就労移行支援とは?メリットや就労継続支援や定着支援との違い、料金や利用の流れをわかりやすく解説

就労移行支援とは、障害や難病をお持ちの方の就職をサポートする制度です。しかし、名前を聞いたことがあっても、実際にご自身が利用できるのか・どのようなメリットがあるのか・どのように生活に影響があるかは知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は自身が就労移行支援制度の対象者であっても、知らないことによって利用していないという方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、今回は就労移行支援の制度について詳しく解説します。メリットや料金・利用の流れに加え、就労継続支援や就労定着支援などとの違いについてもお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

就労移行支援とは

就労移行支援とは障害をお持ちの方・難病のある方が一般企業に就職するために必要な「訓練の提供・就職活動の支援・定着の支援」などをおこなう原則「通所型」の行政サービスです。
「障害者総合支援法」(正式名称「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)の「障害福祉サービス」の一つとして定められています。

 
キャリアアドバイザー
近年では「通所型」だけでなく、「テレワーク型(リモート)」で利用が可能な事業所もあります!
例:「ワークイズ」 https://d-and-i.jp/service/workis/

就労移行支援事業の現状

実は、就労移行支援事業所の数は平成30年をピークに減少傾向です。減少の主な理由として、障害者雇用の知識や経験を持った専門的な人材確保が難しいことや、人口の少ない地域では利用者が少ないといった事情が挙げられます。

一方で、利用者の障害の種類やスキルの多様化、職場におけるデジタル技術を活用した企業風土の変革(DX化)やテレワークへの対応など、雇用のニーズも多様化。就労移行支援事業所に求められるサービス内容は拡大しているのが現状です。

「就労継続支援」「就労定着支援」との違い

就労移行支援と似た福祉サービスの名称で「就労継続支援」「就労定着支援」があります。
それぞれの違いをみてみましょう。

「就労継続支援」とは?

「就労継続支援」とは体調の問題などで、一般企業等の就労が困難な方に、就労の機会とスキルアップのための訓練をおこなうサービスおよび事業所です。

実際に自分で手を動かしながら働き、フィードバックをもらいながら、安定的に就労できるように慣れていくための場所といったイメージです。

引用元
厚生労働省|障害福祉サービスについて

就労継続支援の「A型/B型」の違い

就労継続支援のなかでも「A型事業所」「B型事業所」をそれぞれ耳にしたことはないでしょうか。A型/B型の違いは雇用形態ともらえるお金に違いがあります。
下の表をご覧ください。

種類 雇用形態 仕事の対価
A型 雇用契約を結ぶ 就労時間によって給料(最低賃金以上)が支払われる
B型 雇用契約関係なし 仕事量によって工賃が支払われる

A型とB型のメリットとデメリット

A型/B型のメリットとデメリットを以下の表で確認しましょう。

A型 メリット
  • 一般就労とあまり変わらない環境で働ける
  • 労働基準法など労働関係の法律が適用される
  • 障害や病気への配慮を受けながら働ける
  • 最低賃金以上の給料がもらえる
デメリット
  • 事業所によっては短時間労働を強制されることがある
  • キャリアアップが難しいケースがある
  • スキルが高い人が囲い込みされるケースがある
B型 メリット
  • 年齢制限がない
  • 重度の障害をお持ちの方も働ける
  • 利用者の能力に合わせてマイペースに働ける
デメリット
  • 労働基準法など労働関係の法律が適用されない
  • 最低賃金の保障がなく出来高制のため報酬が低い可能性がある
  • 仕事量が安定していないケースがある
  • 単純作業が多い

就労継続支援のA型/B型に関する詳しい内容は、以下の記事も参考にしてください。

「就労定着支援」とは?

「就労定着支援」とは一般就労を開始した人に対し、働くうえでの課題をサポートするサービスです。

就職後も「就労移行支援」と同じような仕事のスキルや生活に関するアドバイスがもらえたり、働き始めたからこそ出てきたお悩みを相談したりすることも可能。

「就労移行支援」または「就労継続支援」から就職した方へのフォローは各事業所の義務です。そのため各事業所を経て就職をした障害をお持ちの方は定着支援のサービスを6ヶ月間無料で受けられます。

さらに半年が経過した後は本人の希望(自己負担有り)によって3年間延長での利用が可能です。

※「就労定着支援」を独自で導入している企業も一部存在します。

就労定着支援の内容

就労定着支援の具体的な内容は、障害が原因で遅刻や欠勤を繰り返してしまったり、職場でうまくコミュニケーションがとれなかったりといった、就業の継続に支障をきたす課題解決のサポートが目的です。

就労定着支援員が、本人だけでなく職場の上司などとの面談によって、困りごとの改善や解決ができるようにサポートをします。

 
キャリアアドバイザー
就労移行支援・就労定着支援などを分けて考えるのではなく、各支援事業がシームレスに連携し支援する体制があることが、高い就労定着率へつながります

就労定着支援の詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。

就労移行支援のメリット

ここでは就労移行支援を利用するメリットを3つ紹介します。

1.就職に必要なスキルも生活リズムも身につく

就労移行支援では仕事のスキル面だけでなく、生活面やメンタル面のサポートやアドバイスが適宜受けられます。

対人関係に不安がある方も、グループワークなどでソーシャルスキルトレーニング(SST)を徐々に伸ばすこともできます。

認知行動療法やコミュニケーションスキルの一つであるアサーショントレーニングなど、より快適に働けるためのカリキュラムも多様に用意されています。

また「まずは週に1度から始める」といったように、通所のペースやビジネススキル習得のレベル感・内容も相談しながら決められます。

療養期間が長く就職が初めて、という方には特に利用をおすすめできます。

2. 企業に安心してもらうための根拠づくりができる

企業は採用するにあたって、あなたの実力を表せる客観的な実績を知りたがっています。

就労移行支援の「通所期間や通所頻度」・「おこなったトレーニング」は立派な実績になります。「履歴書に書くことがない」という方は就労移行支援の経験を書くことができます。

【PR例】

  • 履歴書に…「●●就労移行支援 週5日/98%の通所率」
  • 自己PRに…「1年以上安定した通所ができている」「就職のためにパソコンスキルを伸ばしてきた、Excel中級レベルのことが速く正確にできるようになった」など
 
キャリアアドバイザー
就労移行支援利用者を積極的に採用したい」という企業もあります。
安定就労の見通しが立ち、社会人基礎力が身についていると判断してもらえるためです。

3. 就職活動の全面的なバックアップが受けられる

障害特性や病気に必要な配慮をしてくれる企業を探すのは、一人では難しいものです。

就労移行支援のスタッフは障害の知識だけでなく、障害や病気への配慮がある企業の情報をたくさんもっています。

その中から客観的に利用者に合った会社を選んだり面接対策やアドバイスをするので、一人で就職活動を進めるより効率的に良い会社に出会えるでしょう。

その他にも以下のようなサポートが可能です。

  • 書類添削
  • 面接対策
  • 面接練習
  • 面接同席

就労移行支援に通って転職に成功した、精神障害をお持ちのTさんの事例も参考にしてください。

就労移行支援のデメリット

就労移行支援を利用する上でのデメリットとなりうるのは「時間」と「お金」の問題です。
やや中長期的にじっくり自分のキャリアに向き合うサービス特性をもつため、「すぐに働かなければならない」「今すぐ収入を得たい」と思っている方にはおすすめできません。

原則、就労移行支援の利用中はアルバイトなどもできません。
※自治体によってアルバイト可の場合もあるのでご確認ください。

また、就労移行支援の事業所にも特色があるので相性の合う/合わないがある場合も…。
ぜひ利用の前にはいくつかの就労移行支援を比較してみてください。

就労移行支援の対象はどんな人?利用できる期間や利用料金

障害福祉サービスの一環である就労移行支援の対象者や利用料金、利用可能な期間についてそれぞれ紹介します。

対象者

就労移行支援事業の利用条件は以下の3つに当てはまる方です。

  1. 18歳以上65歳未満の方
  2. 身体障害、知的障害、精神障害、難病のある方
  3. 一般企業への就労または開業を希望する方で、就労可能と見込まれる方

障害者手帳をお持ちでない場合でも、医師の診断書または意見書があれば、就労移行支援を利用できます。

初めて就業する方(就労経験のない方)だけでなく、体調を崩されフルタイムで仕事を復帰するには少し自信がない方なども利用できます。

 
キャリアアドバイザー
「就労移行支援」に通所できる期間は最大で24ヵ月(2年間)です。

利用料金


【画像提供】就労移行支援事業所「ワークイズ」

就労移行支援のサービスは前年~直近の世帯所得次第で無料で利用できます。

お住まいの地域によって細かな条件が異なるので、詳細はお近くの市区町村の障害福祉課や利用したい就労移行支援へ相談してみてください。

引用元
厚生労働省|障害者の利用者負担

利用可能な期間

先にもお伝えしたとおり、就労移行支援の利用可能期間は原則最長で24カ月です。ただし市区町村に申請し認められれば、延長できる場合があります。

さらに、就労移行支援を再利用することも可能です。その場合、就労移行支援が利用できる24カ月以内であることが条件。また在住している市区町村によっては再利用を許可しないケースもあるため、確認しておくことをおすすめします。

就労移行支援でできること

就労移行支援の事業所数は3,196箇所あり (2023年調査)、その特色や支援内容もさまざま。

ここでは株式会社D&Iが運営するワークイズのカリキュラム例を見てみましょう。


【画像提供】就労移行支援事業所「ワークイズ」

就労移行支援事業所で受けられるサービスは自分の理解と並行して働くために必要な基礎力のトレーニングをし、就職活動~内定~定着までを一貫してサポートします。

  • 自己理解、障害理解のサポート
  • PC訓練
  • 社会人基礎力(ビジネスマナーなど)のトレーニング
  • キャリアプランの設計
  • 企業研究
  • 模擬職場体験、見学
  • 履歴書、職務経歴書などの作成、添削
  • 職場実習
  • 求人探し
  • 面接練習
  • 定着支援の定期面談

引用元
厚生労働省「令和3年 社会福祉施設等調査の概況」

どのような人がサポートしてくれるの?

就労移行支援には専門知識をもった職員が一定人数配置されています。

  • 職業指導員…障害をお持ちの方の希望や適性に合わせて就職のために必要な技術を指導・援助するなど、職業上の技術を習得させる訓練・指導を行います
  • 生活指導員…体調や生活リズムを整えるサポートをします
  • 就労支援員…就職のために必要なスキルや就活ノウハウをアドバイスします

手続きの流れ

就労移行支援を利用するためには、在住地域の窓口に申請をする必要があります。申請する場所や申請方法の流れは以下のとおりです。

  1. 就労移行支援事業所を探す
  2. 事業所の見学後、事業所を決定する
  3. 障害福祉サービス受給者証を取得する
  4. 就労移行支援事業所と通所の契約する
  5. 利用を開始する

就労移行支援事業所にはそれぞれ特色があり、得意とするサービス内容や受けられるサポート、カリキュラムにも違いがあるため、よく吟味して自分に合った事業所を選びましょう。

受給者証を取得するには?

受給者証とは障害福祉サービスを利用するために必要な証明書で、障害者手帳をお持ちの方でも受給者証がなければ就労移行支援を利用することはできません。

利用したい事業所が決まったら在住地域の役所へ行き、福祉課などの窓口で申請書を提出します。申請から発行までの流れは以下のとおりです。

  • 在住地域の福祉サービス窓口に就労移行支援を受けたい旨を相談
  • 受給者証の申請書を提出
  • 自治体のヒアリングや調査
  • 暫定支給の決定
  • 利用計画案を作成して提出
    ※作成は自身または自治体の指定事業者に在籍する支援員がおこなう場合があり、地域によって異なる
  • 就労移行支援事業所による個別支援計画の作成
  • 支給の決定

引用元
厚生労働省|サービスの利用手続き

就労移行支援事業所はどうやって選ぶ?

3,100箇所以上ある就労移行支援事業所には、それぞれ得意とする支援内容や訓練の内容があり、サポートの手厚さにも違いがあるのが現状です。その中で、自分が望むサービスやサポートを受けるためには、しっかりと事業所の特色や内容を調べる必要があります。

そこで、在宅訓練も可能なおすすめの就労移行支援事業所を紹介しましょう。

通所型と在宅型を選べる事業所

ワークイズはコロナ禍で急速に普及したテレワークによる訓練の認可を、コロナ流行前から受けていた東京都で唯一の事業所です。

利用者の希望や状況によって、通所とテレワークの併用やフルリモートでの就職訓練・就職や転職サポートを受けることができます。

東京都大田区蒲田にある事業所でありながら、関東地域(東京・埼玉・神奈川・千葉)にお住まいの方に対してサポートが可能。さらに障害者雇用専門の人材紹介会社DIエージェントとの連携で、テレワークに対応した求人の紹介や開拓によって、強力に就職をサポートします。

支援実績やご利用の流れは以下のページをご覧ください。

人材紹介サービスや就労定着支援との連携

ワークイズの運営元である人材紹介会社のDIエージェントで、キャリアアドバイザーとして就職を支援してきたスタッフや産業カウンセラー・社会福祉士などの専門資格を持ったスタッフからのアドバイスを受けられるのも強みです。

さらに同グループの就労定着支援「ワクサポ」とも連携して、訓練や就職支援、求人紹介、職場定着までをシームレスにサポートすることも可能。サービス全体での就職支援実績は、7,500人以上、取引実績は1,600社以上にも上ります。

上述したとおり、障害をお持ちの方の就職・定着にはシームレスな支援が重要です。是非こういった事業所の利用を検討してみましょう。

就労移行支援のサポートを活用してスムーズな就職を目指そう

障害や難病をお持ちの方にとって、ひとりでの就職活動はときに困難なこともあるでしょう。特に一度ブランクが空いてしまったり、障害や病気の発覚後初めての就職だったりした場合は、仕事の探し方や活動の仕方も手探り状態で不安に感じるもの。

就労移行支援について、「名前は聞いたことあるけど、利用の仕方がわからない」「自身の状態で利用できるか不安」という方もいらっしゃるかもしれません。しかし本来利用できる制度があるにも関わらず、知らないことによって利用していないことは避けることが望ましいでしょう。

就職や職場定着を支える就労移行支援制度を利用するには、受給者証の取得が必須です。

まずは最寄りの自治体・ハローワークに確認し、ご自身がどのような制度を利用できるのかを確認されるとよろしいかと思います。

また、今回ご紹介した制度などに加えて、生活を支える手段の一つとして「仕事」についても検討したいという方は、ぜひ一度DIエージェントへご相談ください。

DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠で就職・転職を検討されている方に対して就職・転職についてのアドバイスや、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。

専任のキャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングし、お一人おひとりに寄り添った働き方を提案させていただきます。

「今の自分に無理のない働き方をしたい」「理解のある環境で働きたい」というご希望がありましたら、まだ転職は検討段階という状態でも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。

▼関連記事
・就労移行支援事業所に通所しながら就職活動を並行する方法については、以下の記事もご覧ください。
就労移行支援を利用しても就職できなかった場合の解決方法と就職先を解説

・障害者手帳を取得することによって、様々なメリットがあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
障害者手帳とは?対象疾患・等級、 受けられるサービスなどもわかりやすく解説!【専門家監修】│DIエージェント

・障害を持ちながら生活収入を確保する方法について解説しています。以下の記事も併せてご覧ください。
障害者の方の2つの収入源を解説|障害年金と障害者雇用について【社労士監修】 │DIエージェント

監修:安部 桐子
産業カウンセラー。EAP事業の立ち上げ経験を活かし、(株)D&Iに入社後には定着支援サービス「ワクサポ」と在宅型就労支援「エンカクトレーナー」を開始。現在は300名以上の障害者の定着化・戦力化に向けたサービスの統括をおこなう。