「恵まれすぎて感謝しきれない」発達障害のワーママによるストレスフリー在宅勤務のススメ [転職成功事例 Vol.9]

D&Iエージェントを通じて転職に成功した皆さんのエピソードをご紹介します。今回は発達障害をお持ちでワーママ×ブロガーのまどりさんにお話を伺いました。
在宅ワークと就業・定着フォローがついた「エンカク」の良さ、なかなか情報が少ない「育児と仕事の両立」についても色々と教えてくださりました。

お話を伺った方:まどりさん(仮名・30代後半)
障害:広汎性発達障害(ASD/ADHD/LD) 精神障害者保健福祉手帳 2等級
経験:「看護師」「精神保健福祉士」などの資格をお持ちながらも、働きづらさ・生きづらさを感じ、発達障害の診断がおりたのは31歳の頃。障害と向き合いつつ複数社を経験。お子さんの出産によるブランクを経て、2020年障害者雇用での就労をリスタート。
ご自身の発達障害の経験や気づきを書いたブログ「発達凸凹夫婦の記録」も運営。
Twitterは @madori_hanai
就職先:コンサルティング会社 (総務事務) ※完全在宅勤務

※本記事の内容は2021年10月取材当時の内容です。年齢は転職当時のご年齢です。また、新型コロナウイルス感染症対策としてビデオ通話にてインタビューを実施しております。

「障害者雇用フルリモートならD&Iがオススメ」の一言から

今回のインタビューはまどりさんの1つのツイートをきっかけに実現しました。

 注:PR依頼やアフィリエイト案件ではありません。

「こんなにD&I(DIエージェントや在宅勤務支援「エンカク」などの運営会社)のサービスを絶賛いただいている方の声をぜひ聞きたい!」と、まどりさんにインタビューを申し込みました。

産後2ヶ月から転職活動。精神障害、事務経験少の苦難

――まずはD&Iのことをつぶやいてくださりありがとうございます! どういった点にご満足いただけたのか色々と伺っていきたいと思います。早速ですが、今回の転職活動はどのような経緯で始められましたか?

離職期間(ブランク)を長引かせたくなかったことから、実は子どもを出産後2ヶ月で転職活動を始めたんです。

まずはハローワークに登録して、それから在宅勤務ができる職場を探していたところ、こちらのD&Iのサービスにたどり着きました。

初めて経験するコロナ禍の転職活動

――それはすごいバイタリティですね!! しかしその動きだしの早さが、良い仕事に巡り会える結果につながったのかもしれないですね。

はい。それまでも就労移行支援など通い続けていたので、再就職の準備もコツコツと進めてはいました。(こちらのブログ「【体験談】発達障害の人の就職支援サービス【メリット・デメリット】」に利用した様々なサービスの感想も書いています。)

とはいえ、本格的に動き出したのは2020年の年明け……ちょうど新型コロナウイルス感染症が流行し始めてきた頃でした。転職活動の真っ最中は初めての緊急事態宣言が出ており、「これは仕事が見つからないかな……」と不安に思っていました。

――企業がテレワークを推進し始めるなど追い風になった部分もありましたが、転職活動はスムーズに進みましたか?

ハローワーク経由で応募したところは、残念ながら落ちてしまいました。

DIエージェントからもすぐに求人の紹介はなかったのですが、ブランクを長期化したくなかったことや40歳を目前に控えており「年齢によるハードルが上がるのでは?」といった思いから「どうしても働きたいんです!」と連絡を入れたところ、その数時間後にはぴったりの求人を持ってきてくれました。このスピード感はハローワーク等とは違う民間サービスならではですよね(笑)。
その時に紹介いただいた一社が「フルリモートOK」の今の勤務先です。

――すぐに求人をご紹介できない場合のフォローは今後も拡充していきたいと思います。

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「前職の人間関係の失敗を活かし」在宅に絞ってストレスフリーな働き方へ

▲整理された机で在宅ワークの様子(提供:まどりさん)

――ご転職時に大切にされていた軸や希望条件はありましたか?

前職で人間関係に悩んだ失敗があったので、完全在宅勤務一本に絞りました。
給料や業界などは考えずに、テレワークができることを最優先にしていました。

発達障害の方がつまづきやすい人間関係の悩みとは?

私は「雑談」に苦手意識があって、前の職場では仕事をしながら同僚の雑談や噂話に付き合うことに苦労しました。
女性が多い職場だったこともあり話題も美容や芸能人の話など、少しおっさん気質がある私にとっては興味が持てなくて(笑)。
「雑談しながら仕事をする」ってある意味マルチタスクですから、仕事に集中できないこともしんどかったです。
そのような小さなストレスが積み重なって、体調を崩してしまいました。

――それはつらいですよね。在宅勤務でそれらは解消されましたか?

はい、人間関係の悩みは全て解消され、現在はストレスフリーです!
雑談もなく一人で落ち着いた環境で、仕事に集中できています。

また、基本的にテキストでのやり取りになるのでログが残って、仕事の聞き漏らしなどがなくなるのも良い点でした。

――育児との両立といった観点でも在宅勤務は役に立っていますか?

ええ、家族の力も借りながらですが、子どもは保育園に預けて最初は時短勤務、現在はフルタイムで働くことができています!

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「今の環境には感謝しかない」ワーママでフルタイム&昇格!

▲母は強し、お子さんが0歳の時にお仕事スタート(提供:まどりさん)

――乳幼児のお子さんがいる中、フルタイム就労はすごいですね。

ありがたいことに、つい先日「頑張ってくれているから」と会社からも評価をいただき、アルバイトから契約社員へ昇格をしたんです。

――おめでとうございます!

そうはいっても、働き始めた頃は「事務経験も長いわけでなく、私の特性上仕事に慣れるのに時間がかかるから」とお願いして、週4日・1日5時間の短時間勤務でのスタートでした。そこから徐々に勤務時間を伸ばし……と柔軟に、そしてキャリアを積んでいけるように配慮していただきました。育児をしながら働くこと自体も初めてでしたからね。

定着支援で仕事から育児の悩みまで気軽に相談

――ご就職先は弊社の「エンカク」(テレワーク定着支援サービス)導入企業でしたので、月に一度、エンカクトレーナー(※)との面談などフォローがあったかと思います。ご感想としてはいかがでしたか?

偶然にもエンカクトレーナーさんは子育て経験のあるベテランの方でした。
なので、仕事のこと以外にも子育てについても話を聞いてもらったり……。

トレーナーさんは私が言ったことを絶対否定しないで、肯定的に受け止めてくださる方だったので、面談がちょっと楽しみだったりもしました(笑)。

※「エンカクトレーナー」とは

「エンカク」は障害をお持ちの方が安心して在宅ワークができるように工夫されたテレワーク専用のシステムです。
こちらを導入いただいている企業様には、ご就職後「エンカクトレーナー」が定着支援をおこないます。テレワーカーさんと企業との間に専属のエンカクトレーナーが入り、長く安心して働いてもらうためのアドバイス・改善をおこないます。
社外の第三者として、「上司に伝えづらい仕事の相談」から「プライベートや体調面を含めた悩み」などを気軽に相談いただけます。
注:テレワークを実施している全ての企業で「エンカク」「エンカクトレーナー」のサービスを提供しているとは限りません。

――ご入社から1年以上が経って定着支援は終わりましたが、不安などはありませんか?

面談は上司と1~2ヶ月に一回程度設けられていて、「何かお仕事に対する希望や不満ありますか?」と聞かれても、「めちゃくちゃ働きやすくて、ありがたい限りです!」と毎回伝えているような感じです(笑)。

――D&Iは「転職がゴールではなく、その先を見据えた本質的なキャリアサポート」を大切にしているので、ご転職先で幸せになってもらえていることが私たちとしては何よりも嬉しいです。


発達障害ライフハック?!「見える化」で理想のキャリアをデザイン

▲会社の補助を受けて、得意なPowerPointの資格取得も(提供:まどりさん)

――会社に配慮としてお願いしていることはなんですか?

特性上、関心の強いことはより力を発揮しやすいので、「資料作成が好きです」と言ったら、そのタスクを多めに振ってくださるようになりましたね。

あとは在宅勤務なので特別な配慮ではないかもしれませんが、タスクの依頼時には口頭指示ではなくチャットで文字としてもらえます。マルチタスクや優先順位づけも苦手としているので、<「タスクは一つ終わってから次のタスクを渡してもらう」あるいは「複数タスクを渡す場合はどんな優先順位か」まで指示をいただいている状況です。

――障害をオープンにしているからこそタスクの交渉もスムーズにできるのですね。

障害理解の大切さとコツ

――ご自身の得意や苦手、またはメンタルの状況を客観的に把握する「モニタリング」が非常にお上手だと感じました。これはなにかコツがあるのでしょうか?

障害が発覚し、診断がおりて10年以上が経ちました。長いこともがいてきた経験があって、うーん……。

一つは通院による主治医との相談や自分のブログ運営をしながら、言語化(アウトプット)し続けていることでしょうか。

それからいろんな人に話を聞いてもらったり、同じ発達障害の当事者の講演会や自助会へも顔を出して、「自分も同じだ! こうすれば良いかもしれない」と気づきの積み重ねで今があります。
発達障害といっても人それぞれですので、情報は鵜呑みにせず、「実際にやってみる」「自分に合うか試してみる」ことも気を付けました。
ある意味、自分の多動傾向が活きたからこそ、ここまで情報を集めたり発信できたりしているのかもしれません(笑)。

――なるほど。発達障害を取り巻く情報は山のようにありますが、どうやって正確な情報を入手してきましたか?

診断がおりてからは「発達障害」の研究機関にも長年協力しています。専門家による科学的なフィードバックがいただけるのは貴重でしたね。

(詳しくはこちらのブログに書いています。「【発達障害】研究協力のススメ【自分を知る】」

――それは転職活動にも活かせそうですね!

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自己対処の「TO DOリスト」の効用

――お仕事で役立ったまどりさんなりの自己対処はありますか?

色々試してきて、合うこともあれば自分には合わないこともありました。

今も習慣としていることは、仕事が始まる前にTO DOリストを手書きで紙に書き出して、目に見える所に置いておく、やることの「見える化」ですね。
私はゴールが見えないと不安になったり何をしたら良いか分からず混乱しやすかったりするので。

――すばらしいですね。

実は「5ヵ年計画」も立てていて。
5年後も働き続けながらキャリアも広げていって、家族と幸せでいられるようにといったゴールを掲げて、そのプランをExcelにまとめています。それを1年単位…1ヶ月単位…1日のTO DOと落とし込んで考えています。

目標を意識し続けることで、1日1日を大切にできますし、向かうべき方向が分かるかなと思います。

――日々の積み重ねが今のイキイキと働くまどりさんを作っていったのだと、お話を伺って感じました。少し落ち込んだ時も嬉しい時もD&Iでは随時ご相談を受け付けておりますので、今後もどうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました!