地方でフルリモート。障害を感じさせないコロナ禍の働き方 [転職成功事例 Vol.5]

DIエージェントを通じて転職に成功した皆さんのエピソードをご紹介します。
今回は長野県にお住まいでフルリモートの働き方をされているSさんのエピソードです。

プロフィール
Sさん 男性(30代)
障害:先天性の腎臓機能障害および難聴と片目の失明
経験:新卒で外資系メーカーに就職、IT部門を5年経験。その後日系の住宅関連企業2社のバックオフィス業務を経て2020年にご転職。
就職先:HRテック・コンサルティング会社 あしたのチーム 

※本記事の内容は2021年4月インタビュー当時の内容です。新型コロナウイルス感染症対策としてビデオ通話にてインタビューを実施しております。

地方のテレワークは「ほとんど求人がなかった」

※画像はイメージです

――早速ですがSさんが就職活動を始められた当時のご状況をお伺いしたいです。
まさに新型コロナウイルスが流行し始めた頃で、ご不安もあったのかと思いますが……。


そうですね。2019年11月に過労が続き、前職を退職いたしまして。
退職前から「次はリモートワークで働く」と決めていたんです。
地元の長野に戻ってきた時には新型コロナウイルスの情報がどんどんとネットで広まりだしていました。
「今後テレワークの形態の働き方は増えるのかも」との期待もあり、テレワークの求人に絞って転職活動を開始しておりました。

――地方でのお仕事探し、どんなことが大変でしたか?

まずは地元の求人を探すのですが、「障害者枠/IT関連/在宅勤務可」で絞るとほとんど求人がないんですよね。
長野県内のテレワーク制度もある企業に数社応募しましたが、残念ながらご縁がなく。
早々に地元就職は諦めて、「全国のフルリモートができる会社」に範囲を広げましたね。

――その後、テレワークのお仕事探しはどのように進められましたか?

ネットでテレワークの求人を検索し、条件に合った求人が載っていた「BABナビ」に登録して応募をしました。

――DIエージェントの姉妹サイトですね。

それをきっかけにDIエージェントに求人紹介の声をかけてもらって、トントン拍子に選考が進みました。

――最終的には2社に内定されたそうですね。現在お勤めの会社を選ばれた決め手はなんでしょう?

現在の会社はベンチャー気質のあるHRテック企業。もう一つ内定をいただいたのは創業100年以上の老舗の日系企業でした。
「さて、どっちへ行こうか」と迷いもしましたが最終的に自社の開発部門も持っており、「自分の能力が活かせるチャンスがあるのではないかな」ということで、今の会社を選びました。

――これまでのキャリアをより伸ばしていける可能性を感じたのですね。

「一度も出社せず」、フルリモートワークの働き方

※画像はイメージです

――それでは入社後はどのようなお仕事をされていますか?

まずはカスタマーサクセスの部署に配属になり、半年後にはクラウド事業部に異動になりました。今はいわゆる社内SEとして働いています。
仕事内容は社内システムの管理や社員のITサポートや教育、新しいシステムの導入、自チームの業務効率化するためのツールの開発などです。
具体的にはExcelやAccessを扱ったり、VBAやJava Scriptなどのコーディングをしたりしています。

――「社内SE」や「ITヘルプデスク」のお仕事はどこの会社でもニーズが高いと聞きますね。

はい。社内向けに業務の時短ツールなども作ったりして喜んでもらっています。
最近はチームの人たちとも「今流行りのノーコードにも挑戦してみよう!」と言って、勉強しながらバリバリと取り組んでいます。

――素敵な職場ですね! Sさんはテレワークで働かれていると伺っていますが、実際にオフィスに出社されたことはありますか?

実は選考から今まで一度も出社したことはありません。
東京にいる同じチームのメンバーも基本的にはリモートで働いています。

―― 一度も出社せずに……普段のコミュニケーションはどのようにとられていますか?

新卒・キャリア採用問わずに新しいメンバーが入った時にはパソコン越しですがランチをしたりと交流の機会がありましたね。あとはオンライン飲み会も経験しました。

――イベントがあると孤独感はなさそうですね。

仕事に関しては基本的にSlackというチャットツールでコミュニケーションをとっています。
だからやり取りはほとんどテキストなんですよね。
文章だと齟齬が生まれやすいので箇条書きにして相手に理解してもらいやすいようにしたり、無機質な印象を与えないよう丁寧で誠実でやわらかい文章になるよう意識して書き込んでいます。

――オンライン会議はありますか?

会議は基本的にビデオ会議ツールのZoomを使うので、レコーディングができます。
チャットであれビデオであれ後から見返して、タスクの整理ができ、リアルで通勤していた時よりも良くなりましたね。
それ以外にも書類のやりとりではなくクラウドでのファイル管理が中心といったようにこの会社の仕事の進め方や制度自体がテレワークに向いていると思いますので、今まで特に違和感ややりづらさを感じたことはないですね。


メリットばかり。「周りも障害があると気づいていない」

※画像はイメージです

――かなりスムーズにテレワークに慣れたのですね。それでは改めてテレワークのメリットはなんでしょう?

私には聴覚障害もあり、普段両耳に補聴器を付けています。
テレワークになって、オフィスで聞こえていた雑音——人の話し声であったり電話の声であったり、キーボードのカチャカチャした音——から解放されて、会話の音声はヘッドホンに一本化されたことが非常に大きかったです。
出社していた時は雑音や相手の距離によって声が聞き取れないで聞き返すことも多々あり、相手も自身もストレスになっていました。

静かな場所でおこなう方が集中できるという特性がありますので、今では自室で一人黙々と作業ができますね。
音声の面は本当にストレスフリーになったと言えます!

――たとえば会社で「耳が聞こえづらい」と伝えた場合、周りの受け止め方としてはどうでしたか?

基本的に障害や特性についてはオープンにしてはいるのですが……。
たとえば新入社員に対してオンラインでパソコンスキルの研修講師をした機会がありましたが、困りごとがなかったので「私が障害をもっているとみなさん気づいてないのでは?」と思っています。

――まさにフルリモート環境によって実現されたバリアフリーですね!

※画像はイメージです

――他にも通勤がなくなったことによるメリットはありますか?

通勤がなくなったのは心身共に楽だと感じます。
私が免疫抑制剤という薬を服薬していてコロナにかかった場合リスクが高いので、外出・人との接触が抑えられるのは安心です。

あとは移動時間がないのでプライベートの勉強や運動の時間の予定も立てやすくなりましたね。
在宅だとどうしても運動不足になりがちなので、散歩しに出かけます。近所は田んぼやら、森とか川と自然豊かなので気分転換になりますね。

――そんな生活には憧れますね。

出社してみんなでワイワイと仕事をした方がパフォーマンスが上がる方もいるとは思うのですが、もともと私は一人で静かな環境でいる方が集中できるタイプなので、生産性が高まったと思っていますね。

――伺っているとSさんにとってテレワークの働き方はメリットばかりですね。

そうですね、集中しすぎてしまうことを除いてはテレワークのデメリットは特に感じていません。

貢献度が見える化されて、評価にも納得感

あしたのチームでは「人事評価クラウド」の開発・販売、人事評価制度の構築・運用をおこなっています

――それでは今の会社の好きなところはありますか?

「人事評価制度」をサービスとして扱う会社なこともあり、目標設定や評価がクリアな点でしょうか。
目標がしっかり設定され、おこなってきた業務や会社への貢献度が数字として客観的に見える化されているのです。
「この時はダメだったな、この時は高かったな、この時は低かったな」とあとから振り返ることもでき、人事評価に対して非常に納得感がある中で働けています。

――テレワークでも正当な評価が受けられると感じられると。

今までの会社は自分がどのくらい貢献できているのかどうかすら分からない状態でずっと働いていたので、そこがハッキリしたという点でとても良い経験ができています。

――たしかに求職者さんからも「こんなに頑張っているのにどうしてこの給料なんだろう?」といった声もよく聞かれます。離職の原因にもなるので重要なポイントですね。
テレワーク以外の配慮で助かっていることはありますか?

フレックスタイム制度でしょうか。
働く時間を選べて、たとえば11時に出社して20時に帰ることもできるんです。
これまでは通院のある日は半休や全休をとらなければなりませんでした。今は出勤時間を変更できるので休暇を取る必要がなくなりました。
体質的にも朝が苦手なので普段から遅めに勤務開始を設定でき、業務効率も上がったと感じています。

――配慮というよりもそもそもの会社の制度が整っていたのですね。介護中や子育て中の方、趣味がある方などにも働きやすそうです。


将来は働きながら海外留学も……

※画像はイメージです

――ちなみにSさんはお仕事が終わったあとは何をされていますか?

英語の勉強を再開しました。1日2時間、通勤がなくなってできるようになりましたね。
私が新卒で入った会社の上司に「ITと英語と財務・経理の知識があれば、どこでもやっていけるよ」と言われたことが強く印象に残っているんです。
それ以来、財務・経理の勉強はしていましたが英語はまだまだですので頑張っていきたいです。
社内ITの人材としての価値も高めつつ、新しいことを学んで挑戦し続けたいなと思っています。

――すばらしい向上心。

それからコロナが流行する前までは東南アジアへの旅行が好きでした。
もしコロナが収まったら、あしたのチームで働きつつ、フィリピンで語学留学をしたいという思いがあります。
フィリピンと日本は時差が1時間しかないので、フレックスタイム制度とテレワークなら十分実現可能なのですよね。ネット環境さえあれば世界中のどこにいても働けるな……と思っています(笑)。

――夢のある働き方ですね! それでは最後に一言お願いいたします。

コロナで大変な状況ではありますが、テレワークの推進は企業にとっても地方在住者・移動に制限がある方にとってもチャンスになっているのかなと思います。
今の会社で関わる人はチームのことを考え、全員尊敬できる方ばかりです。新しい出会い、挑戦の機会に出会えました。

――ありがとうございました! DIエージェントとしても新たなテレワークの可能性に気づけました。お身体に気を付けて、これからも様々な挑戦を応援しております。

監修:小林 鉄郎
(株)D&I創業者、代表取締役(2021年~)。15年以上の障害者雇用コンサルタント経験をもつ。 テレワーク型障害者雇用サービス「エンカク」の展開や地方創生×テレワークをテーマとした自治体連携等も推進している。