透析しながらできる仕事は?人工透析と仕事の両立、働き方を解説

人工透析とは、腎臓の機能が著しく低下している方に対し、医療機関や自宅で行われる治療のことです。腎臓の障害の度合いによっては、日常生活に限らず仕事においても困難が生じる場合があります。

そこで今回は、透析を受けている方におすすめの職種や仕事の選び方、実際に就職・転職活動を進める方法について解説します。

障害の特性に合った業務に従事することや、理解と配慮のある環境で働くことは、安定して長く仕事を続けていくためにはとても大切です。合わない職場環境で働くことによって、障害が悪化したり、別の病気を発症してしまったりする例も少なくありません。

そうならないように、今後の働き方を考える参考として、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みいただけると幸いです。

人工透析とは?

人工透析とは、腎臓に代わって体内に溜まった老廃物や余分な水分・塩分を取り除き、血液をろ過する治療のことです。下記で詳しく解説します。

人工透析を行う理由

人工透析は何のためにするのかというと、患者の腎臓機能が著しく下がって体内の余計なものを取り除くことができなくなっているためです。低下している腎臓機能を補うために行われます。

人工透析が必要になる原因疾患

人工透析を受けなければならなくなる原因の疾患としては、糖尿病・高血圧・慢性腎炎が代表的です。

糖尿病では、血糖値が高い状態が続くとタンパク尿が出てしまい、腎臓の機能が低下しやすくなります。進行すると高血圧にもつながる疾患です。

また、腎臓には血圧を保つ働きもありますが、高血圧の方は腎機能が下がります。さらに、高血圧によって腎臓への負担が増えるため、腎機能がさらに低下しやすくなり悪循環です。

慢性腎炎とは、糸球体を中心に1年以上の長期にわたる慢性的な炎症が生じたもの。血尿やタンパク尿などの症状が継続するため、透析によって改善を図ります。

人工透析の種類

人工透析には、大きく分けて「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があります。

血液透析は、透析を受ける方の約97%が利用している方法で、体内にある血液を外に出し、きれいにしたのちに体内に戻すという仕組み。週に3回、1回につき4~5時間、通院で行われるのが一般的です。設備を自宅に設置して、家庭で行っている方もいます。

腹膜透析は、腹膜にカテーテルを挿入して1.5~2Lの透析液を入れ、1日に3~5回程度交換するもの。自宅などででき、本人もしくは介護者が行います。

引用元
わが国の慢性透析療法の現況|J-STAGE

人工透析が必要になったらまず行政に申請しよう

人工透析を受けることになった場合は、関連機関に申請を行うと支援を受けられる可能性があります。ぜひ活用しましょう。

国の制度を利用する

透析を受けながら働いている方でも、国に申請して障害者手帳を取得したり障害者年金を受給したりすることで、障害者雇用枠(オープン就労)での就職を見込めます。詳細を下記でチェックしましょう。

障害者手帳を取得する

障害者手帳は障害の度合いに応じた等級が定められており、取得することで、オープン就労での就職や地域のサポートセンターなどの利用ができるようになります。発行を希望する際は、市区町村の障害福祉窓口に届け出ましょう。

手帳を持つことにより、ほかにも医療費の助成や一部税金の控除、交通機関の割引などのサービスや優遇を受けられます。

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障害者年金を受給する

人工透析を受けている方で、就労が難しい場合、または収入が足りない場合には、一定の基準を満たしていれば障害者年金を受給しながら働くこともできます。障害者手帳とは異なる基準で等級が決められており、等級によって受給額が変動する仕組みです。

ただし、受給するためには、初診日の段階で国民年金や厚生年金に加入しており、きちんと保険料を納めていなければなりません。

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障害年金はいくらもらえる?等級別金額の一覧やデメリットまでやさしく解説!

 
キャリアアドバイザー
人工透析の必要がある方は、障害者手帳や障害者年金を取得できる可能性が高いです。仕事と両立させるためにも、障害者手帳は取得しておくとよいでしょう。

人工透析が必要な方が職場で直面する問題点

つづいて、人工透析を受けている方が職場で抱えやすい困難について解説します。

時間に制約ができる

透析は1回に4~5時間ほどかかるため、時間のしばりがあり、フルタイムで仕事をしている方にとっては厳しい状況です。日中の仕事を抜けて透析に行くか、夜間透析を実施している病院を探して仕事の後で受けるか、時間を調整する必要があります。

 
キャリアアドバイザー
お体に支障がなければ、土日にも透析を実施したり、時間帯を夕方~夜間に設定したりすることで、働く時間の確保を検討されるとよいでしょう。通院先にも曜日や時間の枠を確認しておきましょう。

シャントの管理が大変

シャントとは、動脈と静脈を直接つなぎ合わせた血管のこと。異常があると透析を受けられず、再度手術してもらわなければなりません。シャントがあるほうの腕で血管を圧迫したり重いものを持ったりすると問題が起きる恐れがあるため、慎重な行動が必要です。

見た目では理解が得られにくい

人工透析を受けていても、内部障害のため見た目では困難を抱えていることがわかりづらく、周囲から理解を得るのに苦労しやすいです。そのため、つい無理をしてしまう方も多く見られます。

状態を理解してもらうために、「できること」「できないこと」は自分から発信していくことが必要です。

人工透析をしながらできる働き方とは?

透析を受けており、前章のような問題を抱えている方でも、働く道はあるのでしょうか。ここでは、人工透析を受けている方の働き方や、仕事をしている方におすすめの透析方法をご紹介します。

時間確保のしやすい職場を選ぶ

フレックス制やシフト制など、時間に融通が利く働き方ができると、透析のために通院しやすいです。勤務時間の前、もしくは退勤後に、透析を受けられる時間を確保しやすい職場を選びましょう。

 
キャリアアドバイザー
障害者枠で就業する場合、週20時間以上の勤務が必要です。また、時短勤務や通院の配慮が可能な求人も多数ありますが、割合はフルタイム求人のほうが多いです。働ける時間を長くすることで選択肢が増えるため、通院先と職場の移動時間はとても大切です。

オーバーナイト透析を行う

オーバーナイト透析とは、夜寝ている間に受けられる透析です。日中に行う透析より長い時間をかけるため、体への負担が少ないことに加え、仕事との両立もしやすいでしょう。

ただし、実施している病院が少ないので、近くにない場合は仕事のあとに通える「夜間透析」に対応している院を探してみてください。

産業医のいる企業を選ぶ

社内に産業医がいる職場もおすすめです。専門科の存在により自分の体調を相談しやすく、何かあった際には休ませてもらえるなど、働き方にも幅が出ます。

人工透析が必要な方でもできる仕事とは?

前章の内容も踏まえつつ、ここからは、透析を受けている方でもやりやすい仕事についてご紹介します。

ご経験のある業務

中途で障害を負い、今までと全く同じ業務ができなくなったとしても、今のお体でできる範囲の仕事を任せてもらえる、というケースもあります。

求人の募集内容にぴったり一致しなくても、自分にできることとできないことを明確にして応募時に相談することにより、配慮していただける可能性があります。経験のある分野での就業を完全に諦める必要はありません。

事務系・コールセンター

一般事務・経理などの主にパソコンを使って行う業務や、電話応対をするコールセンター業務は、透析中の方でも働きやすい職種です。移動が少なく座ったまま仕事ができる、テレワークしやすいなどの特徴があります。

通院などの予定に合わせて、シフトを組んでもらえたり、勤務時間を調整してもらえたりする職場もあるので、無理なく働ける可能性が高いでしょう。

ITエンジニア・ データ入力

技術職であるITエンジニアは、主にPCと向き合ってキーボードとマウスの操作だけで済む仕事です。下肢障害の方でも、専門の知識や技術があれば活躍できるチャンス。スキルアップすれば収入の増加も見込めるでしょう。

また、データ入力も、事務職と同様に座ったままの作業が大半のため、オフィス内での移動などの負担がかかりません。実際に、人工透析をしながらITエンジニアやデータ入力に従事している方も多数いらっしゃいます。

テレワークでやれる仕事

透析中の方の働き方として、テレワークという選択肢もあります。自分で勤務形態を選ぶことができるため、通院のための移動時間を調整しやすい・職場と病院を行き来する時間のことを考えなくて済むなどの点がメリットです。

透析しながらの仕事探し方法

ここからは、透析中の方が仕事を探す際に活用できるサービスをご紹介します。

ハローワークを利用する

ハローワークとは、全国にある「公共職業安定所」のことです。窓口や施設に設置してある検索機から、全国の求人情報を調べることができます。

仕事探しの方向性が定まっていない方やキャリアプランのイメージがつかめない方は、窓口で職員に相談してみましょう。アドバイスをもらいつつ、仕事探しを手伝ってもらえます。

また、ハローワークでは、障害を持つ方向けの相談窓口を設置。障害について専門的な知識を持つ支援員が担当になり、仕事に関する情報の提供や就職相談など、さまざまな支援を実施しています。

引用元
障害のある皆様へ|ハローワークインターネットサービス

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地域障害者職業センターを利用する

地域障害者職業センターとは、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」が運営する職業リハビリテーションの施設です。全都道府県に1カ所以上の設置が義務付けられており、障害をお持ちの方の就職に向けたサポートも行っています。

ジョブコーチや職業カウンセラーなど、障害者の就労について詳しく相談しやすい専門家に支援してもらえる点がメリットです。

引用元
障害者雇用関係のご質問と回答|高齢・障害・求職者雇用支援機構

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就労移行支援事業所を利用する

就労移行支援事業所とは、「障害者総合支援法」に基づき、一般企業への就職を目指す65歳未満の障害をお持ちの方に対して、就職に必要な知識や技術の習得をサポートする事業所のこと。

日々の通所でのトレーニングや実践訓練などを通じて、就職に必要なスキルを身につけることができます。さらに、就労支援員や職業支援員など、相談しやすいプロのサポートを受けながら仕事を探せることがメリットです。

全国に3,300カ所以上あるので、利用したい方は市区町村で手続きを行ってください。

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キャリアアドバイザー
就労移行支援事業所は、足りないスキルを身につけた上で就職活動に臨めます。やりたい仕事に対するスキルが足りていないと感じたらぜひ利用しましょう。

障害者向け支援のある転職エージェントを利用する

数ある転職エージェントの中から、障害者雇用を専門に行っているエージェントを利用する方法もおすすめです。障害者採用を積極的に行っている企業の求人を取り扱っており、場合によっては非公開の求人情報も得られます。

専任のアドバイザーがつき、就職前の準備から就職後の支援までをトータルでサポートしてくれる点がメリットです。障害の状況に合った仕事探しができ、ニーズに適した企業とマッチングしやすいでしょう。

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キャリアアドバイザー
DIエージェントでは、透析の曜日・時間を確認し、通院に支障のないエリアや働き方の求人をお探ししています。一人では大変な求人選びも、二人三脚でサポートします

末永く快適に仕事を続けていくために支援サービスをうまく利用しよう

透析をしながら仕事をすることには困難もあり、自分の状態を説明して理解してもらったり、自分の症状に合った働き方や職種を選んだりすることが重要です。生活や仕事探しをサポートしてくれる制度・サービスを適宜利用しながら、今後も輝き続けましょう。

障害を抱えながら働く上では、 障害の特性に合った業務に従事することや、障害に理解や配慮のある環境で働くことが大切です。

今の職場を続けていくことに負担・不安を感じている方や、これから障害に合った仕事で就職を目指している方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。

DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠で就職・転職を検討されている方に対して就職・転職についてのアドバイスや、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。

専任のキャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングし、お一人おひとりに寄り添った働き方を提案させていただきます。

「今の自分に無理のない働き方をしたい」「理解のある環境で働きたい」というご希望がありましたら、まだ転職は検討段階という状態でもかまいませんので、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。