うつ病での転職はバレる?上手に転職活動をする方法を紹介

うつ病の既往歴がある方は、転職活動時や入社後に企業にバレて不利になるのではと恐れているかもしれません。そこで、バレる可能性がある事例を紹介し、どのように転職活動を進めるべきかを解説します。

転職活動を有利に進めるために利用したいサービスも伝えるので、ご自身の状況に応じて活用してみてください。

うつ病休職後に転職すると応募先にバレる?気づかれる恐れがある場面を紹介

うつ病で前職を休職したのちに別の企業に転職する際、応募先にバレてしまうのではと気がかりになっている方もいるのではないでしょうか。実は、バレる可能性はゼロではありません。そこで、どんなときに気づかれる可能性があるのかを見ていきましょう。

1. 住民税の額

前年の住民税が少なすぎると、休職していたことに気づかれてしまう恐れがあります。しかし、休職に気づかれたとしても理由まではわからない上、特に大きな会社であれば経理担当者が知るだけなので、その個人情報が広められてしまうことは少ないでしょう。

2. 源泉徴収票・給与明細

前職の源泉徴収票や給与明細の提出を求められることがあります。うつ病で休職していた場合、申告していた給与額より少ない額が表示されているため、休職を疑われるかもしれません。ただし、こちらも理由までは知られないことでしょう。

3. 傷病手当金の受給履歴

もしうつ病を再発したり、別の病気やケガにより働けなくなったりした場合、傷病手当金の手続きをすることも。その際、経理担当者には過去の傷病手当金の受給歴がわかります。

また、同じ理由での受給には期限が決められているため、過去に受給した理由も確認されるので、うつ病と知られてしまうことはやむを得ません。

4. 噂話やSNSなど

新しい職場の人が、前職の同僚や上司などから人づてに話を聞いたり、本人や周りの人のSNS投稿を見たりして知るケースもあります。とはいえ、わざわざチェックすることは少なく、まれなケースといえるでしょう。

 
キャリアアドバイザー
理由まではバレないこともありますが、さまざまな面で知られる可能性があることを理解しておきましょう。また、噓をついて隠していたなど、場合によっては内定取り消しや懲戒解雇のリスクもあります

うつ病後の転職・再就職活動をうまく進める方法

前章のようにバレるリスクがあり不安を感じるなかで、うつ病後の転職活動を成功させるにはどうすればいいのでしょうか。

1. 医師に相談する

活動をスタートする前に、まずは仕事を始めてもよい状態かどうかを主治医に相談します。健康が第一なので、自分では大丈夫と思っていても、医師からストップがかかった場合は、体調が落ち着くまで待ちましょう。

2. 自分と向き合い適切な働き方を考える

うつ病では、心身を休めてストレスのもとを取り除くことが重要です。そのため、自分の気持ちと正面から向き合い、状態や懸念事項などを書き出して、対処法を考えましょう。その上で、自分に合った職種や働き方がどんなものなのかをじっくり検討するとよいでしょう。

3. 就職支援サービスを利用する

転職活動を支援してくれる機関やサービスの力を借りると、自分の悩みに寄り添ってもらいながら活動を進められます。自分一人で仕事探しをするより心強く、また、自力では出会えなかったようなよい職場を紹介してもらえる可能性もあるので、ぜひ利用してみましょう。

4. 病気について応募先に伝える

うつ病は、履歴書への記載や面接での申告の義務はありません。しかし、バレる不安におびえるよりも、正直に伝えておいたほうがよいでしょう。伝えた上で、病気から十分に回復しているのであれば、問題なく働けることをアピールしてください。

また、うつ病を開示するのであれば、障害者雇用枠で働くという選択肢もあり、より働きやすい環境に出会える可能性が高まります。

 
キャリアアドバイザー
障害者手帳を取得していれば、障害者雇用枠への応募が可能です。職場の方々に病気のことを理解してもらい、適切な配慮を受けつつよい環境で働けるというメリットがあります

休職中に転職活動をしてもよい?

休職している間に転職活動を行ってもよいかどうか、気になる方もいるのではないでしょうか。

実は、法的には禁止されていないのでかまいません。ただし、就業規則でNGとしている企業があるので、トラブルを避けるためにも確認は必要です。また、休職中はまずは安静にして体調を回復させることを最優先に考えましょう。

うつ病の方の転職先の具体例

つづいて、障害者の方向けの求人サイト「BABナビ」より、うつ病の方でも就業を狙える職場や業種にはどんなものがあるか、具体的な転職先の例を紹介します。

株式会社マイナビパートナーズ|クリエイティブ職

自社サービスのバナーやパンフレットのデザイン制作やホームページ制作、動画・画像の編集などの業務を行うクリエイティブ職の募集。オフィスはJR大阪駅直結のビル内にあり、大阪の中心地で働けます。

月給は199,646円~209,707円、賞与が年2回あり、年収は274万円~328万円程度です。手当や福利厚生も充実しており、働きやすい環境が整っています。

引用元
株式会社マイナビパートナーズ 大阪支社の障害者求人(ID:1614)|BABナビ

株式会社ドウシシャ 東京本社|設備ビルメンテナンス管理

ビルの設備の修理や整備を行うメンテナンス職。その他、順次事務・総務の業務も担当する予定です。

年収336万円~399万円の年俸制で、月給は280,000円~333,330円です。財形貯蓄・確定拠出型年金・家賃補助・慶弔金など福利厚生が非常に充実しており、やりがいを持って働けるでしょう。

うつ病歴のある方でも、周囲の方との協力やコミュニケーションに支障がなければ問題ありません。

引用元
株式会社ドウシシャ 東京本社の障害者求人(ID:6475)|BABナビ

株式会社グッドラック・コーポレーション|採用アシスタント・労務アシスタント

応募者データのチェックや応募者からの問い合わせ対応などの採用アシスタント職と、入退社時の手続きなどの労務アシスタント職です。経験や適性をもとに、どちらかの業務を中心に任されるため、強みがある方は積極的にアピールするとよいでしょう。

基本給181,575円に固定残業代が加算され、月給は225,000円~290,000円、年収は270万円~348万円です。リゾートウェディングを企画・運営する会社のため、福利厚生のなかに「スタッフ婚礼割引」があります。

引用元
株式会社グッドラック・コーポレーションの求人(ID:6347)|BABナビ

株式会社日本取引所グループ|一般事務

経理・情報収集・データ管理・コールセンターなど、適性に応じた事務業務を担います。グループ内の4社での募集であり、雇用元がどこになるかは採用時に決まりますが、条件は4社すべて同じです。株取引に興味がある方は、内部で働ける貴重なチャンスといえます。

月給230,000円~250,000円、賞与は年2回で90万円程度(業績によって変動)、想定年収は330万円~380万円です。

引用元
株式会社日本取引所グループの障害者求人(ID:791)|BABナビ

非公開求人|総務

募集元非公開の求人ですが、大手アパレル企業での就業のチャンス。軽微管理や店舗管理などのファシリティ業務をメインに、経費や消耗品の管理などの庶務も担い、ブランドを陰で支えます。

残業を月20時間とした場合の月給が260,000円~280,000円、賞与が年2回あり、年収は449万円~482万円ほどです。福利厚生のなかに社員割引があり、自社商品を割引価格で購入できます。

引用元
DIエージェント障害者求人(東京都渋谷区)No.15111の求人(ID:7366)|BABナビ

うつ病後の再就職・転職活動を支援してくれるサービス

ここからは、うつ病の方が再就職に向けて転職活動をする際にサポートしてくれるサービスを紹介していきます。それぞれ特徴があるので、ぜひ自分に合いそうなサービスを利用してみてください。

ハローワーク

ハローワークとは、全国にある「公共職業安定所」のこと。窓口や施設に設置してある検索機で、全国の求人情報を調べることが可能です。

ハローワークには専門援助部門が設けられており、窓口には専門の相談員が配置され、障害をお持ちの方が就職活動をするための支援を行っています。

一般向けの求人から障害者枠の求人まで、求職者の状況と企業の募集内容を照らし合わせながら相談に乗ってくれ、障害のある方向けに就職面接会を行ったり、面接に同行したりといったサポート体制を整えていることが特徴です。

参考
障害のある皆様へ|ハローワークインターネットサービス

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)」が運営しており、障害をお持ちの方に対して専門的な職業リハビリテーションを行う施設です。全都道府県に最低1カ所ずつ以上設置することが義務付けられています。

センターでは、直接就職先を紹介するという支援は行っていません。しかし、ハローワークと連携しながら、職業相談を受け付けたり、職種・労働条件・雇用状況などの求人情報を提供したりといった支援を実施しています。

障害者職業カウンセラー・相談支援専門員・ジョブコーチなどが配置されており、専門性の高い支援を受けられることが特徴です。

引用元
障害者雇用関係のご質問と回答|高齢・障害・求職者雇用支援機構

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、一般企業への就職を目指す障害者の方に向けて、トレーニングと就職活動の支援を行うことで就労をサポートする福祉サービス。通所型の障害福祉サービスで、「障害者総合支援法」という法律のもとで運営されています。

利用者にとって、事業所に通いながら就職に必要な知識や技術を獲得でき、職場見学や実習などを行い、事業所職員のサポートを受けながら仕事を探せることがメリットです。

全国に3,300カ所以上あり、利用するためには市区町村で手続きをする必要があります。就職後の定着支援まで行ってくれる事業所もあり、安心して頼れるでしょう。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターとは、障害をお持ちの方の仕事面での自立を図るため、雇用や福祉などの関係機関と連携し、地域で仕事と生活面での一体的な支援を行う施設です。名称が長いため、間の「・」から「なかぽつ」「就ぽつ」などと呼ばれることもあります。

なかぽつは、全国に337カ所(令和5年8月22日時点)設置されています。社会福祉法人やNPO法人などが運営しており、厚生労働省のページにある一覧から、近くのセンターを探すことが可能です。

障害をお持ちの方への就職支援や助言のほか、事業所に対して障害者雇用に関する助言を行ったり、関係機関との連絡調整を実施したりしています。

引用元
障害者就業・生活支援センターについて|厚生労働省
令和6年度障害者就業・生活支援センター 一覧 (計 337センター)|厚生労働省

障害者向け転職エージェント

障害者枠を設けている企業や障害者雇用を推進する企業の求人に特化した、転職エージェントもぜひ利用してください。

障害者の方の就職活動におけるノウハウを持っており、高い専門知識も兼ね備えているので、初めての転職で不安を抱える方も心強いでしょう。そのエージェントしか取り扱っていない、非公開の求人情報を得られる場合もあります。

高い専門知識を持った専任のアドバイザーが、求職者の希望や障害の度合いなどをふまえた上でマッチングを行ってくれるのが特徴です。

就職前の準備から就職後の支援までしっかりサポートしてくれるため、自分の特性にマッチした仕事を見つけやすいというメリットがあります。

うつ病後の転職は正直に伝えてから進めよう

うつ病だったことがバレるのではないかと気になりつつ、転職に不利になるのを恐れて隠そうとする方も多いです。

しかし、休職やうつ病の既往歴は知られてしまう可能性があるので、ハラハラしながら転職活動をするよりも、正直に伝えた上で自分にとって働きやすい環境で就業したほうがよいといえます。転職の際は、障害者雇用枠での応募も検討してみましょう。

障害者向けの求人に特化した「DIエージェント」は、キャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングを実施し、希望条件などをもとにアドバイスや提案を行っていることが特徴です。初めての転職活動で不安な方もしっかりサポートするので、ぜひ一度ご相談ください。

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監修:東郷 佑紀
大学卒業後、日系コンサルティングファームに入社。その後(株)D&Iに転職して以来約10年間、障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザーを歴任し、 障害・年齢を問わず約3000名の就職支援を担当。