スケジュール管理ができない悩みを解決!大人の発達障害が仕事で自信をつけるための4つのステップ

「スケジュール管理ができない」、「締め切りが守れない」、「いつもギリギリにならないとはじめられない」という悩みを持っていませんか。

発達障害を持つ人は、全般的にスケジュール管理があまり得意ではありません。ADHDやASDの特性として、時間管理や優先順位の決定が難しい場合があるためです。しかし、特性を理解し、適切な対策を取れば、スケジュール管理は必ず改善できます。

この記事では、発達障害の特性とスケジュール管理の関係、そして仕事で成果を上げるための具体的なステップを解説します。

一人で悩まず、ぜひこの記事を参考にして、自分に適したスケジュール管理の方法を見付けてください。

発達障害の特性とスケジュール管理の関係性とは?なぜ「できない」と感じてしまうのか

発達障害を持つ人の多くがスケジュール管理に苦手意識を持っており、実際にスケジュール管理に失敗して締め切りを守れなかった経験をしたことがあります。失敗を繰り返すことで、自信を喪失してしまい、完全に苦手意識を持ってスケジュール管理を放棄してしまうケースもあります。

発達障害を持つ人がスケジュール管理に失敗する原因は、大きく分けて以下の5つが挙げられます。

時間管理の困難さ:
発達障害を持つ人は時間の感覚が掴みにくく、作業時間の予測や見通しが立てづらい傾向があります。そのため自分が想定していた作業時間を大幅に超過して、締め切りに間に合わなかったり、時間を守れなかったりします。

優先順位の決定の難しさ:
複数のタスクを抱えているとき、どれから手をつければいいのか判断が難しく、優先順位をつけられないという状況に陥りやすい特性があります。結果として重要なタスクが後回しになり、締め切りに間に合わず、大きなトラブルになるケースがあります。

計画性の欠如:
将来的な予測をした上で予定を立てたり、長期的な目標に向かって計画的に行動することが苦手なので、習慣化していない日々のスケジュール管理が困難になりやすいケースがあります。

注意散漫:
集中力が持続せず、他のことに気を取られやすいため、予定していたタスクに集中できず、別のことを始めてしまった結果、時間を無駄にしてしまうことがあります。

衝動性:
計画を立てても衝動的に思い付いた別の行動をしてしまい、予定が狂ってしまうことがあります。また、突発的な出来事への対応が難しく、柔軟にスケジュールを変更して吸収できずにタスクの総量が予定されていた期間をオーバーしてしまうことも多々あります。

ADHD優勢の人に見られやすいスケジュール管理の苦手パターン

ADHDの人は可視化されていないタスクやスケジュールを忘れやすく、先延ばし癖が強いため、一夜漬けになったり間に合わずに締め切りを破ることが多々あります。

これはADHDの特性として時間の見積や時間感覚に困難を抱えているため、スケジュールをこなすために必要な時間を正確に把握することが苦手であることが原因の一つとして挙げられます。

締め切り間際にならないと取り掛かれない:
タスクの先延ばし癖があり、締め切りが迫るまで行動に移せないため、結果として時間に追われてしまい、スケジュールを守れずに提出が遅れたり、質の低い成果物しか出せないことがあります。

複数のタスクを同時進行できない:
複数のタスクを同時進行しようとすると気が散りやすくなって、ひとつひとつのタスクが中途半端な状態で終わってしまうことが多々あります。結果としてすべてのタスクでスケジュールを守れなくなることも少なくありません。

予定外の出来事に対応できない:
突発的な出来事や急な予定の変更に対して、適切なタスクの整理ができず、パニックを起こすことがあります。割り込みタスクに対応することで集中力が途切れ、関心が別のものに移ってしまい、パフォーマンスが落ちてスケジュールが大幅に狂ってしまうケースも多く見られます。

ASD優勢の人に見られやすいスケジュール管理の苦手パターン

ASDの人は、急な予定の変化への対応力や曖昧な指示への理解力が低く、細部へのこだわりを強く発揮した結果、本来するべき内容を超えてタスクが増大し、締め切りに間に合わないことが多々あります。

変化への対応が難しい:
決められたスケジュールやルーティンを重視する一方で、変更やイレギュラーな事態に対応することが苦手です。急な予定変更があるとパニックになり、スケジュール全体が崩れてしまうことがあります。

細部へのこだわりが強い:
スケジュールを立てる際に、細部まで完璧に計画しようとしすぎて時間がかかるケースがあります。また、予定通りにいかないと強いストレスを感じ、次の行動に移れなくなることも珍しくありません。

曖昧な指示が理解できない:
「早めに」、「適当に」、「ほどほどで」などの曖昧な表現での指示が理解できず、具体的な行動に移せないことがあります。結果として時間が足りなくなり、タスクの完了が遅れたり、誤った判断をしてしまうことも多々あります。

発達障害を持つ人の脳の特性から見るスケジュール管理の難しさ

発達障害を持つ人は、生まれ持った脳の特性が原因で、そもそもスケジュール管理が得意ではありません。大きく3つ挙げると以下の問題を抱えており、これを自身の努力だけで克服するのは容易ではないのです。

実行機能の弱さ:
物事を計画し、順序立てて実行する「実行機能」が弱いため、スケジュール管理に必要なタスクの優先順位付けや時間配分が困難です。

ワーキングメモリの容量の少なさ:
先天的な脳の構造として、一時的に情報を保持して処理する「ワーキングメモリ」の容量が少ないため、複数の予定を覚えたり、同時に複数のタスクを処理することが苦手です。

ドーパミンなどの神経伝達物質の働き方が違う:
意欲や集中力を高めるドーパミンなどの神経伝達物質の働き方が定型発達の人と異なるため、タスクへのモチベーションを維持したり、注意を持続させることが困難です。

「スケジュール管理ができない自分」に自信をなくすことで生じる悪循環から脱するには

スケジュール管理ができ、計画的に行動することがビジネスパーソンとして当り前であると求められがちですが、結果としてスケジュール管理ができない自分を「誰でもできるべきことができないだらしない人間」、「サボり癖がひどいダメな存在」と責めてしまうケースがあります。

しかし、自信を無くして自分を責めるほど、スケジュール管理が上手く行かないという悪循環に陥ってしまうことも多いのです。

発達障害を持つ人が「スケジュール管理ができない自分」に自信をなくすことで生じる悪循環から脱するには、以下の3つの方法があります。

自己肯定感を高める:
先天的なものを個人の努力だけで克服するのは難しいことを受け入れ、「自分にはスケジュール管理はできないが、他に得意なことがある」と自分を褒めことで自己肯定感を高め、苦手を克服するより自分の強みを発揮する方へ考え方を転換します。

スモールステップで成功体験を積み重ねる:
無理のない範囲で小さな目標を設定し、達成することで自信をつけます。簡単に達成できる小さなスケジュールの管理を成功させ、成功体験を積み重ねることで、徐々にスケジュール管理への苦手意識を克服していきます。

周囲のサポートを活用する:
職場の上司や同僚、家族、友人、専門機関などに相談し、スケジュール管理のサポートを受けましょう。先天的な問題を一人で抱え込まず、周囲の力を借りることで、精神的な負担も軽減できます。

仕事で成果を上げる!スケジュール管理できるようになる4つのステップ

発達障害の人が持つ特性や比重には個人差が大きく、従って悩みも千差万別なので、世間一般で言われるスケジュール管理アプリや手帳術などが、必ずしも自分に適しているとは限りません。

発達障害を持つ人が仕事で成果を挙げ、スケジュール管理ができるようになるためには、自分の状況に対するスケジュール管理の最適化が必要です。

そのためには以下の4つのステップに沿って、順に自分に最適化されたスケジュール管理方法を掘り下げる必要があります。

ステップ1:自分の特性を理解し、苦手パターンを把握しよう

自分の得意なこと、苦手なことを把握し、スケジュール管理の課題を明確にしましょう。

ADHD傾向が強い場合は、集中力が持続しにくい時間帯を把握して、早めに休憩を入れたり、気分転換の時間を含めた時間配分をしましょう。

ASD傾向が強い場合は、変化に弱い点を考慮して、ルーチンワークをする時間と、イレギュラー対応をする時間をしっかりと分けてみるのも良いでしょう。

いつもどのようなパターンでスケジュール管理に失敗し、破綻しているのか、紙に書き出して丁寧に分析してみることも大切です。

スケジュール管理は苦手パターンを補完するものなので、繰り返し失敗するパターンの傾向がわかると対策しやすくなります。

ステップ2:自分に合ったスケジュール管理ツールや方法を見つけよう

紙の手帳、スマホアプリ、リマインダー機能など、様々なツールを試してみましょう。発達障害の人を対象にしたアプリも多数開発されていますが、必ずしも自分にあうとは限りません。

大切なのは、自分の性格やライフスタイル、業務内容などに合っていて、無理なく続けられる方法を見つけることです。定型発達の人に向けたスケジュール管理術は、必ずしも発達障害を持つ人にあうとは限らないので、無理に参考にする必要はありません。

アナログでもホワイトボードや壁掛けカレンダーなど視覚的に分かりやすいツールや、定時にアラーム機能で時間を通知してくれるシンプルなツールが有効な場合もあります。

全体を見通してどのタスクが進行しており、締め切りがいつなのか一目でわかりやすく可視化すると、スケジュールを管理しやすくなります。

一方で、複数のスケジュール管理アプリを使い分けたり、スケジュールを確認するのに複数の手順が必要なものは、利用しなくなることが多いのであまり向いていません。

ステップ3:大きな計画と小さいスケジュールを組み合わせよう

スケジュール管理に慣れていないと、ぎっしりと事細かなスケジュールを書き込んだり、逆に大雑把すぎる計画を設定してしまいがちですが、予定の変更に対応できなくなったり、予想していた作業時間と実際の作業時間がずれていたときに修正が難しくなります。

まずは大枠の日程を区切り、その日程の中に小さなタスクに分けてスケジュールを入れていくのがおすすめです。

最初から完璧を求めず、簡単なタスクからスケジュール管理を始め、小さな目標を達成することで、徐々に自信をつけながらスケジュール管理に慣れていきましょう。

大枠の日程を決めておくことで、締め切りを明確にしながら、スケジュールに余裕を持たせることができるので、急な予定変更や割り込みタスクにも対応しやすくなります。

ステップ4:周囲のサポートを活用しよう

合理的配慮として、職場に理解を求め、スケジュール管理に協力してもらうことも大切です。スケジュール管理は自分の努力や工夫のみで克服できないことを前提に、スケジュールについてどのように伝えて欲しいのかを相談するのも、仕事して大事なことです。

転職エージェントなどを利用して転職した場合は、エージェントに間に入ってもらうことでより相談しやすくなります。一人で抱え込まず、悩んでいることを周りと共有することで、スムーズなスケジュールの管理ができるようになり、職場も自分もスケジュール遅れの問題が解消できます。

スケジュール管理ができない悩みを克服するのに大切なのは、職場とのマッチングと理解

スケジュール管理ができない悩みは、自分の努力だけでなく、職場とのマッチングや理解も大切です。

発達障害に理解が深い転職エージェントを利用して、以下のような職場を選び、合理的配慮や定着支援を受けるのがおすすめです。

自分の特性に合った働き方のできる職場を選ぶ:
自分の特性を理解し、それに合った働き方ができる職場を選ぶことが重要です。例えば、ルーティンワークが多い職場や、在宅勤務を選べるなど柔軟な働き方ができる職場、フレックスタイム制を導入している職場など、自分に合った環境を選ぶことで、スケジュール管理の負担を軽減できます。

職場に自身の特性を伝える:
職場の上司や同僚に、自分の特性やスケジュール管理の苦手さを正直に伝えましょう。合理的配慮と理解を得ることで、適切なサポートや配慮を受けやすくなります。

職場と協力して、働きやすい環境を作る:
職場と協力して、スケジュール管理をしやすい環境を作ることも大切です。タスクの見える化、定期的な進捗確認、休憩時間の確保など、工夫次第で自分以外の人を含めて働きやすさが大きく変わります。

発達障害の特性と自分の苦手を理解することで、スケジュール管理ができない状況を解決しよう!

発達障害の特性によって、時間管理や優先順位付けが難しく、スケジュール管理が苦手な場合があります。ADHDでは締め切り間際にならないと動けない、ASDでは変化に対応できないなどの特性が、スケジュール管理を困難にしています。

しかし、自分の特性を理解し、ADHDなら視覚的に分かりやすいツール、ASDならルーティン化しやすいツールなど、自分の困りごとに合った方法を見つけることで、スケジュール管理の苦手は改善できます。

職場の上司や同僚に相談したり、転職エージェントを利用して理解のある職場に転職したりするなど、周囲のサポートを活用することも有効です。

まずは、自分の特性を理解し、自分に合ったスケジュール管理の方法を見つけることから始めてみましょう。

今の職場で働き辛さを感じている場合は、DIエージェントに是非ご相談ください。

監修:井村 英里
社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。