仕事をしていないと不安に感じる病気「全般性不安障害」とは?向いている仕事の例を紹介

「仕事をしていないと不安」などの心配ごとを抱える病気は、「全般性不安障害」かもしれません。

全般性不安障害とは、重度の不安感や恐怖感などを感じて肉体や精神に支障をきたす障害です。障害の度合いによっては、日常生活に限らず仕事においても困難が生じる場合があります。

そこで今回は、全般性不安障害の方が働きやすくなるための対処法や向いている仕事、就職・転職活動で役立つサービスについて解説します。

障害の特性に合った業務に従事することや、理解と配慮のある環境で働くことは、安定して長く仕事を続けていくためにはとても大切です。合わない職場環境で働くことによって、障害が悪化したり、別の病気を発症してしまったりする例も少なくありません。

そうならないように、今後の働き方を考える参考として、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みいただければ幸いです。

全般性不安障害とは

「全般性不安障害」は、「パニック障害」や「強迫性障害」と並ぶ「不安障害」の一種です。慢性的に(一般的には6ヶ月以上)不安や心配ごとに悩まされ続け、ストレスからさまざまな症状が現れて生活に困難をきたしてしまいます。

一般の方でも不安を感じることはありますが、理由が明確で症状も一時的なケースが多いです。しかし、全般性不安障害の場合、些細なことや漠然とした理由が引き金となり、自分自身で気持ちを制御することも難しくなります。

仕事をしていないと不安、逆に心配し過ぎて仕事に集中できないなど、働く場面でも支障が出ることがあるため、十分な注意が必要です。

全般性不安障害ではどんな症状が出る?

全般性不安障害の症状には、身体的なものと精神的なものがあります。主なものは下記のような症状です。

【身体的な症状】

  • 体の疲れやこり
  • 冷えや悪寒、熱っぽさ
  • 頭の重だるさや痛み
  • 揺れる感じ
  • ソワソワ感や朦朧(もうろう)感
  • 睡眠障害 など

【精神的な症状】

  • 過剰な不安感
  • 悲壮感
  • イライラを抑えられないなどの情緒不安定
  • 注意力散漫 など
 
キャリアアドバイザー
不安が大きくなりすぎて、ご自身の感情をコントロールできなくなる方も多いようです

全般性不安障害の原因

全般性不安障害の原因は、はっきりとは解明されていません。しかし、遺伝的なものや持って生まれた性格、自律神経の不調、病気、環境の変化(退職・離婚・家庭内トラブルなど)といったような要因が考えられています。

全般性不安障害の方が仕事で抱えやすい悩み・心配ごと

全般性不安障害の方は、前述のように「仕事をしていないと不安」など、働く上でも悩みや心配ごとを感じやすいです。そこで、全般性不安障害の方によく見られる不安事項を解説します。

会議などで人前で話すことへの不安感

会議やプレゼンテーションなどで自分の意見を話したり発表したりする際に、極度な緊張で声が震える・うまく言葉が出てこない・激しい動機が起きるなどの状態です。症状が進行すると、人に会うだけで恐怖感を感じるようになる方もいます。

ミスが怖くて仕事に集中できない

もし仕事でミスをしたらどうしよう、という不安感から集中力がなくなったり、職場の人々の言動や周囲の物音で気が散って業務のパフォーマンスが低下したりすることもあります。

また、ミスしないようにと慎重になるあまり、何度も同じことを確認してしまい、結果として仕事が遅くなるというケースも見られるようです。

乗り物に乗れない・出勤できない

電車やバスなどの閉鎖的な空間に不安を覚えたり、周りの人の目が気になり、職場に行って仕事をすること自体が怖くなったりするケースもあります。精神的な負担が重くなり、うつやパニック障害などを併発してしまう恐れもあるため、注意が必要です。

全般性不安障害の方が安心して働くための対処法

では、全般性不安障害をお持ちの方が少しでも落ち着いて働くためには、一体どうすればいいのでしょうか。

医師に相談し、必要に応じて治療を受ける

ここまでの内容が少しでも自分に当てはまると感じたら、心療内科・精神科(メンタルクリニック)を受診し、医師の診断を仰ぐことが大切です。

症状や度合いは人それぞれなので、専門家の診断を受け、必要に応じて薬を飲む・カウンセリングを受けるなどの治療をしてもらいましょう。

産業医や上司などに相談する

職場の信頼できる相手に相談する方法もあります。職場に産業医やカウンセラーがいる場合は、プロに相談してみましょう。いない場合、信頼のおける上司や仲間に話すのもよいかもしれません。自分のことを理解してくれる存在は、非常に頼りになるものです。

業務内容や通勤などにおいて必要な配慮を受ける

会社に相談した上で、合理的配慮を受けることも大切です。

具体的には、業務内容や担当部署が問題になっている場合は変更・調整してもらう、通勤時にラッシュアワーを避けられるように勤務時間を調整してもらう、可能であればテレワークに切り替えさせてもらうなど、自分の状態に合った配慮を受けられるよう相談してみましょう。

自分なりのリフレッシュ・リラックス方法を考える

リフレッシュやリラックスできることを見つけるのもよいでしょう。深呼吸やストレッチ、瞑想を行う・ゆっくりお風呂に浸かる・好きな香りをかぐ・睡眠や食事などの生活習慣を見直すなど、人によってさまざまな方法が考えられます。

全般性不安障害のようなメンタルの不調においては、心身のバランスを整えることがとても重要です。

休職または転職する

症状が落ち着かないときは、休職制度があれば利用して休養期間を設けてみましょう。不安を抱えたまま仕事を続けると、悪化することもあります。

また、職場に相談しても環境が改善されない・周囲の理解や協力が得られないという場合は、思い切って転職することも検討してみてはいかがでしょうか。

 
キャリアアドバイザー
合わない環境で働き続けても、ご自身がきついばかりです。前述のような対処をしても改善が見込めないようであれば、もっとご自身に合う仕事を探してみましょう

全般性不安障害の方に向いている仕事例を紹介

障害をお持ちの方が就職・転職する際には、障害者専門の求人から仕事を探す方法があります。そこで、障害者の方向けの求人に特化した「BABナビ」より、全般性不安障害の方にぴったりの求人情報の例を挙げるので、仕事探しの参考にしてください。

株式会社マイナビパートナーズ|一般事務

アンケートの集計・営業資料の作成などパソコン作業メインの一般事務です。経験やスキルに応じて活躍の幅を広げられます。また、テレワークなので出社の必要はありません。

月収は185,000円、年収は222万円です。テレワークな上に朝は9:15からとゆっくりめ、実働時間も7.5時間と短めで、全般性不安障害の方でも働きやすい環境といえるでしょう。

株式会社マイナビパートナーズの障害者求人(ID:5219)

SCSKサービスウェア株式会社|開発エンジニア

システムの開発や保守などを行うエンジニア業務です。スキルチェックが行われるため経験者限定ですが、完全テレワークで待遇も良好なことが特徴です。

時給1,800円~2,500円で、フルタイムで働ける場合は月給が288,000円~400,000円に。1日6時間以上、週4日以上(週24時間~)での働き方の相談ができ、体調に合わせての就業が可能です。

SCSKサービスウェア株式会社の障害者求人(ID:6513)

非公開求人|データ入力

非公開の求人情報で、ビジネス文書のデータ化や画像処理といった業務を担当します。入社から約1ヶ月は通勤の必要がありますが、その後はテレワークが可能です。

時給1,113円、年収の目安は204万円。週20時間以上であれば、時短勤務の相談も受け付けてもらえます。通院の必要がある方なども、遠慮せずに相談してみましょう。

非公開の障害者求人(ID:1382)

全般性不安障害の方が就職・転職活動で利用できるサービス

全般性不安障害の方が仕事を探すには、求職活動をサポートしてくれるサービスを活用するのがおすすめです。さまざまなサービスがあるので、それぞれのサービスの特徴を解説します。

ハローワーク

ハローワークとは、全国に存在する「公共職業安定所」のこと。施設内に設置されている検索機で、全国の求人情報を調べることが可能です。

ハローワークには専門の相談員を配置した窓口が設けられており、障害をお持ちの方の就職活動支援も実施しています。

一般枠の求人から障害者枠の求人まで、求職者の状況と企業の募集内容を照らし合わせながら相談に乗り、障害をお持ちの方向けに就職面接会を行ったり、面接に同行したりといったサポート体制を整えていることが特徴です。

引用元
障害のある皆様へ|ハローワークインターネットサービス

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターとは、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)」が運営しており、障害者の方に専門の職業リハビリテーションを実施する施設です。各都道府県に、最低1カ所以上設置することが義務付けられています。

センターでは、直接就職先を案内するという支援は行っていません。しかし、ハローワークと連携し、職業相談を受け付けたり、職種・労働条件・雇用状況などの求人情報を提供したりといったサポートを行っています。

障害者職業カウンセラー・相談支援専門員・ジョブコーチなどが配置されており、専門性の高い支援を受けられることが特徴です。

引用元
障害者雇用関係のご質問と回答|高齢・障害・求職者雇用支援機構

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、一般企業への就職を目指す障害者の方に向けて、訓練や就職活動の支援を行うことで就労をサポートする通所型の障害福祉サービス施設です。「障害者総合支援法」という法律のもとで運営されています。

利用者は、事業所に通いながら就労に必要な知識や技術を身につけ、職場見学や実習などを行い、事業所職員のサポートを受けながら仕事を探せることがメリットです。

全国に3,300カ所以上存在しており、利用するためには市区町村で手続きをする必要があります。就職後の定着まで支援してくれる事業所もあり、安心して頼れるでしょう。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターとは、障害者の方の職業における自立を図るため、雇用や福祉などの関係機関と連携し、地域で仕事面と生活面での一体的な支援を行う施設です。名称が長いため、間の「・」から「なかぽつ」「就ぽつ」などとも呼ばれます。

なかぽつは、令和5年8月22日時点で全国に337カ所設置されています。NPO法人や社会福祉法人などが運営しており、厚生労働省のページにある一覧から、お近くにあるセンターを探すことが可能です。

障害をお持ちの方への就労支援のほか、事業所に対する障害者雇用への助言や、関係機関との連絡調整などを行っています。

引用元
障害者就業・生活支援センターについて|厚生労働省
令和5年度障害者就業・生活支援センター 一覧 (計 337センター)|厚生労働省

障害者雇用に強い転職エージェント

障害者雇用枠を持ち、積極的に障害者採用を行う企業の求人に特化した、転職エージェントを利用するのもおすすめです。

障害者の方の求職活動における独自のノウハウを持っており、高い専門知識も兼ね備えているので、初めての転職で不安を抱える方も心強いでしょう。そのエージェントでしか取り扱っていないような、非公開の求人情報を得られる場合もあります。

高い専門知識を持った専任のアドバイザーが、求職者の希望や障害の度合いなどをふまえた上で企業とのマッチングを行ってくれるのが特徴です。

就職前の準備から就職後の支援までトータルでサポートしてもらえるため、自分の特性にマッチした仕事が見つかりやすいでしょう。

全般性不安障害の方も自分に合った仕事で長く活躍しよう

全般性不安障害で仕事に不安を抱えていた方は、今回見てきたような対処をすることで改善される可能性もあります。

どうしてもの場合は、今の職場にとらわれすぎずに転職も検討してみましょう。全般性不安障害の方にも働きやすい職場はたくさんあるので、諦める必要はありません。

なお、ハローワークや転職エージェントなどの支援サービスを利用することで、より自分に合った職場を見つけやすくなります。

障害を抱えながら働く上では、 障害の特性に合った業務に従事することや、障害に理解や配慮のある環境で働くことが大切です。

障害があっても「キャリア成長を諦めたくない」「自分に合った働き方を探したい」という方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。

DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠で就職・転職を検討されている方に対して就職・転職についてのアドバイスや、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。

専任のキャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングし、お一人おひとりに寄り添った働き方を提案させていただきます。

まだ転職は検討段階という状態でもかまいませんので、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。