会社を一週間休むとうつ病?見分け方や診断を受けたときにおすすめしたい行動を解説

会社を一週間休んだことで、「自分はうつ病なのでは?」と不安に思う方も多いでしょう。前提として、ご自身の体調に気になる点があるのであれば、医療機関を受診する、あるいは専門医へ相談することをおすすめします。

とはいえ、医療機関を訪ねる時間がない方や、気持ちが向かないといった方も多いでしょう。そのような方へ、今回はうつ病でみられる仕事中の行動パターンを中心に解説します。医療機関への受診を検討中の方、あるいは自分がうつ病なのか知りたい方は、ぜひ本記事を今後の参考にしてください。

一週間仕事を休むとうつ病なの?

まず、一週間仕事を休んだからという理由だけでうつ病と判断することはできません。可能性の一つとしてうつ病が考えられることもありますが、それだけではない可能性もあります。

インターネット上にはさまざまなセルフチェックリストが公開されていますが、うつ病は人によって症状や進行度合いが異なるものであり、自己判断で決めつけることはおすすめできません。

まずはなぜ仕事を一週間休んだのか、休んだ理由は本当に仕事なのかなど、根本的な原因を追究しましょう。一通り考えた後、仕事が原因であると判断できた場合は、次項で紹介する仕事中の行動パターンをチェックしましょう。

うつ病の方にみられる仕事中の行動9種

ここからは、うつ病の方にみられる仕事中の行動を9種紹介します。一週間休んだことが仕事上の理由であり、さらにいくつか該当する行動パターンがある場合は、できるだけ早期に医療機関を受診、または専門家に相談しましょう。

 
キャリアアドバイザー
医療機関を受診する前に、うつ病かどうかを調べたいといった方は、これから紹介するうつ病の方にみられる行動に該当するか確認してみましょう。

1.ケアレスミスが増える

うつ病の方にみられる仕事中の行動パターンの一つに「ケアレスミスが増える」があります。これまで仕事がよくできる人だった場合、周囲から見てもこの行動は顕著になるとされています。

うつ病によって仕事に対する集中力や熱意が低下しているため、自分なりにチェックをしたつもりであっても、これまでの自分ではあり得ないような場所でミスをしていることが増えるようです。

2.社員とのコミュニケーションを避けたくなる

同じ部署の社員とのコミュニケーションを避けたい、または避けているといった行動も、うつ病の方にみられる行動パターンの一つと言われています。

これまでは何気ない会話も難なくできたのに、コミュニケーションを取りたいと思わない、避けたいと思うようになったときは、注意が必要です。

また社員に限らず、家族や友人とのコミュニケーションも避けたいと思う人も少なくないようです。

3.遅刻・欠勤が増える

会社に向かうことはできても、出勤時間に間に合わせることができない、遅刻・当日欠勤が増えた方も注意が必要です。

特に、朝、起床したものの、会社に向かう意欲が湧かず、知らず知らずのうちに遅刻が増えていた、更には早退する日が増えたといった方もうつ病を発症している可能性があります。

4.離席が増える

会社に到着後、デスクに向かうことに抵抗がある方、または黙ってデスクに座っていられないといった行動も、うつ病の方にみられるパターンの一つです。

うつ病では集中力の低下や冷静な判断ができにくいといった特徴があるため、このような行動がいつの間にか増えていた場合は、医療機関の受診を検討しましょう。

5.イライラする・気持ちが不安定

仕事中、特に問題やトラブルがないのに、イライラしたり、精神的に不安定になることが増えたときも注意が必要です。

気持ちが晴れない、穏やかな気持ちになれない、どのようなときでもイライラしてしまうといった心理的症状が多くみられた場合は、うつ病を発症している可能性が高いです。

6.強い眠気が続く

人によっては、寝ても寝ても眠いなど、強い眠気が襲うこともあります。体は疲れているのに、夜はなかなか眠りに就くことができないといった場合、睡眠不足により、日中の判断力や集中力が大きく低下します。

いつまでも眠気が続く場合はうつ病を発症している可能性を踏まえ、医療機関の受診をおすすめします。

7.身だしなみに無頓着になる

うつ病を発症した場合、何事に対しても無気力になりやすいとされています。これまでは身だしなみを整えてから出勤していたのに、今は散髪も化粧もしなくなった、あるいは興味がなくなったといった方は、うつ病を発症している可能性があります。

8.整理整頓ができない

これまではきちんと片付けられていたのに、いつの間にか片付けられなくなっていた、片付ける気になれないといったときも、うつ病を発症している可能性が高いです。

周囲の社員から見ても分かる特徴なので、自分で判断できないといったときは、同僚や先輩に聞いてみると良いでしょう。

9.電話応対が困難

以前は難なく受け答えできた電話応対も、いつの間にか言葉が出ない、詰まる、電話の内容を忘れる、など受け答えに困難を覚える場合、うつ病を発症している可能性があります。

うつ病によって冷静な判断ができにくくなっているため、臨機応変な対応が求められる電話応対に、難しさを感じていると考えられます。

医療機関を受診|うつ病と診断されたとき

これまでの自身の行動を振り返り、医療機関を受診後、うつ病と診断されたときは、どのような行動を取ると良いのでしょうか。ここからは、医療機関の受診によってうつ病と診断された方へ、今後の行動について解説します。

優先すべきことは自身の状態を把握し、療養すること

うつ病と診断を受けたときは、自分の健康状態を把握し、可能な限り療養に専念しましょう。

特に、うつ病は判断力が低下しやすい特徴があるので、このタイミングで退職や転職について考えるのは避けた方が良いです。

まずはうつ病と診断されたことを受け止め、ゆっくりと療養することを意識しましょう。

 
キャリアアドバイザー
自分が休むことで他の社員に迷惑をかけているのでは、など不安に感じることもあるでしょう。
しかしうつ病と診断された今、あなたにとって必要なのは心身を労う時間を作ることではないでしょうか。
いろいろなことが気になるかもしれませんが、まずは自分自身のケアを優先し、症状が落ち着いてから今後のことをゆっくりと考えましょう。

体調が良くなったときは

医療機関に通院し、服薬等によって体調が良くなり始めたときは、どのような行動を取ると良いのでしょうか。

難しくなければ働きながら克服することも可能

体調が落ち着き、これまで通り業務に取り組めると思えたときは、主治医に相談した上で、働きながら克服を目指すことができます。

なお、働きながら克服を目指すには、うつ病の症状について深く理解しておくことが大切です。

どのようなことで症状がみられるのか、または強まるのかを把握していないと、周囲にうまく共有できず、困ったときにサポートを受けることが難しくなります。

働きながらうつ病の克服を目指すときは、どのようなときにどのようなサポートが必要かを洗い出すと良いでしょう。

例えば、自分の症状についてや得意とする業務・苦手に感じる業務などです。これらを会社に共有しておくことで、社員や同僚にサポートを求めやすくなったり、自分に合った働き方が実現しやすくなるでしょう。

うつ病でも働ける方法を検討する

会社に共有すべき項目や求めるサポートを洗い出したら、次は自分に合った働き方を考えましょう。これまで通り朝から夜までのフルタイムは、療養期間が長かった人ほど困難に感じることも少なくありません。

また、うつ病は再発率が高く、冷静な判断ができなくなるといった側面もあるため、まずはリハビリがてら働くといった心持ちで就労に取り組むことをおすすめします。

うつ病によって精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)の交付を受けた方は、一般雇用と障害者雇用の双方を選択することができます。「一般雇用は厳しいけれど、どこかで働きたい」と考える方は、障害者雇用枠での就労も視野に入れると良いでしょう。

障害者手帳の等級や種類、取得によるメリットは以下の記事で紹介しているので、併せてご覧ください。

 
キャリアアドバイザー
今は大きな決断をするのは避けましょう。
気持ちや症状が落ち着き、冷静な判断ができるようになったら、紹介した働き方も検討してみましょう。

うつ病と診断を受けたあと|利用できるサービス

医療機関からうつ病と診断を受けた後は、さまざまなサービスを利用することができます。ここではうつ病の方に該当するサービスを4種紹介します。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターとは、さまざまな協力機関と連携しながら、障害者の就業および生活面を支援する施設です。令和6年4月1日時点では、全国に337箇所設置されており、各機関で職業リハビリテーションを受けることができます。なお、いずれもハローワークと密に連携しているので、サポートを受けながら自分に合った職種・会社を見つけることも可能です。

引用元
障害者就業・生活支援センターについて|厚生労働省

ハローワーク

ハローワークとは、求職者や事業主の双方にマッチした求人紹介等を無償で行う機関のことです。公共職業安定所、または職安と略して呼ぶことも多く、幅広い年齢層の方が訪れ、求人情報の閲覧や紹介、雇用保険の手続きや雇用対策等を行っています。

なお、障害者手帳の交付を受けている方は、ハローワーク内の障害者関連の窓口があるので、就労に関する相談はこちらを利用しましょう。

引用元
ハローワーク |厚生労働省

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、働きたいと考える障害者に対して、就労に必要な知識・能力の向上のための訓練・求職活動にかかわる支援等を行う事業所のことです。

対象者は、働きたいと考える65歳未満の障害者の方であり、単独での就労に困難があるとみなされ、就労に必要な知識・技術の習得または就労先の紹介、その他の支援が必要と判断された方などです。

引用元
障害福祉サービスの内容 |厚生労働省

そのほか、利用できる支援など

うつ病によって休職・退職した場合は、傷病手当金や失業手当、障害年金や生活保護の受給も可能です。

ただし、それぞれ受給するためには一定の条件をクリアしている必要があるほか、傷病手当金と失業手当は同時に受給できないなどの注意点もあります。

詳細については以下の記事でまとめているので、この機会にぜひ目を通してみてください。

まずは医療機関の受診と療養を

一週間仕事を休んだことで、あなたは現在、自分に対して嫌悪感を抱いているかもしれません。しかしもしかすると、休む前から自分に対してなんらかの不調を感じていた可能性があります。

まずは本記事で紹介したうつ病にみられる仕事中の行動パターンを参考に、うつ病の可能性について判断しましょう。

医療機関を受診後、うつ病と診断された後は、自身の状態を理解し、できるだけ療養してください。うつ病は冷静な判断ができなくなるといった特徴があります。復職・転職・退職については、うつの症状が落ち着いてからゆっくり時間をかけて考えていきましょう。

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監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。