやミドル層の人材価値を求められることは多いでしょう。30代の転職では、希望条件に優先順位をつけて臨むのがおすすめです。

転職におけるゴールは「採用されること」ではなく「自分らしく働ける環境で長く続けること」だと言えます。その視点で、 障害の特性に合った業務に就くことや、障害への理解や配慮のある環境選びが大切です。

今の職場を続けていくことに「将来的な不安を感じている方」、障害があってもキャリア成長や自己実現をあきらめたくない方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。

DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠の就職・転職について情報提供や、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。

専任のキャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングし、お一人お一人の実現したい働き方を提案させていただきます。

就職・転職はまだ検討段階という方もぜひお気軽にご相談ください。

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監修:東郷 佑紀
大学卒業後、日系コンサルティングファームに入社。その後(株)D&Iに転職して以来約10年間、障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザーを歴任し、 障害・年齢を問わず約3000名の就職支援を担当。