精神障害者におすすめの仕事とは?在宅ワークや求人事例を解説

精神障害とは、精神疾患により精神機能に障害がみられることです。その度合いによっては、日常生活に限らず、仕事においても障害が理由で困難が生じる場合があります。

そこで、今回は、精神障害の方にみられる困りごとやオススメの働き方について解説します。

障害の特性に合った業務に従事することや、理解と配慮のある環境で働くことは、安定して長く仕事を続けていくためにはとても大切です。合わない職場環境で働くことによって、障害が悪化したり、別の病気を発症してしまったりする例も少なくありません。

そうならないよう、今後の働き方を考える参考として、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みいただけると幸いです。

精神障害とは

精神障害者の方にオススメの仕事を見る前に、まずは障害の基本について押さえておきましょう。基本的なことを押さえておくことで、どのような仕事・業務は向いていないのかが判断しやすくなり、仕事探しがスムーズに進みます。

精神障害の種類と症状

厚生労働省の公式ホームページでは、精神障害について特設ページを設けています。その中では、「精神障害(精神疾患)の特性」と題し、以下5つの代表例と陽性症状、配慮のポイントについてまとめられています。

特性・障害名 特性の概要 配慮のポイント
統合失調症 発症の原因がわかっていないものの、100人に一人弱はかかるといわれている
  • 薬物療法が主な治療となることから、内服を続けるための配慮が必要
  • ストレスや環境の変化に弱いことを理解する必要がある など
気分障害 気分の波が主な症状として表れる病気
  • 家族や本人、周囲の人が病気について理解を深める
  • うつ状態のときは無理をさせない など
てんかん 何らかの原因により、一時的の脳の一部が過剰に興奮し、発作が起きる
  • 誰もがかかる可能性のある病気であることを理解する
  • 発作がコントロールされているときは過剰に活動を制限しない など
依存症 適度な依存を逸脱した状態
その行為を繰り返さなければ満足できない状態になり、自らの力では止められない
  • 本人に病識がなく、依存症は治療が必要な病気であることを本人・家族・周囲が理解する
  • 他社からの避難など厳しい現実から逃げるためにさらに依存心が強まる可能性があることを周囲が理解する など
高次脳機能障害 交通事故や脳血管障害などの病気によって行動に生じる障害
  • 本障害に詳しい専門医や機関、家族会などに相談する など

※編集部で一部加工してまとめています

 
キャリアアドバイザー
特性や配慮のポイントを押さえておくことで、自分にとってどのような仕事・業務があるのかが判断しやすくなるので、今一度目を通しておくことをオススメします!

引用元
精神障害(精神疾患)の特性(代表例)|厚生労働省

精神障害によってみられる仕事への困りごと・悩みごと

一口に精神障害と言っても、特性や障害、病名は様々です。当然ながら、人によってみられる症状なども異なるため、悩みごとや困りごとが異なります。

ここからは、精神障害者の方にみられることの多い、悩みごと・困りごとを紹介します。自分に該当する項目を押さえた上で、自分にあった仕事とはどのようなものなのかを考えてみましょう。

疲労を感じやすい

精神疾患の方の中には、疲労を感じやすいと悩む方もいます。また、精神疾患があることで、精神疾患がない方と同じ仕事量をこなしたときも、疲れの度合いが異なることも珍しくありません。

自分の特性について相談できずにいると、気にしすぎてしまうあまり、ストレスでさらに強い疲労感に苛まれてしまうこともあります。

さらに、幻覚や妄想、気分の落ち込みといった、病状が原因で日常生活を送るだけでも労力をともなう場面もあります。

体調が安定しにくい

就労して間もない頃や業務が大きく変化したときなどは、特にストレスを感じやすく、それによって体調不良に悩まされる方もいます。その結果、精神疾患の症状が悪化するケースも。

日によって体調が大きく変わるために、仕事のパフォーマンスに影響したり、急に気分が落ち込んでしまい、体が動けなくなったりすることもあります。

しかし、「仕事中だから」という理由から周囲に気を遣う人も多く、体調の変化がみられても言い出せずにいる人もいるようです。

職場での理解が得にくい

精神疾患は精神機能に障害がみられるために、見た目では判断できないといった欠点があります。そのため、周囲から理解を得ることに難しさを感じる人もいます。

病気によって体調が悪く、業務に遅れが生じても、周囲から見れば精神疾患によるものではなく、怠けているように思われることも。

また、症状によっては人とのコミュニケーションに対して億劫さを感じたり、スケジュール管理がうまくできなかったりすることもあるために、「怠けている」という誤解をさらに強めてしまうことも少なくありません。

特性症状と仕事が合っていない

精神疾患の特性障害によってはあわない業務や働き方があります。例えば、コミュニケーションを取ることに億劫さを感じる方が営業職への就職を望んだ場合、顧客との円滑なコミュニケーションが求められる仕事だからこそ、長く続けられない可能性があることがイメージできるかと思います。

このように、自分の特性障害について理解を深めていないと、自分にあった仕事ではないために、仕事をするだけで強いストレスを感じたり、就労そのものに億劫さを感じたりする可能性があります。

自分にあった仕事を探すときは、まず自分の特性障害について理解を深め、どのような仕事・業務なら対応できるかを考えることが大切です。

 
キャリアアドバイザー
仕事を探す上では、まずご自身の体調について振り返ることが大切です。
体調について振り返ると、長時間座るのは難しい、細かな作業は困難などが洗い出され、就労する上で避けたい項目が見つかりやすくなります。

精神障害が辛いときは在宅ワークを検討しよう

精神障害によって特性や症状が強く出てしまう日が続くときは、出勤して会社で勤務するという働き方ではなく、自宅などの好きな場所で就労可能な在宅ワークも候補に加えるのがオススメです。

ここでは在宅ワークの特徴を紹介します。在宅ワークを経験したことがない方はもちろん、在宅ワークに興味がある方は参考にしてください。

自分のペースで働ける

在宅ワークは、自宅やカフェなどで作業をするのが基本的なスタイルです。そのため、通勤ラッシュにあう必要がないほか、自分の好きな時間に取り組むことができます。

出勤する必要がないため、対面でコミュニケーションを取る機会も少ないです。基本的には、メールやチャットツールを使って連絡を取り合うので、対人関係によるストレスは避けたい、といった方には向いています。

 
キャリアアドバイザー
ただし会社によっては、月に数回のペースで出勤するケースや、ある程度の業務ができるようになってからといった条件付きで許可されることも。
仕事を探すときは「完全在宅」なのか「業務の一部で在宅を許可しているのか」を確認することをオススメします。

通勤や職場によるストレスを避けられる

都心部などで就労する場合、電車やバスといった交通公共機関の利用が考えられます。しかし、多くの人が利用することから、通勤ラッシュによって精神面や身体面に強いストレスを感じることも少なくありません。

在宅ワークという働き方なら、通勤で抱えるストレスを限りなく減らすことが可能。さらに何時までに出社しなければならないといった決まりもないので、起床時間や就労時間も自分で決められ、好きなタイミングで業務に取り組めます。

時間や場所にとらわれずに働ける

会社での就労では、電話対応や雑務を任されるなど、イレギュラーなことが起きることも。通常の業務に取り組む分にはそこまで感じなかったストレスも、このようなことが続けばやがてストレスを感じ、症状が悪化する可能性があります。

在宅ワークという働き方を選ぶときは、会社や取引先に事前に申し出ることで、電話対応を避けることができます。業務の進捗状況によっては別の業務を任されることもありますが、スケジュールに余裕がなかったり症状が強く出ていたりする場合は断ることができるので、自分のペースを守りながら業務に取り組めます。

症状がやや強く出たタイミングで休憩を取ることができるほか、ベッドやソファなど、自分が落ち着く場所ですぐに休めるのも、在宅ワークの特徴です。

精神障害をお持ちの方に向いている在宅ワーク

在宅ワークは、パソコンを使った業務が中心のため、職種が限られています。

例えば以下のような職種は在宅ワークに対応していることが多いです。

  • データ入力
  • エンジニア
  • 事務職
  • Webライター

これらはパソコンでできる上に、自分のペースで取り組めることや責任・プレッシャーになりにくいといった共通点があります。

このことから、精神障害をお持ちの方は、自分の得意・不得意や特性障害について洗い出し、どのような職種なら取り組めそうかを考えた上で仕事を探すことをオススメします。

 
キャリアアドバイザー
精神障害の症状が強く出たり長期間続いたりする場合は、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けることも検討しましょう。

障害者雇用に特化した求人サイト「BABナビ」による求人事例

DIエージェントでは、障害者雇用に特化した求人サイト「BABナビ」も運営しています。障害者雇用は、障害者手帳の交付を受けた人を対象とした雇用形態で、会社から必要な配慮(合理的配慮)を受けながら業務に取り組むことができます。

ここではBABナビで後悔された在宅ワークに対応した求人を事例として紹介します。実際に募集された求人なので、どのような会社が在宅ワークを導入しているのか、どのような職種が多いのかを参考にしてください。

 
キャリアアドバイザー
BABナビの求人はDIエージェントからご案内することも可能です!

開発エンジニア|SCSKサービスウェア株式会社

SCSKサービスウェア株式会社では、完全在宅にて開発エンジニアを募集しています。1ヶ月の試用期間がありますが、勤怠・適性に問題がなければ1~3ヶ月ごとの更新です。

時給は1,800~2,500円で、フルタイム勤務が可能な方であれば月給は288,000~400,000円を目指すことも可能。勤務時間は9時~18時なので出勤する必要はありませんが、日中に業務ができる方に向いています。

症状についてのカウンセリングや電話による健康相談、スキルアップ研修制度も導入されているので、末永い就労を目指す方にオススメの求人です。

SCSKサービスウェア株式会社の求人(ID:6513)|求人サイトBABナビ(バブナビ)

ゲームモニター|任天堂株式会社

世界的ゲームメーカーで、一度は名前を見聞きした人の多い任天堂株式会社では、完全在宅によるゲームモニターを募集しています。業務内容は、指定されたゲームの仕様・イベント時の調査結果などをレポートすることがメインです。

完全在宅ではありますが、ミーティングや面談のため、必要に応じて月1回程度の出社があり、3ヶ月の試用期間、12ヶ月の契約期間となっています。

月給は165,550円で、年に2回賞与が支給されます。勤務時間は9時30分~16時30分の間で、60分の休憩を除く7時間45分です。日中を中心に活動できる方や、ゲームに興味がある方、大手企業や上場企業で働きたいといった方にオススメの求人です。

任天堂株式会社の障害者求人(ID:7029

人事事務|マルゴト株式会社

マルゴト株式会社では、完全在宅にて人事事務を募集しています。業務内容は、求人作成・編集のほか、応募者対応や面談調整などです。

入社後はチームへの配属となり、チームマネージャーやリーダーの指示のもとで業務を行います。社内評価制度により努力が目に見える形で評価され、目標を持って仕事に取り組めます。

完全在宅なので、自宅やカフェなど好きな場所での業務が可能。DIエージェントが企業様よりお預かりしている求人なので、応募や問い合わせはDIエージェントで承ることができます。

試用期間は3ヶ月、契約期間は6ヶ月となっており、月給は200,000~250,000円です。勤務時間は9時~18時の間で60分の休憩を除く実働8時間。完全在宅ではありますが、朝に起床し、業務に取り組める方にオススメです。

マルゴト株式会社の障害者求人(ID:7016)

データ入力|株式会社エコリング

株式会社エコリングでは、完全在宅にてデータ入力に対応できる方を募集しています。人事部による採用関係業務が中心で、Microsoft ExcelのIF関数やVLookup、ピボットテーブルの操作ができることが必須条件です。

試用期間は2ヶ月で、6ヵ月間の雇用期間です。時給は1,030円で、年に1回昇給のチャンスがあります。勤務時間は9時30分〜18時30分で、休憩時間は60分。時短勤務にも対応可能で、時短勤務範囲は30〜40時間です。

株式会社エコリングの障害者求人(ID:4495)

精神障害を抱えながら働くなら在宅ワークを検討しよう

精神障害者の方でも就労することは可能です。しかし、特性障害によっては気分の落ち込みが強く出たり、ストレスを感じやすくなったりすることも少なくありません。

精神障害を抱えながら就労を目指すときは、ご自身の障害特性や求める配慮、向き不向きを洗い出すことをオススメします。そうすることで、自分にあった仕事がみつけやすくなります。

障害を抱えながら働く上では、障害の特性にあった業務に就くことや、障害への理解や配慮のある環境選びが大切です。障害があっても「キャリアや成長をあきらめたくない」「自分にあった働き方を探したい」という方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。

DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠の就職・転職について情報提供や、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。

専任のキャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングし、お一人お一人の実現したい働き方を提案させていただきます。

就職・転職はまだ検討段階という方もぜひお気軽にご相談ください。

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監修:東郷 佑紀
大学卒業後、日系コンサルティングファームに入社。その後(株)D&Iに転職して以来約10年間、障害者雇用コンサルタント、キャリアアドバイザーを歴任し、 障害・年齢を問わず約3000名の就職支援を担当。