ハローワークで障害者が仕事探しをするコツは?利用できる福祉サービスとは?

障害者の方々は、障害の度合いによっては、日常生活に限らず仕事においても困難が生じる場合があります。

そこで今回は、障害者がハローワークで仕事を探す方法や、ハローワーク以外の就職・転職活動の方法について解説します。

障害の特性に合った業務に従事することや、理解と配慮のある環境で働くことは、安定して長く仕事を続けていくためにはとても大切です。合わない職場環境で働くことによって、障害が悪化したり、別の病気を発症してしまったりする例も少なくありません。

そうならないように、今後の働き方を考える参考として、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みいただけると幸いです。

ハローワークに行く前に行政へ申請しよう

障害者の収入源には、障害年金から得られる収入と働いて得られる収入の2種類があります。

働くためにハローワークに行くことを考える方も多いと思いますが、障害者の方がハローワークで適切なサポートを受けるためには、ハローワークへ行く前に、区役所や市役所などの自治体の窓口で障害関連の申請をすることがおすすめです。

そこで、具体的にどんな申請をすればいいのか、下記で見ていきましょう。

 

障害年金の申請

障害年金とは、障害によって日常生活や仕事に支障がある方に支給される年金です。ただし、受給には条件があるため、必ずしも全員が受け取れるわけではありません。条件とは、初診日の日付が明確で、初診日に国民年金や厚生年金に加入して納付も行っていることです。

障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、どちらに加入しているかや級ごと、年齢によって受給できる金額が異なります。

受け取れる金額として、障害基礎年金の1級は年間990,750~993,750円、2級は年間792,600~795,000円です。また、障害厚生年金は計算方法が複雑で、「報酬比例」から導き出されます。さらに、基礎年金も厚生年金も、子どもや配偶者がいる場合には加算がつく場合があります。

詳しくは下記の記事をご確認ください。

引用元
障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構

障害者手帳の申請

障害者が働くには、障害者手帳を取得しておくとスムーズです。障害者手帳の申請をする際は、ご自身の障害に該当する指定医から診断書や意見書をもらい、手帳の交付申請書や顔写真などと一緒に行政の窓口で提出しましょう。

障害者手帳を持っておくことで、仕事に関して、障害者雇用枠での就労が可能・就労支援を受けられる・仮に失業した場合の失業保険の内容が手厚いといったメリットがあります。

 
キャリアアドバイザー
障害年金と障害者手帳は全くの別物です。障害年金が受給できないからと言って、障害者手帳も取得できない、ということはありません。

障害者のハローワークの利用方法とコツ

行政での手続きが完了したら、いよいよハローワークでの就職相談です。下記で障害者がハローワークを利用する際のポイントを確認しましょう。

引用元
初めてご利用になる方へ ~ハローワークのサービスについて~|ハローワークインターネットサービス
障害者の方の雇用に向けて|ハローワークインターネットサービス

障害者専門窓口を利用しよう

ハローワークには、障害者専門の相談窓口が設けられています。障害者手帳の交付を受けたら、ぜひ障害者相談窓口を利用することをおすすめします。

ハローワークでは障害者のための求人もあり、障害者ご自身の特性・ニーズにマッチしやすいことや、就業後もサポートしてもらえることなどがメリットです。

障害者雇用の悩みや不安を解決しよう

ハローワークの障害者専門窓口には、手話や筆談ができる支援員、精神障害に特化した支援員などがいるため、障害者が就労に対して抱えている不安や悩みも相談しやすい環境です。不安を解消しながら就職活動を進められます。また、ご自身にどの様な仕事が合うかイメージがつかない場合も、客観的な視点でアドバイスをもらえるため、よりご自身にマッチした仕事を探しやすくなるでしょう。

 
キャリアアドバイザー
ハローワークの中にも障害者対応に特化した支援員さんがいます。自分に合った仕事を探す上では、客観的な視点でアドバイスをもらうことも大切なため、誰かに相談しながら就職活動を進めることをお勧めします。また、ハローワークでは仕事探しだけではなく就業後のサポートも定期的に受けられるため、ぜひ利用しましょう。

自宅からハローワークを利用しよう

障害を抱えていると、外出するのも一苦労です。仕事探しのたびにハローワークに足を運ぶのは、正直大変だと感じる人も多いことでしょう。そこで、自宅から仕事探しをする方法があります。

実は、ハローワークではインターネットサービスを提供しているため、毎回ハローワークに出向かなくても、自宅に居ながらにして利用することが可能です。

ハローワークで障害者が受けられるサポートとは?

ここでは、ハローワークにおいて障害者が受けられる支援内容を詳しくお伝えします。

就職に向けた支援

ハローワークでは、求人情報を紹介してもらえるだけでなく、就職活動に必要な、自己分析・面接対策・履歴書の作成などをサポートしてもらえます。

また、障害者の方の就職に向け、企業と交流できる就職面接会を定期的に開催しているハローワークもあるので、ぜひ相談してみましょう。

ハロートレーニング

ハロートレーニングとは、やりたい仕事に就くのに必要なスキルを身につけるための公的職業訓練のこと。事務系をはじめ、パソコン関係の職種のトレーニングが多い傾向です。ハローワークがあっせんを行い、応募や試験を経て合格すれば受講できます。

行政などが実施する「公共職業訓練」と、民間機関などが実施する「求職者支援訓練」があり、雇用保険や給付金をもらいながら通うことが可能です。

障害者トライアル雇用

ハローワークでは、障害者が実際に企業で一定期間働き、企業と相互理解を深められる「障害者トライアル雇用」のサポートも行っています。

現場の環境を知り、自分に合った職場かどうかを確認してから就職できるため、トライアルをしない場合に比べて長く働きやすい傾向があります。

チャレンジ雇用

前項と似たものとして、チャレンジ雇用のサポートも行っています。各省庁や自治体などで、職業体験のような働き方ができます。

ただし、チャレンジ雇用では、期間終了後に同じ場所で働くことはできません。一般企業への就労の前に、まずは「働く」ということに慣れるための経験と考えましょう。

 
キャリアアドバイザー
職業訓練や職場体験を経験してから就職できることはありがたいですよね。長く続けられるか不安という方は、この様な機会を通して自信をつけながら就職先を探す方法がお勧めです。

障害者がハローワーク以外でも利用できる就労サービス

障害者が仕事を探す際には、ハローワーク以外にもさまざまな就労支援サービスが利用できます。どのようなサービスがあるのか、それぞれの特徴とともに見ていきましょう。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、「障害者総合支援法」に基づき、一般企業への就職を目指す18歳以上65歳未満の障害者に対して、就職に必要な知識や技術の習得をサポートする事業所のこと。

日々の通所でのトレーニングや実践訓練などを通じて、就職に必要なスキルを身につけることができます。さらに、就労支援員や職業支援員など、相談しやすいプロのサポートを受けながら仕事を探せることがメリットです。

全国に3,300カ所以上あるので、利用したい方は市区町村で手続きを行ってください。

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターとは、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」が運営する職業リハビリテーションの施設です。全都道府県に1カ所以上の設置が義務付けられており、障害者の方の就職に向けたサポートも行っています。

センターでは、直接就職先を紹介するという支援は行っていません。しかし、ハローワークと連携しながら、職業相談を受け付けたり、職種・労働条件・雇用状況などの求人情報を提供したりといった支援を実施しています。

ジョブコーチや職業カウンセラーなど、障害者の就労について詳しい専門家に支援してもらえる点がメリットです。

引用元
地域障害者職業センター|独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターとは、障害をお持ちの方の仕事面での自立を図るため、雇用や福祉などの関係機関と連携し、地域で仕事と生活面での一体的な支援を行う施設です。正式名称が長いため、間の「・」から「なかぽつ」「就ぽつ」などと呼ばれることもあります。

なかぽつは、全国に337カ所(令和5年8月22日時点)設置されています。社会福祉法人やNPO法人などが運営しており、厚生労働省のページにある一覧から、近くのセンターを探すことが可能です。

障害者への就職支援や助言のほか、事業所に対して障害者雇用に関する助言を行ったり、関係機関との連絡調整を実施したりしています。

引用元
障害者就業・生活支援センターについて|厚生労働省
令和5年度障害者就業・生活支援センター 一覧 (計 337センター)|厚生労働省

障害者専門転職エージェント

数ある転職エージェントの中で、障害者雇用を専門に行っているエージェントを利用する方法もおすすめです。障害者採用を積極的に行っている企業の求人を取り扱っており、場合によっては非公開の求人情報も得られます。

専任のアドバイザーがつき、就職前の準備から就職後の支援までをトータルでサポートしてくれる点がメリットです。障害の状況に合った仕事探しができ、ご自身の希望に合った企業とマッチングしやすいでしょう。

ハローワークで不安が解決できなかったら転職エージェントへ

障害者が仕事を探すときには、障害年金や障害者手帳の手続きをしてからハローワークを利用することがおすすめです。障害者専門の相談窓口も用意されているので、ぜひ利用しましょう。

また、就労をサポートしてくれるサービスは、ハローワーク以外にもたくさんあります。

障害を抱えながら働く上では、 障害の特性に合った業務に従事することや、障害に理解や配慮のある環境で働くことが大切です。

今の職場を続けていくことに負担・不安を感じている方や、これから障害に合った仕事で就職を目指している方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。

DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠で就職・転職を検討されている方に対して就職・転職についてのアドバイスや、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。

専任のキャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングし、お一人おひとりに寄り添った働き方を提案させていただきます。

「今の自分に無理のない働き方をしたい」「理解のある環境で働きたい」というご希望がありましたら、まだ転職は検討段階という状態でもかまいませんので、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修:東郷 佑紀
大学卒業後、日系コンサルティングファームに入社。その後(株)D&Iに転職して以来約10年間、障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザーを歴任し、 障害・年齢を問わず約3000名の就職支援を担当。