「やりがいや配慮も充分」それでも障害者枠の公務員から民間企業へ転職した理由は?Eさん(30代女性/上下肢障害)のケース【2022年内定速報】

今回の内定者速報は障害者枠の公務員から完全在宅勤務OKの民間企業へ転職を叶えたEさんにお話を伺いました。「やりがいも配慮も福利厚生も充分だったけど……」民間企業へチャレンジしたその理由は?

Eさんのプロフィール

  • 上下肢障害(車椅子を利用)
  • 30代
  • お住まい:関西エリア
  • 【ご経験】
    4年制大学を卒業後、障害者雇用枠で市役所に入庁。3つの部署を経験する中で着実にステップアップを重ねる。しかし年々増える業務量や責任、身体への負担を考え、民間企業への転職を目指し退職。
  • 【ご転職先】
    庶務の経験で培ったスキルを活かせる完全在宅勤務のお仕事に内定!

※記事内の画像はイメージです

就労移行支援を利用しようかと考えていたものの、DIエージェントに登録から2ヶ月で内定へ!
公務員の試験対策・働き方から民間企業に感じた魅力まで色々とお話いただきました。

新卒・障害者枠で公務員へ。働き方は……?

――公務員は障害をお持ちの方にも人気の職業の一つですね。少し遡って、公務員就活をどのようにされていたかをお話しいただけますか?

学生時代、最初は民間企業への就職も考えており、集団の説明会なども見ていました。
しかし、都市部への通勤ラッシュや会社までのアクセスを考えると不安がありましたし、アルバイト経験もなかったので、「ちゃんと働けるかな」「自己PRも難しいなぁ」と感じていました。

それで、自分は障害の程度も重度だし、障害者雇用枠を目指そうと切り替えました。

――そこから公務員の応募はどのようにして見つけましたか?

偶然にも近くの市役所が障害者雇用枠での募集をホームページに出していたので、そちらに応募しました。

――公務員試験対策は難しいと聞きますが、どのように勉強しましたか?

本屋さんに売っているようなテキストを買って勉強しました。
内容は義務教育の5教科をベースとしたような一般教養でした。

――「こういうことがしたい!」という気持ちや志望動機はどのようなものでしたか?

やはり自分自身も障害があるので、障害者や福祉といったことに関わる仕事ができたら良いなと思っていました。

――当事者意識が高くすばらしい動機ですね!

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「やりがいや配慮は充分!」それでも年次が上がるにつれ……

――市役所に入庁されてからは実際どのような働き方をしましたか?

異動もあり3回ほど仕事の内容も変わりました。
これまでに経験したのは窓口対応・書類チェック・庶務などです。 来庁した方に直接「ありがとう」と言ってもらえる仕事は嬉しかったですし、福祉の仕事に関わることもでき法律などを覚える大変さはありましたが勉強になりました。転職する際にも役立つスキルが身についたと思っています。

新型コロナウイルス感染症が大流行した時は、他の部署がワクチン接種の応援などに行ってしまったのでそのお留守番といったこともやりましたね。立て続けに電話で連絡がくると大変でした。

――公務員だと定期的な異動を繰り返していきますものね。働く上で配慮はありましたか?

車椅子なので職場のレイアウトを変えて通れるスペースを確保してもらったり、届かない高さの書類は場所を変えてもらったり、手に麻痺があるので細かい作業は他の方にしていただくか他の方より少し時間をいただく形で対応してもらったりと……。

お願いしたいことについては面接でも伝えていましたし、最後の部署は上司が「できないことをアレコレやるよりも、できる人に任せて、もっといろいろな仕事もやってもらいたいから効率良く仕事していきましょう!」というタイプでした。
元々業務量の多い課ではあったので、臨時職員さんもサポートに付けてもらっていました。

――理解もあり、合理的配慮も進んでいる職場ですね! なかなか充実しているようにも思えますが、なぜ転職を考えられたのですか?

やりがい、お給料や福利厚生などすごく充実しているなと感じていました。

しかし、そうですね……年次を重ねていくとそれだけ仕事で求められる業務量やレベルも上がってくるのですが、正規職員で入庁した身であるのに業務量はそこまで多く速くはできないので「これでいいのかな?」と。
実際、臨時職員さんから「ここはこうした方が良いんじゃない?」とアドバイスいただく中で「立場が逆転しているな、正規職員なのに申し訳ないな」って思ってしまい、周りの目も厳しくなっていくと思うと……そこは難しかったですね。

――責任感が強いのですね。

いえいえ、そんなことはないのですが(笑)。
あとは体調面での不安もありましたね。
都市部の通勤ラッシュに巻き込まれることなく、いくら職場が近いといっても、やはり出勤となると支度も大変なんですね。
これから先のことを考えると「ずっと続けていくのは難しい」と思い、退職に至りました。

――ある意味「公務員という安定の道を捨てて」といったようにも見えますが、周りの反応はいかがでしたか?

家族としては、どこかでずっと続けるのは難しいと思っていたようなので「ネクストステージとして考えるのは良いね」と応援してもらえました。

「就労支援はバリアフリーじゃなかった!」完全在宅目指して民間企業へ

――そこから転職に至るまでの経緯を教えていただけますか?

公務員から民間企業へはハードなのかなと思っていたので、就労継続支援で働きつつ、資格を取ってみようかなと思っていました。
しかし近所の就労移行支援は「ちょっと車椅子には対応していなくて……」と断られてしまって。
その後も作業所や就労移行支援を探したのですが、「多目的トイレが完備されていない」「ビルにエレベーターがない」とか「都市部の通勤ラッシュが避けられず通えない」といったこともありました。

そんな時にふと求人サイトのBABナビをネットで見つけて。そこからDIエージェントにも登録しました。

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キャリアアドバイザーの助言で転職理由をブラッシュアップ

――今回Eさんの専任担当となりましたDIエージェントのキャリアアドバイザーはいかがだったでしょうか?

初回の面談から丁寧に対応していただき、登録から2ヶ月という短期間で内定がいただけました。
最初は本当に転職理由だとか職務経歴書の書き方もあまりよく分かっていなかったのですが、1からご指導いただいて、それで自信をもって面接に臨めました。

――具体的にどのようなアドバイスがありましたか?

転職理由については私は最初は「身体的な事情で入浴や出勤の準備に時間がかかるから」とだけしか書いていなかったのですが、「“年数を重ねていくにつれて、業務量も難易度も増していって”と具体的に書いた方が良いですよー!」といったことや「“困難な状況を改善する努力はしたけど、職場の事情で叶わず転職を決めた”と前職での努力と前向きな転職であることをアピールしてください」といったアドバイスを受け、改善ができましたね。

――確かに説得力が増しますね。ご紹介した求人は希望に合いましたか?

業界にこだわりはなく、テレワークでできるところ、それでこれまでのスキルが活かせれば良いなとは思っていました。
市役所だと個人情報を扱うことが多く、テレワークは一切できなかったので。
オンラインで人と話すこと自体もDIエージェントの面談がほぼ初めての経験でした。

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オンライン面接は「慣れ」がカギ! 1から対策してもらいました

――Web面接対策はいかがでしたか?

画面を操作するにも最初はあたふたしていましたが、こちらも丁寧にご指導いただきましたよ。
まずは操作に慣れるところから、「視線や映り方はどうか?」を見てもらったり、「相手が喋り切ってから話し始めよう」といったアドバイスをもらったり……。
最後は「あとは緊張せずに肩の力を抜いて臨みましょう!」と背中を押していただきました。

本番はアドバイス通りにいかないこともありましたが、2社から内定をもらいました。

――おめでとうございます! それではご就職先の決め手はなんでしたか?

決め手は面接官の方の印象でしょうか。
「仕事はどういったことを避けたくて、どんなことが得意なのか?」
障害ではなく、ひとりの人として見てくださったのが嬉しかったです。
働く前からこんなに丁寧に聞いてくださって、転職後も働きやすそうだなぁとイメージが湧きました。

直観的にこれまでの職場と似た雰囲気を感じつつも、風通しの良さもありそうで良かったですね。

――では最後にこれから働き始めるにあたってのお気持ちを聞かせていただけますか?

これまでは市役所で紙ベースのお仕事が多かったのに対し、これからは何もかもがオンラインの働き方になります。「どんな感じになるのかなぁ?」と不安や期待感が混じっています。

そして、完全リモートワークになることによって、朝リハビリの時間がとれるようになったのがありがたいです。外出は少なくなるので健康管理に気をつけて働きたいなと思っています。

――真面目なEさんなのできっと新しい環境でもご活躍されることかと思います。
お体に気を付けて、ぜひこれまでのスキルも発揮されてください。ありがとうございました!