一般就労を就労移行支援から目指すのは難しい?作業所の違いや方法を解説

一般就労は難しいのではないかと不安になっている方も多いのではないでしょうか。実際に「なかなか就労先が見付からない」「条件があわない」「断られすぎて自信が無くなってきた」という辛さや悩みを抱えている方は少なくありません。

そこで、今回は一般就労は本当に難しいのか、その理由と対策について解説します。

今後の働き方を考える参考として、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みいただけると幸いです。

一般就労が難しくなってしまう理由

一般就労が難しくなってしまう状態は、以下のような状況にある方に多く見られます。

  1. 体力や年齢が原因で一般就労の継続が難しくなった人
  2. 就学時の支援では就労が難しかった人
  3. なんらかの障害を負ってリハビリ中の人
  4. 勤務時間の希望が週20時間以下

一般就労は公共機関や一般企業と雇用契約を結ぶため、自身の就労条件が障害者雇用枠の雇用のニーズに合致しないと、一般就労は難しくなってしまいます。

特に体調などが原因で出勤が不定期になってしまったり、短時間しか働けない場合、一般就労へのハードルが高くなってしまうことは否めません。

一般就労が難しくなる原因や事例を、さらに具体的に見ていきましょう。

 
キャリアアドバイザー
一般就労をする場合、特にオープン就労の場合は就労先に対して合理的配慮が必要な内容をすり合わせたり、業務についてできること、できないことを話し合わなければいけません。また、出勤日や勤務時間を守れることも大切です。

自分自身の障害やできることを客観的に把握できていないため、企業と折り合わない

自分自身の障害の状況や、自分が実際にできることと、できる・やりたいと思うことに乖離がある場合、なかなか企業のニーズと折り合わずに就労が決まりにくい傾向があります。

「こういう働き方をしたい」という希望を持つことは大切ですが、就きたい仕事の内容や、業務上で受けたい配慮などの本人の希望と、企業側が可能な受け入れが噛み合わないと、条件をすり合わせて折り合いを付けることが難しくなります。

自身の置かれている状況の客観的な把握と、就労につながる具体的なアドバイスを得るためにも、就労移行支援や転職エージェントのアドバイザーからのアドバイスが必要です。

出社できる日が安定せず、休みがち

たとえば就労移行支援事業所に安定して通えない人は、一般就労は難しいでしょう。体調や精神的なものなど原因はさまざまですが、安定して決められた日に出勤し、決まった時間仕事ができる状態でないと、一般就労は困難です。

なぜなら、障害者雇用枠での就労を目指す場合、短時間労働者として認定される週20時間以上の就労が必要だからです。

一定の人数以上を雇用している企業には「障害者雇用促進法」で設定された障害者雇用率を満たす必要があり、雇用率に計上するには少なくとも短時間労働者でなければいけません。

自分の心身をコントロールし、安定した状態を保てない

心身の安定を保つのは、就労に向けても、就労に移行してからも大切です。

就労移行支援や転職エージェントを利用しても、なかなか就職先が決まらないケースは珍しくありません。一般就労に限らず、転職活動はすぐに決まる方がまれなケースです。数十件求人に応募しても、雇用が決まるまでが長く難しいのは、障害の有無に限りません。

求人を出しても断られることが続くと自信を喪失してしまい、心身が不調になったり不安感から一般就労を諦めてしまうケースは多々あります。

しかし、一般就労をしたいという意志を強く持ち、心身を安定させるマネジメントは、一般就労に移行して仕事を続けていく上でも大切です。

事業所の支援員や、転職エージェントのキャリアアドバイザーからのアドバイスを聞きながら、心身の安定を身に付けるのがおすすめです。

企業側に理由があるケースも!ミスマッチを避けるため、アドバイスや支援が大切

必ずしも就労を希望する側に問題があるとは限りません。企業側にもうまく採用ができない理由や事情があるケースがあるのです。

たとえば、障害者雇用の前例が少ないため、どんな仕事を任せていいかわからない場合や、企業規模が小さく、環境や設備が十分でないため受け入れが難しい場合、業務内容の特徴から雇用できる障害者の条件が難しい場合などが挙げられます。

障害のある方の場合、特に企業とのすり合わせやマッチングは大切です。企業と求職者の間で雇用のミスマッチが起きないように支援を受けましょう。

一般就労を目指すとき、利用できる制度は?

行政による就労移行支援制度と、障害者向け転職に強い転職エージェントがあります。

積極的に一般就労を目指すのであれば、就労移行支援制度と転職エージェントの両方を同時に利用するのがおすすめです。

受けられる支援の内容や、紹介を受けられる求人情報が異なるだけでなく、異なる目線からのアドバイスを受けることで客観的に状況を把握できるので、どちらも利用することで効率よく一般就労が目指せます。

就労移行支援制度の特徴

就労移行支援制度は、一般就労を目指す18歳以上65歳未満の人を対象にした支援制度です。

利用には最大2年間の制限があり、一般企業への就職に必要なスキルアップや職場探し、一般就労後のサポートが受けられます。

就労移行支援制度を利用した場合はオープン就労が基本だと思われがちですが、本人の希望があればクローズ就労も可能です。

就労移行支援事業所によって、得意な業種・職種や設定されているプログラムが異なるので、自身が希望する職種や受けたいプログラムが設定されているのか確認する必要があります。

就労移行支援制度は求人を斡旋する支援ではなく、あくまで就労を目指す障害者の活動を支援するものです。事業所によってはほかの事業と連携して求人を斡旋するケースもありますが、基本的に自分から積極的な求職活動をする必要があります。

転職エージェントの特徴

一般企業の障害者雇用枠への就職を希望している人が対象です。一般枠への応募に対してはエージェントによって対応が異なるので、利用するエージェントに確認しましょう。

障害者の就職に強いエージェントを選ぶことで、一般就労に適した豊富な求人情報や、経験豊かなキャリアアドバイザーからのキャリアカウンセリングを受けやすく、自分の希望するキャリアプランを明確にしながら活動ができます。

就労移行支援制度と併用でき、どちらも同時に利用することでより効率的な就労が目指せます。

就労移行支援事業所からの一般就労は難しい?

就労移行支援事業所からの一般就労の移行率は、近年は53%前後で推移しています。二人に一人は2年以内に一般就労へ移行しており、決して難しいというわけではありません。

しかし、一般就労への移行をより確実にするためには、就労移行支援制度だけに頼らず、自分でも積極的に動く必要があります。

就労移行支援を利用していても併用できる就職支援サービスは多く、ハローワークや転職エージェントもそのひとつです。

自分から能動的に動くことで、希望する業種や職種、就労条件の就労先を見付けられる可能性は大きく上がります。

 
キャリアアドバイザー
就労内容や受けたい配慮、どんなキャリアを目指したいのかを、積極的に企業に伝えていくことが大切です。不安を感じたり、わからないことがあれば、就労移行支援の支援員や、転職エージェントのキャリアアドバイザーにどんどん相談するのもよいでしょう。

一般就労に必要なのは積極的な姿勢と行動

一般就労は一般的な就職活動と同様に、大変な労力がかかるものです。積極的にスキルアップをするのはもちろん、就労先を探すために精力的に行動することが大切です。

求人に応募するだけでなく、書類選考用の書類を添削してもらったり、面接指導を受けたり、自分が希望する仕事の内容を具体的に指導員やキャリアアドバイザーに相談することも、求職活動のひとつです。

具体的なキャリアプランを設計することや、自分の希望や持っているスキル、経歴などを読みやすく整えること、面接でスムーズにアピールできるよう練習することを通じて、理想的な就労先を見付ける確率が上がります。

障害に対して受けたい配慮の内容も大事ですが、一般就労へ移行したあと、長く働き続けるためには、自分の希望する職種や条件の仕事を得ることが一番大切です。

そのためにも、利用できる制度や支援を積極的に使って、行動する姿勢が必要なのです。

就職先探しには転職エージェントもフル活用しよう

障害者雇用に強い転職エージェントを活用することで、企業側とのニーズのミスマッチを埋めたり、自分の希望する仕事を探しやすくなります。

転職エージェントのキャリアアドバイザーは、日々多くの求職者を見ているため、個人差が大きい障害の特性や必要な配慮を理解しています。そのようなキャリアアドバイザーが、障害者が自身の特性を活かして働ける企業との橋渡しをすることでミスマッチが防げます。

さまざまな障害の就労事例も豊富なので、ひとりひとり異なる複雑な就労への不安を相談しやすいのも、転職エージェントのメリットのひとつです。

また、就労移行支援と同様に書類の添削や面接対策、就労が決まってからの開始日や給与の交渉、就労後の相談までサポートしてもらえます。

ハローワークなどの行政サービスも活用しよう

ハローワークにも障害者雇用枠の求人が数多く寄せられています。よりよい就労先を探すために、ハローワーク障害者専門窓口なども積極的に利用するのがおすすめです。

ほかにも各自治体などに障害者雇用の対応窓口があるので、自分が希望する就労先の情報がないか相談するなど、どんどん利用する方がよいでしょう。

一般就労は難しくない!積極的に就労移行支援制度と転職エージェントを活用しよう!

転職におけるゴールは「採用されること」ではなく「自分らしく働ける環境で長く続けること」だと言えます。その視点で、 障害の特性に合った業務に従事することや、障害に理解や配慮のある環境で働くことが大切です。

一般就労に難しさを感じている方も多いかもしれませんが、「採用されるためなら」と我慢したり、「自分ができそうなことはほかになさそうだから」と妥協してしまうことは禁物です。

行政の支援制度のほかに、転職エージェントも活用することで、自分らしい仕事の仕方を目指せます。

障害者の就職に強いキャリアアドバイザーと二人三脚で自分のキャリアをデザインし、積極的に採用を目指して活動をすることが大切です。

今の職場を続けていくことに負担・不安を感じている方や、これから障害に合った仕事で就職を目指している方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。

DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠で就職・転職を検討されている方に対して就職・転職についてのアドバイスや、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。

専任のキャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングし、お一人おひとりに寄り添った働き方を提案させていただきます。

「今の自分に無理のない働き方をしたい」「理解のある環境で働きたい」というご希望がありましたら、まだ転職は検討段階という状態でも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修:東郷 佑紀
大学卒業後、日系コンサルティングファームに入社。その後(株)D&Iに転職して以来約10年間、障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザーを歴任し、 障害・年齢を問わず約3000名の就職支援を担当。