ハローワークは、求職者・事業者双方への情報提供、雇用保険手続きや助成金事務など、様々なサービスを行っている国の公的機関です。
この記事では、ハローワークでできることや利用手順、メリット・デメリットを解説します。また、障害をお持ちの方がハローワークを利用するときのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ハローワークとは
ハローワークとは、全国にある「公共職業安定所」のことを指します。略して「職安」とも言われています。普段よく耳にする「ハローワーク」という言葉は公共職業安定所の愛称です。
ハローワークは、国(厚生労働省)が運営している公的機関で、求職者、事業者双方への情報提供、雇用保険手続きや助成金事務など、様々なサービスを行っています。国の公的機関のためサービスはすべて無料で利用できます。
ハローワークがある場所
ハローワークは全国に544ヵ所あります(2021年4月1日時点)。
最寄りのハローワークの場所は厚生労働省の「全国ハローワークの所在案内」で確認できます。
全都道府県にあり、特に「地元の求人」を多く扱っています! 地方在住の方・家の近くで就職したい方はぜひハローワークを活用しましょう。
参考:厚生労働省 職業安定局「公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組みと実績」
ハローワークの利用時間
ハローワークの基本的な開庁時間は月曜~金曜(平日)の8時30分~17時15分です。
施設によっては、土日や夜間でも利用できるところがあるので、来庁前に最寄りのハローワークのサイトをチェックしましょう。
ハローワークでできる3つのこと
ハローワークでできることには以下の3つがあります。
- 仕事を探せる
- 就職のためのサポートを受けられる
- 雇用保険の手続きができる
仕事を探せる
ハローワークでは、窓口や施設に設置してある検索機で全国の求人を探せます。また、仕事探しの方向性が定まっていない人やキャリアプランのイメージがつかめない人は、窓口で職員に相談してみましょう。アドバイスをもらいつつ、仕事探しを手伝ってもらえます。
就職のためのサポートを受けられる
ハローワークでは、求人情報を紹介するだけでなく、自己分析や面接対策、履歴書作成などのサポートを受けることができます。また、公的職業訓練を紹介してもらうことができます。これは国の機関として就職困難者を支援するという役割もあるためです。
科学に基づいた一般職業適性検査(GATB)やVPI(職業興味検査)などの適職検査も受けられますよ!自己分析や仕事選びに活かしましょう♪
雇用保険の手続きができる
ハローワークでは雇用保険の手続きもおこなえます。いわゆる「失業手当(失業保険)」を受け取るための手続きです。
ただし失業保険を受給するためには、雇用保険の加入期間などの条件を満たさなければいけないので、関連情報をきちんと調べるようにしましょう。
失業保険とは、失業中の生活にかかる支出の心配をせず求職活動ができるように、給付金を受け取れる制度です。障害をお持ちの方は一般の方より受給要件が緩く設定されており、失業中の手当だけでなく、就職後にも支援を受けることができます。 しかし、実際[…]
専門性の高いハローワーク・窓口
ハローワークの中には、若者向けや障害を持つ人向けなどの相談に特化した専門性の高い窓口があります。ここからは「ハローワーク障害者専門窓口」、「わかものハローワーク」、「マザーズハローワーク」、「新卒応援ハローワーク」、「外国人雇用サービスセンター」、「ふるさとハローワーク」の6種類を紹介していきます。
ハローワーク障害者専門窓口
ハローワーク障害者専門窓口は、障害を持つ人向けの窓口で、障害により長期的に就職生活が困難な人が対象になっています。障害者手帳の有無は問われません。
障害について専門的な知識を持つ支援員が担当になり、仕事に関する情報の提供や就職に関する相談など、様々な支援を実施しています。
DIエージェントでも様々な障害をお持ちの方の支援実績が豊富なキャリアアドバイザーが相談にのります。ご利用はもちろん無料です!
参考:厚生労働省ほか「ハローワークは、就職を希望する障害者の方に専門的な支援を行っています」
わかものハローワーク
わかものハローワークは、正社員就職を目指すおおむね35歳未満のフリーターなどが対象になっています。
就職支援ナビゲーターによる個別支援やキャリアプランの作成、職業紹介など、様々な支援を実施しています。
「正社員目指して、長く働き続けたい!」と考える若年層へのサポート支援が充実!
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マザーズハローワーク
マザーズハローワークは、子育てと仕事の両立を目指す女性が対象になっています。
キッズコーナーがあるなど、小さな子ども連れでも行きやすいよう環境が整っています。
「扶養の範囲って何?」など、女性が直面しやすい問題に応えるイベントなども開催されています。
参考:厚生労働省「マザーズハローワーク事業」
厚生労働省「マザーズハローワーク事業・支援メニュー」
「マザーズハローワーク東京」
新卒応援ハローワーク
新卒応援ハローワークは、大学・短大・専修学校などの卒業予定者、未就職卒業者が対象になっています。
学校とも連携をとりながら、キャリアプランの作成や入社後の定着支援などを就職支援ナビゲーターが担当者制でサポートします。
外国人雇用サービスセンター
外国人サービスセンターは、日本で就職したい外国人留学生や専門的・技術的分野の外国人労働者が対象になっています。東京・名古屋・大阪・福岡の4カ所に施設があります。
参考:厚生労働省「外国人雇用サービスセンター一覧(Employment Service for foreigners)」
ふるさとハローワーク
ふるさとハローワークは、地域職業相談室のことで、通常のハローワークが設置されていない市町村において、職業相談・職業紹介などを実施しています。
より地域に密着したお仕事情報を探せます。
- 赤羽しごとコーナー
- ワークサポートめぐろ
- 世田谷区ふるさとハローワーク
- あきる野ハローワーク求人情報コーナー
- 西東京就職情報コーナー
ハローワークで求職活動するための手順
実際にハローワークで求職活動を始めるためには何をすればよいのでしょうか?
ハローワークで、求職者登録を行ってから紹介状をもらうまでの手順を具体的に解説していきます。
1.「求職者登録」を行う
求職者情報の登録はハローワークの支援サービスを利用するために必ず必要です。
案内に従って求職申込書に記入して仮登録し、その後窓口で本登録を行いましょう。仮登録は自宅のパソコンやスマートフォンでも可能です。
2.「ハローワークカード」の発行を受ける
求職者情報の登録が完了すると、ハローワークカードが発行されます。
ハローワークカードは、ハローワークを利用するときに必要なカードです。発行後は必ず持参するようにしましょう。
3.求人を探す
ハローワーク内に設置された求人検索端末や相談窓口で求人を探します。オンラインで利用できるため自宅などから求人を検索することが可能です。
詳細を知りたい求人が見つかった場合は窓口で問い合わせてみましょう。
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民間が運営する求人サイトは見やすさ・使いやすさが重視されているので、ぜひのぞいてみてください。
4.応募・紹介状をもらう
求人の詳細を確認し、応募したい求人であれば、相談窓口で紹介状を作成してもらいましょう。
応募の際はハローワークが仲介をおこないますが、選考は応募先の企業の定めたフローで進みます。
ハローワークで求職活動するメリット
民間のサービスではなく、ハローワークで求職活動するメリットは以下の3つがあります。
それは、「求人数が多いこと」、「地元の求人が見つけやすいこと」、「無料でサポートを受けられること」です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
求人数が多い
民間サービスと異なり、企業側の利用が無料なので、多くの求人情報が掲載されています。地方の中小企業といった比較的規模の小さい企業など、ハローワークにしか求人を出していない企業もあります。
また、窓口や施設に設置してある検索機で全国の求人を検索することができます。
令和2年度の新規求人数は約790万件。新型コロナウイルス流行の影響で求人数はやや減りましたが、日本一の求人数を誇ります。
ハローワークは国のサービスのため、信頼性・認知度も高く、企業が無料で求人を募集出来ます。
そのため、採用にお金をかけられない企業からも人気が高いのです。これがハローワークに豊富に求人がある理由です。
【コラム】障害者雇用枠の優良企業はどう探す?
ハローワークは求人数だけではなく、利用者が多いのも実際です。
ハローワークでひとたび募集を出すと人気が殺到してしまうような好条件の求人・優良企業は「あえてハローワークに求人を出さない」ということもあります。
だからこそ、「優良企業に就職したい!」という方はエージェントを併用することをオススメしています。
他にも気になる会社名を検索してみて、障害者雇用枠の募集があるか見てみましょう。
地元の求人を見つけやすい
地域ごとのハローワークは各地域の労働局の管轄となり、地元密着で運営されているので、「自宅の近くが良い」などの条件でも見つけやすいです。
無料でサポートを受けられる
ハローワークでは、自己分析や面接の練習、職業訓練なども基本的に無料で受けることができます。就職活動が有利になるようなイベントの開催もおこなっており、これからも全て無料です(テキスト代などの一部負担はあり)
- 面接準備セミナー
- 求人票の見方・探し方セミナー
- 若年者向け 就活DASH!塾
- 「介護のお仕事」理解セミナー
- Excel応用講座……など
ハローワークで求職活動するデメリット
ハローワークを利用する前に知っておきたいデメリットも確認しましょう。
障害者雇用枠で転職を検討している方はハローワークと並行して障害者雇用専門のエージェントを使うことがオススメ! その理由を解説していきます。
どのような職場かわかりにくい
ハローワークの求人情報には、職場の写真や詳細な情報が少ないため、入社後にどのような環境で働けるのかを想像しにくい場合もあります。
DIエージェントでは企業と密にコミュニケーションをとっているので、「どのような社風か?」「残業は実際にはどれくらいか?」「障害配慮はどれだけ受けられそうか?」を詳しくチェック・お伝えできます。
自分から行動する必要がある
ハローワークでは一通り求職活動ができますが、何もしていないからといって、職員から働きかけがあるわけではないので、基本的に自分から動かなくてはいけません。社会人経験がないと自主的に就職活動を進めていくのは難しい側面もあるかもしれません。
一方、エージェントでは求職者のみなさんの希望にピッタリの求人が見つかった場合は「こんな求人はいかがですか?」「この企業も受けてみませんか?」とご案内したり、面接の日程調整を代わりにおこなったりもいたします。初めての就活の方はもちろん、忙しい方も効率的にお仕事探しができます。
一つひとつの求人について調査されていない
ハローワークでは、ひとつひとつの求人について調査されていないので、待遇や環境に問題のある、いわゆる「ブラック企業」の求人も紛れているリスクがあります。求人票の記載が虚偽であったと明るみになった事件も過去にはありました。
DIエージェントでは信頼関係を築いた優良企業を中心にお仕事をご紹介しています。
前向きに働きたい意欲のある障害をお持ちの方と、健全な経営をする企業様をお繋ぎしたいという思いからです。
障害者雇用枠の在宅(テレワーク)求人は多くはない
2022年1月現在、ハローワークに掲載されている障害をお持ちの方向けの在宅勤務可能な求人数は約25件でした。対して、DIエージェントの姉妹サイト障害者雇用枠専門の求人サイト「BABナビ」が掲載している在宅求人数は約100件! これは民間サービスとして、「テレワークの必要性」を感じ、企業へ積極的にアプローチをしているからです。
「絶対にテレワークで働きたい」という方は、DIエージェント・BABナビもぜひご検討ください。
障害のある方がハローワークを利用するときのポイント
障害がある方がハローワークを利用するときのポイントは以下の3つがあります。
・相談予約が必要
・相談内容をまとめておく
・障害者手帳や診断書がある場合は持参する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
相談予約をする
障害をお持ちの方がハローワークを利用する場合は「障害者専門窓口」利用の利用を検討しましょう。障害者専門窓口では専門の支援員が対応してくれます。ハローワークを利用するために基本的に予約は必要ないですが、支援員の対応を望む場合は相談予約をした方が良いでしょう。
精神障害・発達障害に詳しい支援員が担当につけたり、筆談対応をしてもらったりする場合があるためです。
相談する内容を考えておく
障害者窓口に相談に行く前に、就職条件・職種・勤務地の希望や必要な配慮など、相談する内容を考えておきましょう。自分の経験やスキルをまとめておくとスムーズに相談することができます。
また、就職だけではなく、生活面の相談もある場合、障害者就職・生活支援センターなどへつないでくれます。
相談時間は限られていますので、要点をメモして持っていくとより有意義な情報が聞けますよ。
障害者手帳や診断書がある場合は持参する
障害者手帳や診断書がなくても障害者専門窓口は利用できますが、持っている場合は忘れずに持参するようにしましょう。より的確で専門的なアドバイスがもらえます。
障害者手帳には3つの種類があり、さらに疾患の状態によって等級分けされています。ご自身の状態はどの等級に該当するのか、手帳を取得することにはどのようなメリットがあるのか、知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。 実は利用できる制[…]
ハローワークで受けられる主な障害者支援
ハローワークでは誰もが利用できるように障害をお持ちの方向けの特別な支援を設けています。
ここでは「障害者トライアル雇用」、「若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム」、「手話通訳士・筆談」、「精神障害者雇用トータルサポーター」の4つについて詳しく見ていきましょう。
障害者トライアル雇用
障害者トライアル雇用は、企業が「トライアル雇用求人」を出している場合、障害を持った求職者は原則3か月間「トライアル」として就業できる制度です。適性や能力を正しく見極めることで求職者と事業主の相互理解を深め、継続雇用のきっかけを作ることを目的としています。
障害の原因や障害の種類は問われず、以下の4つのうち1つでも満たせば利用できます。
- 紹介日時点で、就労経験のない職業に就くことを希望している
- 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
- 紹介日の前日時点で、離職している期間が6か月を超えている
- 重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者
若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム
若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラムは、発達障害などで、コミュニケーションに難しさを感じている34歳以下の「若年求職者」を対象としているプログラムです。就職支援ナビゲーターや発達障害者支援センターなどへつなぎ、個別支援を行います。
発達障害をお持ちで「人間関係が難しい」と感じている方には特におすすめです。発達障害のプロへつないでもらい、希望すれば対人技能トレーニングなども受けられます。
参考:厚生労働省「若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム」
手話通訳士・筆談
ハローワークでは、場所や曜日・時間帯などにより、言語コミュニケーションに不安がある方でも安心して相談できるように手話通訳者や筆談対応が可能なスタッフがいる場合があります。
確実に対応してもらいたい場合は、事前に可能時間を確認しましょう。
参考:ハローワーク池袋「遠隔手話通訳サービスのご案内 テレビ電話を利用して いつでも手話通訳サービスを利用できます!」
精神障害者雇用トータルサポーター
ハローワークでは、精神保健福祉士や臨床心理士等、福祉関係の資格を保有する専門相談員が勤めています。精神疾患や発達障害のある方への支援を目的としています。
カウンセリングのほか、職場見学や面接の同行支援も可能です。
- 緊張感や不安感が非常に強い方
- 生活面での課題がある方
- 離転職を繰り返す方
- 障害受容や認知が十分でない方
- 障害の開示を検討中の方
- 安定所以外の支援機関の援助が得られない方
まとめ
今回はハローワークで就職活動するときのメリット・デメリットや障害のある方が利用するときのポイントを解説していきました。
ハローワークの地元密着で求人数が多いのが魅力で、障害をお持ちの方への支援も充実しています。
一方で大手・優良企業を効率的にお探しになりたい場合は、民間のエージェントを活用することもオススメです。
特にDIエージェントでは、みなさん一人ひとりの障害をしっかりと把握し、求職者目線のサービスを提供すべく日々サービス向上に努めています。キャリアアドバイザーが親身に寄り添い、丁寧に対応いたしますので、まずは気軽にご相談ください。
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。