契約社員とは?障害者雇用に契約社員が多い理由や有期雇用契約の概要など詳しく解説

障害者雇用枠で正社員を目指しているみなさん、「いざ仕事を探してみると、契約社員ばかりだ」という経験はありませんか?
この記事では意外と知らない「契約社員」について、どのような制度・働き方かについてわかりやすく解説します。
正社員との違いについても説明しますので、「絶対に正社員じゃなきゃ嫌だ!」と考えている方にとっても選択肢が広がる可能性となれば幸いです。

契約社員とは?

契約社員とは“いつからいつまで働く”と定めた「有期労働契約」を結んだ従業員のことであり、働き方です。契約期間を満了後に更新がなかった場合には退職扱いとなります。

 
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障害者雇用枠における契約社員は「まずはポテンシャルを見込んで採用して、育成・戦力化できたら正社員に登用」といったケースが多く見られます。

雇用形態についての言葉は法律で決められていない言葉も多くありますが、一般的なイメージは以下のようにまとめられます。

<正規雇用>
  • 正社員…期間の定めがない原則フルタイムで働く人
<非正規雇用:「正規雇用」以外の働き方>
  • 契約社員…期間の定めがあり、企業と契約期間の更新によって働く人
  • 派遣社員…派遣会社に登録し、派遣された企業で働く人
  • 嘱託社員…雇用期間が決まっている臨時で働く人、定年後に再雇用されるケースも多い
  • パート、アルバイト…フルタイムに比較して短い時間で働く人、時給制で働くことが多い
 
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時短勤務の正社員、契約社員もいます。

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「有期雇用契約」について

「有期雇用契約」は労働期間に定めのある労働契約で契約社員も該当します。契約社員の雇用契約期間は原則として上限3年と定められています。(通称:3年ル―ル)
それに対して、正社員は「無期雇用契約」に該当します。

 
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正社員を会社都合でリストラすることは難しく、一般的に「正社員=安定」というイメージが根付いているわけです。

有期雇用契約に関する法改正

それでは契約社員は不安定で不利な立場に置かれた働き方なのでしょうか。
この格差を是正するためにも、2020年4月1日に「働き方改革関連法」が改正・施行されました。
定められた3つのルールを詳しく見てみましょう。

参考:厚生労働省「有期契約労働者の無期転換サイト」
厚生労働省「労働契約法の改正について~有期労働契約の新しいルールができました~」
厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」

無期雇用契約への転換

まずは、同じ職場で5年を超えて契約社員として働く場合は、本人が希望することで無期雇用契約へ転換されるというルールです。(通称:「5年ルール」)
労働者側から申し出ることによって無期雇用への転換が可能になりました。

 
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5年も同じ職場で働いていたら、正社員と何ら変わりなく仕事で能力を発揮しているといえますよね。

雇止め法理の法定化

また「雇止め」のルールも明確になりました。

雇止めとは契約期間満了にともない契約を終了することです。
適用を受けるためには通常解雇と同等の理由が必要になります。企業には有期雇用契約の更新が期待できる合理的理由がなければならず、その要件を満たす責任があります。ここでいう合理的な理由とは……

  1. 会社に人員削減の必要性があること
  2. 会社が雇止め回避努力をしていること
  3. その人を雇止めすることについて人選の合理性があること
  4. 適正な手続によって雇止めがなされていること
引用:大阪弁護士会 総合法律相談センター「新型コロナウイルスの影響で業績が悪化、雇止めに・・ 」
 
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特に障害者雇用枠において雇止めとなる理由としては「欠勤を繰り返して勤怠が安定しない」「会社の求めるスキルに到達していない」などが主に挙げられます。

転職活動を開始するなら……?

雇止めによる契約更新ストップは30日前までに告知されます。
転職活動にかかる時間は個人差がありますが、年度末など契約更新月を把握しておいたうえでその半年前くらいから転職活動を始めるのが望ましいと言えるでしょう。

 
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「今年が3年目だな」「契約を更新し、4年連続で働いているな」などある程度の見通しはつくはずです。

不合理な労働条件の禁止

また、無期雇用契約者との間に労働条件の相違を設けてはならないルールも定められています。

労働条件以外の待遇の相違についても該当するため、「正社員と同じ仕事をしているのになぜ給料が異なるのか?」など、合理的な理由がなければいけません。

参考:厚生労働省「労働契約法改正のあらまし」
厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」


契約社員と正社員の違い

それでは、契約社員と正社員はどのような違いがあるか一つずつ検証してみましょう。

雇用期間の有無

すでにお伝えしている通り、正社員は雇用期間に定めがない無期雇用で契約社員は有期雇用契約があるのが最大の違いとなります。

給与

給与の支払われ方・計算法も異なる場合があります。
正社員の給与形態は月給制が主流で、外資系やIT・ベンチャー企業では年俸制を取り入れている会社もあります。一方で、契約社員は月給制に加え、時給制や年俸制もあり様々な給与制度がありえます。

 
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正社員と契約社員で大きな差がある場合は、仕事内容や責任に差があることが考えられます。

賞与(ボーナス)

賞与(ボーナス)に差をつけている企業もあります。
正社員には業績や評価に応じた賞与が支給されることが多いですが、契約社員の場合は賞与が支給されない、または少額なケースも多くあります。

 
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年俸制の場合は会社の業績に影響を受けにくい一方で賞与がありません。年収換算するとどれくらい違いが出るのかは要チェックです。

退職金

待遇面では、正社員には退職金が支給されても契約社員は退職金が支給されないケースがほとんどです。

 
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賞与や退職金については、契約の内容を確認しましょう。

福利厚生

社会保険については加入条件を満たせば正社員と契約社員で違いはないとされています。
企業によって異なりますが正社員には住宅手当など諸手当が支給されるケースがありますが、契約社員は支給の対象外となるケースが多くあります。

 
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実際にどのような待遇の差がありそうか、記事の後半では具体的な求人を見ながら確認していきますよ。

契約社員と正社員のメリット・デメリットを比較

契約社員と正社員。合理的な理由がなければ、待遇面などの差があってはいけないということになっています。では、正社員がベストな働き方なのでしょうか?
答えは「契約社員が良いか正社員が良いかはその人の感じるメリット次第」と言えます。
正社員にも人によってはデメリットに感じることもあります。メリット・デメリットを比較してみましょう。

契約社員のメリット

契約社員のメリットは職務や責任の幅が限定的で明確なことが多いことが挙げられます。
たとえば、「得意な分野でスキルを活かして働きたい」「数年ごとに職場を変えていくことで経験を重ねていきたい」と考えている方にはマッチする働き方と言えそうです。
また、「転勤がない」「マネジメントをしなくてもよい」などワークライフバランスを保ちやすい側面を魅力に感じる方もいらっしゃいます。

正社員のメリット

正社員のメリットは、リストラされづらく、収入の安定性や見通しが立てやすいことでしょう。
社会的信用度が高いと見なされ、「ローンの審査などに通りやすい」といった声も聞かれます。

 
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障害者手帳をお持ちの方は福祉制度として「公営住宅の優先入居」などの救済措置がありますので、安心してくださいね。

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契約社員のデメリット

契約社員は無期雇用転換とならない場合、最長5年までしか同じ職場にいられません。そうなると契約の度に、職場を転々とすることになり、一から新しい会社のルールを覚える必要があります。環境の変化を好まない方にとってはデメリットとなるでしょう。

経済的なデメリットとしては、収入の安定性やローン審査が通りにくいことも挙げられます。

正社員のデメリット

多くの企業では正社員と契約社員では仕事の責任の違いを明確にしています。契約社員でミスをしたとしても、最終的にそのミスの責任を取るのは契約社員を含めて部下たちをマネジメントしている上司たちになるケースが多いです。

 
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だからといって、「契約社員は責任感なく働いて良い」という意味ではありませんよ。

正社員であれば、時として残業や休日出勤、転勤や異動があったり、専門的な仕事だけをしているのではなくゼネラリストとしての活躍が求められたりする企業も少なくありません。

障害者雇用において契約社員が多い理由

ここではなぜ、障害者雇用枠の多くは「契約社員」の求人が多いのか、その理由を深堀りしていきます。

離職率の高さが主な原因

厚生労働省職業安定局『障害者雇用の現状等』(2017年)より算出すると就職後3ヶ月時点で離職している障害者は38.1%。
また、『障害者の就業状況等に関する調査研究』(2017年)一般企業へ就職後3ヶ月時点の定着率を障害別にみると、身体障害 77.8%、知的障害 85.3%、精神障害 69.9%、発達 障害 84.7%とされています。
3~4割近くが早期退職してしまうことを鑑みて、採用後の状況をみて無期雇用を目指してもらおうと考える企業が多いことが伺えます。

【障害別】就職後の定着率

障害をお持ちの方の就職後の定着率を改めて確認しましょう。

 

就職後3ヶ月時点

就職後1年時点

身体障害

77.8%

60.8%

知的障害

85.3%

68.0%

精神障害

69.9%

49.3%

発達障害

84.7%

71.5%

参考:厚生労働省職業安定局「障害者雇用の現状等」

契約社員が向く人の特徴

それでは契約社員が向いている方の特徴を、これまでのキャリアサポートの経験を踏まえてお伝えします。

 
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これまでご支援してきた方々の中にも、あえて「契約社員」を選ぶといった方は少なくありません!

ワークライフバランスを保ちたい人

まず契約社員は転職や異動がなく、正社員より残業や休日出勤に対応する可能性も少ないです。プライベートを充実させたい人やワークライフバランスを保ちたい人に向いています。

決められた業務をこなしていきたい人

契約社員は業務の範疇が決まっていることが多く、コツコツと決められた業務をこなしたい人に向いています。

自分に合う職場や仕事を模索できる

契約社員はさまざまな職場を経験できますので、自分に合う職場や仕事を模索できると言えます。

 
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派遣社員に比べて、腰を据えて職場をじっくり見極められます。

契約社員として働く前にチェックしたい5つのポイント

働く前にチェックしておきたいポイントは以下の5つが挙げられます。

  1. 労働条件通知書
  2. 給与形態
  3. 休日
  4. 労働時間や残業
  5. 正社員登用制度の有無や無期雇用転換の実績

労働条件通知書

まずは「労働条件通知書」に記載されている契約内容がなによりも重要です。面接の時点では給与の額面まで確定していないことがあります。ここに記されていることが全てなので、必ず手元に残し確認できるようにしましょう。
特に更新の有無やそのタイミングについては確認を忘れないようにしてください。

給与形態

総支給額と手取り額を把握しておきましょう。締め日や支払日、支払い方法についても忘れずに確認しましょう。

 
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たとえば4/1に入社した場合、4/30が締め日となり、翌月5/25に給料が振り込まれるといったパターンがあります。1ヶ月分の生活費は確保しておきましょうね。

休日

休日のチェックすべきポイントはいくつかあります。

✔週単位の休日(週休●日制)
✔祝日は休みなのか
✔年間休日数
✔年次有給休暇はいつから取得でき、何日間付与されるのか

 
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障害者雇用枠の場合、通院配慮としてもらえる休日の扱いも要チェックです。日数だけではなく休日の取りやすさも確認しておきたいですね。

労働時間や残業

フルタイムか、時短勤務か、など労働時間について確認しておく必要があります。
始業・終業時刻や時間外勤務について、また「残業代は支給されるのか?見込み残業代なのか?」といったことも忘れずに確認しましょう。

 
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障害者雇用枠の場合、残業制限(月●時間以上の残業は不可)を配慮としてお願いできることがあります。

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契約社員からスタート! 障害者雇用枠のおすすめ求人

では実際に、障害者雇用枠での契約社員の求人はどのようなものがあるでしょうか?
実際にDIエージェントが取り扱っている求人を見てみましょう。

 
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「契約社員、思ったより悪くないかも!」「自分らしい働き方が叶いそう!」と可能性が広がるきっかけとなれば幸いです。

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【まとめ】「契約社員?正社員」働く上で何を大切にしたいか次第です!

なんとなくのイメージでしかとらえていなかった「契約社員」の制度や実情は分かりましたか?

最後にポイントをおさらいしましょう。

 
 
  • 3年ルール・5年ルールがあり、必ずしも「契約社員=すぐに切られるので不安定」ではない
  • 障害者雇用枠は契約社員スタートが多く、勤怠・スキルが安定していれば正社員は目指せる
  • 正社員が良いか?契約社員が良いか?はその人が何を大切にしたいか次第!


最後の求人例で見た通り、正社員と同等の待遇を得られることも多くなってきました。イメージだけで「正社員でないと絶対に嫌だ」と考えていては可能性を狭めてしまいかねません。

DIエージェントとしては「仕事をする上で何を大切にしたいのか?」を最重視し、心身に無理なく安心して働き続けられる環境であれば、「契約社員」の求人も積極的にオススメしたいと考えています。

契約満了が近づいている方も、ぜひ早めのアクションをしましょう。
DIエージェントで一緒にキャリアプランを作るお手伝いができればと思っています。

監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。